性的虐待への対応って?【児童福祉司経験者が解説】

児童相談所・児童福祉司

性的虐待って、どう対応するん?

通告があれば児童相談所が直接調査するだろうな

こんにちは。社会福祉士・精神保健福祉士のぱーぱすです。

性的虐待というと、なじみの無い方が多いかもしれません。もともと私もそうでした。

児童虐待防止法の定義によると、性的虐待は「保護者や現に子どもを監護する者から、その監護する児童への性的暴力」ということになります。

「そんなことをする人間がいるのか?」と思う方もいるでしょうけれど、実際にあることなんですね。

しかし、性的虐待は虐待種別のなかでわずか1.7%でしかありません。
参考:厚生労働省HP 児童虐待の現状

では性的虐待はそれだけ少ないのでしょうか?実はそうとも言いきれません。性的虐待は最も発覚しにくい虐待だからです。

子どもの体にケガやアザがあれば、大人は「どうしたの?」と質問しますよね。こうして身体的虐待は発見されやすいです。

また、子どもが毎日同じ服を着ていて汚れていたり、学校を休んでも保護者から連絡が無い日々が続き・・・。ネグレクトが発見されることになります。

では、性的虐待はどうでしょうか?やはりですが、なかなかわかりません。見た目に明らかな確証の無いことが多いんです。客観的な事実が見つかりにくい。(妊娠で発覚することはあります)

子ども自身、さまざまな理由で言い出せないことが多いです。言っても信じてもらえないと思う(経験がある)子もいます。それに、加害者からも「言ったら痛い目にあわせる」などと口止めされていることが多いです。

発覚している性的虐待は、氷山の一角です。

この記事は、性的虐待にどのような対応がなされるのか。ガイドラインや経験をまじえながら、現状をお話ししていきます。

性的虐待への対応って?【児童福祉司経験者が解説】

性的虐待はどのように発覚するのか

性的虐待が発覚するのは”ほのめかし”のような表現からであることがあります。「体を触られる」等です。

幼い子どもや小学生の場合は、性暴力被害という認識なく話すこともあります。「お風呂で洗いっこする」「着替えをのぞかれる」等です。

思春期以上になると、性暴力被害という認識をもって話す傾向があります。(ですが、思春期以前から長く被害を受けてきた子もいます)

最近では、携帯やパソコンに入っている画像を家族が偶然みつける例もあります。

でも、くりかえしますが、性的虐待は発覚しにくい虐待です・・・。

性的虐待が発覚したら?

虐待の初期調査は、市町村の家庭児童相談室が行うこともありますが、性的虐待は別です。

性的虐待は、一時保護の判断をその場ですることが必要なので、一時保護の判断権限をもっている児童相談所が初期調査を行うことが多いでしょう。性的虐待は、それだけ深刻な虐待ということです。

実際、私の知る限り、性的虐待の対応は児童相談所がいつも担っていました。

性的虐待が発覚して通告をうけた児童相談所は、子どもへの初期調査・安全確認を行います。児童相談所における性的虐待対応ガイドライン 2011 年版でフローチャートが公開されています。

出典元:児童相談所における性的虐待対応ガイドライン 2011 年版より抜出

一時保護の要否判断をするのは、もちろん児童相談所です。いつもフローチャート通りとはいきませんが、このような流れになることが多いです。

児童相談所は、通告者から情報を確認したうえで、子どもへ被害調査面接を行います。これは調査のための一時保護の要否を判断する面接です。(被害内容をくわしくきく面接ではありません)

最小限度の被害や危険をうかがえる情報がわかれば、児童相談所はすぐに調査のための一時保護に踏み切ることになっています。

また、面接での聞き方には専門性がもとめられています。誘導や強要にならないように、ガイドラインでは留意点がしめされています。

一時保護することになった場合

出典元:児童相談所における性的虐待対応ガイドライン 2011 年版より抜出

さきほどのフローチャートの続きです。

一時保護を実施することになれば、児童相談所は同時並行的に動くことになります。このあたりの動きは児童相談所の規模や、その時の人員体制によって臨機応変に変わることになるでしょう。

まずは、親権者・保護者への告知。このときの反応は、本当にさまざまです。とうぜん怒る方もいるし、まったくの寝耳に水で「人間違いではないか」と言う方もいれば、心当たりがあるという方もいます。

同時並行で、家庭内に同性のきょうだいがいて、被害をうけている可能性があるときは、きょうだいの安全確認・一時保護に向かうこともあります。

こうした裏側で、関係機関(市町村、学校、警察署など)と連絡し、調査をすすめていきます。

同時並行で連絡や動きをとることになるので、一時保護することになると児童相談所内は騒然とします。

とってもカンタンに説明しましたが、実は1つ1つの動きでの留意点は膨大です。

くわしく知りたい方は、児童相談所における性的虐待対応ガイドライン 2011 年版を見てもらうとわかると思います。

法的被害事実確認面接(forensic interview)

一時保護した子どもには、調査として面接を行うことになります。

法的被害事実確認面接は、子どもからの被害事実の聴き取りを、法的立証性のあるものとして聴くために、欧米で特別デザインされた面接法。

国際的に知られた方法であり、国連が使うように勧告している面接法です。司法面接とも呼ばれます。

法的被害事実確認面接(司法面接)は誰でもできる面接法ではなく、研修をうけることが必要です。

司法面接は性虐待や、身体的虐待、ネグレクト、DVや犯罪の目撃といった、子どもたちが経験した事実を聴き取る面接手法です。
性虐待などの虐待を受けた子どもは、児童福祉司等児童相談所職員、警察官、検察官、裁判官などの多くの職種に対し、何度もつらい体験を話さなければならず、そのたびにトラウマを再体験させられ、深刻なダメージを受けます。司法面接を、児童相談所・警察・検察で構成される多機関連携チーム(MDT)の枠組みで実施することによって、調査面接や事情聴取の回数を減らし、「二次被害」を防ぐことができます。
引用元:認定特定非営利活動法人 チャイルドファーストジャパン(CFJ)ホームページ FAQ

日本の司法面接には、まだまだ技術・手順・法整備に課題があるのですが、チャイルドファーストジャパン(CFJ)では「ChildFirst®司法面接研修」を受けられます。約1週間、みっちりですね。それだけ高い知識と技術がいる面接なんですね。

身体医学診察(虐待認定のための診察)

性的虐待をうけた疑いのある子どもには、診察をうけてもらうことがあります。

医学診察所見と被害(事実)確認面接の内容が照合されて、調査としての性暴力被害事実の評価が確実なものとなる。
引用元:児童相談所における性的虐待対応ガイドライン 2011 年版

明らかな証拠が見つかりにくい性的虐待において、客観的な事実がわかることがあります。

「子どものためにするんじゃないの?」とギモンをもつ方もいるかもしれませんが、身体医学診察は子どもへの支援としての意味合いもあります。ガイドラインをもとにすると、次のようになります。

身体医学診察をする意義

  • 身体についての不安や誤った認識に対して、成長発達的には何ら問題が無い、
    将来子どもを妊娠し出産することについても何ら問題は無いだろう等と修正すること
  • 何か心配事は無いか尋ねて説明を受けること
  • 性感染症等への適切な治療を行い、健康な身体をとり戻すことが可能であると
    学ぶ経験
  • 子ども自身の身体イメージの回復につながり、重要な心理的ケアの意味を持つ

最終的にどうなる?

性的虐待をうけた子どもは、一時保護解除された後にどのように暮らしていくのか。これはケースバイケースです。

子どもと面接を重ねて希望をききとりつつ、非加害親の思いや子どもを守る力のアセスメントなどをすすめていくことになります。

結果的に、もとの環境(家で暮らしていたなら家)に戻らないこともあります。例えば、親族と一緒に暮らすことがありますし、里親や入所施設(児童養護施設など)で暮らすこともあります。

性的虐待は児童相談所・児童福祉司が担当することが多い

性的虐待は児童相談所が直接担当することが多いので、児童相談所や児童福祉司として働く方は、性的虐待に対応することが比較的多くなると思います。

この仕事に興味のある方は心づもりをしておく方が良いでしょう。

児童福祉司になりたい方、興味のある方はこちらのリンクもご参考にしてみてくださいね。

児童福祉司が国家資格に!?厚生労働省が検討

社会福祉士になれば、児童福祉司になることができます。興味のある方はぜひ目指してみてくださいね。

以上、性的虐待への対応って?【児童福祉司経験者が解説】という記事でした。

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