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ソーシャルワーク

ソーシャルワーカーが依頼を断った後の不安と揺らぎ:判断に迷う心理との向き合い方

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ソーシャルワーカーとして働いていると、どうしても避けられない場面があります。
「依頼を断る」という場面です。

クライエントからの要望だけでなく、関係機関、そして内部の職員からの依頼を受けることも多いのが私たちの仕事です。
時には、それを断ったほうが良いと判断する場面もあります。

ただ、その後に押し寄せてくる後味の悪さ、不安、迷い、揺らぎ
これは、私自身も何度も経験してきましたし、今でも向き合い続けているテーマです。

今回の記事では、私が実際に経験してきた「断った後のモヤモヤ」と、その向き合い方をまとめました。
同じように悩むソーシャルワーカーの方に届けばうれしいです。

筆者:ぱーぱす(社会福祉士・精神保健福祉士)
自治体で働くソーシャルワーカー。児童相談所などで十数年の実務経験あり。
このブログでは、福祉を学ぶ人・働く人が明日から使える視点を持ち帰れるよう、現場の知見や考察をもとに発信しています。
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結論:断った後のモヤモヤは“専門職として当然の揺らぎ”

最初に私の結論です。

依頼を断った後に揺れる気持ちは、専門職として働いているからこそ生まれる「正常な揺らぎ」。
そう思います。

むしろ揺らぎがまったくない状態のほうが危険です。
果たしてそこに専門性はあるのでしょうか。

「断る」という行為がなぜ苦しいのか

依頼を断るとき、私は複数のことを考えます。

  • 相手がどう反応するか
  • 今後の人間関係はどうなるか
  • 職場で仕事がやりにくくならないか
  • 本当に自分の判断は正しいのか
  • 断ることでクライエント利益は守られるのか

特に内部の人間からの依頼は、外部機関よりも厄介です。

外部であれば、その業務が終われば関係も切れます。
しかし内部はそうはいきません。

毎日顔を合わせる相手だからこそ、心理的な波風を立てたくない。
その葛藤が、断る決断をさらに重くしていきます。

私自身、悩みやすいタイプであると自覚しています。
迷いやすいし、不安にもなりやすい。

良く言えば慎重、悪く言えばビビりです。
ただ、それも含めて「私」という人間なのだと思います。

内部調整のしんどさ:私が実際に抱えた感情

内部の人間からの依頼を断った時、私の中に渦巻いた感情を正直に書きます。

  • 「この人とまだ別の仕事もあるのに大丈夫だろうか」という不安
  • 「今後やりにくくなるのでは」という恐れ
  • 「判断が本当に正しかったのか」という迷い
  • 「そこは私の仕事だ。口を挟むな」という怒り

こうした感情は、正直どれも自己中心的です。
根拠が曖昧なものもあります。
恥ずかしい気持ちになるほど幼い感情も混ざっています。

ただ、感情とはそういうものであり、理路整然とした判断の裏には、ちょっとした恐れや怒りなどの感情が潜んでいたりします。

だからこそ、自分の感情を“見える化”する作業が意味をもつ。
自己覚知の大切さにつながります。

私が実際に行っている「揺らぎへの対処法」

感情と判断を分けるために、とにかく書き出す

まず私は、頭に浮かぶものを全部書き出します。
Google音声入力を使って、つらつらと話すだけでも構いません。

書くと、感情と判断が自然と分かれてくる。

手書きのほうが効果が高いと言われています。
じっくり向き合いたい場合は、紙に書くほうが良いと思います。

信頼できる人に話す

個人情報に触れない範囲で、迷いや不安、怒りをそのまま話します。
話すだけで整理されることも多いです。

そして、共感を得られた瞬間にすごく楽になります。

職場内の支え機能を使う

実際、これがとても重要です。

直属の上司が受け止めてくれるなら、それが一番の救いです。
もし難しい場合は、その上の上司や同僚も選択肢です。

もちろん信頼できる相手かどうかの見極めは必要ですが、報告・連絡・相談をルートにのせることは自分を守る行為だと思っています。

そして、どうにもならないほど組織が機能していない場合は、転職を視野に入れるのも現実的です。
自分の精神・命をすり減らしてまで働く必要はないでしょう。

私自身、これまで多くの上司に支えられてきました。
上司もまた不安や迷いを抱えながら、上司を演じているのだと思います。
その背中から、何度も救われてきました。

どうにもならない揺らぎは「受け入れていい」

書く。話す。相談する。
それでもどうしようもない時があります。

その揺らぎは、受け入れていい。

むしろ、揺らぎがあるからこそ、柔軟でいられる。
尾崎新さんの『「ゆらぐ」ことのできる力』にも書かれているように、揺らぎは専門職にとって必要なものです。

揺らぎがなくなったら、それはもう作業員です。
ソーシャルワーカーではありません。

だから、揺らぎは悪ではなく、むしろ専門性の一部分だと思っています。

まとめ:揺らぎとともに働くために

依頼を断った後の不安や迷いは、多くのソーシャルワーカーが経験します。
そしてそれは、私たちの専門性が働いている証拠だと思います。

揺らぎを否定せず、揺らぎと付き合いながら働く。
そのための道具として、「書く・話す・相談する」がある。
「趣味に打ち込む・没頭する」のも大切です。

私も揺らぎながら働いています。
それでも、私はこの仕事を続けたいと思っています。
これまで出会ってきた上司や仲間たちのおかげで、なんとかやってこれました。

このブログを書く理由のひとつは、その恩返しでもあります。
私がもらった支えを、誰かに返していきたいと思います。

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この記事を書いた人
ぱーぱす

自治体で働く社会福祉士・精神保健福祉士|現場経験15年、地域・医療・行政の3つの立場を経験。ブログ歴6年、記事約370本。福祉職のキャリアや生活に役立つ実践的な情報を発信しています。

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