社会福祉士・精神保健福祉士のぱーぱすです。(児童相談所での児童福祉司経験があります)
ステップファミリーはご存知でしょうか?
定義のあいまいな言葉ですが、男女のいずれかに子がいる状態で、結婚してできた家族と言えます。
最近では、結婚全体の約25%が再婚(夫婦とも再婚又はどちらか一方が再婚)です。(参考:結婚と家族をめぐる基礎データ 内閣府男女共同参画局 令和3年5月18日)

25%も!?

全然珍しくない世の中なんだよ。
「再婚=ステップファミリー」ではありませんが、かなりの数のステップファミリーが誕生していると推測できます。
ステップファミリーは、特に不思議でもない、もはやよくある家族形態でしょう。統計的に考えれば、多くの人が無関係ではいられないはず。
けれども、一般的に「ステップファミリーはうまくいかない」というイメージがあるようです。
例えば、こうした悩みや問題を抱えている方は多いです。
- 自分の子どもと養親の仲が悪い・・・
- いきなり自分の子どもの世話をさせて申し訳ない・・・
- パートナーの方の親子関係に入りにくい・・・
夫婦でしっかり話し合って、固い絆で結ばれていくステップファミリーもあります。
けれど、ステップファミリーはどうしても問題を抱えやすいでしょう。これには理由があります。
ステップファミリーはうまくいかない?問題を抱えやすい理由は?
初婚同士の夫婦であれば、2人の間での課題を1つずつクリアすることからスタートできます。
夫婦2人の間だけでも、これまでの生活歴に違いがあるので、かなりの話し合いや調整が必要です。
時にはケンカだってすることもあるでしょう。でも、それで良いのですね。
段階を踏めますし、子どもを迎えるまでの準備期間があります。(もちろん例外はあるでしょう)
けれど、ステップファミリーは、
ステップファミリーはいきなりスタート
- 夫婦関係
- 養親子関係
- 別れた実親・祖父母と子の関係、面会調整
3つ同時に、いきなりスタートです。段階を踏めないだけでなく、同時に複雑な課題を抱えたスタートです。
ステップファミリーの人間関係が”複雑”といっても、ある程度の傾向はあります。
それぞれの関係・立場で抱えやすい問題をまとめました。
養親子関係 | 子は「養親に実親を取られたくない」と感じる 養親は「親子関係の間に入れないな・・・」と感じる |
(養)親と(養)子の関係 | (養)親が子どもに分け隔てなく接しようと思っても、子どもの反応がそれぞれ違うので難しい |
子 | ・扱い方が違うと不平・不満 ・両親が離婚した理由は自分のせい ・実の両親の仲直りを期待していたのに新たなパートナーが出てきて裏切られた ・別れた実親やその祖父母とはもう会えない、会わない方が良い ・養親と仲良くするのは実親に悪い気がする ・新しい子に自分の親を取られる(拒否感・敵対視) |
養母 | 周りから「母性本能があるから大丈夫」と期待されるが、うまくいかず孤立して抱え込んでしまう |
実母 | 自分の子を養ってもらって申し訳ないので、養父が好きなことをできるように気を遣ってしまう(これを子は不満に感じる) |
実父 | 養母にいきなり子どもの世話をさせて申し訳ない・・・ |
実親 | ・現パートナーに悪いので、実子と別れたパートナーとの面会継続がためらわれる ・実子と現パートナーとの間で葛藤する。どちらかを選ばないといけない気持ちに。 |
ステップファミリーがうまくいかないというのは、言ってしまえばあたり前なんですね。
初婚同士の夫婦ですら、ノーマルモードとは言いましたが、簡単では決してないと思います。
ステップファミリーは、条件的には初婚同士の夫婦より難易度が高い状態です。
初婚同士の夫婦がノーマルモードとすると、ステップファミリーはハードモードでしょう。
まとめ
「ステップファミリーはうまくいかない」とは言いきれませんが、簡単ではないでしょう。何より、子どもへの責任もあります。
また、「ステップファミリーだと児童虐待が起きる」というのは偏見だと思います。ただし、ステップファミリーでは困難なことが多いのは確かなので、そうした中で児童虐待が起きてしまうご家庭があるのは確かです。
これからステップファミリーになろうかとお考えの方に1つ申し上げたいのは、「ステップファミリーはハードモードだとよく理解して、準備していただきたい」ということです。
ステップファミリーは、初婚同士よりも、より高度な人間関係の調整をしていくことになるはずです。
もし世の中に「ご夫婦レベル」があるとすれば、スタートするまでにはパートナーさんとのレベル上げが必要です。
パートナーさんは、しっかりと話のできる方でしょうか。
先ほどの表にまとめたとおり、ステップファミリーになることは、子どもにとって良いことだけではなく、負担が大きいです。どのような負担がかかるのか、知ることはとても大切です。
今ではAmazonで「ステップファミリー」と検索すればたくさんの本がヒットするようになりました。苦労する方は多いので、対処法などが指南されています。
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