
精神保健福祉士の実習うけてどうやった?

世界観が変わった。
どうも!社会福祉士・精神保健福祉士のぱーぱすです。
皆さんは精神科病院の中に入ったことがありますか?きっと、ほとんどの方は無いと思います。精神科病棟の中は、知る人ぞ知る世界で、テレビなどで公開されることはほとんどない世界です。
精神科病院での実習では、人権の課題を目にしました。矛盾だらけ、理不尽だらけです。キレイな話はできません。「日本にこんな場所があったのに、今まで知らなかったのか・・・」と秘めらた課題を見せつけられた感覚でした。
実習を受けたのは10年以上前ですが、強烈すぎて今でも記憶に残っています。
実習をとおして、私の世界観の変化は次のように変わりました。
世の中は案外うまく回っているし、課題・矛盾は適切に対処されている。
世の中には知られていない課題・矛盾があるし、人はそれらを見過ごす。
実習前は世間知らずだったと言えばそこまでですが・・・。
どうして私の世界観が変わったのか?
これから精神保健福祉士実習を受けるという方は、事前知識になって、心づもりができるでしょう。
【人権問題】精神保健福祉士実習で世界観が変わった体験談
10年以上前のことです。大学生だった私は精神保健福祉士実習を精神科病院でうけました。
閉鎖病棟での体験
実習初日、私は職員さんの後について行き、初めて閉鎖病棟の中に入りました。
病棟には扉があり、職員さんは鍵をつかって開けてくれました。
少し歩くと、今度は鉄製で重々しい感じの扉があり、再び鍵が必要でした。(つまり、扉が開いたすぎに脱走しようとしても、次の扉で行き止まりという構造です)
閉鎖病棟を開閉する扉のカギは職員が腰からぶら下げていて、歩くたびにジャラジャラと音がなりました。(まるで看守のような違和感がありました)
病棟の中に入ると、白く無機質なつくりの棟内が目に入ると同時に、異様な空気感を感じました。
こちらに気づく様子無く、前だけを見て小刻みに歩く人。
座ったまま、焦点のさだまらない目で何かを見つめる人。
下を向いたままの人。
こちらに気づいて、歩みを止めてじっと見つめてくる人。
1人なのに誰かと話しているかのような人。
案内してくれた職員は「ここからは病棟内での実習」ということで、私を置いて病棟から出ていきました。
一人になった私は、周囲の方に声をかけるをためらって、まずは棟内を歩いて回りました。
窓には鉄格子がとりつけられていました。ものものしく厳重で、外には出られないつくりになっていました。
その後は、閉鎖病棟内の患者さんたちに声をかけてまわりました。いろんな訴えを聞きました。

早く退院したい。

ここは規則、規則・・・

ここでの生活?変なところですよ。
入院生活をあまり良く感じていない言葉が多かったです。
いつから入院しているのか尋ねると、「30年入院している」という方もいました。何と言葉を返して良いのかわかりませんでした・・・。
しかし、他の患者さんと話をしていると、3年や5年といった入院は全く珍しいことではありませんでした。私にとって入院期間といえば、数日とか、長くて数か月程度のイメージでしたから、入院の概念が崩壊する話でした。
一番驚きだったのは、「退院したくない」と言う患者さんがいる事実でした。
「誰もが早く退院したいもの」と当然のごとく考えていたので、衝撃でした。
「退院したくない」という気持ちを理解できなかった私は、実習担当者のおられる相談室に戻ってたずねました。すると、「入院期間が長引いたり、退院しても失敗を重ねるうち、消去法的に入院生活の方がマシという心境になるのかもしれない」という話でした。
※入院期間が40年という方もおられます こちらの記事でお話ししています

人として扱われていない?
そこは閉鎖病棟だったので、病棟から出るには鍵をあけてもらう必要がありました。
患者さん達と話し終えた私は、ナースステーションに声をかけました。
しかし、聞こえているはずなのに、数名の職員がいるのに、誰も反応してくれませんでした。まるで、ここに人がいないかのように扱われている感覚になりました。
職員に鍵を開けてもらえないと、外に出られない環境です。声をかけ続けるしかありませんでした。
「ああ・・・もしかしたら患者さん達はいつもこういう扱いを受けているのかもしれない・・・」
そう感じた私は「すみません!」と大きな声をだし、窓をたたいて訴えました。
そこでようやく反応してもらえました。(冷たい視線でこちらをチラッと見て、だるそうに、無愛想に鍵を開けてもらいました)
芽生えた問題意識
実習担当者と話をしている時、ある職員が笑いながら「面白い患者がいるから見においで」というので見に行くと、ナースステーションの窓に両手をあてて、大声を出している患者さんがいました。
「面白いってなんだよ・・・」
と私には違和感でしかありませんでした。
ついさっきに私も病棟から出るためにナースステーションの窓を叩いた身でしたから、「窓を叩かないと職員は対応してくれないんだから当たり前じゃん」と思いました。
「ここの職員はどうもおかしい」と感じると同時に、精神科病院によっては、患者さんは人として対応してもらえないのではないかと問題意識をもつようになりました。
(実習で芽生えたこの問題意識は、後に仕事をしていく過程で確信に変わっていきました。)
さいごに
「世の中は案外うまくいっている」と思っていましたが、そんなことはなかった。世の中には、まだまだ知らないたくさんの矛盾や課題があるとわかりました。今でも精神科病院の中では、世の中の光があたることなく、年月だけが過ぎゆく日々をおくる方がたくさんおられます。
精神科病院の実習は「精神保健福祉士になるために必須だから」受けることになりますが、精神保健福祉士としての使命「社会的入院の解消」を体感的に理解できるチャンスです。義務的にやり過ごすのはもったいない。
しかし、精神保健福祉士の資格を取ろうとする方には、何らかの動機やモチベーションのある方が多いと思います。実習で何かをつかみ、行動にかえていく力があるはずです。
がんばってくださいね!応援しています。
以上、【人権問題】精神保健実習で世界観が変わった体験談という話題でした。
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