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児童相談所はノルマがあるから一時保護するの?【児相経験者解説】

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  • 児相にはノルマがあるの?
  • 児童相談所は予算でノルマがあるから拉致(一時保護)しようとするのでは?

こういった疑問のある方へ。

こんにちは。ぱーぱすといいます。社会福祉士・精神保健福祉士です。

児童相談所で児童福祉司として、虐待対応をしてきた経験があります。

「児童相談所にはノルマがある」

ネット上ではこうした意見が出回っていることがありますね。

実際、Yahoo!知恵袋では以下のような質問が出ていました。

児童相談所の拉致について。最近知りました。そして、児童相談所の予算(ノルマ達成)のため、親が病弱だったり、押しに弱かったり、片親だったりすると春休みや夏休みに子供が拉致される事が多い、と。
出典:Yahoo!知恵袋

経験上、断言します。ノルマは無いです。

国の指針、児童相談所の指針などにおいても、「年間の一時保護目標件数は〇〇件」とかそういった類のものはありません。(あったら大問題です)

デマや偏向的な報道をうのみにした意見が出回りすぎることで、

「自分の子どもが拉致されてしまうのでは・・・」と不必要な不安に苦しめられてしまう方がいます。

これでは子どもが安心・安全に暮らせるように向かっていきません。

児童相談所の実際のありようを伝えるべく、経験をふまえて本記事を書くことにしました。

児童相談所はノルマがあるから一時保護するの?【児相経験者解説】

一時保護の判断基準にノルマ・予算の話は無い

一時保護の判断基準に、予算やノルマは関係ありません

一時保護の判断基準は、厚生労働省が公表していますので誰でもチェックできます。

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出典:厚生労働省HP 子ども虐待対応の手引き 第5章 一時保護

それぞれのYES・NOを判断するポイントとして、以下が次のことが示されています。

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出典:厚生労働省HP 子ども虐待対応の手引き 第5章 一時保護

予算やノルマ上の都合、みたいな話は一切ありませんね。

子どもや保護者が一時保護を求めているかどうか、を出発点として、リスクを判断していきます。

児童相談所に「ノルマ達成のために一時保護しよう」と言ってる余裕は無い

「一時保護したら完了」ではなく、一時保護からが膨大な職務スタートのようなものです。

例えば、一時保護を主に担当する児童福祉司(ケースワーカー)からみた一時保護という職務は、次のようなものです。

一時保護という職務
業務量 とても多い
業務の性質 難度が高い
責任大きい
心理的負荷大きい
優先順位 高い

平たく言えば、すごく忙しくなるし大変だし辛い職務です。でも子どもの安心・安全のためには腹をくくって、児童相談所の判断としてためらわず決行します。

心で体当たりするような日々であり、心から始まって身体も蝕まれやすいです。児童福祉司の精神疾患発症率や休職率の高さは、そうした過酷さの証左でしょう。

そうした環境下で、「ノルマがあるから一時保護しなさいよ」なんてことを言われたら、現場の児童福祉司は怒りを禁じえないでしょうね。

もし「ノルマがあるから一時保護しないといけない」などと発言する人がいたなら、厳重注意の処分をされたり、録音して内部告発する人が出たりすると思います。

児童相談所の現場に「ノルマがあるから一時保護しよう」などと言っている余裕は無いのです。

一時保護には不服申立てができるので、「ノルマ・予算」都合の一時保護なら大問題になる

表には出てないだけで、実際はノルマがあるんじゃないの?

「一時保護の判断基準なんてただの建前では?」と、どうしても疑わしい方がいるかもしれません。

一時保護は児童相談所長か都道府県知事の判断で行える行政処分ですが、第三者が一時保護の妥当性をジャッジできるようになっています。

子どもを一時保護された保護者の方は、「不服申立て」をすることができます。詳しくは「一時保護の行政不服審査・不服申立て【児童福祉司経験者が解説】」で解説しています。

もし不服申立てがあれば、当然ながら児童相談所は説明を求められます。

なぜ一時保護が必要だったのか?と。

その理由説明において「予算上のノルマがあるので一時保護しました」なんて話、ありえるでしょうか?

児相側から「ノルマがあるので一時保護しました」などという話があれば、大問題になるでしょう。児童相談所長に重大処分が下るはずです。

子どもの安心と安全。これ以外に、一時保護の要否を判断する基準は無いのです。

最後に

児童福祉司にとって、一時保護は業務量の増えることですし、背負う責任も大きく、板挟みに苦しむことでもあります。

しかし一時保護すべきリスクがあるとわかれば、腹をくくって一時保護をするのです。
判断軸はこの一点です。

一時保護すべきかどうかという判断は、緊急で迫られることが多いです。

「ノルマがあるから一時保護をしよう」

「予算の都合があるから保護しとかないと」

などと考えているヒマも余裕もありませんし、そのような悠長なことを言っていられるものではなく、児童相談所の現場はもっと緊迫感があるものです。

一時保護についてはこちらの『児童相談所の一時保護とは?【児童福祉司の職務解説】』でも解説しています。

なお、今後は一時保護の必要性を判断する司法審査制度が導入されることになっています。NHKが「児童福祉法など改正法が成立「一時保護」の際「司法審査」導入(2022年6月8日)」で記事にしています。

次のような案も検討されていますね。

≫厚生労働省HP 一時保護開始時の司法審査等について(案)( PDF)

子どもが安心・安全にくらせるように、保護者さんも安心して子どもを育てられる世になっていくようにと思います。

この記事を書いた人

社会福祉士&精神保健福祉士|大学受験失敗 → 浪人・転向 → 国家資格ダブル合格 → 就職 → パワハラ遭遇 → 転職 → 福祉現場で10年超
現職で働きながらブログ書く日々|月4万PV|妻と猫が大切

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しゃふくさん

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