
ケース会議の進め方って、どうしたらいいの?
ソーシャルワーカーに避けて通れないのが ケース会議の司会 です。
名前は「ケース会議」「ケースカンファレンス」「個別検討会」「関係者会議」などいろいろな呼び方があります。
結局やっていることは同じで、ケースに関わる関係者で現状や方針を話し合う場です。
ただ、この「司会」を任された瞬間、妙に肩に力が入る人は少なくないはずです。
私も正直、今でも得意とは言えませんし、好きでもありません。
けれど、現場で繰り返しやってきた中で気づいたのは、ケース会議の進め方は“技術半分・心構え半分”で成り立っているということでした。
この記事では、マニュアル的な会議術ではなく、「現場でほんとうに役立つ考え方と進め方」を等身大でまとめました。
ケース会議の進め方を考える前に、“誰を呼ぶか”で勝負が決まる
ぶっちゃけたところ、ケース会議の進め方をどうこう言う以前に、「どの機関の、誰を呼ぶか」が超重要 です。
全員を呼べばいいわけではありません。関係のある人に限る。
不必要な人は、失礼ながら呼ばない。
人数がやたらと増えると議論は散らかり、ノイズが増え、緊張感ばかりが高まります。
むしろ、少人数のほうが話が深まりやすい ケースは珍しくありません。
だからこそ、「本当にその人を呼ぶ必要があるか?」と問いかけることが大切です。
ただし、呼ばないという判断には責任も伴います。
「なぜ私は呼ばれなかったのか?」と後から問われるような関係性であれば、呼んだ方が良いかもしれませんし、呼ばないなら説明できる理屈が必要になります。
つまり、ケース会議は当日が始まる前からすでに始まっている のです。
誰を呼ぶかで、議論の方向性も、成功・不成功も、相当に左右されます。
これは私自身、痛感してきた現実です。
結論:会議進行は、技術より“心の置き方”が物を言う

ケース会議の司会は「空気を読む力」や「場を整える力」が求められる場面が多く、いわばセンスが問われる役割です。
とはいえ、完璧にやれる必要はありません。(そんなことできません)
押さえるべきはこの2つだけです。
- 次第をきちんと作って沿って進めること
- できるだけ全員に発言してもらうこと
この2つが担保されるだけで、会議は大きくは崩れません。
逆に、司会が“うまく見せよう”とすると、たいてい空回りします。
ケースに集中するほうがうまくいく。
これは私の経験則です。
司会という役割の特徴:権限が大きく、結論の方向性を左右できる
司会は結論の方向性を左右できてしまう
会議の進行次第で、結論をどこに落とすかをコントロールできてしまいます。
たとえば「時間がないので、今日はここまでにしましょう」と言えば、多少強引でも議論を区切ることができます。
また、議題そのものを操作することもできます。
「〇〇という意見が出たので、今日はその点について話しましょう」といった形で、議題の枠を設定できてしまう。
このように、会議の方向性や結論の流れを思った以上にコントロールできる立場にある
──それが司会です。
参加者の特性に大きく影響される
話が極端に長い人、語り出すと止まらない人、時間を気にしない人
――現場ではよく出会いますよね。
司会の頭を悩ませる存在ですが、だからこそ 事前に出席者の傾向を把握しておく ことが役立ちます。
支援の見立てと同じで、参加者の特性を知って挑むと、余計なしんどさが減ります。
体験談:私もケース会議は得意ではないし、好きでもない

「司会+メモ取り」の同時進行は正直しんどい
司会をしながら記録を取るのは、マルチタスク作業です。
注意を切り替え続ける必要があり、私は今でも苦手です。
司会をするうえでは、参加者の顔の向きや動き、話そうとしている気配など、ノンバーバルの情報を広く見渡すことが欠かせません。
しかし、記録に目を落としている時間が長くなると、どうしても視界が狭まり、必要な変化を見落としやすくなります。
司会は司会に集中できたほうがいい。
だから可能なときは、
- 別の出席者に記録をお願いする
- 録音や文字起こしアプリを使う
という方法をよく使います。
無理に「司会+メモ取り」をやろうとすると、司会が崩れるという身も蓋もない現実があります。
長い会議がいい結論を生むわけではない
1時間半を超える会議は、たいてい煮詰まっています。
堂々巡りの議論、答えの出ないテーマにこだわり続ける構造、まるで面接の延長戦のような空気感。
時間を区切ることは、司会が自分を守る意味でも、会議の質を上げる意味でも重要です。
今日からできる「崩れないケース会議」の進め方 コツ4つ

次第を作る(これが命綱)
会議時間を明確にし、議題を順番に整理しておくだけで、進行の迷いが半減します。
時間を最初に共有することが、区切りの根拠になる。
「時間が迫っているので次に移ります」と言いやすくなり、会議がダラつきにくくなります。
全員に発言してもらう
話す人が偏ると、会議の方向性まで偏ってしまいます。
まだ発言していない人にサッと振るだけで、議論の質が一気に変わることがあります。
膠着していた話し合いの風向きが変わったり、
「もうそれ以上深掘りしなくていいだろう」という話題が、自然と切り替わることもあります。
ただし、あえて振らないほうがいい場面(人)も存在します。
そこは参加者の様子やその場の雰囲気を読みながら判断する必要があります。
“うまく見せよう”としない
これは私の失敗パターンですが、
「司会が上手だと思われたい」
「変に思われたくない」
こうした意識を持てば持つほど、逆にうまくいきません。
ケースに集中するほうが、結果的にうまくいきます。
いや、気持ちはよくわかります。
例えば上司や部下と一緒にケース会議へ行くと、その目線をどうしても意識してしまう。
他機関への体裁が気になることもある。
司会経験が少なければ、「初めての司会だと思われたくない」と妙に気負ってしまうこともあるでしょう。
でも、自分に意識が向くほど緊張し、本来の力が発揮できなくなります。
だからこそ、意識は常に ケースそのもの に向ける。
そうすると、妙な緊張がすっと解けていき、
「ケースにとって何が善いか」を軸に議論を回しやすくなります。
これは司会をするうえで、本当に大切なポイントだと思っています。
手法は「使える場面だけ」でいい
ケース会議には、さまざまな進行手法があります。
たとえば、文部科学省のホームページでは、次のような時間配分と手順が紹介されています。
① 挨拶・自己紹介(5 分)
② 今困っていること、できるようになると本人が困らなくなることを、各自が付箋に書き出す(5 分)
③ 付箋を机あるいはホワイトボードに一人ずつ貼っていき、近いものを組み合わせる(5 分)
④ それらの中で、家庭、学校それぞれの場における優先事項を決めていく(5 分)
⑤ 優先順位の高いもの3 つについて、1 年後に目指す状態像(長期目標)を決める(10 分)
⑥ その目標に対して、今すでに取り組んでいる手立てや支援をそれぞれ付箋に書き出して貼る(5 分)
⑦ さらに、今後できそうな手立てを書き出して貼る(10 分)
以上で45分。15分ほど余裕を見ておくとよい、という内容です。
引用元:文部科学省HP
ホワイトボードを使った整理手法もありますが、「誰が板書をするのか」という問題が出てきます。
また、多機関が参加するケース会議では、手法を導入する際に合意形成が必要です。
独断で新しい方法を使うと、「何か妙なやり方が始まった」と受け取られるでしょう。
内部会議であればトップダウンで浸透させられても、多機関が参加する場では文化も風土も異なるため、一般的に受け入れられる方法に寄せざるを得ません。
ケース会議は、参加者も機関も会議ごとに違う。
それぞれが異なる背景を持ち寄る場だからこそ、共通して使える最低限の手法で進めるのが現実的です。
つまり、まずは 次第をつくることが最低限の土台 です。
そのうえで、主催機関がホワイトボードで論点を簡潔にまとめるのは一つの方法です。
話の流れや論点の共有に役立ちます。
ただし、
- 参加者全員が見える位置で書かなければ意味がない
- 人数が多いと見えづらく、効果より負担が勝つ
- 司会が板書まで同時に行うのはマルチタスクで破綻しやすい
という現実的な課題もあります。
結局のところ、手法より「その場に合っているか」が大事 です。
場に合わない凝った手法は、かえって会議を混乱させると思います。

まとめ
ケース会議の進め方で大事なのは、華麗なスキルではありません。
そもそも「誰を呼ぶか」という準備段階から、会議はすでに始まっています。
そのうえで押さえるべきは次のポイントです。
- 次第を作る
- 時間を共有する
- 発言をまわす
- 適宜要約して次へ進める・終わる
- 自分を良く見せようとせず、ケースに集中する
これだけで司会の役割は十分果たせます。
完璧さは求められていません。
むしろ過度な完璧主義のほうが、会議全体の流れをぎこちなくします。
会議が終わったあと、「これでよかったのだろうか?」と不安になることもあるでしょう。
誰からも特にフィードバックがないまま終わる――司会とは、そういう立場でもあります。
その感情は自然なものです。
よく考えてみれば、自分が参加者の立場でも、司会者に「今日の司会は〇〇だった」なんてレビューしませんよね。
せいぜい出てくる言葉は 「お疲れ様でした」 くらいです。
司会には、その人の個性が必ず出ます。
ユーモアを入れるかどうか、どう要約するか、どのタイミングで話を切るか、どこへ舵を切るか――。
おおよその鉄則さえ押さえていれば、あとはそれぞれの人が、自分のやり方を磨いていくフィールドだと感じています。
私自身も、まだまだ発展途上です。
もっと上手い人たちから学びながら、現場で役立つ知恵を、これからも言語化していきたいと思っています。


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