- 精神保健福祉士ってどんな仕事をするの?
- 説明をきいてもイメージし辛い・・・
こういった思いの方へ。
- 精神保健福祉士の仕事を19のショートストーリーで書かれた本の紹介
私は社会福祉士・精神保健福祉士として働いています。現場で10年超の経験です。
精神保健福祉士の仕事って、いまいちわかりづらいですね。
精神保健福祉士(PSW)の仕事は何かというと、
「精神障がいのある方の生活のしづらさを支援する仕事」です。
でも、これだけ言われてもイメージしにくいですよね・・・。
実は、現場の精神保健福祉士も「精神保健福祉士って何?」と聞かれると、答えに困る人が多いです。
恥ずかしながら、私自身も未だ説明に困るんです。
こちらの「【簡単に】精神保健福祉士とは?11視点で現役がまとめ解説」では、
全体像がわかるようにまとめましたが、十分とは思えないんですよね。
精神保健福祉士の仕事は、とても個別性が強く、柔軟で幅広いです。
現場ごと、利用者・患者さんごとに、できること・やっていることに違いがあります。
「精神保健福祉士は〇〇をする」みたいに言えることが案外少ないんですね。
「じゃあどうすればわかるの?」という悩みの答えはとしては、
「精神保健福祉士は精神障がいのある方の生活のしづらさを支援する仕事」とざっくり理解しておいて、
あとは個別の話として1つ1つ知っていくことです。
そうするプロセスで、あなたの中の精神保健福祉士像が徐々にクリアになっていくと思います。
そこでご紹介する本は『かかわりの途上で こころの伴走者、PSWが綴る19のショートストーリー』という文庫本です。
精神保健福祉士(PSW)の仕事が物語でわかる文庫本
どんな本か?
「かかわりの途上で こころの伴走者、PSWが綴る19のショートストーリー」は、精神保健福祉士の仕事が19のショートストーリーでわかる本です。
精神保健福祉士は勤務先などによって、実際のありように違いのある職種です。
例えば、内職を行う作業所で働く精神保健福祉士は、”利用者さん”と一緒に毎日内職をしたり、面接をしたり、一緒にハローワークに行くこともあります。
精神科デイケアで働く精神保健福祉士は、”患者さん”の体調や精神状態をみながら話をしたり、食事をつくったり、卓球や体操を一緒にしたりもします。
精神保健福祉士の目指すものは同じですが、「精神保健福祉士は〇〇をする仕事です」とは言いにくい。
こうしたもどかしさを抱えた精神保健福祉士3人が書いたのが、『かかわりの途上で こころの伴走者、PSWが綴る19のショートストーリー』です。
著者について
著者である3名の精神保健福祉士は、
精神保健福祉士の資格制度ができる1997年以前から実践してきたベテランです。
現在は大学教授や理事として活躍するかたわら、本を多数出版しています。
本のボリュームは?読みやすいか?
本は270ページほどの文庫本です。持ち歩きやすいサイズです。
ショートストーリーは、1話が10~20ページ程度で完結します。
忙しい日々は1日1ストーリーという読み方でも十分でしょう。
物語で読みやすいし、短いので、本に慣れていない方でも読みやすいと思います。
デメリットは?
発行年が2009年であり、約13年前です。
売り切れなどで手に入りづらいことがあるかもしれません。
ただし13年経っても内容は色あせていません。
精神保健福祉士(PSW)の仕事でめざすものや、考え方はそうそう変わるものではありません。
古典といわれる本が読み継がれるように、良書に流行りすたりは無いです。
面白いところは?
著書から一部引用させていただきます。
何度目かの訪問で、竹山さんの許可を得て開けた洋服箪笥には、ロールケーキがずらりと並んでいた。ここで「なんでタンスにパンを入れてるの!?」と驚いたり、「腐っちゃうから冷蔵庫にしまおう」などと言って、やたら手を出したりしてはいけない。
引用元:相川章子 田村綾子 廣江仁(2009)『かかわりの途上で こころの伴走者、PSWが綴る19のショートストーリー』へるす出版 P33
このくだり、とても精神保健福祉士らしいなぁと感じました。
人のテリトリーに土足では決して上がらない。
こういう精神保健福祉士の細かな思考プロセスや所作、一挙一動を理解できるのは、本書ならではです。
私の印象では、子ども分野とかの現場だと「何してるのー!腐るから冷蔵庫に入れないと」と言って手を入れる人が多いです。
そうした方が同じ要領でメンタル面に不調を抱えた思春期児童に関わって、反感や反発をくらってしまうことがよくあります。
口コミ
『かかわりの途上で』(相川章子ほか/へるす出版)読了。
教科書の事例とは違い、うまくいったエピソードも悔いの残るものもずっしりと重い。いま読めてよかったと思う。— まえかく (@imuzeam) May 10, 2020
「かかわりの途上で」読了。PSWの仕事って?をエピソードで語っている。表面に見えていることだけではなく、抱えている問題は二面的であり多面的。その多面性にいかに気付けるか、がPSWとしての資質な気がする。その人の望む暮らしを実現すること、それこそがPSWの仕事なのだね。
— ひめ (@mikadukihime) May 18, 2012
備忘録
3年ゼミ前期の課題図書
前半 自分の薬をつくる(坂口恭平)
後半 援助関係論入門(稲沢公一)
かかわりの途上で
(相川章子、田 村綾子、広江仁) pic.twitter.com/eAEtusI8pk— あがのこ (@aganoko08301975) June 25, 2021
どんな人にオススメ?
この本がオススメできるのは、以下のような方です。
ここにタイトル
- 精神保健福祉士の仕事を知りたい方
- 精神保健福祉士になろうか迷っている方
精神保健福祉士に興味のある方が「精神保健福祉士ってそういう仕事をするのか」とイメージするのに役立つでしょう。
現場で働く精神保健福祉士が読んでみても「そうそう。PSWってそうだよな。」と共感する面白さがあります。
ちなみに、本書発刊の当時は精神保健福祉士の略称=PSWでした。
しかし現在は、MHSWが精神保健福祉士の正式略称となっています。詳細はこちらの「精神保健福祉士の略称がPSWからMHSWに変わった理由」でまとめてます。
精神保健福祉士が支援する精神障害のある方で多いのは、統合失調症の方です。この病気をラクに知れるのがビューティフル・マインドという映画なのでして、こちらの統合失調症がわかるおすすめ映画【ビューティフル・マインド】で紹介しています。
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