
新・ちいさいひとってどんなマンガ?児童福祉司の経験者のレビューを知りたいなぁ。
こうした思いの方へ。

わたしは社会福祉士・精神保健福祉士で、現場経験は10年以上です。児童相談所で児童福祉司をしていました。
児童相談所をテーマに扱ったフィクション作品、『新・ちいさいひと 青葉児童相談所物語』の1巻を読みました。
この本は、児童相談所の児童福祉司(ケースワーカー)を主人公としたマンガです。1巻を読んでみたのでレビューしてみますね。
児相マンガで児童福祉司を知る!新・ちいさいひと青葉児童相談所物語
この本は、命の危機にある子どもを、正義感ある児童福祉司が救うストーリーです。
テレビや新聞では悪く言われがちな児童相談所や児童福祉司ですが、この本ではヒーローのように描かれています。
ストーリーもスリリングで面白くて、読んだあとはすっきりしますね。
でも、実際の仕事はそんなに簡単じゃないんですよね・・・。
実際、この本に出てくるようなことをしたら、法律に違反したり、トラブルになったりすることもあります。
例えば、
• 親の手紙をこっそり持っていく
• 親の個人情報を他の人に教える
こうしたことは現実ではできません。
本当はもっと色々な手続きやルールがあって、時間がかかったり面倒だったりします。
例えば、『三歳児健診に来なかった母子家庭の訪問』で、腐臭がして児相職員が居宅の中に入る場面。これは法的にはできません。住居侵入罪に問われかねないです。
本作品の別ページではちゃんと解説されていますが、本来は以下のプロセスです。
つまり、児相職員が無断で住居に入って良いのは、「臨検又は捜索(実力行使)」の時だけです。(最終手段)
でも、それだと物語としてつまらないですよね。だからフィクションではドラマチックにするために、現実と違うことをするんだと思います。
現実には、子どもを保護した後も、どこに預けるかやどう支援するかなど、難しい判断や調整が必要です。
そして、子どもを救えなかった時や対応が遅れた時は、メディアや社会から厳しく批判されることもあります。
しかし、新・ちいさいひと 青葉児童相談所物語の良いところは、児童相談所や児童福祉司の仕事を知らない人にもわかりやすく伝えてくれることだと思います。
子どもが助けを求める電話の緊張感はよく描かれていたし、「ちいさいひと」という言葉に込められた意味などは「なるほど」と感じました。
新・ちいさいひと 青葉児童相談所物語の意義は、ネガティブなイメージの付きまとう児童相談所・児童福祉司に、ポジティブなイメージを加えている点です。
絵になりにくいのが支援現場ですが、『子どもの命を救う』という形で児童福祉司にスポットライトを当てています。
現実の児童福祉司とは違う部分もありますが、子どもを救う仕事の大切さや素晴らしさを楽しみながら理解できる本だと思います。
ストーリーは緊張感を保ちながら、刑事・探偵ドラマのように展開していくので面白いですね。読後感は清々しいです。
児童相談所の児童福祉司のリアリティを求める方には、こちらの本もオススメです↓
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