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社会福祉士は簡単になった?合格率6割でも「簡単ではない」理由【2026】

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社会福祉士は簡単になったの?

社会福祉士は簡単になったのか、ということについて話してみたいと思います。
2026年の社会福祉士国家試験の合格率は、国家試験開始以来、最高となる60.7%を記録しました。

このことは
▶ 2026年 社会福祉士・精神保健福祉士国家試験|過去最高の合格率から考えること
でもお話ししました。

国家試験の合格率というのは、これまでいくらか推移があります。
およそ30%前後が基準となっていた時代も長くありましたし、近年は合格率だけを見ると50%や60%ほどにまで上がってきています。

では、合格率だけを見て、社会福祉士は簡単になったと捉えていいのかどうか。
いろんな見解があると思います。

正直、私自身も毎年、国家試験を受けているわけではありませんし、過去に合格して資格を取得した人間です。今と比べてどうかを正確に測ることは難しいです。

そして、簡単か難しいかというのも主観的な評価です。
一般的に難しいと言われる試験を、ある人は簡単だったと受け止めることもあるでしょう。

どこまでいっても、感想の域を超えません。
「それってあなたの感想ですよね」と言われたらそこまで。
「簡単になった」と断言することはできないと思います。

ただ、合格率を見ると、簡単になったのではないかと推測せざるを得ない部分があるのも事実です。

とはいえ、それはあくまで比較の話です。
決して一夜漬けで合格できるとか、勉強しなくても合格できるような試験ではありません。

筆者:ぱーぱす(社会福祉士・精神保健福祉士)
自治体で働くソーシャルワーカー。児童相談所などでの実務経験をもとに発信。
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社会福祉士国家試験は本当に簡単だったのか

今年の国家試験を受けた方を何名か知っていますが、実際に落ちた人もいれば、受かった人もいます。

試験勉強をしていたのに、過去問題に取り組んでいたのに、当日になって今まで見たことのないような問題に面食らった人もいました。

試験後、合格発表までの1か月、不安な日々を過ごした人もいます。
そして、合格発表で落ちていた人も当然います。

そうした状況の中で、合格率は6割になりました。
しかし、だからといって「簡単になった」と言えるのか。

試験問題自体は難しかったのは間違いないと思います。

なぜなら、得点率は4割を切る形で合格となったからです。
問題としては難問が多かったと言えるでしょう。

そのうえでの合格率6割という結果です。
もし得点率60%での合格だった場合、合格率はどうなっていたのか、という視点もあります。

社会福祉士国家試験の「合格」と「実務」は別物

正直なところ、私はこの情勢についてそこまで心配していません。

社会福祉士が簡単になったのかと言われれば、
合格自体は昔よりは簡単になった可能性はあるとは感じます。

しかし、これは何度も言っているのですが、
社会福祉士は資格を取れば良い仕事ができるという性質のものではありません。

資格取得はスタートです。
そこから現場で何ができるかが問われます。

国家試験は筆記試験です。
問題に答えていく形式です。

ですが、現場にそんな仕事はありません。

情報は耳から入ってきたり、目の前の人とのやりとりから入ってきます。
リアルタイムで状況は変わります。

選択肢は自分で作り出さなければなりません。
問いそのものも、自分で設定しなければならない場面もあります。

つまり、社会福祉士は型にはまった問題ではなく、自分で考え続ける力が求められる仕事です。

だからこそ、試験対策だけで合格することよりも、
現場で鍛え、培っていくことが重要だという考えも理解できます。

社会福祉士国家試験の「役割」と「違和感」

一方で、国家試験の問題はとても重要です。

なぜなら、そこに出ている内容を、
「これが社会福祉士の知識」「これが専門的な判断」として学生が学習するからです。

つまり、問題の内容と正答そのものが非常に重要です。

その意味で、今年の問題については、
私の現場感覚からすると離れている部分があったと感じています。

例えば問題92

第38回(令和7年度)社会福祉士国家試験 試験問題 児童・家庭福祉から引用させていただきます。

問題 92 事例を読んで,この時点におけるA市の子ども家庭課B職員(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事 例〕
アパートの大家をしているCさんからA市の子ども家庭課に相談があった。

「部屋を貸している外国籍の夫婦は子どもと 3 人で暮らしているが,就学年齢になっても子どもを小学校に通わせている様子がない。近隣との交流も乏しい様子である。このままで良いのか」というものだった。

この相談を受け,Bが通訳とともに家庭訪問を行い,子どもと父母とに対面した上で,事情を聞いたところ,子どもは年齢相応の発達状況で健康上の問題もなく,室内も清潔であることがわかり,親子のやりとりも自然で,子どもには母国の通信教育を受けさせており,母親が学習指導をしているので就学の必要はないとの応答があって,通信教育の教材も見せてくれた。
なお,この夫婦と子どもはほとんど日本語が話せないことがわかった。

正答は、5番のこちらとされています。

Cさんの心配を払拭するために家庭訪問したことをCさんに伝え,今後も何か気になることがあれば連絡するように依頼する。

この対応が、社会福祉士として最も適切なのでしょうか。
私には、社会福祉士が何たるか、わからなくなるような思いがしました。

何が適切かについては、さまざまな考え方があります。
しかし、不適切な点は比較的明確になることが多いのが、社会福祉の現場だと考えます。

この正答とされた内容には、いくつかの違和感があります。

正答への違和感

  • 市は本家庭に対して「家庭訪問の理由」をどのように説明していたのか?
  • 大家(Cさん)が本家庭のことを市に相談したことについて、本家庭は了解しているか?
  • 本家庭への家庭訪問の結果について、市が大家に伝えることについて、本家庭から了解を得ていたのか?また、伝えるとしても、何をどのように説明するのか?さらに、大家がその説明に納得しなかった場合、どのように対応するのか?
  • 大家にフィードバックを行うことで、今後、大家が「市から訪問も受けたでしょう。なぜ改善していないのですか」といった形で、本家庭に働きかけるリスクは想定されているのか?
  • 大家と本家庭の関係に、市が介入し、結果として大家側の役割を担うことへの違和感。正答には”大家の心配を払拭するために”とあるが、市(子ども家庭課)は誰の支援者なのか?子どもが一番のクライエントではないのか?
  • 今後、大家が本家庭に対して疑問を持つたびに、市が対応し続けないといけない(大家がクレーマー化する)リスクはないのか?
  • 子どもの学校の所属状況はどうなっているのか?
  • 所属がある場合、この状況について教育委員会等との情報共有や連携は、子どもの利益の観点から必要ではないのか?

決して、重箱の隅をつつくような細かさではないと考えます。

正答とされた対応は、まるで社会福祉士がクレーム処理者であるかのようで、主体性を感じにくいものです。
大家の苦情対応を主目的としたものであり、本家庭の支援を目的としているとは言いがたいように感じます。

大家と本家庭の関係性を良好にし、あるいは本家庭への理解を大家に促すことで、子どもが安心して暮らせるよう支援する、という意味合いなのでしょうか。

大家が児童虐待などを疑って市に連絡し、市が通告として受理して対応しているならば、
通告者(大家)を本家庭に開示することは原則として許されませんし、
それが推測されるような伝え方も避ける必要があります。
▶ 児童相談所に通報したらバレる?|児相のケースワーカー経験者が解説

また、対応結果を通告者(大家)に伝えることも、本家庭のプライバシーに関わるため、慎重であるべきです。
そもそも、大家にはそこまで知る権利があるのでしょうか。

なぜこれが正答なのか、解説付きで教えてほしいと思う内容でした。

この他にも気になる問題・正答がいくつかあったのですが、
このような対応を学生が「これが社会福祉士だ」と理解してしまうことへの危惧があります。

だからこそ、今後は是正してほしいという思いがあります。

国家資格よりも問われるもの

ただ一方で、社会福祉士が不足しているという現実もあります。
人手不足の中で、資格取得者を増やしていく必要があるという背景もあるでしょう。

私はあくまで現場で働く人間です。
大学教員でも研究者でもありません。

その立場から言うと、
社会福祉士を持っているかどうか以上に、「何ができるか」が問われます。

もちろん、一定水準の理解は必要です。

しかし実際の現場では、

  • 対人関係の取り方
  • コミュニケーション力
  • 判断のスピード
  • 仕事の正確性
  • 報告・連絡・相談

こういった力の方が、まずは重要です。

正直なところ、
資格があってもこれらができなければ、一緒に働くのは難しいこともあります。

結論:社会福祉士は簡単になったのか

結論として、
社会福祉士は簡単になったのかという問いに対しては、

合格率の面では、取得自体は簡単になった可能性はある。
しかし、
社会福祉士の現場が簡単になったわけではない。

これは間違いないと思います。

あくまで個人の感想にはなりますが、
基本的には難しい試験であり、努力が必要な資格です。

ただし、
しっかり対策をすれば合格できる資格であることも変わりません。

このことは、
▶ 社会福祉士は簡単すぎ?難易度は?【一発合格者の結論は『難しい』】
でも詳しく解説したことがあります。

これから受験する方は、ぜひ頑張ってください。

この「しゃふくさん」では、社会福祉についてのまとめ記事も掲載していますので、参考にしていただければと思います。

また、社会福祉士になる方法についても掲載していますので、あわせてご覧ください。

それではまた。

この記事を書いた人
ぱーぱす

自治体で働く社会福祉士・精神保健福祉士|現場経験15年、地域・医療・行政の3つの立場を経験。ブログ歴6年、記事約370本。福祉職のキャリアや生活に役立つ実践的な情報を発信しています。

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