【発表】児童福祉司の一日の流れ=予定は未定のリアル【経験者解説】

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児童福祉司の一日の流れってどんな感じ?児童福祉司のリアルを知りたいなぁ。

こうした思いの方へ。

私は児童相談所で児童福祉司(虐待対応)の経験あり。社会福祉士・精神保健福祉士で、現場経験は10年以上になります。

児童福祉司の一日の流れの特徴

  • 『予定は未定』であり、一日の流れは日々かわる
  • 緊急対応が入りやすく予定は塗り替えられていく
  • 予定のスキマ時間に『細かく雑多な仕事』をする

一言でいうなら、日々、予定は未定です。予定はあるにはあるんだけど、確実にその通りになる保証はいつもない。

あらかじめ予定していたスケジュールは、どんどん塗り替えられやすく、刺激的な毎日とも言えます。「一日の流れはいつもこんな感じ」とは言えず、ルーティン的ではないのです。

私がこの記事を書こうと思ったワケは、『児童福祉司の一日の流れ』を各自治体がサンプル公開しているのを見たから。例えばこちら。

≫埼玉県 仕事内容を知る

≫東京都福祉局 東京都児童相談所で働く職員とは?

んー・・・確かに参考になりますが、キレイにでき過ぎている。職員募集のための記事なので、「児童福祉司っていい感じっぽい」と見せる必要があるのでしょうけど・・・。

ぶっちゃけ話やネガティブな話は、カットされてるんじゃないかな?

仕事というのは良いことも悪いことも知ったうえで、選ばれるべきと思います。「こんなはずじゃなかった」という後悔はしてもらいたくない。

実際、児童相談所で働いてからそうした思いになる人がいます。

というわけで、私の体験をお話することで、リアルに児童福祉司の実態を知ってもらえたらと思います。

職業選択の参考にしてみてくださいね!それではまいりましょう!

一日の流れの中には、わかりやすくするために、架空の事例を書いています。私が関わってきたケースとは全く関係ありませんので、ご理解ください。

【発表】児童福祉司の一日の流れ=予定は未定のリアル【経験者解説】

児童福祉司は、警察や消防士のように緊急対応が多い

児童福祉司(特に虐待対応)は、警察や消防士のように、緊急対応がその都度はいってきます

緊急対応とは、いちばん多いのは児童虐待の通告です。

例えば、

  • 近隣住民の方が子どもの泣き声を聞いて心配して連絡された場合
  • 保育園や学校などから登園・登校した子どもにケガがあった場合

などです。

こうした通告が入ると、児童福祉司は『全国ルール』にのっとって、すぐに対応しないといけません。

全国ルールとは、虐待通告受理後、原則 48 時間以内に児童相談所や関係機関において、直接子どもの様子を確認するなど安全確認を実施するというものです。
≫参考:児童虐待防止対策におけるルールの徹底について

なので、その日のスケジュールはある程度は決まっているのですが、児童虐待の通告など緊急度の高い案件が入ってきたら「何を優先すべきか」と考えて、臨機応変に予定を組みなおすことになります。

48時間以内にすべき案件なら、今日のうちに動かないといけないことだってあります。

こうしたわけで、何も予定が入っていない日というのも、あるにはあるのですが、

「児童虐待が起きていない・・・なんて素晴らしい日だ!」

と思っていたら、児童虐待の通告がたくさん入ってきて緊急的に出張することになり、一日中を学校や家庭などの訪問に費やすことがよくあるのです。

つまり、児童福祉司の一日の流れは、もともとの予定に緊急案件(児童虐待の通告、一時保護の対応など)が入って予定が変わっていくイメージです。

一言でいうなら、予定は未定というのが児童福祉司のスケジュール感です。

仕事後に予定を入れても、帰れなくなることだってあります。

このあたりは、警察や消防士の方々と似ていると思います。例えば事件や火事が起きたら、「定時なんで、帰りまーす」とはいかないでしょう。人命がかかっていますからね。

児童福祉司も似ています。学校から「子どもに痣があって、学校で帰りたくないと言っています」という通告を受けて、「今日はもう帰りますんで、明日対応します」とはいきません。

だって、子どもは現に痣があって、今、帰りたくないと言っているのです。今日、家に帰したら人命の危機があるかもしれません。

そのリスクを見立てるためにも、必要な対応を検討・実行するためにも、「今すぐ」動かないといけないのです。

だから、児童福祉司は、警察や消防士のように緊急対応が多いのです。そして、一日の流れは塗り替えられていくし、「予定は未定」という日々なのです。

児童福祉司の一日の流れ①:児童虐待通告の対応に奔走した日

ある日の児童福祉司の一日の流れをみてみましょう。私の経験をもとに、ありそうな一日を3つ作りました。

1つめは、児童虐待の通告や緊急対応に奔走する日のイメージです。

時間 内容
8:30~ 朝礼
・各職員のスケジュール、連絡事項の共有、夜間の児童虐待通告の確認など
8:40~ 雑多な業務
(例)
・関係機関(家庭児童相談室、学校、園など)へTEL
・保護者へTEL
・上司・同僚への報告・連絡・相談
・文書作成
・相談支援記録の入力
・電話応対
・所内会議 など
11:00~ アポなし家庭訪問
・児童虐待の通告を受けて、家庭環境などを調査したうえで家庭訪問する。「赤ちゃんの泣き声が長時間している。」「大人の怒鳴り声が聞こえてくる。」など。
12:30~ 昼休憩
・時間通りに休憩時間を取れないこともある。
・公務員職場には休憩時間をとれる建前がある。休憩時間をとりにくい福祉現場の中では、割と恵まれていると言える。
13:30~ 雑多な業務
14:30~ 緊急受理会議
・自治体から児童虐待通告(小学校で子どもが『親に殴られた。家に帰りたくない。』と訴えているとの旨)を受け、対応を協議して決定する。
15:00~ 緊急対応
・上記の通告について、手分けして対応にあたる。自治体や学校などへの調査、教員からの情報収集、学校へ訪問して子どもへの面接を行うなど。
・場合によっては、家庭訪問して保護者への指導、あるいは一時保護などを行う。
17:30~ 雑多な業務
19:00~ 家庭訪問
・警察署からの児童虐待通告に関する家庭訪問(アポあり)
・保護者と話せるのは、平日の夜間の場合が多い。19時~20時ごろの家庭訪問はよくある。
20:30 退勤
・翌日に疲れが残らないよう、キリ良く切り上げることも大切。

児童福祉司の一日の流れ②:一時保護中の担当児童がいる日々

児童福祉司が心身ともに負荷を受け、かつ多忙になるのは、一時保護をしている時が多いです。この話は、過去に書いています。

一時保護中は、業務量が多くなるし、プレッシャーも大きい。業務的な優先順位も高いです。なので、一日の流れはこんな感じになるかと思います。

時間 内容
8:30~ 朝礼
・各職員のスケジュール、連絡事項の共有、夜間の児童虐待通告の確認など
8:40~ 雑多な業務
(例)
・関係機関(家庭児童相談室、学校、園など)へTEL
・保護者へTEL
・上司・同僚への報告・連絡・相談
・文書作成
・相談支援記録の入力
・電話応対
・所内会議 など
10:30~ 児童面接
・一時保護中の児童に面接。家庭での生活や保護者のこと、今後の希望などを聴く。現在の状況や今後の方向性などを伝えることもある。
12:00~ 昼休憩
※休憩時間中も仕事をする人もいるけれど、タフさに自信のある人以外にはオススメしない。
13:00~ 保護者面接
・一時保護中の児童の保護者に、児童相談所に来てもらい、面接する。
・一時保護に至る事象について、保護者の思いや反省・今後の改善策などを伺う。怒りを向けられ、対峙・対立することもある。
・一時保護に至った理由、児童相談所としての懸念、子どもの状況や思い、今後の見通しなどを伝える。
14:30~ 所内会議
・一時保護中の児童について、児童面接や保護者面接の結果を共有し、協議する。
15:00~ 雑多な業務
16:00~ アポなし家庭訪問
・児童虐待の通告を受けて、突撃で家庭訪問する。
17:30~ 雑多な業務
・今日の児童面接、保護者面接、アポなし家庭訪問の対応記録を書くなど。
19:30 退勤
・翌日に疲れが残らないよう、キリ良く切り上げることも大切。

児童福祉司は、同時並行でいろんなケース対応をします。一時保護している子どもがいても、別のケース対応もしていく必要があるんですね。

児童福祉司の一日の流れ③:予定通りだった日

スケジュール通りに一日が流れる日もあります。

時間 内容
10:30~ 出勤
・夜に家庭訪問の予定があるので、フレックスで出勤。
10:40~ 雑多な業務
(例)
・関係機関(家庭児童相談室、学校、園など)へTEL
・保護者へTEL
・上司・同僚への報告・連絡・相談
・文書作成
・相談支援記録の入力
・電話応対
・所内会議 など
12:00~ 昼休憩
13:00~ 雑多な業務
13:30~ 保護者面接
14:30~ 雑多な業務
・保護者面接の対応記録を書く。記憶が薄れないうちに、早めに書く。
17:30~ 家庭訪問
19:15 退勤
・フレックスなので、この時間が定時となる。

予定通りに一日が流れると、安ど感があります。でも、こういう一日は少ないですね。

児童福祉司に緊急対応が入る日は、どれくらいあるのか?

緊急対応が入る日って、どれくらいあるの?

これは何とも言えませんが、次のような要素で変わってきます。

  • 児童相談所の体制・人員配置
  • 担当エリアの特徴や人口
  • 児童虐待通告の多い時期かどうか

児童相談所の体制・人員配置

児童虐待の通告は、毎日のように、しかも複数入ってくることがあります。人手が足りなくて、対応の追いつかないこともあります。

しかし、通告が少なくてゆとりのある時もあります。

児童虐待の通告が多くても、児童福祉司などが多い児童相談所では、役割分担して、ゆとりをもって対応できるでしょう。

でも、職員が少なければ、通告が入るたび緊急対応として動かないといけなくなります。

担当エリアの特徴や人口

多くの児童相談所では、児童福祉司には担当エリアがあります。担当エリアは、市町村で分けている場合もあれば、学区などで分けている場合もあります。

そして、児童虐待の通告・発生数は、多いエリアと、少ないエリアがあります。

どういった要因で変わるかというと、例えば、児童虐待と経済的困窮には比例関係があるので、家賃・土地の安いエリアでは多くなりやすいです。

人口も多いほど、当然ながら児童虐待の発生件数は増えます。

一方で、人口は多くても閉鎖的なエリアでは、児童虐待の通告をする住民が少なく、児童虐待が潜在化していることもあるでしょう。

『児童虐待が増える=児童虐待の通告が増える』ではありません。現に児童虐待が起きていて、それを通告する人たちがいて初めて、行政機関は対応に入れるのです。

児童虐待通告の多い時期かどうか

「子どもが大声で泣き続けているので心配」という、いわゆる『泣き声通告』は、春や秋口に多い傾向です。

気温的に窓を開けて過ごす家庭が多いので、泣き声が近所によく響くからです。

逆に、夏や冬は窓を閉めてエアコンをつけている人が多く、『泣き声通告』は少なくなります。

他にも、学校や園の長期休みの期間は、児童虐待通告は少なくなりやすいです。

これは、子どもが学校や園に通わないので、先生方が児童虐待を発見しにくくなるからです。

こういった要因で、児童福祉司の一日の流れは変わりやすいです。

最後に

児童福祉司に緊急対応が入るのは必然です。(特に、児童虐待対応を担う児童福祉司さん)

なので、児童福祉司の一日の流れは『予定は未定』ということが多く、扱うケースも1つとして同じものはありませんので、日々はルーティン的になりにくい

『児童福祉司の一日の流れ』と銘打った記事を書いてきましたが、

結論的には、「毎日、一日の流れはこんな感じです」と一例では言いにくいのです。もっとバラエティに富んでいる感じですね。

新しいことが連続しやすいので、「やっていて飽きない」という児童福祉司さんもいます。

このブログでは児童福祉司のリアルをたくさんの記事で公開しています。興味のある方は↓のリンクからチェックしてみてくださいね!

それではまた!

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