【専門家解説】障害児を施設に入れたいがどうしたら良い?

しゃふく・PSWの実務ノウハウ

障害児(お子さん)を施設に入れたい保護者の方へ

こんにちは。社会福祉士・精神保健福祉士のぱーぱすと申します。

私は障害児入所施設で働いた経験があります。

障害児入所施設というのは、その名のとおり障害児が家から離れ、入所して暮らす施設です。

つまり、障害児を施設に入れたいお気持ちの方にとって、ご希望の受け皿といえる施設です。

こうした施設に障害児(お子さん)を入れたい時は、児童相談所に相談することになります。(※児童相談所は地域によって名前が若干ちがうことがあります。ex.子ども家庭相談センターなど)

しかし、わが子を施設に入れることについて、罪悪感をいだく方もおられるでしょう。

周囲から反対される方もいるでしょう。

「施設に子どもを入れる = 悪いこと、見捨てること」

「子どもは家庭でもみるもの」

これが日本の「普通」とされる考え方です。

わたし達自身も、いつの間にかそうした価値観をすりこまれています。

なので、施設に子どもを入れるとなると

「子どもは家庭で育てるべきなのに私は・・・」

と、ご自身をつい責めてしまうのです。

さらには、親や兄弟姉妹などの親類からも

「お前の育て方が悪いからじゃないのか?」

と苦言をいわれてしまうこともあります・・・。

ご家庭で見きれなくなりがちな障害とは

障害児というと、身体障害、知的障害、発達障害が主でしょう。

私がよく関わったのは、知的障害や、自閉症スペクトラム・ADHDなど発達障害のあるお子さんでした。こうした子たちは、ご家庭で見切れなくなる場合が多いです。

なぜかというと、障害の特性として、ご家庭や学校などでパニックになりやすく、大声や物損、暴力が激しくなってく場合があるからです。(個人差はあります)

年の小さい間は、家で面倒を見切れるご家庭が多いです。

しかし、年々、成長とともに体が大きくなり、力も強くなっていきます。

ほんらい、お子さんの成長はとっても喜ばしいことです。

ところが成長によって、パニックや危険な行為を大人が止めきれなくなるのです。

実際、親御さんが暴力を受けてケガをされるケースがよくあります。

特に、男の子の場合はいち早くお母さんの力を超えるため、「家ではもう限界」と感じる方がたくさんおられます。

むしろ、児童よりも親御さんのほうが暴力におびえ、辛い環境に置かれているという場合もあります。

これは決して珍しいことではありません。

また、重度の知的障害のある児童や、身体障害のある児童であれば、介護負担もあります。

私の経験ですが、あるとき重度の知的障害児のお母さんから

「いったい私はいつまで、この子のおしっこやうんちのお世話しないといけないんでしょうか・・・?」

と、きかれたことがありました。

果てしない介護生活。疲れ切ったお母さんからのお言葉でした。私には返す言葉もありませんでした。

もし子育てに終わりがないとしたら・・・

赤ちゃんや子どもを育てるのが大変でも、なんとかこなせる理由。

それは「成長してくれる」「終わりがある」という見通しがあるからです。

子どもが成長すれば、ちゃんとトイレにいける、食事を自分で食べて、学校にも自分で行けるようになる。

いずれは仕事をして、結婚もして・・・。

そうやって手を離れていく成長が親として嬉しく、見通しがあるから「今は大変だけど頑張ろう」と思えるのです。

しかし、知的障害や発達障害のあるお子さんのなかには、大きくなってもオムツが必要だったり、うんちやおしっこのお世話が必要な方がいます。

そうしたお世話をいつまでも平気で続けられる親がいるでしょうか。

暴力や物損に振り回され続けても平気な親がいるでしょうか。

買い物や遊園地に一緒に行ってお、大声をだしたり飛び出したりしてしまい、目が離せない生活。

「何とか家で見続けてあげたい」と責任と愛情にもまれながらも、

「施設に子どもを入れたい」と親御さんが感じるのは自然なことではないでしょうか。

この気持ちを批判するのは簡単です。

けれど、この大変な状況を本当にわかっている方は決して批判などしないでしょう。

誰も、はじめから施設にわが子を入れたいとは思わない。

「できることなら家で育てたかった。」

「いろいろ頑張りつくしたけど、どうしてもうまく育ててあげられない・・・。」

「窓ガラスが割れたり、服が破れたり、叩かれたり・・・毎日が闘いのようだ・・・。」

「私が何とかみないといけないと思ってやってきたけど、もう家で見るのは限界だ・・・。」

このように限界まで追い込まれて、やむなく施設に入れる、という決断をされるのです。

夫婦間や祖父母間で意見がちがうことも多々あります。

「家族なのに悩みを共有できない・・・」

「わかってもらえない・・・」

施設に子どもを入れたいという親御さんのお気持ちは、周りがかんたんにとやかく言えるものではないのです。

施設に入れる決断をされるときには疲れ果て、考えることもできないというのが普通なのです。

施設職員が優秀だから障害児を育てられるのか?

入所施設の職員がこういった子どもたちを支援したりお世話できるのは、専門性のあるプロだからでしょうか?

そんな理由ではありません。

答えはシンプルです。

交代できるからです。

チームで支援できるからです。

養育の負担が一人や二人に偏らないからです。

これが、ご家庭との決定的な違いです。

施設の職員であっても、障害のある児童を親として家庭でみれば、誰でも強い負担を感じ、パンクしてしまうこともあるでしょう。

そんなものなのです。

いかに専門知識や技術をもっていても、障害そのものがなくなるわけではないので、どうしても労力はかかるのです。

一緒に暮らしさえすれば愛を与えていることになるのか

一緒に暮らせば、愛情を与えていることになるでしょうか?

一緒に暮らせば、見捨てていないことになるでしょうか?

一緒に暮らしていても、愛情を与えず、育児を放棄しているご家庭もあります。

では、施設に入れたら、見捨てたことになるでしょうか。

確かに、大半のお子さんはご家庭にいたいと思うものです。

私は知っています。例え虐待を受けた子どもでも、家に帰って親と暮らしたいと思うのです。

でも、定期的に面会したり、ご家庭に帰省されるなかで、お互いが余裕をもって関わり続ける親子もおられます。

もし今が、全く余裕のない生活だとしたら。

それと施設での生活、どちらの方がその子にとってより良いでしょうか。

お互いが余裕ない状態で、無理にご家庭で暮らし続けることはリスクでもあります。

誤学習といって、誤った学習を積み重ねてしまうことがあります。

結果として、特別な支援が必要となってしまうこともあります。

そうなれば、ますますご家庭で一緒に過ごすことは難しくなります。

防ぐには、早めの相談が大切なのです。

相談窓口は児童相談所

障害児が入所できる施設は、いくつかあります。障害児入所施設の福祉型、障害児入所施設の医療型、あるいは児童養護施設などです。

入所施設と一言でいっても、それぞれがどのような施設で、どのような生活をすることになるのか気になると思います。

児童相談所を通せば、実際のようすを見学できることもあります。

利用する場合、各施設の利用料は、0円~37,200円/月です。

利用料に幅がある理由は、世帯の所得によって、ひと月あたりの利用料の上限が0円から37,200円の間で決まるからです。(食費・光熱費は別)

どの施設がふさわしいかは、児童相談所と相談で決めていくことになります。

ただし、児童相談所に相談しても、すぐに入所決定となることはほとんどないでしょう。

入所施設は年度ごとに入所・退所していることが多いので、入所することになっても4月までは待つことになる場合が多いです。

そうした待ち期間をどうするか等もふくめて、児童相談所に相談できます。

児童相談所は各都道府県に数か所ずつありますが、担当地域が決まっています。なので、どの児童相談所ににかければ良いかわかりにくいことがあると思います。

わかりにくければ、189いちはやくにかければOKです。

電話をかけると、お近くの児童相談所につながるしくみになっています。通話料も無料です。110や119と同じ感じですね。

189は児童相談所虐待対応ダイヤルとよばれていますが、虐待の連絡だけでなく、自分の育児の悩みも相談できます。

ちなみに、地域や相談内容によっては、別の相談窓口(市区町村の福祉課や児童発達支援センターなど)を紹介されるかもしれません。

別の相談窓口を紹介されるのは福祉現場でよくあることなので、面倒ですがそういうものだと思ってくださいね。

念のため、全国の児童相談所一覧のリンクも貼っておきます。ご参考ください。

全国児童相談所一覧
厚生労働省の全国児童相談所一覧について紹介しています。

早めの相談がわが子とご家族を救う

施設に子どもを入れることは、決して見捨てることではありません。

愛を与えないことではありません。

罪悪感をもつことではありません。責任放棄でもありません。

預けた後も、形をかえて親子の関わりは続くのです。

むしろ、預けた後の関わり次第なのです。

あなた様は、もう十分ここまで頑張ってこられたはず。

子どもはもちろん大切ですが、ご自身の人生も大切にしていただきたい。

どうか勇気をもって、まずはご相談いただきたいと思います。

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