
障害支援区分認定調査員って何するんやろ?なるにはどうしたら良いんかな?
こうしたギモンのある方へ。
- 障害支援区分認定調査員とは?
- 障害支援区分認定調査員になるには
- 「相談支援専門員」と「障害支援区分認定調査員研修」について
- 障害支援区分認定調査1件の委託料はMAX6,800というハナシ

わたしは元障害支援区分認定調査員です。社会福祉士・精神保健福祉士で、現場経験は10年超です。
障害支援区分認定調査員とは、「障害支援区分認定調査を行って調査票をまとめる専門家」です。
認定調査員になるには、2ステップです。
≫根拠法:障害者総合支援法第20条第2項
認定調査員になるには?
- 相談支援専門員等になる
- 都道府県が主催する「障害支援区分認定調査員研修」を修了する
元調査員経験をふまえてシンプルに解説します。
【簡単】障害支援区分認定調査員とは?なるには?【元調査員が解説】
「障害支援区分認定調査」は、障害福祉サービスを使うには必ず受けないといけないものです。
この調査をするのが、障害支援区分認定調査員です。詳しくはこちらの「障害支援区分認定調査とは?【元調査員がカンタンに解説】」でわかります。
障害支援区分認定調査員とは
障害支援区分認定調査をして、調査票をまとめる専門家
障害支援区分認定調査員は、「障害支援区分認定調査をして調査票をまとめる専門家」です。
調査票はどんな書式になっているか、イメージできるように一部ぬき出してみます。
この調査票は障害支援区分を決める重要資料です。
障害支援区分認定調査員の調査票は影響力大
≫出典:厚生労働省 障害者総合支援法における「障害支援区分」の概要(赤枠は私が入れました)
認定調査員のまとめた調査票の影響力は大きいです。「主治医の意見書」とセットになって区分の一次判定にかけられます。
認定調査を委託された事業者は、調査票をまとめた後でExcelなどの自動シミュレーションにかけて、区分を予測していたりします。
ネット上でもシミュレーションできるWEBページがありますね。こちらからできます。
≫JJけあサービス 障害支援区分シミュレーション
私もそのようなシミュレーションにかけていたのですが、結果予測と最終的な認定区分が同じ、ということが多かったのです。
もちろん、主治医の意見書も検討されるし、最終的な区分決定は、二次判定(市町村審査会)で行われます。調査票だけは決まりません。
でも実際には「調査票の予測区分=最終的な区分」ということが多かったので、調査票は区分決定に大きな影響力をもっているといえます。
障害支援区分認定調査員になるには?【条件2つ】
障害支援区分認定調査員になるには、2つの条件があります。
≫根拠法:障害者総合支援法第20条第2項
障害支援区分認定調査員になる条件
- 市町村 or 「指定一般相談支援事業者」の相談支援専門員等であること
- 都道府県が行う「障害支援区分認定調査員研修」を修了している

相談支援専門員?都道府県の研修?

1つずつ説明しましょう。
市町村 or 指定一般相談支援事業者の「相談支援専門員」になるには?
相談支援専門員になるには、条件が2つあります。
相談支援専門員になる要件
- 実務要件(3~10年)
- 相談支援従事者初任者研修の修了
「実務要件」については、次の表でチェックできます。
ごめんなさい。字が小さいですよね・・・。
詳しく知りたい人は、ジョブメドレーのサイトもわかりやすいので参考にしてみてくださいね。
≫【2023年最新】相談支援専門員とは? 初任者・現任者研修、必要な実務経験について解説!
「障害支援区分認定調査員研修」について
都道府県による「障害支援区分認定調査員研修」受けられるのは、障害支援区分認定調査員の候補者だけです。
残念ながら、誰でも受けられるわけじゃないんですね・・・。
詳しくは各都道府県のホームページ等で告知されますが、受講要件が決まっています。
例えば次のように告知されていますね。
受講者は、市町村が選定し道に申し込みをします。
引用元:北海道HP 障害支援区分認定調査員研修について
本研修の対象者は、市町村等(※)から委託を受けて認定調査に従事する予定の方が対象になりますので、受講申し込みは、各市町村等において行っています。
引用元:愛知県HP 認定調査員研修等について
障害支援区分認定調査は市町村から委託をうけて実施することになるので、研修を受ける人選も市町村がすることになっているんですね。
指定一般相談支援事業者は、市町村と委託契約をする必要がある
市町村職員ではない人が障害支援区分認定調査員になるには、事業者として各市町村と委託契約をかわす必要があります。
ただし、国の考え方は「原則、障害支援区分認定調査は市町村職員が行ってください」というものです。
「どうしても市町村職員ができないなら、信頼できる事業者に任せましょう。」ということですね。
認定調査は、支給決定の基本となる重要な業務であり、その実施に当たっては、専門性に加え、中立性・公平性の確保が重要であり、安易に外部に委託することなく、まずは市町村職員による実施、あるいは認定調査の能力があると認められる者を嘱託職員として活用する等による実施を検討することが適当である。
障害支援区分認定調査1件の委託料 = 最大6,800円
では、障害支援区分認定調査1件の委託料はいくらかというと、国基準では1件あたりの上限は6,800円とされています。
≫参考:厚生労働省HP 域生活支援事業の実施について

6,800円ってどうなん?高い?安い?
認定調査の委託料6,800円は、ハッキリいって安いです!
例えば、調査面談から調査票提出までにかかる時間を測ってみましょう。
行程 | 所要時間 |
アポ取り | 5分 |
家庭訪問(往路) | 30分 |
調査面談 | 1時間 |
家庭訪問(帰路) | 30分 |
調査票作成 | 3時間 |
合計 | 5時間5分 |
あくまでサンプルですが、約5時間はかかります。
6,800円を5時間で割れば、時給を計算できますね。
1時間1360円ほどの稼ぎです。シミュレーションしてみましょう。
- 6,800円 ÷ 5時間 = 1,360円(時給)
どうですか?1,360円って、十分でしょうか。
事業者はこの6,800円から、人件費や移動費用などの経費を差し引くことになります。
当然ですが、人件費は1時間あたり1,360円未満じゃないと赤字です。運営が成り立たなくなりますね。
もっというと、委託料6,800円ならまだ良いほうで、3,000円の市町村もあるんです。
実際、ネット上で検索すれば、委託費3000円の契約書がヒットします。
例えば愛知県日進市の委託契約書の第4条を見てみると、委託料は3,000円とされていますね。
≫参考:日進市 障害支援区分認定調査等業務委託契約書(案)
障害支援区分認定調査は営利目的の業務ではありませんが、あまりにも安いです。
福祉の仕事をしている人の善意が食い物にされていると感じます。

障害支援区分認定調査員の待遇が改善されると良いなぁ・・・
障害支援区分・障害福祉サービスの理解を深めるには
現行の障害支援区分・福祉制度・障害福祉サービスをよくわかるには、障害者総合支援法の理解がマストです。根拠法となっているからですね。
下記は図解があってわかりやすいので、解説本をまだもっていない方は持っておいて損はしないでしょう。
障害支援区分についての理解を深めるには、下記の記事もお役に立つでしょう。
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