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自己覚知で対人援助職のスキルアップ!方法と重要性を社会福祉士が解説

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自己覚知ってどうして必要なの?もう自分はできてると思うけど・・・

こうした思いの方へ。

今日は対人援助職に必要なスキルの一つ、自己覚知についてお話しします。

この記事の内容

  • 自己覚知とは?
  • 自己覚知が必要な理由

こうした話を『自分の眼鏡のレンズの色』に例えで解説していきます。

私は某自治体で働く社会福祉士・精神保健福祉士です。現場経験はおよそ13年です。

自己覚知で対人援助職のスキルアップ!方法と重要性を社会福祉士が解説

自己覚知とは何か?

自己覚知とは何でしょうか?

自分を知ること?

自己覚知は、就活でするような「自己分析」と同じ意味で理解されていることがあります。

確かにそれは間違っていないんだけれど、足りないんですよね。

私が言う自己覚知とは、「自分がどんな人間なのか」「どんな考え方や感じ方や行動パターンがあるのか」等を知って、支援に活かすことです。

支援に活かすことを目的としていて、実際に支援に活かすこと。

ここまでセットでするのが自己覚知なんですね。

自己覚知はレンズの色に気づくことから始まる

例え話ですが、

私たちは、色つきメガネをかけています。レンズに色がついているんですね。

青いレンズをつけている人は、世界が青がかって見えている。赤いレンズをつけている人には、世界が赤みを帯びて見えます。

(でも、そのメガネは目では見えません。)

みんな、何かしら色のついたメガネをつけているのです。

だから、例えば赤信号を見ても、AさんとBさんでは違って見える。

青いレンズのAさんには、青っぽく見える。

赤いレンズのBさんには、赤に見える。けれど、そもそもほかの信号も赤っぽく見えている。

実際はこんなにシンプルじゃないし、あくまで例え話です。

でも、誰もが、色のついたレンズで世界を見ているのです。

じゃあ、どうしたらいいの?メガネを外したら良い?

残念ながら、メガネを外すことはできません。メガネの色が少しずつ変わったり、薄くなることはあるでしょう。

でも、何かしら色は入ったままです。

それが良いとか悪いと言っているのではないです。レンズに色がついているのは、仕方がない。

なぜなら、レンズは自分の価値観や感情や性格などをあらわしているから。

無色透明になることは、神様じゃないとできないですね。

なので私たちにできることは、メガネの色に気づいて、受け容れて、自分のメガネの色を差し引いて実際の色を推測し、実際の色にあわせた行動をすることです。

これが自己覚知なのです。

レンズの色に気づくのが大切な理由とは?

自分のレンズの色に気づくことは大切です。

なぜなら、自分のレンズの色に気づかないと、事実を誤認したり、解釈が偏る

そうした誤りにもとづいた支援をしてしまうからです。当然、その支援も間違いとなりやすい。

例えば、子どもが「親に殴られた」と言ってきたとします。

その時、青いレンズの人は

殴られたと言っても、大したケガじゃなさそうだ。大げさに言う子どもだなぁ~

と認識するかもしれません。

なぜなら、何事も青信号のごとく、安全フィルターがかかっているからです。

赤いメガネをかけている人は

 

 

なんて親だ!親は法律で罰せられるべきだし、子どもは一時保護したほうがいい!と感じるかもしれません。

と感じるかもしれません。

なぜなら、何事も赤信号のごとく、危険フィルターがかかっているから。

じゃあ、どちらが正しいのでしょうか?

おわかりだと思いますが、どちらも”行き過ぎ”です。バイアスがかかっている。

これはたとえ話でしたが、メガネの色を自覚せずに判断すると、間違った支援をしてしまうと言いたい。

実際の支援であれば、事実を誤認し、アセスメントを間違い、支援を間違うことを意味します。

だから、自分のメガネの色に気づいて、メガネの色を引いて、ありのままの色を推測することが大切です。

自分のレンズの色に気づいて受け容れるのは『痛み』を伴う

自分のレンズの色に気づいて受け容れることは、自分の操縦席に座れたことを意味します。

車で言うなら、今までは助手席に座っていたのが、運転席に座ってハンドルを握れたようなものです。

ガンダムで言うなら、あなたはコックピットに入ったのです。

そしてここからは、『いかに自分を目的地に向けてコントロールするか』を始められます。

本能の赴くまま、感情に操られるまま右に左に揺られていたあなたが、

自らの意志で、自分をコントロールし始められる。

でも実際、自分のレンズの色を「受け容れる」のは、カンタンではないです・・・。

言葉で、「自己覚知は大切」「自分に気づいて、受け容れる」と言うほど、カンタンじゃないです。全くもって。

だってそうじゃないですか?

例えばあなたが赤いレンズの眼鏡をかけて、いままで20年、30年、40年、50年過ごしてきたとして・・・

今更ですよ、

あなたは今までずっと、あの信号を青信号だと言ってきたけど、あれは赤信号ですよ?信号無視ですよ?

と言われても、

「そんなはずはない!」と否定・否認したくなる。そうじゃないですか?

「そんなまさか・・・?」「どう見ても赤信号じゃないか!!」と。

生きてきた人生が長ければ長いほど、その否定・否認に働くエネルギーは大きくなります。

500年前ぐらいですが、人は『地球は宇宙の中心にあって、太陽や月や星が、この地球の周りを回っている』と信じていました。いわゆる天動説ですね。

そこにガリレオは、『宇宙の中心は太陽であり、地球はほかの惑星とともに太陽の周りを自転しながら公転している』と訴えた。

でも、多くの人は、地動説を唱えられてもとうてい受け容れられなかった。

異端として認められず、ガリレオは処罰を受けました。

ものの例えですが、それくらい事実を受け容れることは難しいです。

否認・否定するエネルギーはとても大きい。

ありのままの世界を直視すること、認めることは、不都合だったりする。傷つくことでもある。

「こうあって欲しい」という世界の中で、それを信じて、人はようやく生きていたりするからです。

そして私たちは、私たちが見ている世界を普通だと思うし、みんなも同じ世界を共有していると思っているところがあります。

でも、見えている世界は、同じじゃない。みんな、違った世界の中で生きている。

今更、「あの信号は青信号ですよ」なんて言われても、

「じゃあ今まで私が見てきた世界は間違いなのか?」

「私はずっと、信号無視をしていたってこと?そんなはずはない!」

「間違っているのは、あなたのほうだ」

と、思いたくなる、言いたくなるのが人情ではないでしょうか?

だから、自己覚知は辛さ、痛みを伴うのです。

レンズの色にいったん気づいても、「やっぱり気のせいだった」とスルーしたくなる。

でも、それだと行動は変わらないし、支援も変わらない。

自己覚知は、レンズの色に気づいて、受け容れること

大丈夫です。受け容れたら、自然と支援も変わります!

とにもかくにも、まずは自分のレンズの色がわからないと、何ともできませんね。

では、どうすればいいでしょうか?

自分のレンズの色を知るには?【自己覚知のやり方】

自己覚知をするには、例えばこんな方法があります。

 自己覚知のやり方

  • 自分の性格や嗜好や感情を客観的に分析する。例えば、エゴグラムのテストBIG5-BASICなどを使う。
  • 自分の対応や判断について振り返る。例えば、メモや日記を書いたり、同僚や上司と話し合ったりする。
  • 自分のメガネの色と違う人と交流する。例えば、異なる価値観や文化や立場の人と話したり、本や映画やドラマなどで他者の視点に触れたりする。

こうした方法を試してみると、自分のメガネの色がどんな影響を与えているか、どんな改善点があるか、どんな強みがあるかがわかってきます。

すると、自分をうまくコントロールしやすくなって、より良い支援ができるようになっていく。

自己覚知のやり方はこちらでも解説しているので、ご参考にしてくださいね。

私の自己覚知

私は『人間関係を良好にしておきたい』という性格です。

(多くの人もそうだと思いますが)

したがって私は、協調性や優しさや平和主義という強みを持っていると思いますが、

同時に、競争や攻撃や衝突が苦手という弱点もあります。

私はこの性格を(受けいれたくなかったですが)受け容れていて、意識的にコントロールするように努めています。

例えば、クライエントや子どもが攻撃的な態度をとってきた時は、私の心はピンチになります・・・。

しかし、まず相手の動機や目的の理解につとめ、適切な境界やルールを意識するようにしています。

例えば、

  • 相手の言い分は真っ当か?
  • 社会福祉士、精神保健福祉士、専門職としてすべきことか?
  • 機関としてできることか?

こうしたことを考えて、「NO」であるなら「NO」をハッキリ伝えるように意識しています。

「お気持ちはわかります。」というスタンスを示すことはあれど、

最後は「だが断る!」のごとくお断りする。

私の場合、NOを言うことには、

  • 相手から嫌われるかもしれない
  • 見捨てられるかもしれない
  • 承認されないかもしれない

といった不安を伴います・・・。

しかし、こうした感情に私は自覚的なので、不安の気持ちに流されずにすむわけです。

これが、自分のレンズの色に気づいて受け容れ、自分をコントロールするということであり、自己覚知をすることです。

でも、感情が暴走して、うまくいかないことはあります。

例えば、睡眠不足。

寝不足になると、レンズの色が濃くなってしまって、誤認しやすくなるんですね。

だから、私がするのは、自分の体調やコンディションを常に良好にしておくこと。その習慣を守ることです。具体的な方法はこちらで紹介してあります。

最後に

『自分のレンズの色に気づく』という例えで、自己覚知についてお話しました。

エラそうなこと言ってますけど、私もまだまだ自己覚知を続けているし、コントロールしきれていません。

10年以上、この仕事を続けていてもそんな感じです。

だから、あなたがまだ経験の浅い方であれば、うまくいかなくて当然です。大丈夫。

自己覚知は、言うは易く行うは難し。

レンズの色は固定されず、あなたのコンディションや状況、人間関係、価値観の変化によって徐々に変わっていきます。

体調や感情の変化によって、一時的に劇的に変わってしまうこともあるでしょう。

だから、自己覚知は一朝一夕で成らず。

たぶん私は、この仕事をし続ける限り、自己覚知の修行を続けているでしょう。

辛いし、否認したくなりますが、受け容れてきたおかげで、今の私があります。

そして、いつの間にか、自分が変わっている。それが、社会福祉士や精神保健福祉士の魅力かなと。こんな記事も書いていますから、ご参考になるかもしれません。

ともに頑張りましょう!あなたのご活躍を祈ります。

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