
地域活動支援センターとデイケアって何が違うん?

違いについて、5つに絞って解説しましょう!
こんにちは!社会福祉士・精神保健福祉士のぱーぱすです。現場経験は10年以上です。
地域活動支援センターと精神科デイケアは、次の5つで違います。
5つの違い
- 利用人数
- 誰が利用を決めるか
- 利用料
- 職員配置
- 利用時間
ただし地域活動支援センターと精神科デイケアには共通点も多いです。
では、シンプルに解説していきます!
地域活動支援センターと精神科デイケアの違い5つ|精神保健福祉士解説
地域活動支援センターにも精神科デイケアにも個性あり
まず大前提ですが、各地域活動支援センターにも各精神科デイケアにも、それぞれ独自色があります。
いわば、個性があるわけです。同じものはないんですね。
例えば、セブンイレブンのように、
- 全国ほとんど同じ商品
- 同じコンセプト
- 同じ制服
とはいきません。

あの地域活動支援センターとこの地域活動支援センターは全然違う・・・
というのはよくあることです。
さらに深掘りすると、地域活動支援センターには、Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型という3つの型があります。しかも同じ型のなかでも、それぞれの地域活動支援センターでの独自カラーもあります。
一方で、精神科デイケアについても、利用時間に応じてショート・ケア、デイ・ケア、ナイト・ケア、デイナイト・ケアがあり、小規模と大規模に分かれます。
そして、それぞれの精神科デイケアで独自カラーもあります。
≫参考:厚生労働省 精神科デイ・ケア等の区分と診療報酬について
それゆえ地域活動支援センターと精神科デイケアは、より一層ちがいがわかりにくくなっています。
地域活動支援センターと精神科デイケアの共通点
では、上記のような個性・型などの違いを、ひとまず横に置いておいて・・・。
共通点をリストアップします。
地域活動支援センターと精神科デイケアの共通点 | ||
通所施設? | YES(入所ではない) | |
日中に行く所? | 利用の仕方や各機関によって違う(夜があることも) | |
土日祝は? | 各機関によって違う(地域活動支援センターの土日祝開所率は6~7割) | |
稼げる? | ケースバイケース(作業・内職があったり無かったり) | |
集団で交流ある? | ある | |
レクとかプログラムは? | それぞれが独自設定 | |
食事は? | 多分ある(食事代は実費負担の傾向) | |
食事作りは? | 活動の一環になっているかも(買い物含む) | |
職員に相談できる? | できる | |
居場所になる? | なる(そういう機能期待がある) |
こんなに共通点があります。
だから、地域活動支援センターと精神科デイケアって、同じような感じがしちゃうんですよね。
※私の経験によるところが強いので、例外はあります
地域活動支援センターと精神科デイケアの違い5つ
では、違いは何でしょうか?大きな点を5つ絞ってお伝えします。
5つの違い
- 利用人数
- 誰が利用を決めるか
- 利用料
- 職員配置
- 利用時間
違い① 利用人数
- 10~20人以上
(類型による)
- 20~70人
(利用時間・規模による)
利用人数については、地域活動支援センターは下限設定があり、精神科デイケアは上限設定があるんですね。
このように見ると精神科デイケアの方が多人数に見えてきますが、実際には見学などをしてみないとわかりません。
なぜなら、数名(20名以下)しか利用していない精神科デイケアがよくある一方で、
多人数でにぎわっている地域活動支援センターもあるからです。
違い② 誰が利用を決めるか?
- 利用者と地域活動支援センターが契約、自治体が認可
- 主治医
結論としては、地域活動支援センターは、利用者と地域活動支援センターが利用契約を結んで始めることになります。
それを自治体(市区町村)が受け付けて、利用許可がおりるという流れですね。
なんとなく、対等な感じが伝わるかと思います。利用目的は双方で話し合いながら整理していくことが多いでしょう。
一方、精神科デイケアは精神科専門療法の1つであり治療の一環です。したがって、利用するには主治医の指示箋が必要です。
医療では『医学モデル』で患者さんや障害をみることが多いでしょう。『いかに患者さんの課題・問題を解決するか』という視点なんですね。
≫参考:医学モデルと社会モデル
医学モデルでは、病気(課題)の治療(解決)というのが基本原理です。
なので、デイケアの利用目的は医師や職員側が『体調や病状の安定』に設定する傾向があるでしょう。
下記の統計は、精神科デイケアの実態を知るのにとても参考になります。
≫参考:厚生労働省 精神科デイ・ケア等について
違い③ 利用料
- 原則無料(食費等はかかる傾向)
- 原則、保険適用なら3割負担
- 自立支援医療(精神通院医療)の適用で自己負担は1割or負担上限額
利用料は、地域活動支援センターの方が安い場合が多いでしょう。
ただし各自治体によって違いはあるでしょうから、「概ねこのようだ」でご理解くださいね。
≫参考:厚生労働省 自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み
違い④ 職員配置
- 地域生活支援事業等の実施について(通知)で決まっている
- 無資格者がいる場合あり
- 特掲診療料通知で決まっている
- 精神科医が必ずいる
- 原則、職員は何らかの有資格者
地域活動支援センターは類型によって職員配置が決まっています。
≫【比較解説】地域活動支援センターの類型【Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型】の違い
精神科デイケアの職員配置はこちらがイメージしやすいですね。
精神科医は必ず配置。
そのほか、利用者数に応じて下記の職種が配置されることになります。
- Ns(看護師)
- 准看護師
- PSW(精神保健福祉士)
- 公認心理士
- 栄養士
- OT(作業療法士) など
≫参考:特掲診療料通知(令和2年3月5日発)
精神科デイケアで特筆すべきは、精神科医が必ずいるということ。
したがって精神科デイケアは、地域活動支援センターよりも医療的なケアに強いわけです。
対して、地域活動支援センターでは職種の指定はゆるく、雇用形態(常勤)の指定があるくらいです。
専門職員(精神保健福祉士など)の配置が決まっているのは、Ⅰ型(1日平均20名以上が利用)の地域活動支援センターだけです。
≫参考:地域生活支援事業等の実施について 改正通知 令和4年3月30日
結論を繰り返すと、次のようになります。
- 精神科デイケア → 有資格者を配置している
- 地域活動支援センター → 色んな職員(無資格含む)が配置されている
地域活動支援センターの職員配置には、脆弱さという課題があります。
違い⑤ 利用時間
- わりと自由
- 融通がききにくい
どうしてこのような違いがあるのか?理由はいくつか考えられますが、例えば次のことが影響しているでしょう。
- 利用料が決まるしくみ
- 心身の状態を改善することの優先順位
地域活動支援センターの利用時間
地域活動支援センターはわりと自由に出入りしやすい傾向です。
地域活動支援センターの実施主体は、自治体(市区町村など)です。ただし業務については民間法人などへ委託(お任せ)されていることが多いです。
地域活動支援センターは、『利用者が来所すれば利用扱い』です。短時間利用でも長時間利用でも、地域活動支援センターの事業収入に変わりはないです。
したがって利用者さんが、ちょっとだけ通所して雑談だけして帰るとか、仕事後等に立ち寄るといった利用をしても、事業者としては経営上の影響をほとんど受けません。
ただし、利用の仕方は利用者さんと支援者で相談して決めるので、個別の違いはあります。
例えば、就職に向けて等の目標で利用するなら、決まった時間通りに通所することを目指したりしますね。
精神科デイケアの利用時間
精神科デイケアは、利用時間(始まりと最後)がしっかり決まっていることが多いです。
いいかえると、融通はききにくい傾向です。
背景は診療報酬体系のあり方。精神科デイケアは、長時間利用してもらった方が収益になるしくみです。
≫参考:診療報酬の算定方法の一部を改正する件(告示) 令和2年 厚生労働省告示第57号 第8部 精神科専門療法
地域活動支援センターと違って、利用時間に応じて収入が変わってしまうんですね。
ただし治療的な意味合いもあります。利用時間がハッキリ決まっていることで、規則的な生活につながり、病状の安定を促す効果があるんですね。
最後に
地域活動支援センターと精神科デイケアには共通点が多いです。
どちらの利用が向いているかはケースバイケースですし、医療機関や支援者と相談してすすめていくことになるでしょう。
利用目的を整理したうえで、併用している方もいます。
進化の歴史上、人は一人では生きていけないし、本能的に人との関わりを求める生き物です。
孤立はさまざまなリスクにつながります。利用目的をよくよく考えることも大切ですが、通う場所があること自体が救いになると思うんですね。
この情報があなたのお役に立てたなら幸いです。
以上、地域活動支援センターと精神科デイケアの違い5つ|精神保健福祉士解説という話題でした!
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