児童相談所の児童福祉司になるには、どうしたら良いんかな?児童福祉司の任用資格って何?
こういった思いの方へ。
- 児童福祉司になるには?【3ステップ】
- 児童福祉司任用資格の取り方【計9ルート】
- 地方公務員試験について
私は某自治体で働く社会福祉士・精神保健福祉士です。現場経験はおよそ13年です。いちばん長い職歴は、児童相談所の児童福祉司です。
児童福祉司になるには、次の3ステップです。
児童福祉司になる3ステップ
- 児童福祉司任用資格をとる
- 地方公務員試験試験に合格(都道府県等による任用)
- 児童相談所で児童福祉司として任命される
※①②は前後可能
具体的には、次の9ルートがあります。
出典:厚生労働省資料
これだけではわかりにくいですよね。解説していきます。
児童福祉司と児童福祉司任用資格のキホン
児童福祉司になるには、児童福祉司任用資格を取らないといけない
「児童福祉司になるには、児童福祉司資格を取れば良い」というイメージをよくもたれます。
ところが実際は違います。児童福祉司になるには、児童福祉司任用資格が必要です。
任用資格?児童福祉司の資格があるんじゃないの?
児童福祉司という資格は無いんだ。
任用資格は聞きなれない言葉だと思います。
「任用資格」を平たくいうと、「〇〇になるための資格」です。
任用資格という概念は、行政分野に多いですね。
例えば児童福祉司以外には、次のような任用資格があります。
- 児童指導員任用資格
- 社会教育主事任用資格
- 社会福祉主事任用資格
- 老人福祉指導主事任用資格
- 知的障害者福祉司任用資格
- 身体障害者福祉司任用資格
児童福祉司は役割・職務のこと(資格では無い)
児童福祉司は役割・職務のことです。資格ではないんですね。
そのため、児童福祉司になるには、
地方公務員試験に合格して、採用されて、
児童相談所の児童福祉司として配属されて、
初めて「私は児童福祉司です」と名乗れるのです。
したがって、退職したり、別の職務に異動したら、児童福祉司ではなくなります。
名刺にも書けなくなる。それが児童福祉司です。
ステップ1:児童福祉司任用資格の取り方【計9ルート】
児童福祉司になりたい!任用資格をゲットするで!
児童福祉司になる第一関門です。
次の9つのルートのいずれかを達成すれば、児童福祉司任用資格を得たことになります。
(根拠法:児童福祉法 第13条 第1項)
児童福祉司の任用資格
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 公認心理師
- 医師
- 都道府県知事の指定する児童福祉司若しくは児童福祉施設の職員を養成する学校その他の施設を卒業した者
- 都道府県知事の指定する講習会の課程を修了した者
- 学校教育法に基づく大学又は旧大学令に基づく大学において、心理学、教育学若しくは社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者(当該学科又は当該課程を修めて同法に基づく専門職大学の前期課程を修了した者を含む。)であつて、厚生労働省令で定める施設において一年以上相談援助業務(児童その他の者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行う業務をいう。第七号において同じ。)に従事したもの
- 社会福祉主事として二年以上相談援助業務に従事した者であつて、厚生労働大臣が定める講習会の課程を修了したもの
- 前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの
ちなみに、①~④の人が約5割。
⑦の人が約3割です。
出典:厚生労働省資料
①社会福祉士
社会福祉士資格を取ったら、あとは児童相談所に配属されたらOKです。シンプルなルートですね。
「社会福祉士って何?」という方は「【簡単に】社会福祉士とは?12視点で現役がまとめ解説」をご覧下さいね。カンタンにわかるように解説しています。
社会福祉士になるには、12のルートがあります。次の記事で学歴や社会人などの条件に合わせた最短コースを解説しています。
②精神保健福祉士
精神保健福祉士資格を取ったら、あとは児童相談所に配属されればOKです。
これもシンプルなルートですね。社会福祉士と要は同じです。
精神保健福祉士についても、このブログで解説しています。興味のある方は「【簡単に】精神保健福祉士とは?12視点で現役がまとめ解説」をご覧下さいね。
また、精神保健福祉士になる方法は次の記事で解説しています。あなたの学歴や社会人等の条件に合った最短ルートも説明しています。
③公認心理師
公認心理師は、心理職の国家資格です。根拠法は公認心理師法。
2018年に第1回試験があり、2022年で第5回目となりました。まだまだ出来たての資格です。
名称独占資格なので、公認心理士と名乗って良いのは有資格者だけです。
これは社会福祉士・精神保健福祉士も同じですね。
ご興味のある方は、放送大学の記事ですが『公認心理師の資格取得を目指す方へ』がわかりやすくてオススメです。
④医師
医師は児童福祉司になることができます。
例えば、精神科医の藤林武史さんは元児相所長ですね。
こちらの『「児相、何してるんや」と言われて 元所長が明かす虐待死ゼロの近道』という記事で、思いを話されている方です。(有料記事なので途中までしか読めませんが)
印象的だった一節は、「児相はサッカーチームで言うとゴールキーパーのポジション。みんな一緒にプレーしてるはずなのに、最後に点数を入れられるとキーパーが非難される」という部分。
児童福祉司のツラさが濃縮された話です。
⑤都道府県知事の指定する児童福祉司等養成校を卒業
養成校は次の2校です。
※このルートで目指す人は数%しかいません。
入学条件もあるので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。
参考:厚生労働省資料
- 国立障害者リハビリテーションセンター学院 児童指導員科 (埼玉県)
- 国立武蔵野学院附属児童自立支援専門員養成所 養成部 (埼玉県)
上智社会福祉専門学校 社会福祉専門課程 社会福祉士・児童指導員科※閉校
⑥都道府県知事指定の講習会を修了
この講習会は、誰でも受けられる講習会ではありません。
「都道府県知事指定の講習会」と指定されているのは、
(社福)全国社会福祉協議会 中央福祉学院の児童福祉司資格認定通信課程です。
受講できるのは、現に児童福祉に関わる業務をしている自治体職員だけです。
なんや、ボクは受けられへんのか。
他にもたくさんルートがあるから、見てみよう!
⑦大学で専修+1年以上の実務経験
このルートは次の2つが要件です。
要件2つ
- 大学で、心理学、教育学、社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業する
- 指定施設で、1年以上相談援助業務に従事する
大学一覧について、それぞれリンクを貼っておきます。ご興味のある学問からトライしてみてくださいね。
⑧社会福祉主事として2~3年以上の実務経験+指定講習会
社会福祉主事は、児童福祉司と同じく「その仕事について初めて名乗れる職名」です。
社会福祉主事になるには、社会福祉主事任用資格をとって、その職(福祉職の公務員など)につく必要があります。
そのため、このルートで児童福祉司になるには、例えば次のようなルートをたどることになります。
- 地方公務員福祉職として採用される
- 社会福祉主事として実務経験を2~3年以上積む
- 異動で児童相談所に配属される
- ⑥の指定講習会を受ける
- 児童福祉司になる
実務経験に加え、児童福祉司任用前講習会 (東京都23区の例)などの講習会過程を修了することが必要です。
⑨前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの
んん?漢字が多くてよくわからん・・・
ややこしいけど、厚生労働省が例示してくれてるよ。
厚生労働省は、次を例示しています。
上記の資格をもって、1~2年の相談援助業務に従事し、
「児童福祉司任用前講習会」などの講習会過程を修了することで、児童福祉司になれます。
ステップ2:地方公務員試験に合格
地方公務員試験はカンタンではない
任用資格があるだけでは、児童福祉司にはなれません。
次のステップは、自治体に採用されること。
公務員試験の合格は難関です。
わたしが合格した勉強法やおすすめ教材などを、『【合格者解説】福祉職の公務員試験|勉強法は?オススメ本&通信講座』にまとめました。
興味のあるかたは活用してみてくださいね。
児童福祉司の年齢制限
地方公務員上級の福祉職や児童福祉司採用試験の受験資格は、
30~40歳程というケースもあれば、59歳まで受けられるケースもあります。
例えば東京都では4種類の採用区分を設けていますし、それぞれ年齢制限が違います。(≫東京都福祉保健局HPはこちら)
地方公務員の求人を探すには?
ご希望の自治体の求人を調べて、応募することになります。
募集を探すなら、KoumuWin!がオススメです。
公務員求人がまとめられているので、「各自治体HPを1つずつチェックする」なんて非効率的な作業から解放されます。
≫公務員試験情報サイト【KoumuWIN!】 「地方公務員」「福祉職」の公務員試験日程一覧
ステップ3:児童相談所で児童福祉司として任命される
ここまで到着したら、あなたは児童福祉司です!
もしかしたら、初めは児童相談所以外に配属されるかもしれません。
けれど国策で、児童相談所は児童福祉司の人数を増やさないといけない状況。
児童相談所は敬遠されがちな職場なので、異動希望を出せば叶いやすいです。
加えて、児童福祉司の募集は全国的に行われていますが、
「求人に応募が来ない」と困っている自治体が多いです。
これは、児童福祉司になりたいあなたにとって、またとないチャンスです!
つまり、児童福祉司の募集は多いのに、なり手が少ないのです。
試験倍率が下がっているということです。要は売り手市場。
ただし、児童福祉司を増員させている情勢だから募集が多いわけで、
いつまでも売り手市場が続くとは限りません・・・。
ご関心があるなら、今のうちにチャレンジしておくのをオススメします!
まずは任用資格から取るで!
頑張ってくださいね!
今回はここまでです。それではまた!
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下記は児童福祉司についてのまとめ記事です。わたしの経験を踏まえつつ、仕事内容や年収・待遇などの記事をご紹介しています。
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