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社会福祉士・精神保健福祉士の服装|身だしなみが支援に活きる理由

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社会福祉士や精神保健福祉士に、服装や身だしなみって大事なの?支援に関係あるの?

社会福祉士や精神保健福祉士の仕事に、服装や身だしなみは「周辺的なもの」と捉えられがちです。
なので、「服装が支援に影響する」と聞くと、違和感や抵抗感を覚える方も少なくないと思います。

「支援は中身が重要で、外見は関係ないのでは?」
「服装で評価するなんて偏見では?」
「専門職として、そこに踏み込む必要はあるのか?」

こんなギモンが浮かぶのは、ごく自然です。

しかし、実務の場でクライエントの生活や対人関係を知っていくと、気づかされます。
服装・清潔感・外見への意識は、生活能力や社会的関係と密接な“生活の一部”であると。

  • 孤立を避ける力
  • パートナーを得る力
  • 集団に属し続ける力
  • 自尊感情の維持
  • 対人トラブルの予防

どれも生きる力に直結します。

そして外見による影響は、クライエントだけでなく、支援者自身にも跳ね返ってきます。
服装や身だしなみは、専門職としての信頼性や対人場面での安心感に影響するからです。

以前、男性ソーシャルワーカー向けに「服装と支援」を整理した記事も書きました(必要であればこちらも)。

ただ今回は、そこからさらに踏み込んで――
「社会福祉士・精神保健福祉士が、なぜ服装を“支援要素”として捉える必要があるのか」
というテーマを扱います。

一見軽いテーマのようでいて、実は専門職として押さえておきたい重要な視点。
具体例とともに掘り下げていきます。

この記事を書いた人:ぱーぱす(社会福祉士・精神保健福祉士)
自治体で働くソーシャルワーカー。児童相談所などで十数年の実務経験あり。
このブログでは、福祉を学ぶ人・働く人が明日から使える視点を持ち帰れるよう、現場の知見や考察をもとに発信しています。
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身だしなみとは何か?

“身だしなみ”という言葉は幅が広く、人によって解釈が少しずつ違います。

なので、ここで少し整理します。

  • 身だしなみ … 他者の視点で「不快にさせない」「場に適した状態に整える」こと。

このくらいのシンプルな意味で使っています。

いわゆる「おしゃれ(=自分がどう見られたいか)」とは別で、
身だしなみは対人支援の土台になる“他者への配慮”の領域と言えます。

今回は、この“身だしなみ”が支援にどう影響するか、
そして支援者・クライエント双方にどんな意味を持つのかを扱っていきます。

支援と服装の関係

なぜ服装が大事なのか?

それは、私たちがクライエントを見立てるとき、服装や身だしなみなどの外見情報は、交友関係やパートナーを得る力を推測する手がかりになるからです。

本人が望むのであれば、生活者としての立場から話し合ってもいいと私は思います。

例えば「ちょっと清潔感を出す工夫」とか「人に好かれやすい服装のパターン」を話し合うことは、人生を生きやすくするスキルに直結することもあります。

パートナーを得る力と服装

人は誰でも、ひとりでは生きていけません。

特に私たちが支援する子どもや障害のある方、高齢の方の多くは、孤立の要素を抱えていることが多い。

例えば、10代の男の子が施設に入所している場合。
親との関係が途絶えていることもあるし、親がいても愛情を受けられないこともある。

そんな子が、支援者や支援機関のもとを巣立った後に、「自分に関心を向けてくれる人=パートナー」を得るのは簡単なことではありません。

人間は孤立を恐れます。
人間が生き残るためには、集団に属さないといけなかった長い歴史があるから。
1人になることは、死を意味したのです。

だから私たちは、人とのつながりを希求する。
本能がそう命じるのです。

「パートナーを得られるかどうか」は、人生においてとても重要な要素になります。
そして、パートナーを得るのに”不潔・変な服装・ダサい”は不利に働きます。

そう考えると、服装を整えることは「モテるかどうか」以上に、生き抜く力を高める行為でもあるのです。

具体的な服装のOK例・NG例

服装って、想像以上に「見られ方」を左右します。

OK例(印象が良い)

  1. シワのないシンプルなシャツ
  2. 無地や落ち着いた色のパンツ(黒・ネイビー・ベージュなど)
  3. 季節に合った清潔感あるアウター(ジャケット・カーディガンなど)
  4. 手入れされた靴(スニーカーでもOK。汚れがないことが大切)
  5. 髪型が整え、髭も手入れしてある

 

NG例(印象が悪い)

  1. 何日も洗っていない服(生乾きの臭い・シミは大きなマイナス)
  2. 破れや穴あき(ファッションではなくただのボロボロ)
  3. 強烈な香水や、体臭・口臭ケアをしていない
  4. ヨレヨレのスウェットや部屋着のまま
  5. 寝ぐせのまま、髭も剃らずに出てくる

発達特性と「服装のこだわり」

クライエントの服装は、アセスメントに役立ちます。

例えば、真夏でも

  • 黒いボアスウェットをいつも着ている人
  • 背中まで伸びるロン毛をやめられない男子

など、「ちょっと変わっているな」「TPOを考えていない?」と感じられるクライエントに出会うことは珍しくありません。

この違和感から、背景に発達障害・発達特性がある可能性を推測できる場合があります

例えば、自閉症スペクトラム(ASD)の「同一性保持」の特性が強い人は、「いつも同じ服を着たい」という欲求をもちやすい。
≫参考:感覚に偏りがみられた自閉スペクトラム症児の視覚と聴覚への関心と行動―保育活動の観察から―長南 幸恵(2018)

致し方ない場合はあるでしょう。
合理的な配慮が必要なこともあります。

ただし、清潔感が欠けるとパートナーを得るのは難しくなる可能性があるという現実は、避けられません。

支援者自身も同じ

服装や身だしなみが大切なのは、私たち自身にも言えることです。

シャツがしわしわだったり、口臭や体臭に無頓着だったりすると、クライエントや同僚からの信頼にも影響しかねません。

服装や身だしなみを整えることは、自分のセルフイメージを高め、支援者としての説得力を増やしうるのです。

もちろん「見た目だけがすべて」ではないけれど、見た目が無視されることもまたほとんどありません。

だから感度を高めておいて損はないと思います。

最後に:経験は支援につながる

面白いのは、私たち支援者自身のおしゃれや恋愛の経験すら支援に活きるということです。

服装や身だしなみに関心を持つことは、自分の生活を整えるだけでなく、クライエントを理解するための感覚を磨くことにもなる。

なんでも支援につながっていく。
これが、社会福祉士や精神保健福祉士、福祉職の仕事の深みであり、面白さだと私は思っています。

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