
MHSW?何の略?

メンタルヘルスソーシャルワーカーだ。
どうも!社会福祉士・精神保健福祉士のぱーぱすです。
精神保健福祉士の略称は今まで「PSW」でした。厳密には精神保健福祉士≠PSWなんですけど、日常会話レベルではだいたい同じ意味で通すことができたのです。

すでに日本精神保健福祉士協会の英語表記は、これまでのJAPSWからJAMHSWに変わっています。
2020年 第8回定時総会において英語による表記及び略称を「Japanese Association of Mental Health Social Workers」及び「JAMHSW」に変更(6月21日付)
引用元:日本精神保健福祉士協会 協会の概要
日本精神保健福祉士協会のホームページアドレスも「jamhsw」で始まるように変わっています。徹底してますねえ。
JAMHSWの新会長も「本協会は、昨年の総会で本協会名の英語表記の一部について、長年親しんだ『Psychiatric』を『Mental Health』へと変更いたしました」とあいさつしています。
この変更によって、今後、精神保健福祉士の略称は「MHSW」として広まっていくと思われます。
となると、精神保健福祉士の皆さまはPSWと名乗っていると

MHSWじゃないんですか?
と突っ込まれかねない世の中に変わってきているということです。
ですが、そもそもなぜMHSWに変えたのでしょうか?PSWのままではいけなかったのでしょうか?
MHSWへの名称変更にはさまざまな議論がありました。賛成派・反対派の意見をみていきましょう!
精神保健福祉士の略称がPSWからMHSWに変わった理由
名称変更議論のポイントは2つです。
議論のポイント
- 「PSW」という呼称は世界スタンダードでは無い
- 精神保健福祉士への役割期待が広がっているし、現に職域が拡大している。「PSW」では精神科限定になってしまう。
反対派の意見
名称変更に反対の意見を無理やりまとめるとこのようになります。
- PSWの名称を使い始めた当初から、職域は精神科の医療機関だけではなく、施設職員等も含んでいた。いま職域が拡大したからと言って名称を変える必要は無いのでは。
- 精神医療と切り離せない対象者を考えると、精神医学、精神科を示すPを切り離せないのではないか。
- 誰にも受け入れられやすい言葉に変えることで、専門職としての使命感を希薄化させ、重い苦しみを背負っている人が置き去りにされはしないか。
詳細に知りたい方は以下のPDFをご参考ください。PSWのPに込められた意味は、とても重いことが伝わってきます。
PSW通信:PSWという名称を考える 日本精神保健福祉士協会の英語名称の変更についての提案
賛成派の意見
対して、名称変更に賛成派の意見を無理やりまとめるとこのようになります。
- 「PSW」は日本では馴染み深い表現だが、世界では「SW」がスタンダード。国際会議の場では、PSWでもSSWでもMSWでもなく、「I’m a Social Worker from Japan」の方が通る。
- 支援対象が様々なメンタルヘルス課題を持つ人々となっている。Psychiatricと言うよりMental Healthと言った方がしっくりくる。
- 日本社会で「メンタルヘルス」という用語が普及してきている。社会と人々のメンタルヘルスの課題にかかわるソーシャルワークが精神保健福祉士の仕事である、という理解を定着させることは、社会的に意義が大きい。
私が最も説得力を感じたのは、MPSセンター副センター長で精神保健福祉士の佐藤恵美氏の意見です。
我々がどう呼ばれたいかではなく、どの名称を使うことが「誰にとって」「どのように役に立つのか」と考えるべきではないだろうか。もはや、こころの健康問題とは、精神障がい者だけを対象とせず、予防的観点も含めてすべての人の課題であり、また、職域・地域社会の課題であることをも意味する。とするならば、それらの概念を包含し、多くの人に受け入れられやすい「MHSW」という名称への変更は、国際的通念という観点のみならず、大きな意義があるのではないだろうか。
引用元:PSW通信:PSWという名称を考える 日本精神保健福祉士協会の英語名称の変更についての提案
そういえば佐藤恵美氏は著書「もし部下が発達障害だったら」を出版していて、このブログでも紹介したことのある方でした。
なお、今回の名称変更の妥当性については、名古屋市立大学院の樋澤吉彦教授の論文がとても詳しいのでオススメです。
https://www.jssw.jp/conf/68/pdf/E07-22.pdf
本報告の当面の結論として述べることができる点は、P法制定時の経緯とともに社会福祉士との住み分けの課題、また「審議会」における精神保健相談員との住み分けの課題を棚上げしたまま、現時点におけるPSWの活動を表すのであれば、「MHSW」の略称は正しい、ということである。
引用元:日本精神保健福祉士協会による “Psychiatric Social Worker” から “Mental Health Social worker” への名称変更提案の『根拠』の妥当性 : 『精神保健福祉士法』制定時の議論の整理を通して 樋澤吉彦(2020)
私の雑感
PSWからMHSWへの略称変更はまだまだ定着していません。現場の精神保健福祉士も「え?MHSWって何?」と答えるくらいです。定着するには時間かかるだろうなあ・・・。
そもそも「PSW」という呼称が社会的にどれだけ認知されていたのか?正確な統計はありませんが、福祉業界のなかですら「PSW」と言っても伝わらないことがあるくらいなので、まだまだこれからだったと推測します。
ちなみに「メンタルヘルス」で思い出すのは「メンヘラ」
「メンヘラ」というのは造語ですが、一般的に「メンタルヘルス(心の健康)になんらかの問題を抱えている人」を指す言葉になっています。参考:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』メンヘラ
今後、MHSW(メンタルヘルスソーシャルワーカー)が定着していけば、略称はどうなるでしょうか?
まさか「エムエイチエスダブリュー」なんて言い方はしないでしょう。噛んでしまいます。
「エムエイチ」だと言いにくい。これも噛みそうです。
「エムエス」だとMSWとダブってしまいます。
もっと略して「エム」。・・・なんだかマゾみたいですね。ちょっと困ってしまいます。
となると「メンヘル」でしょうか?ですが一文字違えば「メンヘラ」です。

俺はメンヘル!

え?メンヘラ??
・・・すみませんでした。
なおwikiによると、「メンヘラ」はもともと「メンヘル」だったそうです。
ともあれ、略称が変わっても、精神保健福祉士はソーシャルワーカーであることに変わりはありません。仕事が変わるわけでもありませんし、焦ったり慌てる必要もないのです。
ひとまずこのブログでは様子を見ながらPSWとMHSWを使い分けていこうと思っています。ご理解いただけると幸いです。
以上、精神保健福祉士の略称がPSWからMHSWに変わった理由という話題でした!
なお、精神保健福祉士は通信講座で取得できます。ご検討の方はこちらも参考にしてみてくださいね。
精神保健福祉士 通信講座を比較
社会人で精神保健福祉士をめざす方には、こちらが役立つでしょう。精神保健福祉士は社会人から目指す方が多いですし、どんな寄り道・回り道の人生経験も活かせる仕事です。
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