【体験談】児童相談所の児童福祉司は超激務!5つの理由【本音爆発】

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  1. 児童相談所は激務?きつい?
  2. 児童福祉司の仕事は激務?
  3. 職員の本音が知りたい。

こうした思いの方へ。

この記事の内容
  1. 児童相談所の児童福祉司が超激務な5つの理由
  2. 理由① プレッシャーが並大抵では無い
  3. 理由② 一時保護すると超激務
  4. 理由③ 警察からの虐待通告対応が激増
  5. 理由④ 時間外・休日労働がとても多い
  6. 理由⑤ 児童福祉司全体の経験値が少なすぎる

そんなに激務なん?

私の経験上、一番激務だ!!

私は社会福祉士・精神保健福祉士で、児童相談所での児童福祉司(ケースワーカー)経験があります。通告があれば介入する第一線でした。

いわゆる初期対応であり、支援関係というよりも「招かれざる客」として関わり始める立場です。

嫌われたり罵声を浴びたり・・・、福祉の仕事の中では異質・特殊なのが児童福祉司の業務ですね。

そうした私の体験談となりますが、児童相談所の児童福祉司は超がつくほど激務です。

ネット上ではいろんな情報が出回っていますが、ほんとうに内部を体験した人の話はあまり出回っていないと感じます。

世間で児童相談所がニュースになるのは子どもを救えなかった時が多いですよね。

生死に関わるという意味では医師に匹敵する重圧があると思いますが、医師業界ほど人材は育っておらず、システムにも課題が多いのは確かです。

とは言え、児童相談所がなければ、たくさんの子どもの命を救えなくなってしまうでしょう。

また、心理的虐待や性的虐待のように、心に深い傷を負ったり、発達に悪い影響を受けてしまう子もたくさんいます。

さらに、「虐待は世代間連鎖する」とわかっていますから、誰かが間に入って止めねばならないのです。

児童相談所の児童福祉司は、間違いなく必要な役割です。子どもを救うことは未来を救うことでもあります。

そんな児童相談所の児童福祉司の仕事ですが、やはり激務です。この理由を5つにまとめ、リアルをお伝えしていきます。

【体験談】児童相談所の児童福祉司は超激務!5つの理由【本音爆発】

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理由① プレッシャーが並大抵では無い

児童福祉司や児童相談所の判断いかんによって、子どもの命がなくなってしまいかねない仕事です。「子どもの命を救える」と言えば聞こえは良いですが、救えないリスクも併存しています。

また、頭部の外傷など、明らかなケガで緊急度が高いと判断できれば一時保護の決定に踏み切りやすいですが、判断が難しい微妙な場面がとても多いのです。

医療では、診察で問診・触診したり、採血したり、レントゲンをとったりと、病気の実態を調べていきますよね。これらの正確さが、命に直結するわけです。

児童福祉司は診察こそしませんが、面談や家庭訪問、さまざまな方法を駆使して情報を集めます。これを調査と呼びます。正確さが求められるポイントです。

調査によってまとめた情報をもとに判断していくのですが、命に関わるのでかなりのプレッシャーがかかります。(判断は個人ではなく、児童相談所として行う)

救えて当然。できなきゃ超バッシングと罪悪感。」というプレッシャーの中ですから、日々がつな渡りのように感じられます。

理由② 一時保護すると超激務

児童福祉司の仕事をもっとも激務たらしめるのは、一時保護です。

一時保護というのは、児童福祉法33条に定められた業務であり、親の同意がなくても、子どもの安全を守るために子どもの身柄を一時保護所などの場所に移すことです。

一時保護については「児童相談所の一時保護とは?【児童福祉司の職務解説】」で解説しています。

この一時保護について、ネット上では「児童相談所のノルマがある」とか「一時保護の件数を稼いでいる」などという情報がありますが、私の知る限りありえないことです。

一時保護は、多くの人から恨まれたりバッシングをうけながらも、子どもの命を守る責務を果たす決意と決定です。

そして、一時保護した後にまつのは膨大な調整と業務とプレッシャーです。

職員個人の心情としては、一時保護は避けたいものですが、そんなことは言ってられません。児童相談所として一時一時保護すべき時はためらわず一時保護ですから、腹をくくって向かうことになります。

保護者からの反発や怒り

当然ですが、一時保護すると保護者さんからからなり反発を受けます。(ネグレクト等のケースでは受けない場合もあります)

  1. どうして一時保護なんですか!?
  2. 虐待なんかしてません!
  3. しつけするなってことですか!?
  4. いつになったら子どもを返してくれるんですか!?

福祉の仕事をする人には「人のためになりたい」「感謝されたい」という方が多いですから、強烈なストレスを感じるはずです。

また、一時保護の延長が必要なときに保護者さんが不同意となれば、児童相談所として家庭裁判所に申し立てをしないといけません。

この場合、申立書をつくったり、口頭説明・文書回答をしたりと、業務量が増えますし、プレッシャーもいっそう高まります・・・。

子どもからせがまれる

子どもだけは「保護してくれてありがとう!」となるかといえば、そうとも限りません。

まだまだ年齢の小さい子どもは今の状況すら理解できませんし、なんとか理解できても「早く家に帰りたい」「いつになったら帰れるの?」とせがまれたりします。

その子の安全のためにと一時保護しても、「私を親から引き離した人」と思われてしまうのです。悪者なんですね。

ただし中学生や高校生ともなれば、「家には帰りたくない」「親が変わってくれたら帰る」と明確に希望を言う子もいます。

いっぽう、保護者の方は「早く帰ってきて欲しい」と言うことがあり、児童福祉司は間にガッチリ挟まれます。

一時保護所からのプレッシャー

一時保護した子どもは、原則的には一時保護所で過ごすことになります。一時保護所にはまた別の職員が働いています。

そして、日々、子どもに身近に接しているからこそ、子どもの様子や気持ちをキャッチして、児童福祉司(ケースワーカー)伝えることが多い立場です。

しかし、思いゆえに「早く対応してあげて」「早く家に帰してあげて」「いつになったら一時保護解除になるの?」とついつい質問してしまいます。

児童福祉司としては決してゆっくり対応などしてはいないのですが、余裕の無い状況では「これ以上どうしたら!?」とプレッシャーに感じることがあります。

児童福祉司は一時保護所との間にも挟まれてしまうのです。

関係機関からのプレッシャー

児童相談所にとっての関係機関というのは、市町村役場内にある家庭児童相談室、警察署、学校・教育課などが代表的です。

  1. もう一時保護を解除するのですか?
  2. 親はちゃんと反省してるんですか?
  3. また同じことが起きたらどうするんですか?
  4. これからも児童相談所は支援するんですよね?

と詰め寄られることがよくあります。

児童相談所の一時保護の権限は非常におおきく、強制力があります。地域においては、虐待から子どもを守る切り札のような存在感があるのです。

それゆえ、関わりを拒否して支援につながらないケースや、虐待を繰り返すケースでは児童相談所頼み(一時保護頼み)になったりします。

児童相談所は一時保護を適切に執行することを求められます。

そして、ケース会議などでは、一時保護の運用や今後の支援について、関係機関から意見・質問が飛んできます。

不適切なことを言うと紛糾してしまうので、国会答弁のごとく慎重に答えねばなりません

関係機関からは「児童相談所なら何でもできるはず」という期待をもたれていたり、「児童相談所が最後の頼みの綱」ということがあるので、とにもかくにも注目されているのです。

業務に忙殺される

一時保護をしたら、今後どのように子どもの安全を守るのか?家庭復帰で良いのかどうか?などなど、さまざまなことを考えねばなりません。

そのため、保護者面談をしたり、家庭訪問をしたり、子どもに面談したり、関係機関と相談したり、調査を行ったりと、膨大な業務を通常2か月という期限のなかで行うことになります。(延長もあります)

保護者の仕事都合などに合わせて早朝に会ったり、夜に会ったり(土日のパターンもあるでしょう)するため、時間外勤務が積みあがっていきます。

しかも、一時保護のケースを4件、5件と同時に抱えることもあります。

なるべく早く進めたいと思っても、体は1つしかありません。スピードに限界がでてきますし、時間外だらけになって能率も悪くなっていきがちです。

しかし、当事者の方々からすれば職員個人の体やメンタル都合などは関係ありません。

児童福祉司にとっては日常ですが、当事者にとっては待ったなし緊急事態なのです。(ネグレクトケース等で例外あり)

理由③ 警察からの虐待通告対応が激増

「警察からの虐待通告」といわれてもピンとこない方が多いかもしれません。

どういうものかというと、警察が対応するなかで児童虐待の事実がわかった場合、すべて児童相談所に連絡されます。

連絡をうけた児童相談所は、保護者にたいして電話連絡・家庭訪問・面談などの方法をもちいて助言指導などを行うことになります。

例えば、近ごろ最も多いのは「面前DV」とよばれる心理的虐待です。下記のような流れがとても多いです。

子どもの前で夫婦がケンカをして、どちらかが警察を呼んだ。

かけつけた警察が夫婦に事情を聴くと、夫婦は子どもの前でケンカをしていたことがわかった。

子どもの前での夫婦喧嘩は面前DV(あまり知られていませんが、暴力はもちろん、口論でも面前DVです)

警察署は児童相談所に通告

後日、児童相談所から保護者に連絡や助言指導がなされる

警察からの虐待通告は、過去最多を更新しています。(Youtube:“虐待疑い”警察の児相通告が過去最悪の10万人超え(2021年3月11日)

世の人に広く知ってもらいたくて、「子どもの前で夫婦ゲンカ=虐待になるってご存知ですか?」も書きました。

現場の児童福祉司としては、警察署からの通告対応というのは、単発的に終わる職務で、一時保護事案よりは軽微なことが多いです。

けれど、一時保護対応をしている中に飛び込んでくるので、タイムリーに動きがとれないことも起こってしまいます。

また、保護者は仕事をしていることが多く、夜に訪問するなどの対応をとらねばなりません。「定時で帰る」など、児童福祉司にとっては夢の世界です。

理由④ 時間外・休日労働が多い

児童福祉司の実態について、2021年5月に読売新聞が「虐待対応の児童福祉司 精神疾患で高い休職率、2.3~2.9%…18~20年度 民間の5倍超」にまとめています。リアルな実態がとてもまとまった記事だと思います。

記事では時間外・休日労働についてこのように書かれています。

回答があった児相166か所のうち、1か月間の時間外・休日労働が「80時間超~100時間」の職員がいると答えた児相は45か所。21か所では100時間超の職員がいた。
引用元:読売新聞オンライン 虐待対応の児童福祉司 精神疾患で高い休職率、2.3~2.9%…18~20年度 民間の5倍超

わたし自身も60時間や70時間を経験していますが、寝不足になってフラフラになりました。家事をする余力もなくなって、気分もイライラしたりネガティブになったり・・・。

「ならば早く帰れば良いではないか」と言いたいところなのですが、児童福祉司の仕事は「他律的業務」といって、業務量や業務の実施時期などを自分で決定しにくい業務です。

例えば、「定時に帰りたい」と思っていても、帰る間際に緊急対応にせまられて帰れなくなる、なんてことは日常茶飯事なんですね。

休日に電話連絡や緊急対応が入ることもある

また、「休日こそはしっかり休みたい」と思っていても、休日にも連絡が来る(かもしれない)状況です。

児童相談所には虐待ホットライン「189」があります。24時間365日、虐待通告を受け付けているのが児童相談所です。

この対応をどのように回すかは、各児童相談所によって違いがあります。

夜間休日の対応は嘱託職員が対応していることも多いですが、最終的な判断は現場担当の児童福祉司や係長級職員にゆだねられるでしょう。夜間でも、深夜でも、休日でも、連絡・対応にせまられうる状況です。

つまり、児童相談所の児童福祉司は、休日リフレッシュ中でも、とつぜん仕事プレッシャーが侵食してくる立場なんですね。私は児童相談所からの電話連絡が目覚ましとなったこともあります。

理由⑤ 児童福祉司全体の経験値が少なすぎる

政府は、21年度末までに児童福祉司を17年度比で2000人増の約5200人とする計画を進めているが、昨年4月時点で経験年数が「3年未満」の職員の割合が5割を超えている。
引用元:読売新聞オンライン 虐待対応の児童福祉司 精神疾患で高い休職率、2.3~2.9%…18~20年度 民間の5倍超

経験3年未満の児童福祉司が50%以上

これで全国の児童相談所は運営しているのです。

例えばですが、「経験3年未満の職員が50%以上の会社」って、どうでしょうか?ハッキリ言ってヤバくないですか?どこのブラック企業ですか?

児童相談所には高い専門性が必要なのは明らかですが、経験の浅い職員が多いのがリアルです。ノウハウの蓄積や技能の伝授、人材育成において深刻な課題があります。

児童福祉司は「支援」のみを行うのではなく、「一時保護」という強権をもって人の権利に立ち入る「介入」も行います。

相談支援関係をつくろうにも、そうはいきません。緊張関係や敵対関係をともなうのが通常です。

経験の浅い児童福祉司が対応に困って周囲に相談しても、返事は「私もわからない」「〇〇さんしかわからない」と返ってくるのがリアルです。

このような薄いサポート体制のなか、経験の浅い児童福祉司は「一人前」という制服を着せられ、関係機関からは「専門性の高い児相さんなんだから」と嫌味を言われながら第一線に立つのです。

最後に

児童福祉司は身体的にも精神的にも過酷な仕事です。

ただし、全ての児童相談所や児童福祉司が同じ状況という趣旨ではありませんので、ご理解くださいね。

ちなみに、読売新聞の記事では、児童相談所の児童福祉司の精神疾患発症率は民間の5倍超とあります。実際、メンタル面で辛くなって休む方は多いです。

児童相談所でやりぬくには個人レベルで対策が必須です。

対処法は精神保健福祉士・社会福祉士は病む?対処法TOP5【10年超経験者の習慣】で解説しています。よろしければお役立てください。

超激務な児童相談所ですがメリット・やりがいもあります。詳しくは「【体験談】児童相談所の児童福祉司のやりがい5つ【虐待対応の現場】」で書いています。

また、社会福祉士・精神保健福祉士の現場としてはトップレベルに年収が高い職場です。下記記事で解説しています。

≫児童福祉司の児童福祉司の平均年収・給料は?【最新公式調査より計算】

社会福祉の最前線ですし、子どもを一時保護という職権をもって守れるのは児童相談所だけです。

児童福祉司については下記のまとめ記事もごらんいただくと、リアルが色々知ってもらえると思います。

≫【経験者解説】児童福祉司とは?仕事内容・年収・なるには【まとめ】

でも体を壊してしまうくらいなら転職したほうが、あなた自身やあなたに支えられている周りの方のためにもなり得ます。シビアですが、組織にとって人材の代わりはいくらでもいます。

実際、誰かが休職・退職しても、原因は「あの人はメンタルが弱かった」と個人の能力に帰結されることがよくあります。

体制を改善すべきなのですが、正常な思考ができないくらい児相現場は限界だと思われます・・・。

個人的には、転職は大いにアリです。私自身も2回転職してますので。「児童相談所の経験がある」としたら強みとなって歓迎されることが多いでしょう。

もちろん「仕事を探す=転職する」ではないですし、「好条件の求人が見つかれば転職する。見つからなければ転職しない。」くらいの心持ちで良いと思います。

転職をぼんやりお考えの社会福祉士さんは「【3つだけ!】社会福祉士おすすめ転職サイト・転職エージェント」もご参考いただけます。

「もう児童福祉司は嫌だけど、子ども相手の仕事が良い」という方は、児童指導員に転職するのも1つでしょう。転職方法は「児童指導員おすすめ転職エージェント&サイトTOP3【現役推薦】」でわかるようにしました。

あなたの代わりは誰もできません。どうかご無理のないように!

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