ケースワークでは困りごとがつきもの。困っている人を支援するのだから当たり前ですね。
作業所でも、デイケアでも、相談支援事業所でも、高齢分野でも、
利用者さんや患者さんにたいして
- どうしたら良いんだろう?
- どう言ったら良いんだろう?
- 〇〇と言われたらどう答えたら良いんだろう?
このように不安に思うことがあると思います。
けれど辛いのですが、ケースワークには正解は無いように思います。
例えば作業所(就労継続支援事業所など)で、

自分のラーメン屋を開きたいです!
と言う利用者さんがいたとき。(かなり極端な事例で、情報不足すぎな話ですが)
例えば次のような応え方があると思います。
こんな応え方があるかも
- とにかく応援する
- 「うまくいかなかったらどうするの?」と心配する
- 利用者さんのアセスメントをする
- ラーメン屋をひらきたい理由をもっと聞く
- ラーメン屋を開くために必要なことを一緒に調べたり考える
- 「あきらめた方が良い」と言う
じっさいは、それぞれをミックスしたり、もっと違う道もあるはず。それこそ、支援者の数だけあるかもしれません。
例えば、応援すれば利用者さんは喜んでくれるかもしれません。「言ってるだけだろうから」と、その場を気分よくまとめる方もいるでしょう。
「もし本当にチャレンジして破綻したら大変だ」と思っている方は、慎重な反応をするかもしれません。
「あきらめた方が良い」と頭ごなしに言う人は少ないでしょうけれど、これをすぐに言っては支援関係はオシマイになってしまうかもしれません。でも、アセスメントしたり、一緒に調べたり悩んだりした結果に出た言葉なら違った重みが出てくるかもしれません。
そもそも「ラーメン屋をひらきたいという希望は、作業所として支援できることなのか?」という疑問をいだく人もいるかもしれません。
ここで私がお伝えしたいのは、どれが正解かという話ではなくて、ケースワークに妥当な道はあっても正解は無いのではないかということです。
この仕事を10年やって、20年やって、おじいさん・おばあさんになっても・・・
きっと、「絶対の自信」をもったケースワークができることは無いのではないでしょうか。

こまったこまった・・・
どうしたら良いですかセンパイ!

そういう時は・・・
職場にやさしい先輩や上司がいて
「〇〇って答えたら良いよ」
「そういうときは○○すると良い」
「〇〇って言うと良いんじゃないかな」
と、”答え”を教えてくれるかもしれません。
“答え”をもらえたら「そうなんだ!」と、安心して取り組めるかもしれません。
けれど、その”答え”は正しいのでしょうか?
それ以外の方法や応え方や道は無いのでしょうか?
先輩といえども、上司といえども、一人の人なので、いろいろ考えて導き出した「1つの答え」でしかないかもしれません。
私自身も現場で後輩から「どうしたら良いか?」を聞かれることがありますし、このように不安になったり聞くのは自然なことだと思います。
日本の教育は知識のつめこみ型。先生の出す問題には正解があるもの。
社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験も選択問題ですね。
明らかな正解と、明らかな間違い。
この2択のなかで長く過ごしてきた方にとって、福祉の現場というのは、あまりにも混とんとしているのかもしれません。
けれど、このように偉そうに言う私自身、社会福祉士・精神保健福祉士として仕事をはじめた頃は「どうしたら良いですか?」と聞いて回っていた者です。
利用者さん・患者さんと話すなかで”答え”の方向性を探ってみたり、「このケースワークの目的地はどこか」を意識するようになって、
目的地に向かうために、その場その場での「どうしたら良いか」「どう答えたら良いか」がおのずと導かれるようになってきたと思います。
正解の無いことに、答え続ける。
おそらく多くの方がつきあたるケースワークの苦しみだと思います。
一朝一夕ではできないことですが、あきらめず経験を積むうちにクセづいてできるようになっていくはず。
ここまで読んでおられる方は、この悩みのわかる方だと思うので、きっと達成されるでしょう。
これから福祉の仕事をする方、ケースワークにとりくんでいる方、ともにがんばりましょう!
余談
ケースワークに正解は無い理由の1つは、人の人生に正解が無いから。
支援を通して得たこの気づきは、私の人生にまで影響するようになりました。
あたり前なんですが、自らの人生にも正解は無いということです。
既存の価値観や生き方、ライフスタイルにしばられず、「どう生きたいか」を考えて過ごす日々。なかなか刺激的で楽しいものです。
これも「社会福祉士・精神保健福祉士になって良かった」「ケースワークをしてきて良かったなあ」しみじみと思うところだったりします。
以上、ケースワークに妥当な答えはあっても正解は無いだろうという話題でした!
コメント