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社会福祉士実習のリアル|大学病院MSW現場で感じた命と支援の境界線

https://syahukusan.com/syahuku-msw-practice/

社会福祉士の病院実習って、どんな感じ?

社会福祉士の実習と聞くと、どんなイメージがありますか?
「つらい」「緊張する」「実習日誌が大変」──そんなイメージをよく聞きます。
▶関連記事:社会福祉士実習がつらい・きつい!あるある事例と対策【実習指導者が解説】

私自身も、例外ではありませんでした。
私が受けた社会福祉士の実習(180時間・約1か月間)は、大学病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)現場

慣れない環境と人間関係のなかで、心身ともに消耗する日々。
毎日のように「余命〇か月」といった言葉が行き交い、現実感が失われるほどの濃密な時間でした。

けれど、その中で出会った実習担当のMSWさんが、今でも私の目標となるほど素晴らしい方でした。
この記事では、私が経験した病院実習のリアルを、体験談としてお伝えします。
これから実習を迎える方、あるいはMSWの仕事に関心のある方の参考になれば幸いです。

筆者:ぱーぱす(社会福祉士・精神保健福祉士)
自治体で働くソーシャルワーカー。児童相談所などでの実務経験をもとに発信。
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大学病院でのMSW実習体験

私の実習先は、大学医学部付属病院の連携室でした。
MSW(Medical Social Worker)は、患者さんや家族の転院・退院調整、医療費・生活相談、治療方針の調整など、幅広い支援を担います。

私は初日から緊張の連続で、正直、毎日が「いっぱいいっぱい」
余裕なんてありませんでした。

そして、現場では連日のように「余命〇ヵ月」「余命〇年」という話が行き交います。
(もちろん、すべてのMSW現場がそうではありません。)

けれど当時の私は、悲しい話を聞いても、なぜか現実感がわかなかったのです。
まるで映画を観ているような、遠い世界の出来事のように感じていました。

「悲しいと思えない自分」に戸惑った日々

ある日、私は実習担当のMSWさんにこう打ち明けました。

「こんなに悲しい話なのに、悲しいと思えないんです。」

返ってきた答えは、今も忘れられません。

「あまりに衝撃的なことばかりで、心が傷つかないように自分を守っているんじゃないかな。」

その言葉に少し救われつつも、心の奥では思っていました。
「そうだろうか?やはり自分は冷たい人間なのではないか?」
「福祉の仕事に向いていないのではないか?」と。

当時の私は、“優しく共感できる人=社会福祉士に向いている”と思っていたのです。

余命を伝える・伝えないという現場の判断

実習中、もうひとつ強く印象に残っているテーマがあります。
それは、「余命を本人に伝えるかどうか」という問題です。

私は単純に「本人が知った方が、残りの時間を大切にできる」と思っていました。
しかしMSWさんからは、次のように教わりました。

  • 「余命を知りたくない方もいる」
  • 「そもそも余命は不確かで、変わることもある」

当時の私は納得しきれず、「そういうものか…」と受け入れるのが精一杯でした。

感情を保つことと、共感することのバランス

このようなMSWの現場では、感情を揺さぶられていては支援が続きません。
涙を流している間にも、面談や退院支援を待つ人がいます。

だからこそ、気持ちをいったん脇に置き、支援に集中する
これは冷たい対応ではなく、「仕事として心を整える力」でしょう。

しかし一方で、淡々としすぎると、患者さんや家族には冷たく映るかもしれません。
共感とメンタルの安定――その両立が、MSWには欠かせないと感じました。

まとめ:MSW実習で出会った「生と死」との向き合い方

社会福祉士(MSW)の実習は、「生と死」に日々直面する壮絶な現場でした。
けれど、それは同時に、自分の感情や価値観を見つめ直す貴重な機会でもありました。

支援とは何か、共感とは何か――
あの大学病院での実習、実習担当だったMSWさんとの出会いが私の原点になっています。

そして今も、そのMSWさんとはつながりがあります。出会いに本当に感謝いたします。

さいごに:社会福祉士実習を控える方へのアドバイス

少し偉そうに聞こえるかもしれませんが、私から伝えたいことがあります。
それは、「実習日誌とメモは、数年後の自分へのプレゼントになる」ということです。

社会福祉士として働くうちに、人は変わります。
感じ方や考え方、価値観も変化します。

けれど、その変化を自分で実感するのは難しいものです。
人は周りの変化には気づきやすいですが、自分自身の変化には気づきにくいのです。
自分をモニタリングする自分自身が変わっていくのですから、それは自然です。

しかし、昔の記録を読み返すと、驚くほどリアルに思い出が蘇ります。
「自分はこんなことを感じていたのか」と気づける瞬間がある。
それが、次の一歩の原動力になります。

ぶっちゃけ、実習が終わったら、日誌を処分してしまいたくなる気持ちもわかります。
スカッとしますよね。私はそういうタイプでした。
でも、どうかすぐには捨てないでください
それは数年後、あなたを支えてくれる“手紙”になると思うからです。

それと、社会福祉士実習が「つらい」「厳しい」と感じる方は多いです。
そうした方へ向けて書いた記事があります。読んでおくと、事前準備になるはずです。

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