
社会福祉協議会って、市役所なの?公務員なの?
こうしたギモンのある方、意外と多いようです。
外から見ると似ているところもあるので、混乱しやすいですよね。
ではまず結論です。
結論
- 社会福祉協議会と市役所は、立場と業務が違う
- 市役所職員=公務員
- 社会福祉協議会の職員=民間職員
実際、社会福祉協議会と市役所はまったく別物です。
この記事では、社会福祉士としてのリアルを交えながら、違いを「2つ」にしぼって、わかりやすく説明します。
社会福祉協議会と市役所の違い2つ
社会福祉協議会と市役所の違いは、次の2つで言えます。
- 公務員かどうかの違い
- 業務(役割)の違い
公務員かどうかの違い

社会福祉協議会は「公務員ではない」
まず、ここが一番誤解されるポイントです。
社会福祉協議会は民間の社会福祉法人であり、公務員ではありません。
ただし、この「公務員じゃないのに、公務員っぽく見える」という現象。
なぜ起きているかというと…
- 服装がスーツ中心で“行政っぽい”
- 建物の雰囲気が市役所に似ている
- 窓口があって、行政手続きの相談もできる
- 生活福祉資金など公的なお金を扱う
こうした要素が重なると、どうしても「行政かな?」と見えてしまうのは当然です。
実際、私が福祉の世界に入りたての頃、はじめて社協の建物を見たときも、正直こう思いました。
「あれ?ここ市役所の別館かな?」
でも、中身は完全に民間。あくまで“公的に近い民間組織”です。
待遇が「準公務員っぽい」場合もあり、採用ページでも混乱しやすい表現が見られますが、法的な意味では公務員ではありません。
こちらの記事でも解説しています。
市役所は「行政機関」
一方、市役所は完全に行政。
行政処分・行政判断ができるのは市役所です。
社会福祉協議会にはできません。
担当する領域も広く、福祉はその中の一部にすぎません。
- 税金
- 国保
- 住民票・戸籍
- 防災・建設
- 子育て・教育
- 福祉(その一部)
つまり、市役所は“市の全部門の司令塔”、社会福祉協議会は“福祉に特化した民間団体”。
ざっくり言えばこうした構図です。
業務の違い|どこを市役所が担当し、どこを社協に委託しているのか

社会福祉協議会が担う「特定の事業」
社会福祉協議会が行っている業務は、実は“市役所から委託されている特定の事業”です。
代表的なものは以下のような内容です。
- 生活福祉資金貸付(法に基づく事業)
- 地域福祉活動の推進
- ボランティアセンター運営
- 高齢者支援の一部(委託内容による)
つまり、社協は“市役所の仕事の全部”をやっているわけではありません。
あくまで、市が「ここは社協にお願いしよう」と決めた部分だけを担っています。
実際、現場ではこんなこともよくあります。
「それ、市役所の担当です」
「それは、社協に行ってください」
このような場面は意外と多いです。
「たらい回しされた」と感じる人もいるはず。
見た目が似ているだけに、住民の方は迷いますよね。
市役所が担う領域
市役所は、行政判断が必要な領域を担当します。
- 生活保護
- 障害福祉(サービス支給量の決定など)
- 子ども家庭支援(子ども家庭総合支援拠点、家庭児童相談室など)
- 高齢福祉(介護保険の判定・認定)
- 行政処分が必要な事務全般
これらは行政そのもの。委託できない部分です。
なぜ外から見ると同じに見えるのか?理由4つ
ここまで違いを書いてきましたが、それでも外からは同じに見える理由が4つあります。
- 建物が市役所の近くにあることが多い
- 窓口対応があり、相談業務も似ている
- 扱うお金が市の制度に近い
- 服装・雰囲気が行政寄り
こうした「似て見える要素」が積み重なって、市役所の一部のように思われがちです。
現場でもこういう話は普通にあります。

市役所に行ってきました
(実際に行ったのは社会福祉協議会)
こういう“境界線の見えにくさ”が、今回のテーマの背景にあります。
まとめ|2つの違いがわかれば迷わない
社会福祉協議会と市役所の違いは、この2つ。
- 公務員かどうかの違い
- 業務(役割)の違い
それぞれ独立した存在であり、役割も立場も異なります。
ただ、どちらも地域の福祉には欠かせない存在です。
ソーシャルワーカーとして働いていると、行政と民間の境界線を理解しておくことは大事です。
相手の立場が想像できて、余計ないら立ちを回避できます。
少しでも疑問が晴れたなら嬉しいです。
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似たような疑問で「社会福祉法人に就職したら、公務員になれるの?」というテーマがあります。これは、社会福祉法人 → 社会福祉協議会 → “準公務員” という構図が背景にあるため、疑問が生まれているのだと思います。
こちらの記事でそのあたりを解消できます。




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