児童相談所の一時保護から子どもを取り戻す方法を知りたい保護者さんへ

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こんにちは。

わたしは社会福祉士・精神保健福祉士で、児童相談所で児童福祉司(ケースワーカー)をしていた経験があります。

  1. 子どもを一時保護された・・・
  2. 児童相談所に一時保護された子を早く取り戻したい
  3. 弁護士に相談した方が早く取り戻せる?

こういった状況の保護者さんへ、どのような方法が良いかお話いたします。

児童相談所の一時保護から子どもを取り戻す方法を知りたい保護者さんへ

一時保護について(児童相談所の視点)

児童相談所の児童福祉司(ケースワーカー)は、子どもを一時保護せざるを得ないことが多々あります。

一時保護は、児童福祉法第33条に規定された行政処分です。

第三十三条 児童相談所長は、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる。
引用元:児童福祉法

到底納得されないと思いますが、好きこのんで一時保護しているわけではありません・・・。

「一時保護にはノルマがある」はデマ

ネット上では「一時保護を年間〇件するノルマがある」とかいう情報が流されていますが、デマです。

詳しくはこちらの記事でも話していますが、

一時保護に係る費用は行政がもちます。財源は税金です。保護者さんに請求することは原則ありません。

それに一時保護をすれば、児童相談所は膨大な業務を背負います。

保護者さん(時に子どもからも)、反発や怒りを受けます。

児童福祉司も人間なのでダメージを受けます。冷静を装いますが、ロボットではありません。

しかし一時保護は、児童相談所の責務。

児童相談所としては、腹をくくってやっています。

一時保護は何の連絡もなくいきなり実行される理由

多くの場合、一時保護は保護者さんに了解なく実行されます。

一時保護を完了してから、保護者さんへ連絡し、話をしていきます。

どうしてこのような順番になるかというと、

児童相談所が「一時保護します」と言って、「はいわかりました」と言う保護者さんはほとんどいないからです。

(時に、すんなり了解されることはありますが、それはそれでどうなのかと心配)

もちろん、できれば事前に了解をとるのが良く、その努力が必要とされています。

しかし児童相談所が最優先にするのは、やはり子どもの安心と安全。

一番避けるべきは、保護者さんの反対をうけて一時保護できず、子どもの命が失われてしまうことです。

誰もが満足する決定はできません。優先順位をつけて、決断していくのです。

よくあるのは

  • 保護者さんの希望
  • 子どもの利益

この2つが一致しないことです。

そうした時に、児童相談所が優先するのは『子どもの利益』です。

一時保護をするときは、子どもの理解を得る

子どもに対しては、一時保護の必要性を説明し、納得してもらうように努めます
※幼児のように、意思の確認が難しい年齢や能力の子どもであれば、臨機応変に対応します。

「嫌がる子どもの体を縛ってでも連れて行く」みたいなことはしませんし、できません。

一時保護となれば、子ども自身の人生にも必ず影響がでてきます。時に、大きな決断をすることにもなります。

子どもの意思を尊重しながら進める必要があるのです。

それに一時保護所は刑務所ではありませんし、抜けだせる構造になっています。

無理やり一時保護をしても、安全にはならないんですね。

「子どもを取り戻す方法」が知りたい保護者さんへ

最近はインターネットで、「児童相談所から子どもを取り戻す方法」等の記事が公開されています。例えばこちらは、東京駅前総合法律事務所さんの記事です。

保護者さんの中には、上記のような記事をご覧になって、安心する方もいますが、心配をさらにつのらせる方もおられるでしょう。

「一時保護期間が1年以上かかることもある」といったワードだけが独り歩きして、

「自分たちの場合もそうなるのでは・・・」と不安・怒りを感じる方もおられます。わたしは実際に聞かれたこともあります。

上記記事でも言われていますが、冷静に話した方が良いのは確かです。

それは、一時保護に至った原因・課題の解決を早めるためです。
(保護者さんの立場にしてみれば「子どもを早く取り戻す」ということ)

感情的になっても、攻撃しても、脅しても、事態は好転しないでしょう。

そうした反応に児童相談所は慣れていますし、「虐待事実を認めない」「支援を拒む」という点は児童虐待の再発リスクです。

一時的に取り乱されるのは自然ですが、その後は「現実的にどうしていくと良いか(改善するか)」にシフトすることです。

『保護者さんが悪い人』ではなく、『子どもが安心・安全な状況ではない』という話

児童相談所は警察ではありませんので、保護者さんが虐待をしているかどうかよりも、現在の環境では子どもの安心・安全が深刻に脅かされているという点に関心があります。

「あなたがやったんでしょう」と保護者さんを決めつけたり、追求したり、批判するためではありません。児童相談所は、あくまで子ども中心の機関です。

もちろん、児童相談所は「どんなことが起きたのか」という調査はしますし、保護者さんにも質問するでしょう。

この際は、正直に話すのがベストです。例えば事実を隠したり、小さく嘘をつくと、疑念として残り続けます。

児童相談所はさまざまな方法で調査をしたうえで保護者さんと面談するので、ウソをついていることがバレていたりします。

そもそも子ども第一に考えると、率直に話される方が今後につながります。

そして事実がわかった後は、「今後どう対策するか」「再発しないようにどうしていくか」に焦点を当てた話し合いに移っていきます。

こうした話し合いで、感情的に反発するのは得策ではありません。敵意を向けるのも、良い結果につながらないでしょう

子どもの安心・安全のために、冷静・協力的に話した方が、より早く進みます

「子どもがかわいそうでしょう!」
「それくらいどこの家でもあることです!」

と感情的になったり正当化すると、『保護者の感情コントロールに課題がある』とか『反省していない』というチェックがついて、時間を要するでしょう。

児童相談所や市区町村では、リスクアセスメントシートを活用することがあります。

下記で示されているような点が、児童虐待リスクとして検討されます。
≫児童虐待に係る児童相談所と市町村の共通リスクアセスメントツールについて

施設入所を検討されてしまう?

ネット上では「児童相談所は簡単に施設入所をすすめる」という話も出回っています。

しかし、児童相談所が施設入所(里親など含む)をすすめるのは、相当の事情があるからです。

根拠なく、施設入所を安易にすすめることはありません。(法律上もできません)

児童相談所が施設入所を検討するとすれば、例えば次のようなケースでしょう。

  • 児童相談所の面接・訪問に応じず、話し合いができない期間が続いている
  • 一時保護のくり返しになっていて、状況が改善していない
  • 虐待事象が深刻
  • 子どもが帰れる場所がない(養育できる人がいない)

そもそも施設入所は、親権者さんが反対すれば、児童相談所は家庭裁判所の承認が必要となります。【児童福祉法第28条の審判】

法律上、児童相談所の判断だけで強制はできません。

もし児童相談所が「28条の審判に持ち込む」というのであれば、「親権者と法的に対決する」ということです。

言いかえると、児童相談所が施設入所をすすめる場合は、客観的根拠があると踏んでいるわけです。

家庭裁判所に却下される見込みならば、簡単にすすめることは無いでしょう。

実際、28条審判の結果の統計によると、承認されることがほとんどで、却下は稀です。
≫参考:児童福祉法28条事件の動向と事件処理の実情  平成26年1月~12月

しっかりと話し合いができれいれば、施設入所の話がでてくることはそうそうないでしょう。

とても平穏ではいられない状況かと思いますが、子どもを早く取り戻すには、落ち着いて建設的に話していくことをおすすめします。

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