
精神保健福祉士っていじめられてる子を救う仕事?
こうした疑問のあるあなたへ。
この記事の要点
- 『精神保健福祉士』が主に支援するのは精神疾患・障害のある人
- 『スクールソーシャルワーカー』が支援するのは、子どもの問題全般(いじめ含む)
- 『スクールソーシャルワーカー』になるには『精神保健福祉士』か『社会福祉士』の資格を取ると有利

わたしは社会福祉士・精神保健福祉士で、現場経験は10年以上です。
精神保健福祉士はいじめを救う専門職なのか?
答えはNO。精神保健福祉士がメインで支援するのは、精神疾患・障害のある方です。
ただし、精神保健福祉士資格を採用要件とする傾向の『スクールソーシャルワーカー』になれば、いじめられている子を支援することがあるでしょう。
・・・もしかしたらあなたは、「精神保健福祉士といじめについて知りたいのに、どうして『スクールソーシャルワーカー』の話をされるんだろう?」と、ギモンに感じたかもしれません。
このギモンを残したまま精神保健福祉士をめざすと「思っていた仕事じゃなかった・・・」と後悔しかねません。
あなたのギモンを解消できるよう、解説していきますね。
精神保健福祉士はいじめを救う仕事?スクールソーシャルワーカーとは
精神保健福祉士(MHSW)は誰を支援する?
精神保健福祉士の支援対象は、精神疾患や精神障がいのある方です。そうした方の生活のし辛さを支援する仕事です。
つまり、いじめとはあまり関係ない資格です。
ただし、例えば子どもの頃にいじめを受けた人が、大人になってうつ病になったりすることはあります。
そうした場合は、精神保健福祉士として関わることになりますね。
いじめられた経験があるという方は、その経験を活かせる専門職ともいえます。
けれど精神保健福祉士は、いじめの問題を直接扱うわけではないです。
スクールソーシャルワーカーは誰の何を支援する?
スクールソーシャルワーカーの支援対象
- 問題や課題を抱えている児童、保護者、学校など
具体的に扱う内容は次のとおり。
扱う内容
- いじめ
- 不登校
- 日常生活の悩み
- 暴力
- 虐待 など
つまり、スクールソーシャルワーカーはいじめ問題以外も支援対象なんです。

いじめられてる子だけ支援するわけじゃないんやな
もしかしたらあなたは、いじめだけを支援するわけではなくて、ちょっと残念だったかもしれません。
けれど、子どもはいじめ以外にも様々な事情で困っています。
そうした状況に手を差しのべられるのは、『スクールソーシャルワーカー』です。
スクールソーシャルワーカーの仕事内容&働く場所
スクールソーシャルワーカーが働くのは、小学校、中学校、高校などです。
日々は、校内を巡回したり、校内の様子を観察したり。
ゴミの散乱状況、靴箱の状況、学校備品などの破損状況などもチェックします。
授業の参観や定例会議等に参加して、学校の状態やニーズを把握したり、学校をアセスメントすることもあります。
スクールソーシャルワーカーは、子どもの相談だけでなく、保護者の相談にも応じます。
また応じるだけでなく、必要なら直接出向き、支援することもあります。
いわゆるアウトリーチと呼ばれ、面接を主軸としたスクールカウンセラー(SC)は通常とらない手法です。
スクールソーシャルワーカーは、担任・養護教諭・スクールカウンセラー(SC)と情報共有したり、関係者から聞き取り等を行い、校長に報告・相談したりと、連携しながら進めます。
SSWの職務
①不登校、いじめ等の未然防止、早期発見及び支援・対応等
(ア)地方自治体アセスメントと教育委員会への働き掛け
(イ)学校アセスメントと学校への働き掛け
(ウ)児童生徒及び保護者からの相談対応(ケースアセスメントと事案への働き掛け)
(エ)地域アセスメントと関係機関・地域への働き掛け
②不登校、いじめ等を学校として認知した場合又はその疑いが生じた場合、災害等が発生した際の援助
(ア)児童生徒及び保護者との面談及びアセスメントから見直しまで
(イ)事案に対する学校内連携・支援チーム体制の構築・支援
(ウ)自治体における体制づくりへの働き掛け
引用元:文部科学省 スクールソーシャルワーカー活用事業に関するQ&A 文部科学省初等中等教育局児童生徒課 令和4年2月
詳しく知りたい方は、文部科学省 児童生徒の教育相談の充実について(報告)もご覧くださいね。
あなたがスクールソーシャルワーカーになれば、困っている子どもたちを救うことができるはずです。
スクールソーシャルワーカーになるには?|社会福祉士か精神保健福祉士が採用で有利
スクールソーシャルワーカーになるには、社会福祉士か精神保健福祉士の資格があると採用で有利です。
スクールソーシャルワーカーがもっている資格の内訳は、次の図のとおりです。
社会福祉士と精神保健福祉士が増えていますね。
これは不思議なことではなくて、名称から考えて自然の成り行きなんですよね。
日本語 | 英語 |
社会福祉士 (ソーシャルワーカー) | Social Woker |
精神保健福祉士 (メンタルヘルスソーシャルワーカー) | Mental Health Social Worker |
スクールソーシャルワーカー | School Social Woker |
社会福祉士は、その資格名自体がソーシャルワーカー。
精神保健福祉士は、メンタルヘルス領域のソーシャルワーカーという意味なんですね。
スクールソーシャルワーカーの成り手として注目されるのは、自然なことです。
スクールソーシャルワーカーの専門性
スクールソーシャルワーカーは、子どもの代わりに問題を解決する仕事ではありません。
児童の力をひきだし、自ら解決できるように支援したり、環境が児童に合うように調整するのが役割です。
この、問題解決の代行はしないというのが、社会福祉士や精神保健福祉士らしさなのです。
問題解決を代行すれば、その時、一時的には良いかもしれません。
けれど、子ども自身の問題解決能力が育ったり、環境が良くなったわけではないですね。
「誰かの支援がずーっと必要な子ども」になってしまいます。
例えば、親が子どもの着替えを手伝えば、その時はすぐに終わるかもしれません。
けれど、子ども自身で着替えるように関わらないと、いつまで経っても自分で着替えられないままです。これでは親から自立するのが難しくなります。
支援にも同じことがいえます。
問題解決の代行は自立をめざした関わりではなく、その場しのぎの対処療法だったり、職員自身の自己満足な関わりということがよくあるのです。
※緊急的に代行することはあります
スクールソーシャルワーカーの平均年収は?
スクールソーシャルワーカーの平均年収は、雇用形態によって大きく違います。
スクールソーシャルワーカーは、正規職員については高給です。
精神保健福祉士の平均年収は404万円ですが、60万円程も上回っています。
でも、平均年収が305万円となっている理由は、スクールソーシャルワーカーの採用では正規職員が少ないからです。
9割以上が非正規雇用なんですね。
このことを問題視する社会福祉士や精神保健福祉士の職能団体が、スクールソーシャルワーカー待遇改善の要望書を国に出しています。(グッジョブです!)
≫参考:日本社会福祉士会 要望書 子ども政策担当大臣あて(PDF)
スクールソーシャルワーカーの需要は高まっていますので、雇用上の課題は今後解消されていく可能性はあります。
でも、こうした課題はすぐには解決しないものでもあります。
スクールソーシャルワーカーの年収でも生計を立てられるように、算段しておきましょう。
やっておいた方が良いことは、「お金の貯め方・増やし方TOP13【社会福祉士・精神保健福祉士向け】」にまとめてあります。
あなたがスクールソーシャルワーカーになるには?
あなたがスクールソーシャルワーカーになって、いじめられている子を支援するには、次のルートが定番でしょう。
スクールソーシャルワーカーになるには
- 『社会福祉士』か『精神保健福祉士』をとる
※どちらか迷ったら『社会福祉士』がオススメ - 『スクールソーシャルワーク養成課程』を修了する
- スクールソーシャルワーカーの選考を受けて、採用される
②と③は前後可能です。
まずは『社会福祉士』か『精神保健福祉士』をとる
スクールソーシャルワーカーになるには、社会福祉士か精神保健福祉士を取ると有利です。
理由は、スクールソーシャルワーカーを雇用するのは、主に都道府県・市町村の教育委員会なのですが
教育委員会の元締めである文部科学省が、スクールソーシャルワーカーの任用について次のように答えているからです。
社会福祉士や精神保健福祉士等の福祉に関する専門的な資格を有する者から、実施主体が選考し、スクールソーシャルワーカーとして認めた者とする。(中略)
なお、採用に当たっては、資格を有していることのみをもって判断するのではなく、面接等を通じ、候補者の学校現場での活動実績等についても十分に踏まえた上で選考していただきたいと考えております。
引用元:文部科学省 スクールソーシャルワーカー活用事業に関するQ&A 文部科学省初等中等教育局児童生徒課 令和4年2月
つまり、「社会福祉士か精神保健福祉士であれば、スクールソーシャルワーカーとして優先的に採用しますよ」という話です。
それぞれの資格のとり方や、「どちらを取ったら良いか?」というギモンについては、下記3つの記事が参考になるでしょう。
社会福祉士・精神保健福祉士になるには
せっかく精神保健福祉士を調べてこの記事にきてくださいましたが、どちらを取るか迷ったら『社会福祉士』がオススメですよ。
『スクールソーシャルワーク教育課程』を修了する
スクールソーシャルワーカーには専門的な知識・技術が必要です。
そこで、『スクールソーシャルワーク養成課程』という専門課程ができました。
スクールソーシャルワーク教育課程は、スクールソーシャルワーカーとしての能力を示す証として、日本ソーシャルワーク教育学校連盟(JASWE)が認定しています。
スクールソーシャルワーク教育課程を修了すると、スクールソーシャルワーカーの採用で有利です。
根拠はこちら。
SSWの資格は、①社会福祉士又は精神保健福祉士有資格者が適当で、かつSSW教育課程(※1)修了者、これと同等の知識や技術を学ぶ職能団体や学会等の講習会を修了した者がより適当である。
引用元:文部科学省「児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~」
SSWはスクールソーシャルワーカーのことです。
なので、スクールソーシャルワーカーになるストレートな方法は、社会福祉士か精神保健福祉士を取って、スクールソーシャルワーク教育課程の修了を目指すことでしょう。
スクールソーシャルワーク教育課程の認定校一覧は、次のリンクから見れます。
≫【一覧】スクールソーシャルワーク教育課程設置校【2022年度版】
通信でスクールソーシャルワーカー教育課程を受けられる学校は、少ないです。次の記事でまとめてあります。
スクールソーシャルワーカーとして採用される|求人の見つけ方は?
スクールソーシャルワーカーとして採用されるには、求人を見つけて応募しないといけませんね。
求人は、各都道府県・市町村の教育委員会などが出しています。
スクールソーシャルワーカーの求人を探すには
スクールソーシャルワーカーは『年度ごとに採用』という形が多いです。
時期によっては求人が出ていないこともあるので。定期的に求人が出ていないかチェックしておきましょうね。
最後に
あなたがいじめられている子を支援したいなら、次のルートがおすすめです。
スクールソーシャルワーカーになるには
- 『社会福祉士』か『精神保健福祉士』をとる
※どちらか迷ったら『社会福祉士』がオススメ - 『スクールソーシャルワーク養成課程』を修了する
- スクールソーシャルワーカーの選考を受けて、採用される
※②③は前後可能
ただし、いじめ以外の困りごとも支援する心構えをもっておいてくださいね。
大変ですが、間違いなく必要な役割です。あなたがスクールソーシャルワーカーになれば、子どもや保護者、学校を支援できます。
それぞれの資格のとり方や、「どちらを取ったら良いか?」というギモンについては、下記3つの記事が役立つはず。
社会福祉士・精神保健福祉士になるには

スクールソーシャルワーカーになれば、いじめられている子を支援できるんやな!

そう。スクールソーシャルワーカーになるには、精神保健福祉士か社会福祉士を取ると採用で有利だよ。頑張ってね!
コメント