
精神保健福祉士をめざすなら読んでおいた方が良い本って何?おすすめは?
精神保健福祉士の仕事に興味がある方におすすめの本を紹介します。
精神保健福祉士とは、精神障がいのある方やメンタルヘルスの課題を抱える方に対して、相談や支援を行う国家資格の専門職です。
一言でいうと、「精神障がいのある方の生活のしづらさを支援する仕事」なのですが、具体的には、どんなことをするのでしょうか?
実際に現場で働く精神保健福祉士の物語を読むことで、イメージがわきやすくなります。
そこでおすすめしたい本があります。それは『かかわりの途上で こころの伴走者、PSWが綴る19のショートストーリー』という文庫本です。

私は精神保健福祉士・社会福祉士として様々な現場で働いてきました。経験は10年以上です。
【現役おすすめ】精神保健福祉士(MHSW)の仕事が物語でわかる本
『かかわりの途上で こころの伴走者、PSWが綴る19のショートストーリー』は、精神保健福祉士(PSW)の仕事を19のショートストーリーで紹介しています。
作業所やデイケア、病院や地域など、さまざまな現場で働く精神保健福祉士が、利用者さんや患者さんとどんな関わりを築いているのか、どんな悩みや喜びを感じているのか、リアルに描かれています。
著者は、精神保健福祉士の資格制度ができた1997年以前から実践してきたベテランの3人です。
現在は大学教授や理事として活躍するかたわら、本を多数出版していますね。
この本はkindleには対応していないので、文庫本で読むしかありません。ただし270ページほどの文庫本で、持ち歩きやすいサイズなので問題ないでしょう。
それと、この本は2009年に発行されたものなので、最新の情報ではありません。
しかしこれも、精神保健福祉士(PSW)の仕事でめざすものや、考え方はそうそう変わるものではないので、問題ないでしょう。
古典といわれる本が読み継がれるように、良書に流行りすたりは無いです。
19のショートストーリーは、1話が10~20ページ程度で完結します。忙しい日々でも1日1ストーリーという読み方でも十分楽しめます。
物語なので読みやすく、本に慣れていない方でも大丈夫でしょう。
本書の面白いところ
著書から一部引用させていただきます。
何度目かの訪問で、竹山さんの許可を得て開けた洋服箪笥には、ロールケーキがずらりと並んでいた。ここで「なんでタンスにパンを入れてるの!?」と驚いたり、「腐っちゃうから冷蔵庫にしまおう」などと言って、やたら手を出したりしてはいけない。
引用元:相川章子 田村綾子 廣江仁(2009)『かかわりの途上で こころの伴走者、PSWが綴る19のショートストーリー』へるす出版 P33
このくだり、「とても精神保健福祉士らしいなぁ」と感じました。
人のテリトリーに土足では決して上がらない。こういう精神保健福祉士の細かな思考プロセスや所作、一挙一動を知れるのは本書ならではです。
私の印象では、子ども分野とかの現場だと「何してるのー!腐るから冷蔵庫に入れないと」と言って手を入れる人が多いです。
そうした方が同じ要領でメンタル面に不調を抱えた思春期児童に関わって、反感や反発をくらってしまうことがよくあります。
本書の口コミ
『かかわりの途上で』(相川章子ほか/へるす出版)読了。
教科書の事例とは違い、うまくいったエピソードも悔いの残るものもずっしりと重い。いま読めてよかったと思う。— まえかく (@imuzeam) May 10, 2020
「かかわりの途上で」読了。PSWの仕事って?をエピソードで語っている。表面に見えていることだけではなく、抱えている問題は二面的であり多面的。その多面性にいかに気付けるか、がPSWとしての資質な気がする。その人の望む暮らしを実現すること、それこそがPSWの仕事なのだね。
— ひめ (@mikadukihime) May 18, 2012
備忘録
3年ゼミ前期の課題図書
前半 自分の薬をつくる(坂口恭平)
後半 援助関係論入門(稲沢公一)
かかわりの途上で
(相川章子、田 村綾子、広江仁) pic.twitter.com/eAEtusI8pk— あがのこ (@aganoko08301975) June 25, 2021
最後に
この本を読むと、精神保健福祉士がどんな仕事をしているかがよくわかります。
また、精神保健福祉士として必要な考え方や姿勢も学べます。現場で働く精神保健福祉士が読んでみても「そうそう。PSWってそうだよな。」と共感する面白さがありますね。
精神保健福祉士に興味がある方は、ぜひ読んでみてくださいね!
関連記事コーナー
ちなみに、この本が出版された当時は精神保健福祉士の略称はPSWでした。しかし現在はMHSWが正式な略称になっています。詳しくはこちらの記事で紹介しています。
精神保健福祉士が支援する方の中で多いのは、『統合失調症』という病気を持つ方です。
統合失調症の特徴は、現実と区別がつかなくなるような幻聴や妄想などの症状があることです。この病気についてもっと知りたい方は、映画を見るとわかりやすいです。
おすすめの映画が『ビューティフル・マインド』。この映画は、実在した天才数学者ジョン・ナッシュの物語です。彼は統合失調症を発症しましたが、その苦しみと闘いながらノーベル賞を受賞しました。彼の人生を感動的に描いた映画ですね。
『ビューティフル・マインド』を見ると、統合失調症の方がどんなことを感じているかや、周りの人がどう対応しているかがわかります。精神保健福祉士になりたい方や、統合失調症に関心がある方はぜひ見てみてください。
詳しくはこちらの記事で紹介しています。↓
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