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福祉職の思考・スキル

家庭訪問か、来所面接か|ソーシャルワーカーが「場所」で支援を考える理由

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家庭訪問にするか、来てもらって面接をするか。
ソーシャルワーカーであれば、一度は迷ったことがあるテーマではないでしょうか。

「どちらが正解か」という話ではありません。
同じ相談内容でも、どこで話をするかによって、面接の空気も、関係性も、出てくる話も変わります。

この記事では、社会福祉士・精神保健福祉士として、児童相談所や相談支援の現場で働いてきた経験をもとに、
家庭訪問と来所面接の違いを、「支援技法」ではなく「場所」という視点から整理してみます。

筆者:ぱーぱす(社会福祉士・精神保健福祉士)
自治体で働くソーシャルワーカー。児童相談所などでの実務経験をもとに発信。
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結論|家庭訪問と来所面接は「役割」と「関係性」が変わる

結論から言うと、
家庭訪問か、来所面接かで、支援の中身はほぼ確実に変わります。

それはスキルの差ではなく、
「どちらの領域で話をしているか」という構造の違いです。

どちらが常に正しい、という話ではありません。
性質の違いを理解した上で、目的に合わせて選ぶ。
そこに、ソーシャルワーカーの専門性が表れると私は思っています。

家庭訪問と来所面接の基本的な違い

「どこで話をするか」という点で見ると、選択肢は大きく二つです。

  • 相手の家に行く(家庭訪問)
  • こちらの事業所・センターに来てもらう(来所面接)

Zoomなどのオンライン面接もありますが、今回は一旦置いておきます。

この二つは、単なる場所の違いではありません。

「来てもらう」面接が持つ意味

例えば、児童相談所が虐待から守るため職権で一時保護をしたあと等、
介入的な対応が入っている場面では、「来てもらう」ことが重要になるケースが多いと感じています。

「どちらが望んでこのやりとりをしているのか」という視点で見ると、

  • 困りごとがあって支援を求めている側
    来てもらう

この形には意味があります。

困りごとを「相手に置く」意識づけになるからです。
支援者が問題を肩代わりするのではなく、一緒に考える
そのプロセスをつくるうえで、「出向く」という行為自体が役割を持ちます。

「来てください」が生む立場意識

警察の取調べや病院を想像すると、わかりやすいかもしれません。

  • 警察署に来てください
  • 病院に来てください

多くの人は、「行かないといけない」と感じます。
そこには自然と、緊張感やかしこまりが生まれます。

来る側は、無意識のうちに「お客さんとしての役割」を背負います。
この関係性の作られ方も、場所の影響です。

気持ちの切り替えが起こるかどうか

家庭訪問の場合、
ついさっきまでYouTubeでドラゴンボールやワンピースを見ていたところに、ピンポーンとこちらが来る。

これが家庭訪問です。

一方、来所面接では、

  • 電車に乗る
  • 車を運転する
  • 歩いて向かう

その移動時間があります。

この「間」に、気持ちの切り替えが起こります。
服装を整え、外に出る。
それだけで、自然とスイッチが入る人も多い。

面倒くささも含めて、切り替えが起こる。
だからこそ、面接の中身も変わってくるのだと思います。

家庭訪問という「相手の領域」に入る支援

家庭訪問は、住人としては極端に言えばパジャマでも対応できます。
むしろこちらが「お邪魔します」と低姿勢になる。

これは、相手の領域に入っていく支援だからです。

その分、

  • 周囲の家庭状況への配慮
  • 同性かどうか
  • 年齢構成
  • トラブルリスク

など、細心の注意が必要になります。

来所面接のほうが、内容は公式で社会的になりやすい。
家庭訪問は、プライベート性や秘密性が高くなり、公式感が薄れる
これは良し悪しではなく、性質の違いです。

家庭訪問が必要になる場面も確実にある

もちろん、家庭訪問が必要な場面もあります。

精神疾患や障害があって、外に出られない人。
話したい気持ちはあっても、来所が現実的でない人。

私は精神障害分野の相談支援事業所で働いた経験がありますが、
当事者の方にとって「外に出る」という行為が、どれほど大きなハードルかを痛感しました。

それは怠けではありません。

  • 服装を整えるだけで精一杯
  • 外に出ると不安が強くなる
  • 幻聴や幻覚に襲われる

移動だけで限界、という人もいます。
そうした場合、家庭訪問は話すため、関係性をつくるために必要な支援手段でした。

児童相談所における家庭訪問の現実

一方の児童相談所では、家庭訪問は介入の場面になりやすく、
そこでは交渉が発生することも多いです。

介入される側、虐待を疑われていると感じている側からすれば、

「お前らと話したくねえ」

という気持ちが出るのも自然です。
(実際、言葉にする人は少ないですが)

だから、

  • 「こんな時間に来るなんて非常識だ」
  • 「忙しくて話せない」
  • 「土日じゃないと無理」
  • 「夜10時ならいい」

と条件を出して、面談自体を避けようとする。
あるいは連絡に出ない。

そういう人ほど、「じゃあ来てください」が通りにくい。
ただし、児童相談所の本気度や、避けられない状況だと悟った保護者は、腹を決めて昼間に来所することもあります。

結果として、
「来られない」という話は、”やはり方便だったのか”とわかる場面も少なくありません。

家庭訪問がもたらす「距離の近さ」

家庭訪問は、関係性を作るという意味では効果があります。

大人になると、家の中に他人を入れる機会は意外と少ない。
友達や恋人、家族。せいぜいそのくらいではないでしょうか。

だからこそ、

  • 距離が縮まる
  • 本音が出やすくなる
  • 素の顔が見えやすくなる

という側面があります。

一方で、日常の延長線上にあるからこそ、
客観性が保ちにくいというデメリットもあります。
日常を振り返りにくい、気づきを得にくいということです。

児童相談所の来所面接が子どもに与える意味

児童相談所の支援では、
親子関係に課題があり、親子のやりとりが乏しい家庭も多い。

そうした場合、あえて来てもらうことにも意味があります。

きょうだいが多い家庭では特に、
親と子が一対一で過ごす時間は少ない。

  • 一緒に来る
  • 移動する
  • 待つ
  • 面接を受ける

これは、子どもにとって
「親が自分に時間を割いている体験」になります。

プラスばかりではありませんが、
記憶に残りやすい体験になるのも確かです。

手法を選ぶこと自体が専門性

いろいろ整理してきましたが、
まだまだ「来てもらう面接」か「家庭訪問」かによる違いは、他にもあると思います。
今回は、今の自分が考えていることをざっと整理しました。

私たちがソーシャルワーカーとして、
社会福祉士・精神保健福祉士として相談支援を行うとき、

  • 家庭訪問にするのか
  • 来所面接にするのか

その選択自体が、専門的判断でしょう。

どちらが正しいかではありません。
性質の違いを理解したうえで選ぶ。

医者が薬を選ぶように、
薬効や副作用を理解したうえで処方するように。

今回の処方箋は、家庭訪問。
今回の処方箋は、来所面接。

そんな感覚で、手法の選択を磨いていけたらより良い支援ができると思っています。

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家庭訪問か、来所か。
これは支援手法の一つの話ですが、ケースを引き継いだとき、クライエント側も、引き継いだこちら側も戸惑うことがあります。

例えば、
前任者は家庭訪問をしていたが、引き継いだこちらとしては、来所のほうが適切だと判断した。
そうして方針が変わり、家庭訪問ではなく来所を提示する。

そのとき、クライエントからすれば、

「前の人は来てくれたのに」
「私は行けない」

など、さまざまな抵抗や心理的な揺さぶりが生じることがあります。

ケースの引き継ぎは、まるで他人の家に暮らすようなもの
そのむずかしさと心得について語った記事です。

児童福祉司をはじめ、ソーシャルワーカーは、事実を積み上げる仕事です。
一次情報に触れてこそ、適切なアセスメントができる。私はそう考えています。

そうすると、家庭訪問は一度はしておいたほうがよい、というのが私の考えです。
なぜなら、相手の言葉ややり取りだけでは見えてこない家庭での生活を、視覚的に補うことができるからです。

  • 家で何が起きているのか。
  • どのような生活をしているのか。
  • 整っているのか、散らかっているのか。
  • 利便性はどうか。
  • 近隣環境はどうか。

それまで知りもしなかった事実が、そこにあることも少なくありません。

家庭訪問か、来所か。
端的な違いとして挙げられるのは、「移動時間」をどちらが負担するかという点でもあります。

結局のところ、児童相談所の児童福祉司の仕事で、多くの時間を占めるのは移動時間です。
これは、私たちの仕事を悩ませ、圧迫する一つの要素でもあります。

ただし、時間的負担だけを理由に来所面接を選ぶのは違うと私は思います。
実際、多くのケースワーカーが家庭訪問をしているからこそ、移動時間は長くなっているのです。

この記事を書いた人
ぱーぱす

自治体で働く社会福祉士・精神保健福祉士|現場経験15年、地域・医療・行政の3つの立場を経験。ブログ歴6年、記事約370本。福祉職のキャリアや生活に役立つ実践的な情報を発信しています。

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