え?夫婦喧嘩なんてどこの家でもあるんちゃう?
それぐらい普通って思っちゃうよなぁ
こんにちは。私は社会福祉士・精神保健福祉士として働いています。現場経験は約10年です。児童相談所での児童福祉司(ケースワーカー)経験があります。
みなさまは、夫婦喧嘩を子どもに見せること(見ること)について、どう思いますか?
- 夫婦喧嘩を子どもに見せるのは良くないけど、メリットもある。
- 子どもの前で夫婦喧嘩をしても、仲直りするところまで見せたら大丈夫。
- 感情に向き合うたくましさが育つはず!
おそらく、多くの方が夫婦喧嘩を見たことがあると思います。どこの家庭でもあるし、自然なことに感じる方は多いでしょう。(私も子どものころによく見ました・・・)
ところが、子どもの前で夫婦喧嘩をすることは、子どもへの「面前DV」となり、心理的虐待となってしまいます。
しかも、子どもの前で夫婦喧嘩をしているところに警察が入ると、児童相談所等に心理的虐待として通告されることになっています。
こうなると、児童相談所からも連絡がくることになります。
「やりすぎじゃない?」と思うかもしれませんが、そうとも言いきれません。
じっさい、面前DVによって子どもの脳の発達に悪影響が起き、脳の容積が減少することがわかってきています。
なので、よくある「夫婦喧嘩を子どもに見せるのは人間関係の勉強になる」「仲直りしたら大丈夫」という説は、科学的根拠のないハナシです。
メリットがあるどころか、器質的に脳にダメージが起きるのです。今回は、この点についてもう少しくわしくお話していきます。
【子の前で夫婦喧嘩=虐待】警察は児相に通告【児童福祉司経験者解説】
子どもの前での夫婦喧嘩は面前DVとなり、心理的虐待になる
子どもの見ている前で夫婦がケンカをすれば面前DV(心理的虐待)となります。
- 虐待は4種類(身体的虐待、心理的虐待、ネグレクト、性虐待)
- 面前DV(子の前で夫婦喧嘩)は心理的虐待
例えば、暴力はもちろんダメですが、暴言でも虐待となってしまいます。
では、どこからが心理的虐待なの?とギモンに感じる方もいると思います。
ポイントは以下です。
- 子どもが心理的なダメージを感じたら、面前DVであり、心理的虐待になる。
- 夫婦の「思い」や「しつけ」といった視点は、関係ない。
虐待かどうかの判断基準は、受け手(子ども)にあります。
親の思いやしつけのためといった考え方は関係なく、あくまで子ども視点で捉えられます。
面前DVについては、こちらの記事でもわかりやすく解説されています。
児童相談所への虐待通告者は、警察が5割
2010年度は、児童相談所への虐待通告の15%が警察によるものでした。
ところが、この割合は年々増えて、2020年は50%となっています。
(参考:厚生労働省 平成30年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数<速報値>)
2010年 | 2020年 |
15%(6600件) | 50%(79150件) |
付け加えると、警察から児相への通告のうち、70%以上が心理的虐待です。(2018年度は73%)
警察から児相への通告でよくある例は、
⇩
②警察が臨場した。夫婦から話を聴いた。
⇩
③夫婦喧嘩を子どもが見知っていたとわかった。
⇩
④警察は「面前DV(心理的虐待)」として児童相談所へ通告。
⇩
⑤後日、児童相談所から夫婦宛てに連絡がある。
こうしたことが増えているのでしょう。
警察はDVへの取りしまりを強化していますし、夫婦喧嘩のウラで深刻な虐待が隠れていることもあるので、ひとまず児童相談所に通告されることになっているのです。
子どもの脳へのダメージが判明
児童虐待が子どもの脳へ与えるダメージについては、友田明美さんが先駆者です。NHKのプロフェッショナルで特集されたこともありましたね。著書も多数の方です。
「言葉によるDV」を目撃してきた人のほうが,身体的DVを目撃した人より,脳のダメージが大きかった。具体的には,視覚野の一部で夢や単語の認知に関係する舌状回の容積が,身体的DVは3.2パーセントの減少に対して,言葉によるDVでは19.8パーセントの減少と6倍にもなっていた。
引用元:公益社団法人日本心理学会HP 体罰や言葉での虐待が脳の発達に与える影響 友田明美
なんてこった!
オレの脳もやられてやがる・・・!?
過去は変えられないが未来は変えられる
子どもに連鎖しないように気をつけていこう!
まとめ
子どもの前での夫婦喧嘩は心理的虐待となります。
子どもの脳の発達に悪い影響がおきてしまいます。
対策としては、以下のような方法があります。
面前DVを避ける方法
- 喧嘩しそうになったら一旦離れる(家の外に出るなど)
- 子どもが察知できない時・場所でケンカする
- 喧嘩しない(実は難易度が高い)
もし夫婦喧嘩をしそうになったら、冷静に話し合うか、子どもの見えないところ、聞こえないところに移動してバトル(?)しましょう。ケンカ自体はあっても良いのです。
そんなん言われても・・・
ケンカって、コントロールできひんやん?
そうだよなぁ
気持ちはすごくわかる・・・
子どもをより良く育て、夫婦関係を変えるには、まずはあなたが変わることが始まりです。
私の経験上、夫婦喧嘩を繰り返している夫婦は、たいていが相手のせいにしています。
例えば、「相手が悪い」「相手に負けたくない」「相手に勝ちたい」「相手が変わってくれないからダメ」といった具合です。
延々と夫婦喧嘩を繰り返した結果、家庭環境は悪化し、子どもが不登校になったり精神不安定になったり、果ては子どもに見捨てられ、離婚し・・・といった誰も嬉しくない結果になっていきます。
「夫・妻の方が悪いのに!」と感じられるでしょうが、自分が変われば相手も変わらざるを得ません。
語弊があるかもしれませんが、負けるが勝ち、です。(夫婦関係は勝ち負けではないのですが、ついついそうした感情がわくものですね)
夫婦関係を良好にする著書はたくさん出回っています。何か手に取ってみても良いでしょう。
「具体的にどうすれば良いのか?」がしっかりと書かれていてカンタンなのが『不機嫌な妻 無関心な夫 うまくいっている夫婦の話し方』です。興味のある方はチェックしてみてくださいね。
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