
児童福祉司って、未経験や30代~50代でも採用される?倍率が低いし、チャンスはあるかな?
このようなギモンのある方へ。
この記事が役立ちそうな方
- 児童福祉司になりたい
- 児童福祉司経験はないが、児童福祉司への転職を考えている
- 年齢 30代~50代
結論としては、未経験や30代~50代でも児童福祉司になれる可能性はあります。
ただし、年齢が上がるにつれて即戦力性を求められ、児童福祉司に直結しそうな経験を期待されると思います。
例えば、全くの福祉職未経験から、50代で児童福祉司になるのは、厳しいと思います。そうした方は見ません。
この記事の根拠は、私が児童福祉司として見聞きした範囲であり、偏った情報である可能性はあります。
それでも現場のリアルは感じてもらえると思いますので、転職して児童福祉司になった人や、40代や50代で採用されている人の属性などを私の知る限りお話してみます。

児童福祉司経験をもとに、現場のリアルをお伝えします。
児童福祉司になるには?【未経験や30代~50代から転職できる?】
児童福祉司は、福祉職としてはトップクラスの高年収です。
児童福祉司は地方公務員であり、比較的、好待遇といえます。
国は児童福祉司を増やすべく、目標人数を掲げており、各自治体は採用試験を年1回どころか、通年で随時募集しています。
年齢制限は無いようなもので、60歳未満まで広がっています。
今は、児童福祉司になる絶好のチャンスなのです。
では、児童福祉司経験がない、30代~50代の方が転職して児童福祉司になることは可能なのでしょうか?
私は採用を担当していないので推測の部分はありますが、採用されている人の傾向を分析してみます。
児童福祉司として採用されている人って、どんな人?
最近の児童福祉司には転職組が多い
私の体感ですが、近年の児童福祉司に多いのは転職組です。
昔から働いている人は転職歴のない人が多いですが、最近は転職組がとても多いです。
「あなたも、私も、あの人も転職組」、みたいな状況です。
そりゃあそうで、国は「児童福祉司を増やせ増やせ」と大号令で、自治体は採用人数の目標を掲げて必死なんですが
そもそも児童福祉司を希望する若手が少ないし、その素質・能力のある人はさらに少ない。
20代だけを採用すれば、組織の年代に偏りができてしまい、新たな問題が起きてしまいます。人を育てる余裕も、人材も足りない。
なので、30代~50代の経験者を幅広く採用しているのだと思います。
もちろん、新卒20代の方も中にはいますが、少数です。
新卒で配属されても、実際のところ、半数以上の方が数年以内に辞めてしまう印象です。主にメンタル面の不調を理由とされます。
私は「そりゃそうなるだろ!」と怒りを禁じえない。新卒の人を児童福祉司の第一線に置くなんて、人事は現場をわかっていないと思います。(実際、児童福祉司経験のない人が大きな人事を動かしている)
児童福祉司の現場ではスーパーバイザーが不足していて、人材育成の課題もあります。
なので、児童福祉司の経験者採用では即戦力性を求められやすい状況です。
ボリュームゾーンは30代~40代ぐらいかなあと感じます。
50代の方は、少ないですがおられます。他の自治体で児童福祉司経験があった人や、自治体で福祉職をしていた方ですね。
経験者採用の実際|児童福祉司になる前の経歴
では、転職前にはどの分野で働いていた人が多いのでしょうか?
児童福祉(母子施設など)で働いていた人も中にはいますが、障害福祉など、他の分野の方が多い印象です。私もそうでした。
児童福祉司経験者は、一人ぐらいしか知りません。
経験者で採用されている人の前歴を聞くと、次のような方がおられました。
- 看護師
- 児童指導員
- 障害福祉系の地域法人
- 他の自治体で福祉職、事務職
他には、児童相談所で会計年度任用職員として働いていた40代の方が、児童福祉司試験を受けて採用されるということが結構あります。
傾向として、年齢が上がるにつれて、即戦力性の高そうな人が採用されていると思います。
自治体によって欲しい年齢層がありそう
補足ですが、児童福祉司の採用では、その自治体が欲しい年齢層(その自治体で人が少ない年齢層)があると思います。
例えば、過去の首長が施策として公務員定数を削った時期があって、その年代の職員が少なくなってしまっている、とか。
そうした歪みは、組織の脆弱性、将来の管理職不足へとつながります。そこで、経験者を採用して補填しようとするのです。
就職氷河期の世代にターゲットを絞って採用枠をつくり、試験を行う自治体もあります。
なので、その自治体から求められている年代であれば、年齢が高くても有利に働くことはあると思います。
児童相談所の会計年度任用職員として働きながら、経験者採用試験を受ける道も一考
じつは、児童福祉司になるには「はじめまして」で採用試験を受ける以外のルートがあります。
それは、まずは児童相談所の会計年度任用職員として働き、「お疲れ様です」の関係になってから児童福祉司の採用試験を受けるルートです。
会計年度任用職員というのは、1年度(4月1日~翌年3月31日)で勤務する一般職の地方公務員で、年度ごとに更新があります。
実際の採用条件ですが、例えばこちらは東京都のリンクです。
会計年度任用職員は、正職員よりも敷居が低く、よりいっそう採用されやすいです。
男性もいますが、30代~50代の女性が多いと思います。残業がない(限られている)ことが多く、仕事と家庭を両立しやすいんですね。
この会計年度任用職員として働いている人が、正職員の採用試験を受けて合格しているケースが結構あります。
例えば、子どもが一定の年齢に育ったので、正職員として働いても家庭と両立できる目途がたった方とか。
こうした会計年度任用職員は、すでに児相の業務をこなしているし、正職員として働けるイメージを採用側ももちやすいでしょう。
ぶっちゃけ、真っ当に働けていて、人間関係で問題になることもなければ、合格は内々で決まったようなもので採用されている印象です。
そもそも、採用試験だけではどんな働きをする人かわからないのですよね。
それは、児童相談所で、数々の人を見てきたプロにしてもやはりわからない。採用はバクチという意見も聞きます。
そうした意味で、いちど一緒に働けばバクチ度が格段に減るので、会計年度任用職員は試験で有利なのだと思います。
ただしデメリットは、会計年度任用職員は非正規の立場であり、給与は20万前後だったりします。
報酬額
月額201,600円(改定される場合があり)
通勤手当相当額を別途支給(上限55,000円/月)
※ 一定の要件を満たす場合、期末手当、勤勉手当を支給
≫参考:令和7年度 児童相談所支援事務職員(会計年度任用職員)採用選考実施要項
これを許容できる経済状況の方は、検討の価値があるでしょう。
最後に 児童福祉司をめざす方へメッセージ
児童福祉司を目指す方を激励する意味で、お伝えしておきたいことがあります。
あくまで全体を見た場合の話ですが、現代はかつてないほど子どもの権利が守られていると思います。
児童虐待が注目され、子どもの置かれている環境は、戦前戦後などよりもずっと良くなっていると思います。
歴史をさかのぼれば乳幼児が亡くなるのはよくあること、仕方ないので子どもをたくさん産むという時代もありましたが、
今では、子どもは生きて大人になれるのが当たり前の時代となりました。
だからこそ、このような時代でもまだ不適切な養育で亡くなってしまう子どもがいることは、大きな問題です。
体罰は法律で禁止されました。
クレヨンしんちゃんでは、みさえがしんのすけをグリグリするのがお決まりのオチで、私も楽しんで見ていましたが、いまの児童福祉司の立場からすると身体的虐待と言わざるを得なくなりました。
親がするのはもちろんのこと、
昔は学校の先生が体罰を加えるのはよくあることでしたが、今それをすれば暴行となります。学校教育法でも禁じられました。
世の中の、子どもの権利に対する意識は、間違いなく高まっていると思います。
しかし、まだまだ過渡期なので、児童福祉司は大忙しですし、抵抗も受けます。
入職してから「イメージと違った」と感じる方がいます。
児童福祉司が頑張っても、思うような支援成果をあげるのは不可能に近いことがあります。空回りします。
話を傾聴したり、当人たちの意思決定をもとにすすめるかかわり方では、どうにもならないことが多い。
対応しやすいケースは、地域の支援機関ですでに対応されているのです。
地域の支援機関が支援してみたけど
「もうどうにもならん!児相が何とかしてほしい!」とお手上げになったのが、児童相談所で対応するケースという感じです。
カンタンには変容は望めません。あきらめざるを得ないこともあります。だから、支援者は燃え尽きやすくなります。
「みんなが納得」「みんなが笑顔」の対応は稀で、誰かしらが不満顔を浮かべていることが多い。
内外から「子どもの心配」をもとに、自らの対応を問われ、説明を求められることがあります。担当者ケースワーカーの責任は、とても重いです。
だから、児童福祉司はメンタルのタフさ、自己管理力は、高く保つ必要があります。そうでない方には、児童福祉司は決してお勧めできない職種です。
おすすめの対処法は、こちらの記事にまとめてあります。私自身は本質的には豆腐のメンタルだと自覚しているゆえに、対処を徹底していたり、生活習慣には人一倍、気をつけています。
児童福祉司には、相手が求めていなくても、拒んでいても、児童相談所の職務を毅然と行う、意見する、説明する、そうした役割があります。
相手にニーズはないが、こちらにはニーズがある、そんな状態です。
利用契約にもとづく民間の支援との大きな違いがここにあり、一般的な社会福祉現場とは違った素質や能力を求められるポイントであります。
脅したいのではなく、現実を知り、覚悟をもってもらいたいのです。
児童福祉司のコンピテンシーモデルより、私の好きな導入文を引用します。
虐待のある子どもや家族に向き合うことは、批評的に調査し診断をするのではない。
また、こちらが安全な場所にいて、問題を抽象的に告発するものでもない。
時には自己の全存在そのものをかけて、子ども、保護者と向き合う。
虐待対応が社会的使命である児童福祉司は、社会や関係機関からだけでなく子ども、保護者からもその存在を鋭く問われ続けている。
児童福祉司の業務は、消防士、警察官と同じように人命を守る「使命感」「勇気」が必要である。
また、様々な「ケースワーク」「援助」の中で、虐待対応においては、高い職業倫理観・真筆な態度が求められること、生き方そのものが問われ続けることを、強く認識せざるを得ない。
その専門性の真髄は、子どもや保護者自身が人間としての誇りを失わないこと、そして「人を信じる」「子どもや家族を大切にする」という人として当たり前の、本来の姿と強さに着目し、引き出すことである。
「我こそは」と思う方、ぜひ児童福祉司をめざしていただきたいです。頑張ってください!
児童福祉司になるには、計9つのルートがあります。「自分には受験資格がない」とあきらめることなかれ。いちどチェックしてみてくださいね。
児童福祉司になるには、地方公務員の採用試験をうける必要があります。試験対策については、こちらの記事で解説してあります。児童福祉司は、ぶっちゃけ事務が苦手な人は多い。なので、筆記試験よりも人物評価がとても重視されていると思います。
当サイトではリアルな現場模様やなり方など、幅広く記事にしてあります。こちらのリンクから各記事へ飛べますので、ご参考ください。
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