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【元調査員が解説】障害支援区分認定調査員の仕事・なるには・研修要件・報酬の実態

障害支援区分認定調査員って何するの?なるにはどうしたら良いのかな?

こうしたギモンのある方へ。

 この記事の内容

  • 障害支援区分認定調査員になるには(2ステップ)
  • 障害支援区分認定調査員とは?仕事の中身
  • 調査票は障害支援区分決定の重要資料
  • 一次判定シミュレーションをするには?(リンク集)
  • 委託料基準は最大6,800円。時給の目安は?
  • さらに理解を深める(法令・関連記事)

自治体で働く元認定調査員で、社会福祉士・精神保健福祉士です。相談支援事業所などで14年程の実務経験があり、その知見をもとに役立つ情報を発信しています。

障害支援区分認定調査員になるには、次の2ステップです。

認定調査員になるには?

  1. 相談支援専門員等になる
  2. 都道府県が主催する「障害支援区分認定調査員研修」を修了する

元調査員経験をふまえてシンプルに解説しますね。

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【元調査員が解説】障害支援区分認定調査員の仕事・なるには・研修要件・報酬の実態

障害支援区分認定調査員になるには(2ステップ)

障害支援区分認定調査員になるには、2つの要件があります。
≫根拠法:障害者総合支援法第20条第2項

障害支援区分認定調査員になる要件

  1. 市町村 or 「指定一般相談支援事業者」の相談支援専門員等であること
  2. 都道府県が行う「障害支援区分認定調査員研修」を修了している

認定調査及び認定調査員の基本原則
○ 障害支援区分に係る認定調査については、市町村職員又は市町村から委託を受けた指定一般相談支援事業者の相談支援専門員等であって、都道府県が行う障害支援区分認定調査員研修を修了した者(以下「認定調査員」という。)が実施する。
≫出典:障害者総合支援法における障害支援区分認定調査員マニュアルマニュアル

相談支援専門員?都道府県の研修?

それぞれ深掘りしていきます。

ステップ1:「相談支援専門員」になるには

相談支援専門員になるには、次の2点が必要です。

相談支援専門員になる要件

  1. 実務要件(3~10年)
  2. 相談支援従事者初任者研修の修了

「実務要件」については、次の表でチェックできます。

詳しく知りたい人は、ジョブメドレーのサイトもわかりやすいのでご参考に。

ステップ2:「障害支援区分認定調査員研修」を受けるには

「障害支援区分認定調査員研修」は都道府県が行います。

残念ながら、誰でも受けられるわけじゃないんです。

受けられるのは、障害支援区分認定調査員の候補者だけです。

候補者の推薦は、市町村が行います。例えば次のように告知されています。

受講者は、市町村が選定し道に申し込みをします。
引用元:北海道HP 障害支援区分認定調査員研修について

本研修の対象者は、市町村等(※)から委託を受けて認定調査に従事する予定の方が対象になりますので、受講申し込みは、各市町村等において行っています。
引用元:愛知県HP 認定調査員研修等について

市町村の推薦が必要なんだね。

なぜ市町村が推薦するかというと、そもそも障害支援区分認定調査は市町村が行うもの

だから、事業者は市町村から認定調査を委託(任されて)されて実施するので、研修を受ける人選は市町村がする仕組みです。

≫参考:厚生労働省:障害支援区分に係る研修実施ガイド

(事業者向け)市町村との委託契約と原則

市町村職員ではない人が認定調査員になるには、事業者として市町村と委託契約を締結する必要があります。

国の原則は「まず市町村職員での実施」。やむを得ない場合に中立・公平性を担保できる事業者へ委託となっているからです。

国の人

障害支援区分認定調査は市町村職員がやってくださいね。これが原則。

「市町村職員ができない事情があるなら、信頼できる事業者に任せてください。」ということです。

認定調査は、支給決定の基本となる重要な業務であり、その実施に当たっては、専門性に加え、中立性・公平性の確保が重要であり、安易に外部に委託することなく、まずは市町村職員による実施、あるいは認定調査の能力があると認められる者を嘱託職員として活用する等による実施を検討することが適当である。

引用元:厚生労働省HP 認定調査の委託の考え方

障害支援区分認定調査員の仕事は?

障害支援区分認定調査員とは、「障害支援区分認定調査を実施し、調査票をまとめる専門家」です。

この「障害支援区分認定調査」は、障害福祉サービスを使うには一度は必ず受けないといけない調査です。(区分判定を出すにしろ、出さないにしろ)

調査を行うのが、障害支援区分認定調査員です。詳しくは下記記事をごらんください。

調査票は障害支援区分決定の重要資料

障害支援区分認定調査員は、調査後(中)に調査票をまとめていきます。

この調査票は、障害支援区分を決める重要資料です。

認定調査員がまとめた調査票は「主治医意見書」とセットで一次判定にかけられるので、影響力が大きいです。


≫出典:厚生労働省 障害者総合支援法における「障害支援区分」の概要(赤枠は私が入れました)

私の経験では、1次判定のシミュレーション(後述のExcelで計測)と最終的な認定区分は同じということが多かったです。

もちろん、主治医の意見書も検討されるし、二次判定(市町村審査会)で区分は最終決定されます。調査票だけは決まりません。

しかし、調査票は区分決定に大きな影響力があるでしょう。

その調査票は、下記のようになっています。(一部抜粋)

障害区分認定調査の1次判定をシミュレーションするには?

リンクを2つご紹介します。

Excelをダウンロードしてシミュレーションするには

認定調査を委託された事業者(認定調査員)は、調査票をまとめた後でExcelなどの自動シミュレーションにかけて、区分を予測していたりします。私も使っていました。

職場のPC内にすでにシミュレーション用のExcelがあったのですが、たぶんこちらのサイトで公開されていたExcelだと思います。最近更新されたようですね。ありがたや。

いちどダウンロードすれば、Excelでシミュレーション結果をデータで残せるので、やたがらすさんのExcelはほんとうに便利。

ネットのWEBページでシミュレーションするには

ネット上でもシミュレーションできるWEBページがあり、こちらのサイトです。

判定結果画面。こうなると、だいたいは区分3の判定となる。

障害支援区分認定調査1件の委託料 = 最大6,800円 時給計算すると…

障害支援区分認定調査の報酬は、国基準では1件あたり上限6,800円です。
≫参考:厚生労働省HP 域生活支援事業の実施について

6,800円ってどうなの?高い?安い?

認定調査の委託料6,800円は、ハッキリいって安いです!!!

例えば、調査面談から調査票提出までにかかる時間を測ってみましょう。

行程所要時間
アポ取り5分
 家庭訪問(往路)30分
 調査面談1時間
家庭訪問(帰路)30分
 調査票作成3時間
合計5時間5分

上のケースでは時給 約1,360円

  • 6,800円 ÷ 5時間 = 1,360円(時給)

どうですか?1,360円って十分でしょうか。

しかも、ここから人件費・移動費・事務費など経費を差し引くので、事業運営としては厳しい水準です。

実は、委託料6,800円ならまだ良いほうで、3,000円の市町村もあるんです。実際、ネット上で検索すれば、そうした契約書がヒットします。

第4条 甲は、調査の業務の委託料として、次に定めるところにより算定される額を、乙に支払うものとする。
調査1件当たり 3,000 円(消費税及び地方消費税を含む。)
≫参考:日進市 障害支援区分認定調査等業務委託契約書(案)

やりがい搾取、ここに見たり…。

障害支援区分認定調査員の待遇が改善されると良いなぁ・・・

さらに理解を深めるには?(法令・関連記事)

関連記事とリンク一覧

障害支援区分や障害福祉サービスの根拠法は、障害者総合支援法です。

法律の条文を読める方は、しっかり読んでおきたい。
≫参考:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律

「難しいのは苦手」という方には、こちらの本が図解があってわかりやすくなっています。私も持っています。

障害支援区分は、1次と2次の2つの判定で決まります。「障害支援区分認定調査」は1次判定であり、解説したのが下記記事です。

障害支援区分には有効期間があります。原則と例外があるので注意しましょう。

障害支援区分には非該当・1~6があります。各区分の『状態像』はシンプルですが「これじゃない」という結論がわかります。

グループホームに入るには障害支援区分の認定は必要か?けっこう間違われます。答えはこちら。

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