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弱音を吐ける人が、本当に強い。社会福祉士・精神保健福祉士が病まないために

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相談なんてしなくても平気。オレ強いから!

──こうやって頑張る生き方もあります。
でも、相談したほうがラクになれるのは、利用者さんも、私たちソーシャルワーカー自身も同じでしょう。

ソーシャルワーカーは、日々たくさんの相談を受けています。
私たちは、「人は相談することで救われ、変化し、ラクになれる」という前提のもとで支援をしています。
つまり、「相談の力」を信じている専門職なのです。

しかし──私たち自身は、相談できているでしょうか?

筆者:ぱーぱす(社会福祉士・精神保健福祉士)
自治体で働くソーシャルワーカー。児童相談所などでの実務経験をもとに発信。
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自分の中に閉じ込めた悩みは、やがて心を蝕む

実はソーシャルワーカーの多くは、相談を「受ける」ことには慣れていても、自分のことを「相談する」ことには慣れていないと思います。

悩みを抱えたまま、「自分は強くなければならない」と信じ、心の鎧をまとって働き続ける人も少なくありません。
そうした人は、一見、強そうに見えます。
鎧が壊れる、その時までは。

福祉現場では強烈なストレスを浴び続けます。
そのストレスは蓄積し、いつしか私たちを蝕んでしまうのです。

福祉現場でよくある“心のもやもや”

  • 言葉にできない違和感がずっと残っている
  • 感謝されない現実に、どこかで失望している
  • 終わりの見えない支援に、息が詰まる
  • 「耐えるだけ」の日々に、無力感を抱く

こうした感情を放っておくと、疲弊し、やがて心が崩れやすい。

私もかつて、「相談する=弱い」と思っていた時期がありました。
しかし、限界が来たとき、人は一気に折れる。
その瞬間まで、本人も気づかず頑張りすぎてしまうのです。

弱音を吐ける人こそ、本当に強い

実は、弱みを見せられる人は、とても強い人です。
自分の弱さを認められる人は、しなやかで、息の長い支援者になれる。
たくさんの社会福祉士や精神保健福祉士をみてきて、私自身が思うことです。

弱さを出さない人は、一見「強く見える」かもしれません。
しかし、常に背伸びをしている分、限界を超えたときのダメージ、落差が大きいのです。

「強く見えた人」が、突然倒れてしまうのを度々見てきました。
折れないための強さ”とは、我慢の強さではなく、相談できる力。

たとえるなら、台風の風を受けながらもしなやかにしなる柳の木のようなものです。
固くまっすぐ立つ木よりも、柔らかくしなる木のほうが、強風にも耐えられる。

建物も同じです。
耐震性を高めるには「揺れない構造」ではなく、「あえて揺れを吸収する構造」が必要です。
堅牢すぎる構造は、かえって一瞬で壊れてしまうことがあります。

人もまた同じだと思います。
弱さを見せること、揺らぐことを恐れずにいられる人は、結果的に長く、安定してソーシャルワークの現場に立ち続けることができると思います。

ソーシャルワーカーこそ「相談する側」にも立とう

では、どうすればいいか。

それは、「相談の力」を信じている私たちこそ、その力を自分も使うことに尽きると思います。

職場で相談できるなら、それは幸運

例えば、職場に信頼できる人がいるなら、迷わず話してみる。

同じ現場を共有しているからこそ、細かい説明をしなくても伝わります。
具体的なアドバイスがもらえる場合もあります。

ただし注意も必要です。
職場では、話した内容が意図せず広まるリスクがあります。

口の堅い人や「この人なら安心して話せる」という相手を見極めましょう。
私は何度か失敗をしています…。

職場外の相談も、大きな助けになる

もし職場で話しにくいなら、家族や友人に話しても構いません。
たとえ仕事の細部を理解してもらえなくても大丈夫です。
相談の本質は「話すこと」そのもの。

ソーシャルワークの現場でもそうですよね。
私たちが利用者さんの話をただ聴くだけでも、
「すっきりしました」「少し楽になりました」と笑顔が見られることがあります。

それと同じで、
私たちも、相談することでラクになれる。心の荷物が少し軽くなる。

そう体感することは、自分たちの支援(話を聴くこと)の力を信じることにもつながると思います。

まとめ:「相談できる力」が、長く働く力になる

ソーシャルワーカーは、誰かの苦しみに向き合う仕事です。
支援の対象となるのは、“うまくいかない状況にある人たち”。
だからこそ、私たちも強いストレスにさらされる立場にあります。

ストレスは必ずやってくる。
だから、病まないための支えを持つことは生命線になる。

私たちは、自分のためだけに相談するわけではありません。
相談することは、決して利己的な行いではありません。

自分を保つことは、クライエントを守ることにつながる。
支援者が折れずに立ち続けられることで、利用者・患者さんの利益が守られる。

「相談できる力」は、支援の持続力を高めるための専門性の一部でもあります。
相談するという行動の先には、常にクライエントがいることを意識したいですね。

 まとめ

  • 私たちは「相談の力」を信じている職業
  • 自分の中に溜め込まず、相談することでラクになれる
  • 弱みを見せられる人は、実は強い
  • 相談できる人ほど、しなやかに長く働ける

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