病院とかクリニックって安定してそうやし就職したいなあ〜
そういうイメージがあるけど、実際は違うかもしれないよ。
私は社会福祉士・精神保健福祉士として働いています。現場経験は約10年です。
精神科クリニックでも働いていた経験があります。
社会福祉士・精神保健福祉士にはいろいろな就職先があります。
代表的な就職先が医療機関。たとえば、病院や診療所、クリニックですね。医療機関で働く社会福祉士はMSWとも呼ばれます。
医療機関というと「安定してそう」「不景気に強い」といったイメージがありませんか?
確かにそのイメージは正解の部分もあります。だから、社会福祉士や精神保健福祉士の就職先としても、病院やクリニックは人気があるのでしょう。
ところが、そうしたポジティブなイメージだけで医療機関に就職すると「こんなはずじゃなかった・・・」と痛い目に合う可能性があります。
この記事は私の体験をまじえ、MSW・PSWとして病院・診療所に就職する心構えを3つにまとめた内容です。なので
・社会福祉士や精神保健福祉士、MSWをめざしている方
・病院や診療所・クリニックへの就職を考えている方
上記のような方に役立つ内容です。それではまいりましょう!
MSW・PSWとして病院・診療所に就職する心構え3つ【体験談】
心構え3つとは以下です。
① 医師がワンマンかも
② 医療の価値とぶつかって葛藤するかも
③ 給料はイメージほど良くなくてビックリするかも
1つ1つ、具体的にお話していきます。
医師がワンマンかも
職種がちがえば、身分も違う
これが私の感じた医療の世界です。
医療機関は、医師の権力が絶対的です。言い方は悪いですが、独裁国家のような現場もあるでしょう。
医療機関は医学モデルで動いています。医師をトップとした指示命令系統があります。ピラミッドの頂点が医師です。
なので、医師が右といえば右、左といえば左です。
医師のことは「先生」と呼ばないといけません。
はっきりとした指示命令系統があることによって、お医者さんがしっかりと責任をもった、スピーディーな医療行為ができていると言えるでしょう。
でも、良くないこともあります。
医師ならわがままできるってことです。
例えば、他人が読めないような汚い字でカルテを書いていても、誰も指摘できない緊張感があります。(あえて汚い字で書くことで、患者に内容を盗み読みされないようにしているとも言われますが)
私が昔つとめたクリニックで、カルテが読めないことを指摘する人がいました。けど、結果はかわりませんでした。
周囲のスタッフが、読む努力や、解読するスキルをみにつけなければなりませんでした。
それゆえ、「○○先生の字は象形文字」などと皮肉されていました。
もちろん、謙虚な医師の方もおられました。そういう方は、ご自身でご自身を律されていたように思います。
見識の高さもさることながら、立ち振る舞いまで高潔な方というのは、まさしく「先生」とよぶにふさわしい方と感じました。
強い上下関係の中で働く覚悟が必要
日本の医療は、医師に責任が集中する構造があって、医師がワンマンになってしまいやすいです。
医師の方々は重責をになう立場。何か問題がおこれば責任は医師にふりかかるので、すさまじいプレッシャーに耐えておられます。
ただし、一緒に働くとなれば、ちょっときりかえてとらえた方が良いです。
ワンマンなドクターはカンタンにオーダーしますし、オーダー内容も変えます。その都度、MSWやPSWなどのコメディカルスタッフはあちこちに走り回ることになります。
でも、立場は医師が上なので、いさめるのは至難の業です。
そうした強烈な上下関係のなかでうまく立ち回れる力が必要です。
なので、医療機関に就職・転職するのなら、社会性やコミュニケーション力の高い方が良いでしょう。
職場の人間関係も良好にしておくことがポイントです。コツは下記の記事で紹介しています。
医療の価値とぶつかって葛藤する
「こういう支援がしたい。するべきだ。」
そう思っても、主治医が誰かによって、私たちのできることは全く変わってしまいます。
社会福祉士や精神保健福祉士は生活モデルで関わるもの。いっぽうで、医師や看護師は医学モデル。
何が言いたいかというと、医療機関では、社会福祉士や精神保健福祉士は周囲のスタッフと視点が違うということです。
ざっくりいえば、医療と福祉の視点の違い。めざす方向性も違う場合があるでしょう。
医師のことをたくさん話してきましたけど、看護師ともよく関わることになります。
看護師の方々は医師の指示をうけて動いていますから、ガッチリ医学モデルで動きます。とうぜん、意見のぶつかることがあります。
でもね、医療機関ではたらく以上、機関としては医学モデルで動くことが期待されているといえます。なので、軍配は医師・看護師の方々に上がりやすい。
それゆえ、私が精神科クリニックにつとめていた当時、正しいと思うことを貫けず、怒りを感じていました。私も若かったので、衝突をくりかえしました。
例えば、患者さんはあくまで病人。できることよりできないことに目を向ける。信じるよりも疑うこと。本人の希望より管理・保護を優先する。
こうした医療現場では、医師や看護師などのスタッフと別の視点で働くことになります。
時に対立したり、「これは譲れない」と思うポイントで意見をかわすことが大切でしょう。
違った視点の意見がいえないなら、そこに社会福祉士や精神保健福祉士がいる意味はあるのか?と思います。
医師や看護師に従うだけなら、看護師より安い人件費で雇える職種になり下がってしまうからです。(一般的に看護師の方が高い給料だから)
専門性があるはずなのに発揮できず、質の低いなんでも屋になってしまう。
このような状態がつづくと「精神保健福祉士の資格は役に立たない」「精神保健福祉士自体、役に立たない」と感じてしまいがちです。以下の記事で詳しく解説しています。
なので、医療機関で働くなら視点が違う人にも意見を伝えられる力が必要です。
医師や看護師とは別の視点をもっているからこそ、その現場に社会福祉士や精神保健福祉士、MSWが存在する価値があるのです。
給料・年収はイメージほど良くはない
医療機関は給料や待遇がしっかりしているイメージがあるかもしれません。
でも、私の経験では違いました。
わたしが勤めた精神科クリニックはと言うと、以下の通りでした。
・賞与 年2か月ほど
・年収 約300万
・昇給 年1回 0円~2000円
10年働いても、最大2万円の昇給ってことです。
私の経験上、「医療機関=好待遇」という公式は成り立ちません。
数年たって、私はクリニックから地域の事業所に転職しました。年収はちょっと上がって約350万円になりました。
要は、医療機関なら給料・年収が良いとは限らないということです。場合によっては地域の事業所の方が良いこともあるわけです。むろん、給料や年収の待遇をもとめるなら、福祉系公務員の道も検討する方が良いでしょう。
まとめ
① 医師がワンマンかも
② 医療の価値とぶつかって葛藤する
③ 給料・年収はイメージほど良くはない
やや偏った意見だったと思いますが、事実でもあります。
上記の心構えをもって、就職するかどうかお考えください。
私の経験が参考になれば嬉しいです!
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