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福祉職の思考・スキル

「事例検討は本当に意味があるのか」――ソーシャルワーカーが感じた“現場の本音”

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ソーシャルワーカーの現場で「事例検討」という言葉を聞くと、
正直ちょっと胃が重くなる人も多いのではないでしょうか。

私自身も、社会福祉士・精神保健福祉士としてこれまで何度か事例検討をしてきました。
しかし、そのたびに感じるのは「怖さ」と「しんどさ」です。

批判されるのではないかという不安、
自分の対応を問われるプレッシャー、
膨大な資料づくりの負担。

事例検討には確かに得られるものがありました。
しかし――「またやりたいとは思えない」のが本音です。

この記事では、私の実体験をもとに、事例検討の心理的負荷と効果、そのリアルな本音をお伝えします。

筆者:ぱーぱす(社会福祉士・精神保健福祉士)
自治体で働くソーシャルワーカー。児童相談所などで十数年の実務経験あり。
このブログでは、福祉を学ぶ人・働く人が明日から使える視点を持ち帰れるよう、現場の知見や考察をもとに発信しています。
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そもそも事例検討とは何か

社会福祉士や精神保健福祉士などの現場では、特定のケースを題材にして意見交換を行う「事例検討」が行われます。
それは現場の担当者だけでなく、法人内外の他部署や他機関と協働して行われることもあります。

多くの場合、事例提供者(ケースの担当者)が情報を共有し、参加者が意見や質問を出し合うという形で進みます。

当事者への了解を得て行うこともありますが、いずれにせよ、現場の職員にとっては緊張を伴う場面です。

私が感じた「事例検討のしんどさ」

私自身、何度か事例検討を経験してきました。
正直なところ、“やりたくてやる”というより、業務命令としてやってきたという方が近いです。

そして、そのたびに感じていたのは次のような感情です。

  • 批判されるのが怖い
  • 意見に答え続けるプレッシャー
  • 資料作成の負担
  • 終わったあとに残る、どこか苦い後味

心理的安全性のルール(批判しない・否定しないなど)が定められていることもありますが、実際には守られない場もある
そのとき、提供者の心はどんどん追い詰められていきます。

質問や意見が悪意ではなくても、矢のように自分に飛んでくる感覚。
答えられない質問もある。
その時間は、正直とても重く感じられます。

事例検討を「やって良かった」とは言い切れない理由

終わったあと、「良かった部分もあるけど、しんどかった」という感想が多いのが事例検討の現実です。

理由は大きく3つあります。

  • 自分のケース対応の不出来が露呈しそうで怖い
  • 批判意見がつらい
  • かけた労力に見合う効果が得られないことがある

準備にかかる時間や精神的エネルギーは相当なもの。
それでも、当日の意見が役立つかは保証されない
忙しい現場では、これがさらに重くのしかかります。

それでも得られる「事例検討4つのメリット」

しんどさの裏には、確かに得られるものもあります。
私が感じた主なメリットは4つです。

 新しい視点が得られる

現場のラインでは行き詰まっていたケースも、外部の視点からの意見で打開策が見えることがあります。

まとめる過程で自分で整理できる

実は、一番の効果はここだと感じています。
事例をまとめ、課題や自分の見立て、困っている点を言語化していくプロセス。
その過程で、すでに答えが見え始めることもあります。

言い換えれば、事例検討の6~7割の効果は、当日ではなく“準備段階”にあるのです。

意見交換に慣れる

事例検討を何度か経験することで、議論の場に慣れ、自分の考えを言葉にする力が磨かれます。

クライエントに還元できる

得られた学びを現場に戻し、支援の質を高めることができる

もちろん、良い方向に必ず進むとは限りません。
むしろ意見の違いが現場を混乱させることもあります。
それでも、「自分の支援を見直す機会」になることは確かです。

事例検討のデメリット・リスクも知っておく

一方で、事例検討にはリスクもあります。

事例検討のリスク

  1. 他者の意見で現場の方針が揺らぐ
  2. 上司や同僚との関係がぎくしゃくする
  3. 「正論」が現場を余計に苦しくする

正しい意見が、必ずしも現場にとって“良い結果”をもたらすとは限りません。
「正しさ」と「現実」は、いつもは一致しない。
これは、ソーシャルワーカーの現場なら誰もが感じることではないでしょうか。

良い事例検討のために必要なこと

大切なのは枠組みとルールです。

  • 批判しない
  • 意見を聞く姿勢を持つ
  • 個人攻撃をしない
  • 提供者をねぎらう・励ます

これらを徹底できるかどうかが、その場の質を左右すると思います。
しかし、実際にはルールを守れない人もいる
提供者の受け取り方の課題もある。
だからこそ、スーパーバイザーの力量が問われます

ただ、スーパーバイザーも人間です。
すべての人が理想的な助言者ではありません。
現場では、その“差”も痛感します。

それでも「誰かのために語る」

私はこれまで、事例提供をして「やって良かった」「またやりたい」と言う人を、正直ほとんど見たことがありません。
それだけ、人の心を削る作業だからでしょう。

それでも、誰かがその場に立ち、語ってくれるからこそ学びが生まれる。
だからこそ、提供者への敬意とねぎらいは忘れてはならないと思います。

人が人に助言をする、育てる、育成することの難しさ

人が人に助言をするというのは、実はとても難しい技術です。
傷つきに配慮しながらも核心を突く。
相手を守りながらも気づきを促す。
――この両立をどうすれば実現できるのでしょうか。

まったく傷つきが起きなければ、心には何も引っかからず、学びも起きにくい。
けれど、ショックを与えすぎれば、ただの「傷つき」で終わってしまう。
それは不幸なことです。

さらに今は、パワハラ・モラハラなどの言葉が広く使われる時代です。
助言や指導のつもりが、相手から「ハラスメント」と捉えられる可能性もある。
育成とは、それほど繊細で、難しい行為です。

私は、「傷つけない育成」のあり方を模索しています。

まとめ

事例検討は、多くのソーシャルワーカーにとって避けて通れない学びの機会です。
しかし、それは同時に「怖い」「苦しい」時間でもあります。

だからこそ、互いに配慮し合い、励まし合いながら学んでいくことが大切です。

今日も、どこかで誰かが事例検討をしているはず。
あるいは、準備の真っ最中かもしれません。

本当にお疲れさまです。
事例検討は、あなた一人のためだけでなく、参加者全員の学びにもなるものです。
もし「自分はあまり得るものがなかった」と感じても、あなたが語った言葉や姿勢が、きっと誰かの糧になります。

だからこそ、あなたのつらさや心の重さにも意味がある。
未来につながるのです。

どうか、矢面に立った自分を責めずに、少しだけ誇りに思ってほしい。
――本当に、お疲れさまです。

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この記事を書いた人
ぱーぱす

自治体で働く社会福祉士・精神保健福祉士|現場経験15年、地域・医療・行政の3つの立場を経験。ブログ歴6年、記事約370本。福祉職のキャリアや生活に役立つ実践的な情報を発信しています。

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