指示か指導かどっち!?
指導なんだ。
- あの医師の視点には欠けているところがある・・・
- 医師の言う通りにしないといけないの?
- 精神保健福祉士としての視点で支援がしたい
私は社会福祉士・精神保健福祉士として働いています。現場で10年超の経験です。
わたし自身、精神科クリニックで働いた経験があるので、現場のリアルもまじえて解説していきます。
精神保健福祉士と医師の関係は「指示」か「指導」か?【現役解説】
結論は、精神保健福祉士は主治医の「指導」を受ける関係です。これは精神保健福祉士法で規定されています。
精神保健福祉士は、その業務を行うに当たって精神障害者に主治の医師があるときは、その指導を受けなければならない。(精神保健福祉士法第41条2)
では、指導とはどういうことを意味するのでしょうか?
指導とは?
指導というと、何となく上から教えられているイメージがありますが、法律では厳密に使われます。
法律での「指導」には、法的強制力ありません。必ず従わなければならない縛りはありません。勧告・助言というニュアンスが強く、強制ではないんですね。
なので、精神保健福祉士は主治医の意見や助言を聞かないといけないけれど、従う必要性は無いということです。
ちなみに、この「指導」とよく対比されるのが「指示」です。
指示とは?
法律上で「指示」とは規定する行為に従わなければならないことという意味です。つまり、強制力があります。
医師の指示を受けるのは?
医師との関係で「指示」を受ける役割になりやすいのが、看護師です。
医事法制上、医行為を自らの判断でできるのは医師だけです。
参考:厚生労働省HP 第2回 医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会 令和元年11月8日 診療の補助・医師の指示について
医行為というのは、医師の医学的判断や技術がなければ、人体に危害を及ぼしたり、危害を及ぼすおそれのある行為のこと。
例えば、医師でもない素人が高血圧の患者に血圧を上げる薬を処方なんてしたら、害でしかありません。手術だって、健康な人間に行えば傷害事件です。
こうした事柄については、主治医の指示のもと、医療職があたることになっています。
しかし、精神保健福祉士が行う相談支援は明らかに医行為ではありませんね。
相談支援が医行為なら、誰かの相談を受けたり、支援することは医師にしかできなくなってしまいます。これはクレイジーでしょう。
でも実際は・・・
法的には精神保健福祉士は医師とは指導関係にあります。
けれど、例えば同じ病院内で働く医師と精神保健福祉士であれば、上下関係や暗黙の了解があったりして、実質は指示関係ということがあるでしょう。
特に、個人経営の診療所やクリニックで、主治医が経営者であれば尚更です。
現場やリアルというものは、いつもキレイにはまとまっていません。矛盾があるものです。
こういった現場でどのように立ち回るのかが、精神保健福祉士・PSWとしての腕の見せ所となります。(私もまだまだ勉強中です)
まとめ
というわけで、精神保健福祉士と医師の関係について再度まとめます。
だからといって、反発すれば良いというのではありません。
主治医の意見を参考にしながら、精神保健福祉士として支援を独自に考えていこうということです。
公益社団法人日本精神保健福祉士協会のHPでもこのように明記されています。
精神保健福祉士は医療職ではありませんので、医師の指示によって業務を行うものではありません。ただし、「主治医がいれば、その指導を受けること」も精神保健福祉士の義務として定められています(同法第41条第2項)。つまり、主治医の意見を聞き、指導を受けますが、精神保健福祉士として独自の専門的な視点に基づく判断と、それによる支援を行う職種となります。
引用元:公益社団法人日本精神保健福祉士協会HP
あと、「医師」と「主治医」の違いもチェックポイントです。
利用者さんや患者さんの主治医ではない医師からは、指導される法的根拠もないということです。(そりゃそうですよね)
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