
ボクは仕事がぜんぜんできてないし、周りの人の方がもっとできてる。迷惑かけてるし、福祉職に向いてないと思う。そもそも福祉職をやりたいのかわからなくなってきた・・・。
こうした思いのあなたへ。
わたしは10年以上、福祉の仕事をしていますが「向いていない」と繰り返し悩んできました。
困ったり、失敗したり、同僚よりもできていないと感じるたび、まるで持病のように「向いていない」という悩みに駆られてきました。
最近、後輩が「福祉職に向いていない」と悩んでいたので、私のそうした話をしたら、けっこう驚かれました。悩んできた人間に見えないそうですね。
そこで、「今まさに悩んでいる人に何がしかアドバイスできるかもしれない」と思いまして、この記事を書くことにしました。
『福祉職に向いてない』と悩んでいる人へ【本気で伝えたい5つの話】
「全然できていない」と思ったら、昔の自分と今の自分を細分化して比較しよう
昔の自分と、今の自分を比べましょう。この時に大切なのは、細分化して振り返ることです。
そうすると自分の成長に気づけるし、0か100かといった考え方を抜け出して、幸せに近づいていけます。
福祉職のあるあるですけど、私たちは、支援対象の利用者さんや患者さんには、とても優しくなれますよね。
例えば、利用者さんや患者さんは、仕事のできない状態にある人が多かったりすると思います。だからと言って、「ぜんぜんできてない」と評価したりしませんよね?
ところが、自分のことになると、「ぜんぜんできてない」と感じてしまいませんか?
毎日仕事をして苦痛に耐えながら頑張っているはずなのに、「もっとできるはず」と自らの努力を認めず、成果を求めてしまいませんか?
確かに、あなたは、あなたが思う目標には到達できていないのかもしれません。憧れの先輩や、デキる同僚のようにはできないのかもしれません。
でも、すごい先輩や尊敬する人と同じにはなれません。その人とあなたは根本的に違うので、あなたはあなたの持ち味を磨いた方がいいのです。
人は、他人の長所と自分の短所を比べがちです。他人と自分を比べる思考をしていると、必ず劣等感を感じます。
だから、目標となる人をもつのは良いですけど、その人と同じようになることを目指していると、いつまでも「できていない」と感じてしんどいと思います。
ではどうしたら良いかというと、昔の自分と今の自分を比べることです。
今の仕事に就いた時を振り返ってみましょう。
ガチガチになりながら、電話を取るかどうか迷っていたことはありませんか?
面談で、何を話して良いかわからず、パニックになったことはありませんか?
相談の記録は、かけていましたか。
基本的な業務すら、できなかったのではないでしょうか?
今、あなたができないと悩んでいるのは、プラスアルファの部分ではないでしょうか。
本当はできていることはあるのに、「これぐらいはできて当然」と思って、全く評価していないことはありませんか。
もし、あなたの友人が、あなたのような悩みを抱えていたら、どんな言葉をかけるでしょうか?
「ぜんぜんできてないじゃないか!」「もっと頑張れよ!」と言いますか。
きっと、そんなことないはずです。優しい言葉をかけるのではないでしょうか。
「よく頑張ってるなぁ」
「向いてないなんて、そんなことないんじゃない?」
「できてることたくさんあるよ!」
こうした声をかけるのではないでしょうか。
自分のことになると、客観的に評価できない。主観的に評価してしまう。「全然できていない」というように、0か100か、白か黒か、で捉えてしまいがちです。
そうじゃなくて、あなたの仕事を細かく分けて、それぞれについて成長したかどうか分析してあげてください。
あいさつ、ルーティン業務の慣れ、電話対応、面接、それぞれの時の心境など、「できて当然」と思わず、振り返ってみましょう。
すると必ず、成長したポイントが見つかるはずです。あなたなりの進歩があるはずです。進歩のペースを周りと比べる必要はありません。
「全然できていない」と悩んだら、昔の自分と、今の自分を比べてみてください。
頭でイメージするだけじゃなく、紙に書いたり、スマホのメモに書くと、より効果的ですよ。書き出すことで、自分を客観的に捉えやすくなります。
「周りに迷惑をかけている」と悩まなくて良い
迷惑、かけて良いんですよ!
それとね。そもそも、本当に迷惑なのでしょうか?
実際は、「お世話になっている」「サポートしてもらっている」「気にかけてもらっている」という感じかもしれません。
もし実際に、「迷惑だ!」「またミスしたな!やめてしまえ!」とか言われているのであれば、確かに迷惑をかけているのかもしれません。
ただし、そうした職場はパワハラが横行しているでしょうから、辞めてしまった方が良いかもしれません。
でも多くの場合は、迷惑とは言われてないけど、迷惑をかけている気がするという感じではないでしょうか?
だから正確には、「たくさんサポートしてもらっている」「ミスを繰り返してしまっている」という状況であって、
「=迷惑をかけている」とは言い切れないんじゃないかと思います。
そうであれば、むしろあなたは役立っています。
なぜなら、福祉の現場では、周りの職員をサポートするのって、案外ためになっていたりするんですよ。
例えば、サポートしている職員側は「俺はあいつを助けている」「あの子はサポートがいる」と感じて、自己効力感や優越感を抱けるのです。
ちょいと汚らしい話ですが、人間の心理とはそうしたものです。
だから、あなたは迷惑をかけていると感じているかもしれませんが、周りの人の自尊心やプライドに一役買っていると思います。それはあなたのおかげです。
あなた自身を研究しよう 『育ち・愛着関係』と『発達特性』
私は福祉職に就く前も、就いてからも「向いていない」と繰り返し悩んできました。
そして長年、この仕事をしていて気づいたこともあります。
それは、福祉職の多くの人が、私のように「向いていない」と悩んでいるということです。
もしかしたら、半数以上の人がそうした経験をもっているかもしれません。
しかも、私と共通点のある人が「向いていない」と悩みがちなことにも気づきました。
その共通点は何かというと、『育ち・愛着関係』と『発達特性』の2つです。
福祉職として「向いていない」と感じるだけじゃなく、そもそも生きづらさがあるとか、人間関係が苦手といった人の背景には、何かしら『愛着の傷つき』や『発達特性』の影響があると思います。
それが良いとか悪いとかではありません。
私が言いたいのは、『育ち・愛着関係』と『発達特性』があなたの苦しみや悩みのルーツになっている可能性があるので、よく理解するとラクになれる、ということです。
自分に自信が持てない、いつもしんどい、人と同じようになれない、といった悩みがある人は、必ず知っておいて通っておいた方が良いテーマです。
私が『育ち・愛着関係』や『発達特性』について勉強した理由は、支援のためでした。支援に関わるから必要な知識だと思って、本を読んだんですね。自分を知るためではありません。
でも、読んで学んでいくうちに、まるで自分のことを言われているような気がしたんです。
結果的に、自分についての気づきになって、それからは愛着障害や発達特性・発達障害に関する本を読み漁っていきました。
自分の特性を知って、受け容れられると、対策できます。
変われる部分、変われない部分があります。残念だけど、受け容れるしかないことはあります。
しかし受け容れられると、対策できるようになります。それでラクになれたり、長所をもっと活用できたりします。
その出発点は、まずは自分を知ること、研究することです。
私が自分を知って、分析できたきっかけになった本は、精神科医の岡田尊司氏の本です。
愛着関係は、私たちが幼少期に養育者との間で築かれる、人間関係のキホンとなるものです。後の人生に大きく影響し、性格や人格の形成につながります。
私たちが感じる「不安」の正体も、愛着関係にあると言われますね。
愛着関係の形成が大きくこじれると、大人になってから、いわゆる人格障害(パーソナリティ障害)と呼ばれることにつながったりします。
それと、発達特性や発達障害についても、岡田尊司氏の著書でよくわかります。
私は岡田尊司氏をリスペクトしているので、他の著書もたくさんもっていますが、上記は特におすすめです。
それともう1冊。
人生で一度でも「消えたい」と思ったことがある人や、子どもの頃に両親がよくケンカしていたとか、きょうだい差別があったとか、虐待を受けていた経験があるという人は、同じく精神科医の高橋和巳氏の本を読むと発見があるはずです。
こうした知識を得ていくと、あなた自身を深く知れて、対策したり生きやすくなるはずです。
しかも、支援力もアップします。私たちが支援する多くの人は、何かしら愛着や発達、虐待などの影響を受けています。
だから、『育ち・愛着関係』と『発達特性』というテーマを良く知ることは、あなたのアセスメント力や支援力を上げることになるのです。
一石二鳥なんですよ!
多くの悩みは『運動・没頭・睡眠』で解消できる
「向いていない」をはじめとした多くの悩みは、運動・没頭・睡眠でかなり解消できます。
ずっと「向いていない」と悩んでいるなら、効果は薄いかもしれません。
でも、何か失敗をして悩み始めたとか、ここ数日悩んでいるというレベルなら、運動・没頭・睡眠でだいたい解決できると思います。
運動
運動はとても大切です。私のようなタイプの人は、運動しないと病みますよ(笑)
激しく運動すれば、脳の血流が良くなるし、悩んでいたことが軽くなったり消えていったりします。
こうした話を口酸っぱく伝えても、運動をする人は少ないですよね。知ってますよ!
でも言います。運動してください!
ほんとに。
それはやせるためとか、キレイな体になるためとか、モテるためではなく、この仕事のしんどい時期を乗り越えるために必須だと思ってください。
私が毎日のようにしているのは、↓で紹介しているHIITです。
別にHIITのような激しい運動じゃなくても良いです。大切なのは、あなたが続けられる運動です。
没頭
没頭できる趣味や活動はとてもとても、とっても大切です。没頭している間は、悩みから解き放たれます。
プライベートで仕事の失敗や不安なできごとを思い出してブルーになったりする人には、特に効果的です。
「没頭できるようなことなんて無い!」という方は、忙しくしてください。
人はヒマになると考えなくても良いことを悩んでしまいます。
考えても意味がないと分かっていても、繰り返し考えて悩むのを反芻思考と言いますが、これはメンタルに悪いです。
「オレはできない」とか「ダメなやつだ」とか「失望されたんじゃないか」とか。自分を責め続けているんですね。
逆に、メンタルのタフな人たちはプライベートで仕事のことを考えていなかったりします。
だから、考えがちでしんどくなってしまう方は、考えなくても良いようにすることが大切です。
「悩みたいんだ」という人を止めはしませんし、悩みがあるから本を読んだり、勉強して克服する動機にもなるので、メリットはあります。
でも、考えても仕方のない傷口を繰り返しなぞって、痛い思いをするのはナンセンスじゃないでしょうか。
そうした場合は、没頭できる趣味や活動を意識的にやりましょう。
注意して欲しいのは、忘れようとしたり、考えないようにしようとしても、あまり効果が無いということです。
頭をフリーな状態にすると、自動的に思考し始めますし、勝手に傷口をほじくり返してしまうものです。
そうならないためには、没頭することが大切です。何かに集中したり、没頭している間は、悩めませんよね。

没頭できる趣味?活動?何をしたらいいの?
私であれば、それは例えば登山やブログ、読書、YouTubeやAmazonプライムだったりします。
人によって違いますから、あなたオリジナルで良いです。
そうした時間を1分、10分、1時間でも良いです。
とにかく何かに没頭したり集中して、無駄に繰り返し悩んでしまうループから抜け出しましょう。
没頭できる趣味や活動があれば、メンタルをタフにできます。
睡眠
何より睡眠です。
全ての精神疾患は睡眠障害から始まると言われるほど、睡眠は大切ですし、あなたの不調のシグナルとなります。
「なかなか寝付けない」「途中で目が覚める」「早く目が覚める」「一回覚めると再び寝られない」などなど
そうした方は、まず生活習慣を変えてみましょう。
朝に太陽を浴びる、日中に運動をする、眠る前はブルーライトを避ける等々、まず改善できることはたくさんあると思います。
それでも睡眠に悩んだら、ためらわず医療にかかることが大切ですね。
なお、メンタル面の対策については、こちらの記事に凝縮してまとめています。参考にしてくださいね。
「福祉職に向いていない」と悩んだら、仕事を細分化して適性を考えよう
もしあなたが、ここまで私がお伝えした話を実践してもなお、福祉職に「向いていない」と感じたとしても、
「=福祉職に向いていない」とは考えなくて良いです。
仕事への適性は、業務を細分化して考える必要があります。
もし、あなたが今の福祉現場に向いていないと思っても、
「今の現場に向いていない=福祉職に向いていない」
「今の現場に向いていない=社会福祉士に向いていない」
「今の現場に向いていない=精神保健福祉士に向いていない」
「今の現場に向いていない=介護福祉士に向いていない」
・・・ではありません。
例えば同じ福祉職でも、児童相談所で児童福祉司として働く場合と、地域の法人で相談支援事業所で働く場合、病院でMSWとして働く場合は、仕事内容はそれぞれで全然違います。
例えば児童相談所なら、嫌われても大丈夫なくらいのメンタリティの人が向いていると思いますが、これは福祉職全般に言えることではありません。
福祉職は、基本的には信頼関係を基に支援をしていきます。嫌われていては仕事にならないのです。同じ福祉職の現場でも、このように人間関係のとり方から変わってきます。
児童指導員の現場であれば、体力やメンタル面のタフさを求められるでしょう。デスクワークというよりも、直接的に子どもと関わる仕事が多いです。
また、行政機関であれば文書を書ける・読み解ける力を重視されやすいですが、(近年はコミュニケーション能力も重要視されていますが)
民間の福祉職だとコミュニケーションや人柄の方が重視されるように思います。
つまり、あなたが今の福祉現場に向いていないと感じたとしても、
そして、もし本当に向いていなかったのだとしても、
だからといって、「=社会福祉士に向いていない」「=福祉に向いていない」と考えなくても良いのです。
これは、思考に飛躍があります。論理的じゃないですよね。
だから、仮に転職をするとしても、福祉の仕事から離れる必要があるとは言えません。
そうじゃなくて、仕事への適性をもっと細分化して考えると良いのです。
例えば、子どもと関わりたい、子どもを支援したいと思っている人が児童相談所の児童福祉司として働くと、あまりやりがいを得られないと思います。
なぜなら、実際の仕事でよく関わるのは、関係機関や保護者だからです。
子どもと関わりたい、子どもを直接支援したいと思うのであれば、児童養護施設や放課後等デイサービスで働いた方が、やりがいを得やすいと思います。
また、自分の裁量で支援をすすめていきたいと思っている人が、MSWになったり、精神科病院で働くと、医師の意見伺いが多すぎて不全感を抱きやすいかもしれません。
また、同じ福祉職でも、パソコン業務のウェイトは現場によって違います。人と接している時間量も違いますね。
直接支援が良いのか、間接支援が良いのかという、好みもあります。
介護を直接している方がやりがいを得られる人もいるでしょうし、ケアマネジャーのように支援計画や調整業務をしている方が性に合っている人もいるでしょう。
つまり、これは福祉職の特徴ですが、どの職場・どの職種・どの配置になるかで、私たちの向き・不向きや適性はカンタンに変わるのです。
それくらい、福祉職の現場はバラエティに富んでいます。
だから、もしあなたが私がここまでお伝えした話を実践してもなお、「向いていない」と感じたなら、
今の仕事の好きな部分・嫌いな部分・向いている部分・向いていない部分を、細かく分析しましょう。
全て嫌い、全て向いていないということは無いはずです。もしそうなら、あなたは今まで仕事を続けられなかったでしょう。
大多数の人は、向いている部分も向いていない部分もあるのです。人によって違うのは、その割合、バランスです。
きっとあなたは、今の業務で「向いていない」と感じられるウェイトが大きいのでしょう。
だから、今の福祉現場で向いていないと感じていても、「=福祉職に向いていない」と考えなくても良いです。
異動できる職場なら、異動を希望すると良いでしょう。
転職するのも1つの道です。私は、転職を悪いとは全く思いません。
むしろ、転職は自分の生き方や働き方を考えての決意・行動の結果だと思いますし、私自身も2回転職していて、後悔は全くありません。
今は『1つの職場で定年まで働く』という時代ではありません。会社の寿命は人間の寿命よりもたいてい短いです。
変化の激しい時代ですから、同じであり続けるよりも、変化へ適応していく力の方が大切でしょう。
もし転職するなら、あなたの好き・嫌い、適・不適、情熱をかけられるかどうかといった点で、細かく分析した方が良いと思います。
転職を考えたり、「福祉職から別の業界にうつろうかな・・・、でも何をやりたいのかわからない」といった悩みのある人には、こちらの本がヒントになるでしょう。
「好きを仕事にすれば良い」という考えではなく、極めて論理的にあなたの「やりたいこと」を見つけていける本です。
最後に
『福祉職に向いてない』と悩んでいる人へ、私が本気で伝えたい話をしました。
おさらい
- 「全然できていない」と思ったら、昔の自分と今の自分を細分化して比較しよう
- 「周りに迷惑をかけている」と悩まなくて良い
- あなた自身を研究しよう 『育ち・愛着関係』と『発達特性』
- 多くの悩みは『運動・没頭・睡眠』で解消できる
- 「福祉職に向いていない」と悩んだら、仕事を細分化して適性を考えよう
私のように向いていないと繰り返し悩んだり、ブルーになったり、劣等感を抱いてしまっている方に、何かしら役に立つと嬉しいです。
このブログでは福祉の仕事に興味のある人、福祉の仕事をしている人に向けてさまざまな記事を書いています。
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それではまた!
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