
あの人、怒ってそうだなぁ。ボクが何か悪いことしたのかな…?
誰かの機嫌ひとつで、一日の空気が変わってしまうことがあります。
「あの人、今日は機嫌が悪そうだな」と思った瞬間、胸の奥がざわつく。
――そんな経験は、誰にでもあるのではないでしょうか?
ソーシャルワーカーの職場も例外ではありません。
支援の現場で働く私たちは、人の気持ちに敏感であるがゆえに、影響も受けやすい。
今回は、そんな「職場の機嫌」とどう付き合うかを、私の実体験を交えて考えます。
職場の人間関係は、避けて通れないテーマ
職場の人間関係は、どんな仕事でも大きな悩みの一つ。
人と人が同じ場所で働き、協力し、成果を出していく――。
それによって組織が成り立ち、社会が動き、私たちは生活の糧を得ています。
社会福祉士や精神保健福祉士を対象にしたアンケートでも、転職理由の上位に「人間関係の悩み」が挙げられています。
ソーシャルワーカーも例外ではありません。
だからこそ、職場の人間関係をどう保つか・どう乗り越えるかは、私たちにとって重要な課題です。
上司の「機嫌」に左右されるとき
私がこれまでの現場で経験してきた中でも、上司の機嫌に左右されることは少なくありません。
気分が安定している上司もいれば、浮き沈みの激しい上司もいる。
元気な日もあれば、落ち込んでいる日、怒っているような日もあります。
上司には上司の苦労があるし、いつもご機嫌でいることは人間として難しいでしょう。
私だってそうです。
それでも――。
上司が機嫌をそのまま外に出してしまうと、職場の空気は一気に変わる。
部下や後輩はその影響を受けやすく、気づけば自分の気分まで落ち込んでしまいます。

「上司の課題」と「自分の課題」を分けて考える
まず何より大切なのは、上司の課題と自分の課題を切り分けること。
私はかつて、上司の機嫌が悪いと「自分が何か悪いことをしたのでは」と感じてしまうタイプでした。
これは心理学でいう自動思考(認知のクセ)ですが、頭で理解しても感情はなかなか追いつかないことがあります。
だから私は、落ち着いてこう言い聞かせるようにしています。
これは上司の課題だ。私の課題ではない。
たとえば、不機嫌をまわりにぶつけて気持ちを収めようとする上司もいます。
それにいちいち巻き込まれていたら、こちらの心が持ちません。
「嫌われる勇気」に学ぶ:課題の分離
アドラー心理学の『嫌われる勇気』でも語られているように、
「他者の課題」と「自分の課題」を分けて考えることは、人間関係のストレスを軽減する鍵です。
これは上司に限らず、同僚にも当てはまります。
同僚の機嫌が悪いのは、あなたの課題ではない。
不機嫌はその人自身が選んでいる状態なのです。
斎藤孝さんも著書『不機嫌は罪である』でこう話しています。
”自分の機嫌は自分で取る”と。
つまり、自分の感情は自分で責任を持つという姿勢。
必要以上に落ち込む必要もありません。
淡々と自分の仕事に集中し、目の前の目的に向かえばよいのです。
自己覚知:自分が「影響を受けやすい」タイプなら
ソーシャルワーカーにとって大切なのは、自己覚知。
「自分は他人の感情に影響されやすいタイプかもしれない」と気づくだけでも違います。
気分が落ちているまま面接や家庭訪問に向かうのは難しい…。
だからこそ、自分の心の扱い方を訓練することが専門性の一部だと私は思います。
心の動きは人それぞれ。
扱いやすい人もいれば、扱いにくい人もいます。
体調によって、コンディションによっても変わります。
大事なのは「今の自分の状態を知る力」を育てることです。
自分を客観的に見る力を育てる
他人のことはよく見えても、自分のことは見えにくい。
これは子どもでも大人でも同じです。
小学生が「友達の悪い行動は指摘するのに、自分のことは棚に上げる」ように、
私たち大人も職場で同じことをしてしまうことがあります。
自分を冷静に見つめるには、自分を客観的に想像する力(メタ認知)が必要です。
発達の課題がある人はこの部分が難しいこともありますが、
ソーシャルワーカーはまさにこの力を日々鍛える専門職でもあります。
メタ認知の力が高まるほど、職場の人間関係は良好になり、ストレスも減ると思います。

人間関係の半分は「他者の課題」
たいてい、人間関係の悩みのうち、半分は他者の課題です。
自分だけが悪いわけではない。
世の中にはどうしようもない人もいます。
ブラック職場には、いわゆる「新人クラッシャー」と呼ばれるような上司もいる。
組織で働く以上、環境は完全には選べません。
しかし、自分の行動・考え方・気分の整え方は選べます。
相手は選べなくても、
「自分の気分は自分のもの」
「人に渡さない」
これが大切です。
誰かのご機嫌を取るために自分をすり減らす必要はないのです。
自分の気分は、自分で選ぶ
誰かの言動で自分の気分が悪くなることはあります。
しかし、それでも最終的に「自分の気分をどう扱うか」は自分の選択です。
「自分の気分を、人のせいにしない」
「人の機嫌を、自分のせいにしない」
この二つを守るだけで、職場のストレスは驚くほど減ります。
そしてそれこそが、ソーシャルワーカーとしての専門性の一部でもあります。
とはいえ、私自身も決して聖人ではありません。
ときには感情的になり、愚痴や不満を口にしてしまうこともあります。
――というか実際、かなりあります(笑)
ただ、それをどこでも誰にでも吐き出すわけではありません。
安心できる相手、許される関係の中で、自分を出せる場所を選んでいます。
同僚や上司との信頼関係のなかでこそ、そうした「漏らす」ことも健全に機能するのです。
そうして一度、感情を外に出し切ったあとで、
「さて、ここからどう気分を選ぼうか」と自分に問い直す。
このようにして、私は人の手を借りて心を整えるこもあります。
ソーシャルワーカーたる私たち自身も、弱音を吐くこと、相談することは大切です。
私もまだまだ修行の身ですが、
日々、自分の感情を見つめ、整える練習を続けています。
それが、現場で働くソーシャルワーカーの日常だと思います。
あわせて読みたい関連記事(おすすめ3本)
「上司や同僚の機嫌に振り回されてしまう」と感じる人に、ぜひ読んでほしい一冊があります。
それは齋藤孝さんの『不機嫌は罪である』。
“自分の機嫌を整えることも支援の専門性の一部”だと教えてくれます。
私がこの本から学んだ「上機嫌でいる知性」や「自己覚知の実践」について解説しています。
今回の記事でも触れた「自分の感情を知る力」を、もう一歩深く掘り下げる内容。
「相手を変える」のではなく「自分の向き合い方を変える支援」を考える記事です。








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