良い戦略?聞きなれん言い回しやな
じつは相談援助の展開過程は「良い戦略」になる
どうも!社会福祉士・精神保健福祉士のぱーぱすです。
私たち福祉関係の人間は「良い戦略」を立てるのが重要なのに、ついつい「悪い戦略」を立てがちなのをご存知でしょうか?
- 活力にあふれた職場をつくる!
- 心を満たす福祉の実現!
- 保健医療・福祉の増進をめざす。
よくある理念や方針かもしれませんが、これだけでは「悪い戦略」になってしまいます。
福祉の現場では、専門用語でわかりづらかったり、理想が高すぎたり、あいまいな戦略が立てられがちです。
理想や目標をもつこと自体は良いのですが、「どうせできない」「絵にかいたモチ」の戦略が多いということです。
結果、私たちのモチベーションまで下がり、会社や法人の力もふるわないことになってしまいます。お一人お一人にはやる気やスキルがあるのに、それを発揮することができないわけです。
これを打開するには「良い戦略」を立てることが重要になってきます。「良い戦略」とは
①診断
②基本方針
③行動
①~③の筋が通っていて、達成可能で、具体的で、現実的な戦略のことです。「良い戦略」とは、戦略論と経営理論の世界的権威、リチャード・P・ルメルトが著書『良い戦略、悪い戦略』でのべた言葉です。
「だから何?」と思うかもしれませんが、「良い戦略」の考え方は、私たち福祉の仕事にとても活用できます。
たとえば、相談支援の展開過程では、アセスメント・プランニング・インターベンションがありますよね。この相談支援の展開過程は、良い戦略と似ています。なぜなら、
①診断 ⇒ アセスメント
②基本方針 ⇒ プランニング
③行動 ⇒ インターベンション
と、読み替えることができるからです。
「良い戦略」を立てられる支援者は良い支援者になれし、会社・法人の指針を示せるのでは、ということです。
これを、相談援助の展開過程を「悪い戦略」にしない方法として、お話ししていきます。
相談援助の展開過程を「悪い戦略」にしない方法【社会福祉士解説】
福祉関係の私たちは「悪い戦略」を立てがち
そもそも、世の中に良い戦略はほとんどありません。
誰もが知る大企業なら「きっと良い戦略を立てているに違いない」と私たちは考えます。けれど、そんなことはありません。
誰もが知る大企業の戦略であっても、目標の数が多すぎたり、専門用語でごまかしていたり、目標と戦略を取り違えていたりする例が多く、結局達成できない「絵にかいた餅」なのです。
これは、福祉関係の法人によくあてはまります。
得てして福祉関係の私たちは、理想を高くかかげ、非現実的で、空疎で、多すぎる目標や指針をたててしまいます。わかりきっていることを専門用語でごまかしていることもあります。
例えば、「共生社会をつくる」「活力にあふれた職場をつくる」「心を満たす福祉の実現」「保健医療・福祉の増進」などは、良い戦略(目標)になりえるでしょうか?
もちろん、ビジョンや理念は大切なことですが、これだけでは戦略にならないということです。
現場では、非現実的な目標、まず達成できない目標、どうなれば達成できたと言えるか不明な目標、専門用語が使われていて意味がよくわからない目標etc…がよくあります。
働く私たち自身、「どうせ言ってるだけ。」とやる気を失くしたり、「良いことだ(なんだか意味はよくわからないけど)」と具体的な行動への移し方がわからず、思考停止に陥ってしまいがちです。(自戒を込めて言います)
「良い戦略」は「相談援助の展開過程」に活かせる
「良い戦略」は「相談援助の展開過程」に通じるでしょう。共通点があるからです。
②基本方針(プランニング)
③行動(インターベンション)
言葉の意味を整理すると、つぎのようになります。
- 「診断」とは、状況を分析し、取り組むべき課題を見極めることです。
- 「基本方針」とは、診断でみきわめた課題に、どのように取り組むのか大まかな方向性を示すものです。
- 「行動」とは、基本方針を実行するための具体的に行うことです。
例えば、支援計画を立てるとき(プランニング)は、相談支援の視点だけで考えがちです。けれど、「良い戦略」にするための視点で支援計画を捉えることもできます。
こんな感じで
支援計画が「良い戦略」になっているか・アセスメント、状況分析は正しいか?
・取り組むべき課題は合っているか?
・長期目標・短期目標・具体的な支援課題は、筋が通っているか?
・具体的か?
・達成可能か?
・重大な問題をムシしていないか?
・目標と方法をとり違えていないか?
・目標は多すぎないか?
・非現実的な目標になっていないか?
・当人の最大の強みを活用できているか?
「良い戦略」を立てる視点を磨くことは、支援計画を実行性のあるものにつなげ、より良い支援を届けることにつながると思います。
「良い戦略」を立てるために必要な力が何かというと、著者は判断力と言います。
判断力を高める1つの方法【リチャード・P・ルメルト氏推薦】
『良い戦略、悪い戦略』で、判断力を高める1つの方法が紹介されています。
それは、自分の判断を記録するということです。
なぜその判断をしたのか記録を残すことで、以下のことができるようになります。
- 判断が正しかったか検証できる
- 他者の判断と違ったときに、学習できる
「判断→反省・検証」の繰り返しで、判断力を高めることができるということです。これは日常業務でもできます。
例えば、会議の前に「最も話が過熱するのはどの議題のときか?」「誰が意見を言うか?」「意見に賛成するのは誰か?反対するのは誰か?」などの見立てを書きとどめておくことで、判断力磨きのエクササイズができます。
ふだんの生活では、節約行動、投資行動についての判断を記録に残すということです。私自身、早速やっています。
判断の理由を記録に残すことで、判断力は鍛えられる。
やってみると意外なほどに効果を感じられると思います。
以上、相談援助の展開過程を「悪い戦略」にしない方法【社会福祉士解説】という話題でした!
コメント