【福祉現場】「利用者ができることは手伝わない」これが難しい理由と打開策

しゃふく・PSWの実務
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利用者さんのためなら何でもするゾ!

オレっちが助けるんだ!利用者さん~!

まあ待て。

熱意は良いが、あえて助けないことが支援となる時もある。

こんにちは!社会福祉士・精神保健福祉士のぱーぱすです。

福祉現場で働く中で、利用者の自立のためにあえて「手伝わない選択」「代わりにしない選択」をしなければならないことが難しいと思ったことはありませんか?

福祉に限らず、病院や地域の施設、行政機関等の人の支援にたずさわる現場仕事でそう思った方も多いんじゃないかなと思います。

例えば、「不自由なく着替えが出来る健康な利用者の代わりに、着替えを手伝いたい」という衝動に駆られる、みたいな感じです。福祉に限らず、病院や地域の施設や行政機関等の人の更生・支援に携わる現場仕事でそう思った方も意外と多いんじゃないかなと思います。

そこで今回の記事では、
利用者自身ができることはあえて手伝わないという難しさの理由打開策
について、現役の社会福祉士目線で語っていこうかと思います。

この記事は

  • より良い支援ができるようになりたい方
  • 利用者を自立につなげたい方
  • 根拠ある支援ができるようになりたい方

上記のような方に役立つ内容になっています。

この記事を読むことで、支援現場で働く方の心が少しでも軽くなっていただけたらと思います。それではまいりましょう!

【福祉現場】「利用者ができることは手伝わない」これが難しい理由5つと打開策

福祉現場では、あえて手伝わない支援というものがあります。

それは、支援者という立場は利用者の方々が可能な限りその行為に参加できるようにする事が必要になる場面が多々あるからです。要は、利用者の自立に繋げたり力を高めたり自己効力感を高めたりするためにあえて手伝わないということですね。

例えば、利用者が市役所に住民票をもらいに行きたい場面を考えてみましょう。

利用者)住民票がいることになったの!どうしたら良いかわからないし、やったこともないから、助けてください!

支援者)それはお困りですね!

私が代わりに住民票をもらいにいってさしあげますよ!

と、つい頑張っちゃうかもしれません。わたし自身もそう時があります。何とかこの方を助けたいと強い思いに駆られることがあります。


 

・・・え?

カピバラくん偉いね!ってほめてくれるとこちゃうの?

 

いや違う。こりゃケースバイケースだ。

助けることが良い場合もあるがな・・・。

福祉現場では多くのことがケースバイケースですね。

この場合どう判断するかというと「住民票をもらいに行く”ということを、利用者自身が行う力をどれだけもっているか」という点ですね。(市役所までがめちゃくちゃ遠いとか不便であるとかの環境条件は今回省きます)

例えば、利用者が手続きの理解ができず、役所に行くこと自体がとても難しい方なら、手伝ったり、代わりに手続きすることが必要でしょう。

でも、20歳の健康な男性であれば、支援の可能性は無限大なのではないでしょうか?(「自分一人で行かせろよ!」といわれそうですが。)

市役所への行き方ひとつとってみても、

  • 家から一緒に市役所に行く
  • 道中で待ち合わせて一緒に行く
  • 市役所で合流する
  • 一緒に行かない
  • 委任状だけ書いてもらう

などの選択肢があるでしょう。

市役所での手続きでも、いろいろ選択肢があります。

  • 申請書を書くのを隣で見ておいてもらう
  • 申請書の書き方を隣で教える
  • 口出しせず、困ったことがあれば声をかけてもらう
  • 市役所の外で待っておく
  • 市役所の人に事前連絡をしておいて手続きには同席しない

などなど。いろんな選択肢があります。

どんな選択肢があるかを考える基本ポイントは、手続きやその行為を細分化することです。手続きや作業について、工程を細かくわけていくと、全くできないと思えた利用者が、実は部分的にはいろいろとできることがわかったりします。

身体障がい、知的障がい、精神障がい、それらがあるがために、何ができなくなっているのか、何に支援がいるのかをよく理解したいです。そして、利用者ができる部分はご自身でしてもらうことが、自立支援であり、力を奪わない支援と思います。

なので、全く手伝わないというのも選択肢なんです。

それなのに、どうしてか現場では、利用者のできることまでついつい手伝ったり、代わりにしたりしてしまいがちです。

ここからは理由を5つにまとめましたので、みていってみましょう!

利用者の力の分析が難しいから

手伝ったり、代わりにするかどうか、どう支援するか判断するには、利用者にどれだけの力があるかをしっかり分析できないと難しいです。

例えば、まだ20代で、健康な男性利用者にがいたとします。「代わりにする」ことを続けていたら、ますますできない人になっちゃいますよね。だから、手助けしたり手伝ったりしない支援者の方が多いんではないかと思います。こういうのは子育てや人材育成と同じですね。

ところが、健康で若い利用者ならそうやって割り切れるんですけど、利用者に病気とか、障がいって名前がつくと、なんでもかんでも助けてあげないといけない気になったりしませんか?助けないと悪いことをした気持ちになったりして・・・。

でも、福祉の専門職と言えるには、その支援の一つ一つの専門的視点がいりますし、場合によってはあえて手伝わない、助けないってことも必要な時があるはずです。その判断をするためには、利用者の力を分析する知識はどうしても欲しいです。

うわー、プロ意識ってやつ?

でもさ、分析する知識っていわれても。難しいことはワカラン~。

・・・。

分析する知識はここでは言い尽くせない。

だが、ポイントならあるぞ。

利用者の力を分析するポイントというと何なんだって話ですが、例えば利用者についてですが

  • どんな病気なのか?
  • その病気はどんなことが難しくなるのか?
  • どんな障がいなのか?
  • その障がいはどんなことに支援がいるのか?
  • 身体の具合はどうか?
  • 年齢はどうか?
  • 移動手段はあるのか?
  • 人とコミュニケーションがとれるか?
  • 困ったら助けを求めることができるか?
  • 家族など、助けてくれる人はいるか?
  • 家事や社会経験はどれだけあるか?
  • 自分でできることでも人に頼ろうとする人か?

ざっくりとですが、こういったことは分析で大切なポイントでしょう。利用者自身だけじゃなくて、家族とか住んでる場所とか、環境面ふくめて分析したいですね。

もっと詳しく知りたい方は、利用者が何かの病気のある方なら、その病気についての専門書を。障がいのある方なら、その障がいについての専門書を読むことがオススメです。

本を読むのが大切なのはわかってるんやけど、なかなかやれへんねん。

買っても、読みかけでだいたい終わってるし。

誰だってそんなもんだ。

だが、学ばないと成長できない。

自分にあった学び方を見つけるのが良いぞ。

私は本を読んで勉強するのが好きなタイプです。

でも、学び方は人それぞれでして、本から学ぶのが向いている人もいれば、

  • 研修で学ぶのが得意な人
  • 人との会話から学ぶ人
  • 体験を通して学ぶ人

等々、ご自身にむいた学びかたを見つけられるのがベストかと思います。得意な学び方は人によって違うのです。

例えば、学校の授業は、目や耳で勉強するのが得意な人に向いた環境でした。教科書の字から理解したり、先生の話を聞いて覚えるのが得意な人が伸びやすかったってことです。

でも、仕事をしだしたら、勉強はできなかったけど仕事のデキル人があらわれたりします。体験を通して学習するのが得意な人なら、仕事でどんどん経験して、伸びることがあるわけです。人によって得意ポイントが違うから、こういう現象が起きるのです。

ご自身の得意な学び方に早くめぐりあえたら、とても成長できるでしょうし、活躍できて、良い支援ができるようになれるはず。とにもかくにも、いろいろチャレンジしてみて、自分に向いた学習スタイルがどれか見つけることになります。

支援することで支援者自身の欲求を満たせるから

「支援者自身の欲求」ってなんだってことですけど、例えば、やりがいとか、自己効力感とかです。

やりがいで言うと、人を助けたり、手伝ったりすることはやりがいにつながりますよね。わたし達が福祉の仕事についた理由には、人を助けたいとか、困っている人を支えたいって思いがあったと思うんです。なのでどうしても、支援しすぎちゃうんだと思います。

自己効力感でいえば、人の役にたつことで自分をたもちたいとか、自己評価をたもちたい欲求がある支援者もいます。助けることで、その欲求が満たされるんです。他にも、自分がちゃんと支援できているのか不安になっている支援者であれば、利用者を助けたり手伝ったりすれば、「何となく」支援できた気になれます。

でも、そのやり方には問題もあります。支援する理由が自分本位、支援者本位だってことです。「誰のために支援をするのか?」という視点がぬけおちてしまってるんです。

代わりにしたほうが早いし楽だから

じつは、代わりにするのは支援者にとって早いし楽なことが多いです。早いし楽!

例えば、着替えに5分かかる利用者がいたとします。助けたり代わりにすれば、1分ですみます。今からゆっくりと着替えをされる・・・。こういう時、支援者として5分待つってけっこう苦しいんですよね。イライラしちゃったり、待ってられなかったり、困ってる様子もあるから助けてあげたくなったり・・・。

代わりにする場合、利用者の能力を分析したりもしなくてすむんです。どの部分までを支援して、どこからを本人にしてもらうかといった段取りも組まなくて良いですし。あまり考えなくて良いから楽なわけです。

こうした支援の問題点も明らかで、利用者目線の支援じゃないことです。支援者がラクだったり、職員側の都合で手助けしたり手伝ったりってことですから、支援者都合なんです。

時間がかかったとしても、可能な限り、利用者本位の支援をするのが、福祉現場や、社会福祉士・精神保健福祉士の役割だと思います。利用者を手伝ったり、代わりにしようとするときには、「これは自分の都合でしていないかな?」と考えるのがポイントです。

ウンウン。

こうして福祉現場は残業が多くなるやな。

否定はしない。

いまの制度では業務時間のワクにおさまりきらないんだ。福祉現場の人達の熱意で、制度の不都合がカバーされているともいえる。

福祉現場での残業事情については、こちらの過去記事で書いています。

福祉現場あるある【サービス残業が多い?】体験談
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支援しないことには苦情リスクがあるから

あえて必要レベルの支援にとどめるのは、勇気がいることです。本当は手伝いたいけれど、あえて手伝わない選択や、代わりにしない選択をするには、リスクがあります

例えば、利用者からは

信頼してたのに!どうして助けてくれないんですか!?

えっ!?すみません・・・ええと・・・。

(やばい!怒っちゃった!)

と責められるリスクだってあります。利用者が理解できるように、手伝ったり代わりにしたりしない理由を説明しないといけなくなるのです。これって、けっこう難しいときがあるんです。どれだけ言葉や説明を尽くしても、「なんだかんだ言って、面倒くさいんでしょ?」って思われたり、「要は、やりたくないんだな」って思われたりすることがあるからです。

ご自身でできる部分も依存されるタイプの利用者の方だと、よくよく注意がいります。苦情になったりするからです。(そういう経験があります)

よくあるパターンが、前任者やこれまでの支援で、あれこれ助ける支援をしていた場合です。「今回もしてくれるはず」と期待されてしまうので、期待を裏切ることになっちゃうんです。利用者としては、傷ついて責めてくることになっちゃうかと思います。

それでも私は極力、利用者のこうした思いに寄りそったり、しっかり説明するようにこころがけています。こういうときは、腹を割って話すようにしています。「利用者さんは○○ができる方だと思っていますし、その力をのばしていっていただきたいと思っています。」とか、支援目標にからめて説明するようにしています。

ちゃんと理由があるんですってことを伝えるようにしています。ただ、相手にあわせて説明の仕方はかえることになるので、ボキャブラリーや相手の気持ちの想像力もいりますし、経験もいる場面かと思います。

支援者と被支援者という立場で関わるから

あたりまえですけど、福祉現場では、私たちは「支援者」という立場ですよね。いっぽうで、お相手は「利用者」とか「患者さん」とか「メンバーさん」ってという立場です。支援を受ける立場なんです。ですので、支援する者と、支援される者という関係性なのです。

この関係性があるので、わたし達はつい「支援しないといけない」とか、「助けないといけない」とか、「代わりにしないといけない」という気になってしまうんです。

人によっては、利用者の意に沿って支援しないと罪悪感にかられる人もいると思います。支援する立場なのに、支援しないってのは、いけないんじゃないか?って考えてしまうんです。

どうすれば良いかはシンプルでして、支援する者と支援される者という立場や関係が影響していると意識することです。支援する者なんだから、支援しないといけないと思っちゃうってことを、よく心にとどめておくことになります。

この構図にきづくことで、やみくもにならず、冷静なれることが増えます。なかなか実感がわきにくいことですけど、自分の特性にきづくことは、第一ステップだし、大きな一歩だと思います。なので、福祉現場では「支援しすぎてないか?」とチェックすれば必ず抑止効果があるのです。

例外は、まったく福祉に関心がないのに、福祉現場につとめることになった人ですね。民間だとなかなかないと思いますけど、行政分野ではよくあることでしょう。去年までは会計課だったのに、いきなり福祉課になった・・・なんてこともあるようですから。そういう場合は、「支援しなさすぎじゃないか?」「手伝った方が良いんじゃないか?という逆向きのチェックがいるでしょう。

【まとめ】福祉現場で「できることは手伝わない」という支援が難しい理由5つと打開策

こうした5つの理由があるので、利用者のためにあえて「手伝わない選択」「代わりにしない選択」をしなければならないことは難しいという話でした。最後にここまでの話のまとめますね。

①利用者の力の分析が難しいから

分析する力を高めるには、ポイントをおさえましょうという話でした。もっと高めるには、専門書など、学習していくことが効果的ですね。

②支援することで支援者自身の欲求を満たせるから

福祉の仕事についた方ならだれでもあることだと思います。支援者自身のやりがいや自己効力感といった欲求に気づくことが打開策ですね。

③代わりにしたほうが早いし楽だから

そもそも人員が足りていない忙しい福祉現場では、手伝ったり代わりにしない「待つ支援」は難しいことです。打開するには、支援する前に「自分や施設の都合で支援してないかな?」と考えるのがポイントでしょう。

④支援しないことには苦情リスクがあるから

特に、依存される利用者やケースだと、あえて手伝わない、あえて代わりにしないことで不満をもたれて、苦情にまで発展することがあるでしょう。時には「本来は手伝わない方が良いんだけど・・・」と譲らざるをえないことがあるかもしれません。でも、基本は説明を尽くすことでわかってもらえる場合が多いというのが私の経験です。

⑤支援者と被支援者という立場で関わるから

支援する者と支援される者という立場や関係があるので、手伝ったり代わりにしたりしないといけないように思ってしまうんです。あえて、手伝わない、代わりにしないのが難しくなります。この構図に気づくことで、一歩距離をおいて、冷静にどうしたら良いか考えられるようになるはずです。


福祉現場で働く方の心が少しでも軽くなっていただけたなら嬉しいです。

以上、【福祉現場】「利用者ができることは手伝わない」これが難しい理由と打開策という話題でした。

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