【子の前で夫婦喧嘩=虐待】警察は児相に通告【児童福祉司経験者解説】

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え?夫婦喧嘩なんてどこの家でもあるんちゃう?

それぐらい普通って思っちゃうよなぁ

こんにちは。わたしは社会福祉士・精神保健福祉士です。現場経験は約10年。児童相談所での児童福祉司(ケースワーカー)経験があります。

みなさまは、夫婦喧嘩を子どもに見せること(見ること)について、どう思いますか?

  1. 夫婦喧嘩を子どもに見せるのは良くないけど、メリットもある。
  2. 子どもの前で夫婦喧嘩をしても、仲直りするところまで見せたら大丈夫。
  3. 感情に向き合うたくましさが育つはず!

おそらく、多くの方が夫婦喧嘩を見たことがあると思います。どこの家庭でもあるし、自然なことに感じる方は多いでしょう。(私も子どものころによく見ました・・・)

ところが、子どもの前で夫婦喧嘩をすることは、子どもへの「面前DV」であり、心理的虐待となってしまいます。

児童虐待防止法では、次の条文が『夫婦喧嘩』に該当するでしょう。

児童虐待の定義

児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(中略)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
引用元:児童虐待防止法 第二条 第四項

そして、子どもの前で夫婦喧嘩をしているところに警察が入ると、児童相談所等に心理的虐待として通告されることになっています。

こうなると、児童相談所からも連絡がくることになります。

「やりすぎじゃない?」と思うかもしれませんが、そうとも言いきれません。

じっさい、面前DVによって子どもの脳の発達に悪影響が起き、脳の容積が減少することがわかってきています。

なので、よくある「夫婦喧嘩を子どもに見せるのは人間関係の勉強になる」「仲直りしたら大丈夫」という説は、科学的根拠のないハナシです。

メリットがあるどころか、器質的に脳にダメージが起きるのです。今回は、この点についてもう少しくわしくお話していきます。

【子の前で夫婦喧嘩=虐待】警察は児相に通告【児童福祉司経験者解説】

子どもの前での夫婦喧嘩は面前DVとなり、心理的虐待になる

子どもの見ている前で夫婦がケンカをすれば面前DV(心理的虐待)となります。

  • 虐待は4種類(身体的虐待、心理的虐待、ネグレクト、性虐待)
  • 面前DV(子の前で夫婦喧嘩)は心理的虐待

例えば、暴力はもちろんダメですが暴言でも虐待となってしまいます。

では、どこからが心理的虐待なの?とギモンに感じる方もいると思います。

ポイントは次の2つです。

  • 子どもが心理的なダメージを感じたら、面前DVであり、心理的虐待になる。
  • 夫婦の「思い」や「しつけ」といった視点は、関係ない。

虐待かどうかの判断基準は、受け手(子ども)にあります。

親の思いやしつけのためといった考え方は関係なく、あくまで子ども視点で捉えられます

面前DVめんぜんディーブイについては、こちらの記事でもわかりやすく解説されています。

子どもが見ている前で親が… 急増する「面前DV」深刻な心の傷
虐待の疑いで警察から児童相談所に通告される子どもの数が増えています。今年上半期(1~6月)に通告された件数は3万7113人(前年同期比22.6%増)にのぼります。中でも急増しているのが面前DV(ドメスティックバイオレンス)で、6年...

児童相談所への虐待通告者は、警察が5割

2010年度は、児童相談所への虐待通告の15%が警察によるものでした。

ところが、この割合は年々増えて、2020年は50となっています。
(参考:厚生労働省 平成30年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数<速報値>

2010年 2020年
15%
(6,600件)
50%
(79,150件)

付け加えると警察から児相への通告のうち、70%以上が心理的虐待です。(2018年度は73%)

警察から児相への通告でよくある例は、

警察から児相への通告(よくある例)①夫婦喧嘩が過熱して、夫婦のいずれか(ご近所)が警察を呼んだ。

②警察が臨場した。夫婦から話を聴いた。

③夫婦喧嘩を子どもが見知っていたとわかった。

④警察は「面前DV(心理的虐待)」として児童相談所へ通告。

⑤後日、児童相談所から夫婦宛てに連絡がある。

こうしたことが増えているのでしょう。

警察はDVへの取りしまりを強化していますし、夫婦喧嘩のウラで深刻な虐待が隠れていることもあるので、ひとまず児童相談所に通告されることになっているのです。

子どもの脳へのダメージが判明

児童虐待が子どもの脳へ与えるダメージについては、小児精神科医の友田明美氏が先駆者です。NHKのプロフェッショナルで特集されたこともありましたね。著書も多数の方です。

「言葉によるDV」を目撃してきた人のほうが,身体的DVを目撃した人より,脳のダメージが大きかった。具体的には,視覚野の一部で夢や単語の認知に関係する舌状回の容積が,身体的DVは3.2パーセントの減少に対して,言葉によるDVでは19.8パーセントの減少と6倍にもなっていた。
引用元:公益社団法人日本心理学会HP 体罰や言葉での虐待が脳の発達に与える影響 友田明美

なんてこった!

オレの脳もやられてやがる・・・!?

過去は変えられないが未来は変えられる

子どもに連鎖しないように気をつけていこう!

こちらは累計12万部以上売れている、友田氏の著書です。

対策とまとめ

  • 子どもの前での夫婦喧嘩は心理的虐待。
  • 子どもの脳の発達に悪い影響がおきる。

そんなん言われても・・・

ケンカって、コントロールできひんやん?

そうだよなぁ

気持ちはすごくわかる・・・

対策としては、次のような方法があります。

面前DVを避ける方法

  1. 喧嘩しそうになったら一旦離れる(家の外に出るなど)
  2. 子どもが察知できない時・場所でケンカする
  3. 喧嘩しない(実は難易度が高い

もし夫婦喧嘩をしそうになったら、冷静に話し合うか、子どもの見えないところ、聞こえないところに移動してバトル(?)しましょう。

ケンカ自体はあっても良いのです。それを子どもが見聞きすることを無くせば良いのです。

あと、夫婦喧嘩の大半は夜に起きています

夜はお互いに疲れているので、自制が効きにくいです。お酒が入っているとさらに過激化しますね。

イライラしてもそのままぶつけるのではなく、いったんは眠って、朝のフレッシュな頭で話してみるのも1つの方法です。

子どもをより良く育て、夫婦関係を変えるには、まずはあなたが変わることが始まりです。

私の経験上、夫婦喧嘩を繰り返している夫婦は、たいていが相手のせいにしています。

例えば、

  • 「相手が悪い」
  • 「相手に負けたくない」
  • 「相手に勝ちたい」
  • 「相手が変わってくれないからダメ」

といった具合です。

延々と夫婦喧嘩を繰り返した結果、家庭環境は悪化し、子どもが不登校になったり精神不安定になったり、果ては子どもに見捨てられ、離婚し・・・

といった、誰も嬉しくない結果になっていきます。

「夫・妻の方が悪いのに!」と感じられるでしょうが、自分が変われば相手も変わらざるを得ません

語弊があるかもしれませんが、負けるが勝ち、です。(夫婦関係は勝ち負けではないのですが、ついついそうした感情がわくものですね)

夫婦関係を良好にする著書はたくさん出回っています。何か手に取ってみても良いでしょう。

「具体的にどうすれば良いのか?」がしっかりと書かれていてカンタンなのが『不機嫌な妻 無関心な夫 うまくいっている夫婦の話し方』です。ご興味のある方はチェックしてみてくださいね。

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