
精神保健福祉士の需要・将来性はある?仕事・求人は?40代、50代でも働けるんかなぁ・・・
こういった思いのあなたへ。
需要・将来性がある理由7つ
- 平均年収が増えている【約57万円】
- 求人があふれている
- 職域が拡大している
- 精神疾患が5大疾病の1つになった【国が注目する資格】
- 精神疾患の患者数は400万人を突破
- 日本は『精神病院大国』でまだまだ改善途上
- AIにさせるのは難しい

わたしは社会福祉士・精神保健福祉士で、現場経験は10年以上です。
精神保健福祉士という国家資格ができたのは1997年。まだ25年しかたっていません。
国家資格の中では、まだ新しい資格です。「私のほうが年上だよ」という人も多いかもしれませんね。
しかし精神保健福祉士の活躍はすでに広がっていて、必要な人が増えています。
そうした情勢を解説していきます。
精神保健福祉士に需要・将来性がある理由7つ【求人・年収も増加!】
平均年収が増加している【約57万円】
精神保健福祉士の平均年収は57万円増えています。
年 | 平均年収 |
2015年 | 347万 |
2020年 | 404万 |
精神保健福祉士の待遇は良くなっていると推測できます。もっともっと増えて欲しいですけどね!
職域が拡大している
精神保健福祉士は、今までは病院や施設などが主な職場でしたが、最近では学校や会社などでも必要とされています。
精神保健福祉士の職域拡大
- 精神科病院
- 精神科クリニック
- 訪問看護ステーション
- 障害福祉サービス事業所
- 地域活動支援センター
- 相談支援事業所
- 精神保健福祉センター
- 保健所
- 精神医療センター
- 社会福祉協議会
- 児童相談所(児童福祉司)
- 保護観察所(社会復帰調整官)
- 市役所
- 高齢者向け住宅の相談員
- 生活相談員
- 児童養護施設(児童指導員)
- 学校(スクールソーシャルワーカー)
- デイサービスの相談員
- メンタル相談 など
こうした拡がりの理由は、心の問題が社会的な課題として重要視されているからです。
2020年には、精神保健福祉士の略称が変わりました。
これまでは『精神科』だけをイメージとしたPSW(精神科ソーシャルワーカー)でしたが、
『心の健康』を広くイメージしたMHSW(メンタルヘルスソーシャルワーカー)へと変わったのです。
この略称の変更は、精神保健福祉士の仕事が精神科だけではなく、メンタルヘルス全般に関係することを意味しています。
つまり、精神保健福祉士の活躍する職場が増えているんですね。
これは精神保健福祉士に需要・将来性があると言える理由です。
求人があふれている
精神保健福祉士の職域が拡大しているということは、求人も増えているということです。

精神保健福祉士って仕事がないんじゃないの?

求人検索するとたくさん出てくるよ。需要に供給がおいついてない。人手不足の現場も多いんだ。
わたしは精神保健福祉士の求人を、各サイトで不定期チェックしています。
こちらがその推移です。
※計測できてない日もあります。すみません。
検索日 | Indeed | ハローワーク | マイナビ介護職 |
2021年1月20日 | 17,248 | – | – |
2022年2月6日 | 41,290 | 2,597 | – |
2022年9月8日 | 42,695 | – | – |
2023年3月3日 | 170,241 | 2,083 | – |
2023年4月9日 | 199,967 | 825 | 2,910 +非公開求人 |
求人がありますね。求人が減ると言われる4月でも、あふれた求人が残ってしまっています。
精神保健福祉士は需要があって食いっぱぐれない資格と言えます。
精神疾患が5大疾病の1つになった【国が注目する資格】
2013年から、政府は精神疾患を5大疾病の1つにしました。
精神疾患のある人を支援する筆頭が、精神保健福祉士です。国もこの資格に注目しています。
5大疾病というのは、政府が特に注意して対策する病気です。
5大疾病
- 精神病
- がん
- 脳卒中
- 心筋梗塞
- 糖尿病
第三十条の二十八 法第三十条の四第二項第四号に規定する厚生労働省令で定める疾病は、がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病及び精神疾患とする。
引用元:医療法施行規則

がんや脳卒中と同じくらい重要ってこと?

そうです。5大疾患はみんなが知ってる病気。精神疾患もそれだけ知られるようになったんです。
そして、精神疾患の支援に特化した国家資格が精神保健福祉士です。
政府が対策するとき、精神保健福祉士を頼ることが増えていくと考えられます。
精神疾患の患者数は400万人を突破

作成:しゃふくさん
2002年の精神疾患の人は258万人でした。
でも2017年には419万人になりました。
つまり、15年で精神疾患の患者さんは約60%も増えました。
2017年の日本人は1億2680万人で、精神疾患の人はその約3.3%です。
つまり、30人に1人くらいが精神疾患の患者さんです。
しかも、最近も増えています。うつ病や認知症の人が多くなっていますね。
≫参考:厚生労働省HP 精神疾患を有する総患者数の推移(疾病別内訳)
特に認知症の方は、高齢人口の増加にともなってさらに増えていく見込みです。
精神疾患は身近な病気。5大疾病の1つになるのもわかります。
精神保健福祉士が支援する人はどんどん増えていますので、職業としては需要も将来性もあるのです。
日本は『精神病院大国』でまだまだ改善途上
日本は『精神病院大国』と揶揄されています。
理由は次の3つすべて、日本が世界一だからです。
日本が世界一
- 精神病床の平均在院日数
- 精神病床の数
- 1人あたりの精神病床の数
あなたは病院に入院したことがありますか?
「入院したことがある」という人は、多いと思います。
でも、9か月も入院したことがある人はいますか?
・・・たぶん、ほとんどいないと思います。
精神疾患で入院する人は、平均で9か月(266日)も入院しています。
他の病気の病床の平均在院日数と比べてみましょう。
平均在院日数
- 一般病床 16日
- 療養病床 140日
- 精神病床 266日
≫参考:厚生労働省「病院報告」
長すぎませんか?9か月も入院したら、学校や仕事や家族にどうなるでしょうか?
学校や仕事に戻れるかどうか?家族と仲良くできるかどうか?
人生が大変になるでしょう・・・。
私が関わった人のなかには、入院が10年以上になって「もう家に帰れないです。病院が住所になっています。」という人がいます。
世界中の国の中で、精神病床の平均在院日数が一番長い国は日本です。
けた違いじゃないですか?
それに、人口あたりの精神病床数が一番多いのも日本です。
心の病気や心の障害があっても、地域で普通に暮らせる社会を作る。
これが精神保健福祉士という資格ができた理由・使命です。
精神保健福祉士は、日本にまだ残っている長期入院・社会的入院をなくすために頑張っています。
AIにさせるのは難しい
AIはどんどん進化していますが、精神保健福祉士の仕事をAIにさせるのは難しいです。
※AIというのは、人間のように考えたり学んだりできるコンピューターのことです。
研究でもそう言われています。
創造性、協調性が必要な業務や、非定型な業務は、将来においても人が担う
引用元:野村総合研究所 日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に
と書いてあります。これは、精神保健福祉士の仕事そのものですね。
- 支援には正解がないので相手と一緒に考えることが大切(創造性と協調性)
- たくさんの機関・人と連携することが必要(協調性)
- マニュアル化しにくい(非定型な業務)
- 新しいサービスや制度をつくる(創造性)
例えば、対話のように答えてくれるChatGPTは、あなたの悩みを入力すればAIが答えてくれます。
この技術は、とても画期的です。精神保健福祉士の仕事を助けるツールになっていくと期待できます。
しかし精神疾患のある人がChatGPTに相談したら、精神保健福祉士はいらなくなるでしょうか?
わたしが実際にやってみました。結果をコピペします。
【質問】
わたしは統合失調症の40歳男性です。一人暮らしをしています。病気がひどくて仕事ができません。障害年金だけでは生活費がたりません。仕事ができるようになって、結婚もしたいです。どうしたら良いですか?【ChatGPTの回答】
ご質問ありがとうございます。まずは、統合失調症の治療を受けることが大切です。治療は、精神科医や心療内科医による診察・カウンセリング、薬物療法、認知行動療法、心理療法などがあります。医師と相談しながら、最適な治療方法を見つけることが必要です。また、生活費については、社会保障制度である障害年金以外にも、障害者雇用や生活保護制度などがあります。詳細については、地方自治体の福祉事務所などで相談することができます。
仕事に関しては、精神疾患の場合、法的にも障害者雇用に該当する場合があります。職場に相談して、適切な支援を受けることができるかもしれません。また、今の仕事が辛すぎる場合は、別の職種や雇用形態を探すことも検討してみてください。
結婚については、パートナーとのコミュニケーションや相手の理解が大切です。統合失調症を抱えていることを打ち明け、一緒に治療に取り組むことが望ましいです。また、結婚前にカウンセリングを受けることも、お互いの理解を深めるために役立つかもしれません。
以上、ご参考になれば幸いです。
いやぁ・・・すごいもんだと思いますよね。AIは『知識』として正論を教えてくれます。
でも次の問題があります。
- 結局、実際に相談しないといけない
- 正論を選べない事情・気持ちは置き去られる
- 人生経験のないAIに言われて納得できるか?
- 実体がないから、人間関係の調整をしてくれるわけじゃない
- 社会に必要な制度やサービスはうみだせない
結局は実際に相談しにいかないといけないし、サービスをつかわないといけない。
「そんなのわかってるけど、それができないから困ってるんだ」という気持ちに寄りそってくれるわけでもありません。
実体がないから、一緒に動いてくれることもないです。
精神科病院に入院している患者さんと、その家族の関係を調整したりもできません。
精神障害がある人のつらい立場を社会になげかけたり、代わりに言ってくれたりはしません。
社会の制度やサービスが、精神疾患のある人に生きやすいものへと変えてくれるわけでもありません。
やっぱりAIでは、まだまだ精神保健福祉士に代わることはできないのです。
最後に
もういちど結論です。
需要・将来性がある理由7つ
- 平均年収が増えている【約57万円】
- 求人があふれている
- 職域が拡大している
- 精神疾患が5大疾病の1つになった【国が注目する資格】
- 精神疾患の患者数は400万人を突破
- 日本は『精神病院大国』でまだまだ改善途上
- AIにさせるのは難しい
100年前も今も、日本では精神障害のある人たちは不幸です。この問題は解決されていません。
≫参考:精神障害者の「此邦ニ生レタルノ不幸」
ずっと病院にいなくてもいいのに、家族や社会の理解がなくて、病院から出られない人たちがいます。
悪く言われたり、不公平に扱われたりすることもあります。
人間として大切にされるべき権利も守られていません。
課題は山積みですが、そうした人たちを支援するのが精神保健福祉士です。
しかし考えてみてください。課題がたくさんあるということは、精神保健福祉士がやらないといけない仕事がたくさんあるということです。
つまり職業として、精神保健福祉士は需要も将来性もあるということです。

大切な役割がある精神保健福祉士には、需要も将来性もあるんやな!

そういうこと!あなたもぜひ一緒にやってみましょう!今回はここまでです。それではまた!
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