
自己覚知ってどれくらい大切?

定年まで毎支援つづける。
それくらい大切だ。
どうも!社会福祉士・精神保健福祉士のぱーぱすです。
「自己覚知」は超カンタンにいえば「自分を知ること」です。
「自己覚知くらい知ってるよ!」「自分のことくらいわかってます」と思う方は多いかもしれませんが、自分のことは、自分よりも他人の方がわかっているというくらい、自分とは奥が深く、正しく見つめることが難しいものです。
じっさい、現場でも自己覚知を知っている人は多いけれど、習慣にできている人は少ないと思います。「知っている」と「やっている」の違いはとても重要です。
自己覚知の習慣がないと、例えば、独りよがりな関わりをしてしまったり、利用者・患者さんの課題と自分自身の課題を取り間違えたり、メンタルのコントロールが難しくなるので、言ってしまえばデキない支援者になってしまいます。
経験年数が長くなっても、「利用者が悪い!」「あの患者さんがおかしい」と、自分視点でしか分析できない支援者になってしまいます。
しかし、自己覚知の必要性を理解し、方法を会得できれば、支援レベルが段違いになるでしょう。いろんなカダイをいろんな視点で、色メガネ無くとらえられるので、しっかりと核心をついた支援ができるようになるわけです。
自己覚知は、社会福祉士・精神保健福祉士・福祉の仕事をしている方だけでなく、対人支援・教育の仕事の方なら誰でも活用できることです。
難しそうなイメージがありますが、ポイントをおさえれば自己覚知の方法はカンタンです。この記事では自己覚知が必要な理由とやり方を解説していきます。
ではまいりましょう!
社会福祉士の自己覚知【必要な理由・やり方を社会福祉士が解説】
自己覚知が必要な理由
自己覚知が必要な理由は「自分」を使って支援するからです。
私たちは支援するときに、かならず「自分」を使います。
「自分」とは、見た目の特徴からはじまり、声、感じ方、考え方、キャラクター、個性など、すべてまとめたものです。
支援とは、その自分自身を通して、利用者さん、患者さん、メンバーさん等と関わることです。
なので、自分自身を理解することが大切なのです。
理解するのは、長所にかぎりません。短所など負の一面も含めるのがポイントです。
自分自身を理解せずに支援するのは、お医者さんが薬の効果も知らずに処方するようなものです。
医師の方々は、薬の効果を理解して処方しますよね。薬には効果がありますが、副作用もあります。薬のメリット・デメリットを理解・説明して飲み方を決め、処方します。
これは社会福祉士をはじめ、福祉現場で働く私たちも同じです。
私たち自身が人にどのような影響を与えるのか、どんな長所や短所があるのか、特性があるのか。
これらを知ることで、自らの使い方がわかり、関わり方がわかります。
つまり、自己覚知することで関わり方がわかるといえます。
自己覚知のやり方

自己覚知が大切なのはわかったけど、どうやったらええん?

自分で振り返るか、人と振り返るかの2つだ。
自分で振り返る
支援の1つ1つについて、その都度内省するように振り返る方法です。
頭の中で「どうして私はさっきのような言葉をかけたのだろう?」「私がAさんを嫌ってしまう理由は何だろう?」などのように考えて掘り下げていくことで、自己覚知をすすめられます。
オススメは紙に書き出すことです。
紙に書き出すことで、客観的に振り返りやすくなるからです。
ノートやルーズリーフ、手帳、どんな紙でも構いませんから、気持ちがリアルなうちに紙に全てかき出すことがポイントです。
ただし、自分で振り返る方法には短所もあります。
それは、自分で気づけないポイントはいつまでも気づけないということです。
人に言われて初めてわかることもありますよね。
そこで、人と振り返る方法が有効になるわけです。
人と振り返る
自らの支援について、上司や先輩、同僚と振り返るなかで、自らの特性や支援のクセを知る方法です。
メリットは、意見や指摘をもらえるため、自分では気づけないポイントに気づくことができるということです。
デメリットは、傷つくかもってことです(悲)
自己覚知は、自らの良い面も悪い面も直視することです。
他人にダメ出しされたり、痛いところを突かれたり、すごく恥ずかしい内面をさらけ出すことにもなります。
自己覚知は心の修行です。普通は楽しくできるものではありません。
でも、自己覚知の修練を続けている人こそが、社会福祉士や精神保健福祉士、福祉職のプロフェッショナルです。
自らの特性を熟知して律する彼らは、まるで仙人のように見えるでしょう。
事例検討は恐怖だが、乗り越えた先にあるのは・・・
事例検討はご存知でしょうか?事例検討は支援を人と振り返る方法です。
事例検討の苦しみを乗り越えた事例提供者はレベルアップします。
事例検討は、事例提供者が1つのケースについて成育歴や支援を報告し、参加者間で意見交換、より良い支援を考える学習機会となるのが通例です。
職場内や外部での研修など、さまざまな形で行われることがあります。
この事例検討、経験のある方ならわかると思いますが、事例提供者は準備が大変だし、当日の事例検討が怖いし、緊張するし、ダメ出しをくらうので終わってからも落ち込むしで、辛い課題となりがちです。
事例提供者は、わかっていないこと、自らの支援のクセに直面します。批判されているわけではなくても、さまざまな質問を受けるので辛くなることがあるでしょう。
なので、多くの人が怖がったり、面倒がったり、避けがちです。
しかし、事例検討のチャンスがあるなら経験しないと、成長機会を失うかもしれません。
事例検討ができる機会はそう多くありません。
ダメ出しもあるので、若手の間でなければ参加し辛いものです。
しかし、覚悟を決めて事例検討に挑めば、自己覚知がすすみ、支援レベルが上がるのです。
自己覚知では自分を責めず、受け容れてあげよう
自己覚知をするなかで「自分はなんて悪い奴なんだ」「こんな一面があったなんて、恥ずかしすぎる・・・」と思うことがあるかもしれません。
例えば私の場合、福祉の仕事を志した動機は「人のためになりたい」というものでした(そう思っていました)
けれど、自己覚知をすすめたことで「人のためになって自らの無価値感を埋めたい」という真の動機に気づくことになりました。
自己覚知をすすめた結果、ピュアで善にあふれた気持ちなどは偽りで、自己利益や自己都合だらけと気づかされました。
「福祉の仕事をする人は素晴らしい」というイメージがあるかもしれませんが、心の内を掘り下げてみると人のためより自分のために働いているのが普通なのです。
だからといって、自分自身を責めることはありません。責めても何も得られませんし、傷つくだけです。
自己覚知の目的は、自らを変えることや否定することではありません。
気づいていなかった内面に気づき、自覚し、支援のクセを軌道修正できるようになることです。
例えば、利用者さん等を嫌う気持ちがあっても良いのです。その気持ちについて自己覚知できればそれで良いのです。こちらの過去記事でも解説しています。

もし、ご自身の受け容れがたい面に気づいても、優しく包んであげていただきたいです。
自己覚知では「家族歴史の棚卸し」がカギになる
自己覚知をすすめるなかで、自らの特性・長所・短所・感じ方などの理由をほりさげていくと、過去にさかのぼっていくことになります。
過去、つまり家族歴史を振り返ることになります。
自分自身がどのような家庭で育ったのか、親、祖父母、兄弟姉妹、ご近所、勉強、スポーツなど、さまざまな経験を振り返ることになります。
自らの幼少期や成育歴を振り返ることで、より深い自己覚知ができるようになります。
「三つ子の魂百まで」といいますが、家族歴史を振り返ると、子どもの頃の環境が今現在につながっていることがわかるはずです。
家族歴史を棚卸しするときには「愛着スタイル」について理解しておくと、自己覚知が進めやすくなります。
愛着スタイルは、私たちの根底で、対人関係や感情、認知や行動を左右しているものです。どのような対人関係を結ぶかのベースとなります。
この愛着スタイルは、主に親との関係によってつくられます。
つまり、私たちが日ごろ人と結ぶ対人関係のモデルは、親との関係にあるのです。
さらに言うと、愛着スタイルは支援関係にも強い影響を与えているわけです。
なので、母親との関係、父親との関係、そもそも親はいなかったのか、いても存在感が無かったのか、問題は無かったか。
こういったことを振り返ると、さらに自己覚知がすすみ、より良い支援ができるようになるのです。
人によっては辛い作業になるかもしれません。これも、私が自己覚知を心の修行と呼ぶ理由です。
ちなみに、より高度な自己覚知を実現したり、愛着を理解してより良い支援をしたい方には、精神科医の岡田尊司氏の下記の本がオススメです。氏は愛着についての第一人者。福祉現場で対人支援をする社会福祉士・精神保健福祉士・介護職等の方なら知っておいて損することはない知識が得られます。
以上、社会福祉士の自己覚知【必要な理由・やり方を社会福祉士が解説】という話題でした。
【関連記事です】
自己覚知ができていないと、「利用者が一人でできることまで代わりにしてしまう」といった過剰支援をしてしまいがちです。

嫌いな利用者さんや患者さんがいても普通です。当然です。軌道修正すれば良いだけなのです。

自己覚知をすすめるなかで、「こんな私は社会福祉士に向いていないのでは」「精神保健福祉士に向いていないのでは」と悩むことがあるかもしれません。そうした方に読んでいただきたいです。

コメント