障害支援区分認定調査員について教えて!
元調査員がシンプルに答えましょう!
- 障害支援区分認定調査員って何者?
- 障害支援区分認定調査員になるには?
こうしたギモンのある方へ向けた記事です。
- 障害支援区分認定調査員とは
- 障害支援区分認定調査員になる条件2つ
- ①相談支援専門員等②障害支援区分認定調査員研修について
- 障害支援区分認定調査1件の委託報酬は何円か?
私は社会福祉士・精神保健福祉士として働いています。現場で10年超の経験です。元障害支援区分認定調査員です。
障害支援区分認定調査員とは、障害支援区分認定調査を行って調査票をまとめる専門家です。
その認定調査員になるには、2つの条件があります。
認定調査員になるには?
- 相談支援専門員等になる
- 都道府県主催の障害支援区分認定調査員研修を修了する
元調査員経験をふまえてシンプルに解説します。
障害支援区分認定調査員とは?【元調査員が簡単に解説】
「そもそも障害支援区分認定調査って何?」という方は、詳しくはこちらの「障害支援区分認定調査とは?【元調査員がカンタンに解説】」をご覧ください。
障害福祉サービスを使うには、必ず受けないといけない調査です。
障害支援区分認定調査をして、調査票をまとめる専門家
障害支援区分認定調査員は、障害支援区分認定調査をして調査票をまとめる専門家です。
調査票は障害支援区分を決める重要資料なので、調査員の責任は大きいです。
調査票の仮判定が、そのまま実際の区分に認定されることもある
厚生労働省 障害者総合支援法における「障害支援区分」の概要から出典(赤枠は私が入れました)
認定調査員のまとめた調査票の影響力は大きいです。
認定調査を委託された事業者は、認定調査をして調査票をまとめた後、Excelとかのシミュレーションにかけて、区分が何になるか予測していたりします。
私の経験上、そうして調べた区分予測と最終的な認定区分は同じ、ということが多かったです。
もちろん、最終的な区分決定は、二次判定(市町村審査会)で行われますし、主治医の意見書も検討されるので、調査票だけが判断基準ではありません。
けれども実際に、「調査結果予測区分=最終的な区分」ということが多かったので、
認定調査員のまとめた調査票は区分決定のための重要資料と言えます。
参考:障害者総合支援法における障害支援区分 認定調査員マニュアル
障害支援区分認定調査員になるには?条件2つ
障害支援区分認定調査員になるには、2つ条件があります。
障害支援区分認定調査員になる条件
- 市町村or指定一般相談支援事業者の相談支援専門員等である
- 都道府県が行う「障害支援区分認定調査員研修」を修了している
相談支援専門員?
研修?
1つずつ説明しましょう。
相談支援専門員になるには?
相談支援専門員になるには、以下の2つが条件です。
相談支援専門員になる要件
- 実務要件(3~10年)
- 相談支援従事者(初任者)研修の修了
相談支援専門員になる方法は、ジョブメドレーの下記サイトがわかりやすいので参考にしてみてください。
≫【2022年最新】相談支援専門員とは? 初任者・現任者研修、必要な実務経験について解説!
障害支援区分認定調査員研修について
都道府県が行う「障害支援区分認定調査員研修」は誰でも受けられる研修ではありません。
詳しくは各都道府県ホームページ等で告知されますが、
受講できる人は、以下のように限定される傾向です。
- 各市町村職員 かつ 今年度認定調査員に従事する方
- 指定相談支援事業所等の職員 かつ 今年度認定調査員に従事する方
つまり研修を受けられるのは、障害支援区分認定調査員の候補者だけです。
例えば私の時は、市町村から推薦してもらって受講していました。市町村から認定調査の委託をうけて実施するからですね。
指定一般相談支援事業者は、市町村と委託契約する必要あり
市町村職員では無い人が障害支援区分認定調査員になるには、事業者として各市町村と委託契約をかわす必要があります。
ただし、国の考え方は「原則、障害支援区分認定調査は市町村職員が行ってください」というものです。
そのうえで、「どうしても市町村職員ができないなら、信頼できる事業者に任せましょう。」ということですね。
認定調査は、支給決定の基本となる重要な業務であり、その実施に当たっては、専門性に加え、中立性・公平性の確保が重要であり、安易に外部に委託することなく、まずは市町村職員による実施、あるいは認定調査の能力があると認められる者を嘱託職員として活用する等による実施を検討することが適当である。
引用元:認定調査の委託の考え方
障害支援区分認定調査1件の委託報酬はいくら?
国の基準では1件6800円が上限とされています。(参考:地域生活支援事業の実施について)
ハッキリ言って、安いです!
仮に、調査面談から調査票提出までに5時間かかるとすれば、1時間1360円ほどの稼ぎです。シミュレーションしてみましょう。
調査面談(1時間) + 移動時間(1時間) + 調査票作成(3時間) = 約5時間
⇩
6800円 ÷ 5時間 = 1360円/1時間
事業者は、この6800円から人件費や移動費用などの経費を差し引いていくことになります。
残った利益はいくらなのか。さしたる額にもならないとわかってもらえるのではないでしょうか。
さらに言うと、6800円はあくまで上限です。6800円未満のことも多いです。
ネット上で検索すれば、委託費3000円の契約書がいくつかヒットします。
例えば、愛知県日進市の委託契約書(案)はこちらです。3000円と書かれています。(参考PDF:日進市 障害支援区分認定調査等業務委託契約書(案))
障害支援区分認定調査は営利目的の業務ではありませんが、あまりにも安い。
福祉の仕事をしている方々の善意が食い物にされてはいないかと、危機感を抱かざるをえませんね。
なお、障害支援区分や福祉制度、障害福祉サービスをよく知るには、障害者総合支援法の理解がマストです。
こちらの本は図解があってわかりやすいので、解説本をまだもっていない方にオススメしておきます。私も持っていますし、今回の参考図書でもあります。
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