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福祉の職場がブラック化する理由と、労働組合という現実的な対抗策

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福祉の職場ってブラック?サービス残業が当たり前なの?

福祉の職場って、昇給がほとんどなく、有給休暇も取りにくかったりする。
いわゆる”ブラック”と感じる人もいます。

誇りを持ちながらも、「このままでいいのか」と感じている方は多いと思います。
私自身、ソーシャルワーカーとして働くなかで、そうした悩みを抱えてきました。

いったいどうしたら良いのか?
諦めて受けいれるしかないのか?

この記事では、「福祉現場のブラック化を変える方法」として、
「労働組合」という選択肢について考えていきます。

筆者:ぱーぱす(社会福祉士・精神保健福祉士)
自治体で働くソーシャルワーカー。児童相談所などでの実務経験をもとに発信。
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福祉職の「やりがい」が、ブラックを生むことがある

福祉の仕事をしている方は、心が優しく、誠実で、我慢強い方が本当に多いと思います。
私もそうした方々に支えられてきました。

しかし、その善意がときに「やりがい搾取」の形で利用されてしまう現実があります。
休みが取れなくても、「利用者さんのために」と自分を犠牲にする。
残業代が出なくても、「人手が足りないから」と帰らない。

そうした状況が続くうち、「我慢できる人ほど損をする職場」ができあがっていきます。
頑張って働く人を責めるつもりは全くありません。
そのシステムが悪いのです。

ですから、
「福祉の心があれば激務にも耐えられるはずだ」
――そういう“精神論”で回される現場は、危うい。

実際、私も過去に「それが使命だ」と思い込んでいた時期がありました。
サービス残業、当たり前。
長時間労働こそ、やる気の証拠であると。

でも、身体に不調をきたした経験を経て、ようやく気づきました。
支援者が疲弊してしまえば、誰も支えられないと。

福祉職の低賃金は「構造の問題」でもある

福祉の世界では、30代・40代で手取り10万円台ということは珍しくありません。
私自身、民間で働いていたころは、本当にその水準でした。

国は対策を全くとっていないわけではない。
しかし、処遇改善加算などで多少の上昇はあっても、「生活がラクになった」と感じる人は少ないでしょう。

一方で、経営側も「国の制度が限界だから」と説明します。
つまり、個人の努力ではどうにもならない構造的な問題が根底にあります。

だからこそ、「声をあげる仕組み」が必要になります。
そしてその手段の1つが「労働組合」です。

もちろん、労働組合に入ったからといって、すぐに給料が上がるわけではありません。
しかし、沈黙していて給料が上がることは、残念ながら望めないと思います。

労働組合が「唯一の救い」になる現場もある

「労働組合」と聞くと、
「主張が強そう」「会社とケンカする場所」「めんどくさそう」と感じる方もいるでしょう。
私も正直、昔はそう思っていました。

けれど、現場に労働組合がある職場と、ない職場では雲泥の差があります。
組合があることで、

労働組合のメリット

  1. 賃金交渉や勤務条件の改善を“個人ではなく集団”として求められる
  2. 不当な配置転換や評価に、異議申し立てできる
  3. メンタル不調者のサポート体制が整いやすくなる

といったメリットがあります。

一方で、ブラックな職場ほど労働組合が存在しないという現実もあります。
労働組合がないことで、職場がブラック化しているとも言えます。

こうした場合は、外部の労働組合に相談するという方法もあります。

「ブラック職場を変える第一歩は、“声をあげること”。」

沈黙は、搾取の温床になります。
自分のためだけでなく、後輩や次世代の支援者のためにも、
どこかで立ち止まって「働き方」を見直す必要があると思うのです。

「福祉の心」を印籠にするやつに負けるな

篠原拓也氏の著書『福祉の心って何だろう』(2020)には、こんな言葉があります。

「福祉の心ってやつで、自己犠牲を頼むよ」といったけしからん悪用があるときには、逆にこれを投げ返していく必要がある
引用元:篠原拓也『福祉の心って何だろう』(2020)

私もまさに、この言葉に共感しました。
ソーシャルワーカーとしての誇りを守るには、自分自身の労働を安売りしないことも大切ではないでしょうか。
それは、決してわがままではなく、ソーシャルワークの一部だと思います。

まとめ:労働組合は「利用者のため」に

労働組合をつくること・入ることは、
単なる「権利主張」ではなく、利用者・患者さんへの支援を守る行動です。

働きやすい環境があってこそ、福祉職の専門性は活かされます。
そしてそれは、「現場を支える力」そのものになります。

もし今の職場に労働組合がない場合は、
「福祉 労働組合」などで検索すると、相談できる労働組合が見つかります。

私たちが息の長い支援をするには、
私たちが継続して働ける職場環境をつくることが大切です。

そのためには、労働組合が唯一の絶対解ではありません。
しかし、他の手段はあまりないのもリアルです。

労働組合に即効性は無いし、効果検証も難しいです。
加入が必須なわけではありません。
しかし、労働組合などの情報を「知っておく」だけで守れることもあると思います。

関連記事と参考リンク

福祉・介護現場は休憩なし!?【あるある事例まとめ】
→ 福祉職の休憩のリアルを実体験まじえてご紹介しています。

▼労働組合の参考リンク
全国福祉保育労働組合
労働組合福祉協会
保健医療福祉労働組合協議会(略称:ヘルスケア労協)

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