40年入院!?
そんなんありえるん!?
日本ではまだまだある。
よく知られていないだけなんだ。
どうも!社会福祉士・精神保健福祉士のぱーぱすです。
「私の人生、40年間 空白なんです」
精神科病院に40年入院した男性の言葉です。
この男性は訴訟をおこしました。長期入院について、国の責任を問う日本初の訴訟です。
こちらで男性の40年の体験と訴訟にいたる話がマンガでまとめられています。
「大変だなあ・・・」「かわいそうに・・・」と同情してばかりもいられません。
「自分は精神疾患になんてならない」「わたしは明るいから絶対病まないタイプ」と思う方は多いですが、どのような方でも、精神疾患は発症しうる病気です。
なので、精神科病院への長期入院は誰の身にもふりかかる怖いモンダイです。
どうして40年もの長い間、入院せざるを得なかったのか?病気の治療が長引いたからでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。じつは、精神科病院では精神疾患の症状は安定しても、退院できないのはよくあることです。
厚生労働省によると、日本の精神病床の平均在院日数は285日(2014年時点)です。
精神科病院に入院したら、退院まで9か月かかるのが平均です。
なので、40年の入院は珍しい話でもないのです。私もそうした方を見てきました。
精神科入院や長期入院は誰の身にもふりかかることです。リアルな話を少しお伝えします。
【実は怖い!】精神科入院40年は誰にでも起こるリアル
「いつ、どうなったら退院できるのか?」
これは、誰が決めるかご存知でしょうか?
精神科病院では、5つの入院形態があります。
- 措置入院
- 緊急措置入院
- 医療保護入院
- 応急入院
- 任意入院
このうち、自らの意思で退院できるのは任意入院だけです。任意入院は、自ら希望して入院することです。
多くの入院において、退院の可否を決定するのは精神保健指定医です。つまり、精神保健指定医のさじ加減ひとつで、退院できたり、できなかったりするわけです。
これ、どれくらい怖ろしいことかわかっていただけるでしょうか?
例えば、刑務所ならば刑期が決められていますよね。
刑期は裁判で罪の重さ等によって決められることになります。窃盗罪ならば「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と刑法で基準もしめされています。
いっぽう、精神疾患による入院では、いつ退院できるかわからないのがフツウです。
「この病気なら〇週間ほど治療が必要」みたいな基準もないので、任意入院以外だと精神保健指定医が絶大な決定権をもつことになります。
退院するには、精神保健指定医の許可がいります。
「退院させてください!」と言っても、「まだダメです」と言われたら叶いません。
閉鎖病棟といって、施錠されている病棟もありますから、逃げ出すこともできないのです。
ならば折り目正しく、モンダイなく過ごすことが得策と考えるのではないでしょうか?
男性は「退院したかったので真面目に働いた」ということですが、すごく納得できることです。
彼女も、結婚も、子どもをもつこともままならず、69歳となった男性。退院できても、時間はもう返ってきません。訴訟がうまくいっても、男性の人生は取り戻せません。
これは誰の身にも起こりうるとても怖い日本のリアルです。もちろん、私も例外ではありません。
私はこの訴訟の動向を注視していきます。
クラウドファンディングもできます。私も応援させてもらいました。
社会福祉士や精神保健福祉士の究極的な目標は、人権と社会正義の確立。おおきな表題で気が遠くなりそうですが、誰かの人生がないがしろにされている現状を知ることは、確かな一歩になります。
さいごに、訴状の「はじめに」から引用させていただきます。
被告国は、精神障害のある人に対して、危険な存在として隔離収容政策を実施し、日本社会における偏見を作り出した。世界各国が隔離収容政策は人権侵害であって誤りであると認めて、地域生活・地域医療へと転換を図っていくなか、被告国は過去の政策の過ちを認めることをせず、入院の長期化を現実的に抑止しようとせず、かつ、長期入院となった者に対して十分な救済措置を講じることもなく、これを漫然と放置してきた。
原告は、そのような被告国の政策によって、約40年もの間、様々な自由が制限される入院生活を強いられ、我々が当たり前のように享受してきた地域で暮らす機会そのものを奪われたものである。
原告は、これ以上自分のような人が生み出されてはいけない、また、自分と同じように長期入院となり退院できない人たちが退院できるようになって欲しいという思いで、被告国の政策の違法性を改めて問うために、本訴に至るものである。
訴状 「請求の原因 第1 はじめに」より引用
以上、【実は怖い!】精神科入院40年は誰にでも起こるリアルという話題でした。
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