どうも!社会福祉士・精神保健福祉士のぱーぱすです。
最近、私が注目しているファンドがあります。
2021年12月15日、全世界の株式に時価総額比率を原則として、2倍のレバレッジをかけた投資信託が登場しました。それがこちらです。
グローバル2倍株ファンド(地球コンプリート)投資信託説明書(交付目論見書)
2021.12.15
新しい試みをしているファンドだと思うのですが、まだまだレビューされていないようなので、ちと話してみようと思った次第です。
なお、このファンドはレバレッジ商品です。一般的にレバレッジ商品は長期投資に推奨されていませんから、この記事も人にオススメする趣旨ではありません。
投資する?全世界株レバレッジ【グローバル2倍株(地球コンプリート)】
インデックス投資の王道は、現物をあつかうインデックスファンドでしょう。例えば、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のようなファンドですね。
私の注目点
全世界にならレバレッジをかけてみても良いかも・・・
これまで、S&P500、NASDAQ100などのインデックスを対象にしたレバレッジファンドはありましたが、全世界を対象にしたレバレッジファンドは存在しませんでした。
なので、国内初の全世界株レバレッジファンドとなります。
特定国のインデックスだけに投資するのは怖いですが、全世界ならいずれ上昇すると信じている私にとっては、興味をそそられます。メインの積立ファンドは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)ですからね。
信託報酬が低コスト
信託報酬:年率0.3993%(税抜0.363%)
これはかなり低コストです。株式の2倍レバレッジファンドと比較してみましょう。
ファンド | 信託報酬(税込み)/年 |
大和-iFreeレバレッジ S&P500 | 0.99% |
大和-iFreeレバレッジ NASDAQ100 | 0.99% |
楽天レバレッジNASDAQ-100 | 0.77% |
農林中金-NZAM・レバレッジ 日本株式2倍ブル | 0.88% |
グローバル2倍株ファンド(地球コンプリート) | 0.3993% |
全世界なのに群を抜いて低コスト。私的には破格です。
山崎元氏も注目
ヤマゲン先生も、若い人や人的資本の大きな人であれば、夢・実用性のある商品になりうるといっています。
私の懸念
でも、投資するには懸念があります。
レバレッジ商品が人気になる(登場する)現状自体が、暴落の予兆かも・・・
ハワード・マークス氏は著書「投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識」でこのように指摘しています。
極端にボラティリティが高まったり、巨額の損失が発生したりすることは、まれにしか起きない。こうした事態が生じない時期が続くと、そのようなことは二度と起きないのではないか、リスクに関する仮定が保守的すぎるのではないか、という風潮がどんどん強まってくる。すると、人は制限を緩めてレバレッジを高める誘惑に駆られるようになり、多くの場合、リスクが顕在化する一歩手前で行動を起こしてしまうのだ。
引用元:ハワード・マークス『投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識』日本経済新聞出版(2012)
まさに今の世相を言いあらわしているように思います。
iFreeレバレッジ NASDAQ100が「レバナス」として人気を博しているのに対抗し、楽天レバナスが登場した昨今。
ハワード・マークス氏の指摘にしたがえば、これからリスクが顕在化する(暴落が起きる)ということになるのかもしれませんね。
信託期間が2031年11月14日まで
信託期間が無期限でないのは致命的ですね。
姉妹ファンドであるグローバル3倍3分法ファンドの信託期間が無期限化されたように、グローバル2倍株(地球コンプリート)の信託期間も無期限化されるのかどうか。
長期投資を前提としたファンドであるにも関わらず「無期限化されるかわからない」という欠損を内包していること自体が、グローバル2倍株(地球コンプリート)の商品価値を下げていると思います。
これでは長期投資を前提として投資できないのではないでしょうか?
まあ、レバレッジ商品自体が短期投資向けの商品と言われていますので、止む無しかもしれませんが、買い手にとっては無期限がベターなのは確かでしょう。
純資産が順調に積みあがるか?
現在の純資産総額は3億円程度。まだまだこれからのファンドです。ファンドのスタート時は隠れコストが大きくなりがちなのも懸念ですね。
今後、純資産が積み上がっていく、つまり継続的な人気を博さないと、早期償還の可能性すらあります。
投資対象がまだわからない
まだ月次レポートすら公開されていない状況なので、いま一体何に投資して全世界株2倍を実現しようとしているのかわかりません。
月次レポートが公開されれば投資対象もわかるはずですから、もう少し待ちましょう。
月次レポートで投資対象&割合が判明!(2022年3月20日追記)
グローバル2倍株ファンドの月次レポートが公開されています。
投資している先物・ETFは次のとおりでした。
米国 | |
欧州 | |
日本 |
|
英国 | |
カナダ | |
オーストラリア | |
新興国 |
確かに、これを個人投資家が自分で再現するのは困難ですね。「投信ならでは」シリーズと言うのもうなずけます。
また、当ファンドは世界株式に2倍で投資することを目指していますが、213.5%投資していたことが判明しました。
「2倍じゃないんかーい!」という声が飛んできそうですが、めざした倍数に正確にならないのは、先物を活用したレバレッジ商品のあるあるですね。今後もきっと変動するでしょう。
気になる投資国割合を、MSCI ACWIをベンチマークとするeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)と比較してみました。(同じ2022年2月28日現在の月次レポートと比較)
グローバル2倍株ファンド | eMAXIS Slim 全世界株式 | |
米国 | 100.9%(50.45%) | 59.9% |
新興国 | 32.3%(16.15%) | 11.5% |
日本 | 16.1%(8.05%) | 5.4% |
英国 | 10.3%(5.15%) | 3.8% |
カナダ | 10.3%(5.15%) | 3.0% |
オーストラリア | 6.4%(3.2%) | 1.8% |
上記以外の先進国 | ー | 14.6% |
欧州 | 24.0%(12.0%) | ー |
※( )内は1倍株比率
比較して目立ったポイントをまとめてみました。
グローバル2倍はスリム全世界株に比べて・・・
- アメリカが約10%少ない
- 新興国が約5%多い
- 先進国(見た感じアジア?)が含まれない
アメリカの投資割合を、200%のうち最大100%とするようですから、1と2の違いは目論見書通りでしょうね。
1ヵ国を100%程度*までにする予定ですが、原則市場の規模(時価総額)に応じて配分します。
引用元:日興アセットマネジメント株式会社 「投信ならでは」シリーズに新規追加 グローバル2倍株ファンド(地球コンプリート)
アジアが含まれていないのは驚きましたが、現状では流動性の問題などがあって組み入れられないんですね。
現時点では流動性の問題などで組入れられないエリアの株式なども、将来的に組入れてコンプリート(完成)できる点がユニークな特徴です。
引用元:日興アセットマネジメント株式会社 「投信ならでは」シリーズに新規追加 グローバル2倍株ファンド(地球コンプリート)
将来的にはコンプリートしていく意気込みのようです。
基準価額の推移をeMAXIS Slim 全世界株式と比較(2022年5月8日追記)
マネックス証券でグローバル2倍株ファンドの設定日からeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)と推移を比較してみました。
現状はボックス相場な感じで、レバレッジ投信の苦手な相場ですね。
グローバル2倍はオルカンに16%程負けています。
特に注目したいのは、オルカンはプラスリターンなのに、グローバル2倍株はマイナスリターンということ。まるで教科書のように、レバレッジ商品の弱点を示してくれています(笑)
このような相場だと、レバレッジ投信に投資するのは気が引けてしまいます。
(投資信託をグラフで比較できるのはマネックス証券のアドバンテージです。クレジットカード積立で1.1%のポイントがつくのも有利ですね。)
インベスターリターンはどうか?
トータルリターンを、投資信託そのものの成績とすると、インベスターリターンはファンド保有者の成績です。
要は、インベスターリターンが低ければ、ファンド保有者の質が悪いということなんですね。(余計な時に売買している、ホールドできていない等)
各投資信託のインベスターリターンは、モーニングスターのホームページで確認できます。グローバル2倍株ファンドのインベスターリターンを見てみると次の通りでした。
画像元:モーニングスターHP
ファンドの成績よりも、インベスターリターンの方が6.58%低いですね。あまり良いとは言えません。
ちなみに、もっと悪い例がレバナス(iFreeレバレッジ NASDAQ100)です。
画像元:モーニングスターHP
ファンドの成績に比して、保有者の多くはほとんどリターンを得られていませんね・・・。インベスターリターンは36.87%も低いです。
レバレッジ商品が短期売買向けとはいえ、けっきょく利益につながっていない人が多い結果となっています。
グローバル2倍株ファンドの保有者の質はどうなのか?今後のインベスターリターンでわかっていくと思います。
私は投資するか?
総じて言うと、全世界の時価総額比を参考にしつつ、1国の投資割合を上限100%にした2倍レバレッジファンドという感じですね。
ポイントは次の2つ
グローバル2倍株のポイント
- 時価総額比率を忠実に再現するわけではない
- 1国の投資割合は最大100%(現状ではアメリカの投資割合が少な目、他国が多めになる)
私は実験的に数千円だけ買ってみました。値動きの変化をスリム全世界と比較してみたい。でも、追加投資は考えものです。
何が引っかかるって、信託期間が無期限ではないことですね。約10年後に株価が上昇している保障などありはしないのですから・・・。
投資対象とするにはまだまだ懸念点がぬぐいきれませんので。
結論、私のメインはやはりeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)であると再認識しました。
しかし、全世界2倍株は興味はあるので、経過は見ていきたいと思います!
以上、投資する?全世界株レバレッジ【グローバル2倍株(地球コンプリート)】という話題でした!
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