
社会福祉士としてNPO法人で働くのってどうなのかな?やりがいはありそうだけど、食べていけるのかな?
こうした思いの方へ。
この記事の内容
- 収入はNPO法人によりけり。高収入のNPO法人もある。
- 「食べていけるかどうかのライン」はライフスタイルで変化する
- 社会福祉士は『やりたい仕事』と『給与や賃金の水準』との間で悩みやすい
- やりたい仕事をやってみて「食べていけない」と思ったら転職しても良い

私は社会福祉士・精神保健福祉士で、現場での経験は10年以上になります。
ブログの読者さんから「社会福祉士を取って、NPO法人に就職しようか迷っている。事業内容は魅力的だけど、食べていけるのか心配。」というご相談をいただきました。
私の考えをお答えしますので、この記事でシェアさせていただきますね。
社会福祉士はNPO法人に就職・転職しても食べていけるか?悩む方へ
お問い合わせ内容「NPO法人への就職について」
いつも、本ページで勉強させていただいております。私は、来年度から一般養成施設で社会福祉士を目指す27歳男性です。(中略)
福祉関係の求人を調べると、公的施設よりNPO法人が取り組んでいる事業に興味があります。ぱーぱす様のNPO法人への就職に関する見解をお伺いしたいです。私は、食べていけるイメージがないのが正直なところです(-_-;)
以上、お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。
NPO法人について
NPO法人は、特定非営利活動法人のことです。
≫根拠法:特定非営利活動促進法
「特定非営利活動」は何かというと、
- 不特定かつ多数のものの利益に寄与することを目的とする活動
- 20種類の分野に該当する活動
この2つが条件となっていて、20種類の分野は次のとおりです。
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
引用元:内閣府HP 特定非営利活動(NPO法人)制度の概要
NPO法人についてわかりやすく解説しているのが、こちらの動画です。
高収入のNPO法人もある。「NPO法人=食べていけない」とは言えない。
NPO法人は「金儲けをしてはいけないから、給与が低くて食べていけない」というイメージをもたれがちですが、実は違います。
高い給料や年収のNPO法人もあるのです。
例えば、Indeedで「社会福祉士 NPO法人」で検索すれば、NPO法人でも月給35万~45万など、社会福祉士としては高い収入の求人が出てきます。
「いやいや、そんな求人ばかりじゃないでしょ?」と思うかもしれません。確かに、給料や年収の低いNPO法人もあります。公務員の年収と比べると、少ないことが多いでしょう。
しかし、実際のNPO法人の求人をチェックしてみないと、年収の高低や、食べていけるかどうかはわかりませんね。
今の時点で求人を調べても、質問者さんが就職活動をする頃にはまた違った求人がでていると思います。
ですから、質問者さんが就職・転職活動するときに、受けたいNPO法人の求人をチェックして判断する必要があると思います。
データで見るNPO法人の傾向
下記記事を見ると、近年のNPO法人の傾向がわかります。
「食べていけるか」という視点でNPO法人を品定めすると、心配なのは次の点でしょう。
NPO法人に就職する懸念点
- 全国的にNPO法人代表は高齢化
- 『代表の引退=法人の解散』になりがち → 解散となれば転職する必要性が出るかも
実際、内閣府の調査によるとNPO法人代表の約7割が60歳以上です。
そして、後継者の不足に悩む法人が4割超です。
ただし大切なのは、質問者さんが就職したいと思うNPO法人はどうか?ということです。
こういった傾向を踏まえながら、就職したいと思うNPO法人をチェックすると良いですね。
「食べていくための最低限の収入」は自分のライフスタイルで変わる
就職や転職、生き方について、私の考えをお話します。
「食べていくための最低限の収入」は人それぞれで違いますが、特にライフスタイルで変わると私は思っています。
要は、『毎月どれくらいの支出があるか』ということですが、支出は例えば次のような点で大きく変わりますね。
- 家族形態(独身、パートナーの有無、子どもの有無など)
- 自分や家族のお金遣い
社会福祉士は『やりたい仕事』と『給与や賃金の水準』との間で悩みやすい
社会福祉士は『やりたい仕事をしたい』という思いと、『稼ぎたい(稼がないといけない)』という思いとの間で悩みやすいです。
例えば、社会福祉士が『今後、仕事をしていくうえで最も重視すること』のTOP3は、次のとおりです。
≫参考:社会福祉士就労状況調査結果報告書(令和2年度)
社会福祉士が今の職場を選んだ最も大きな理由 | ||
1位 | やりたい仕事ができる | 25.7% |
2位 | 心身の健康状態の維持 | 20.5% |
3位 | 給与や賃金の水準 | 15.9% |
1位は「やりたい仕事ができる」ですが、位には「給与や賃金の水準」がランクインしています。
質問者さんが就職について悩み、「やりたい仕事」と「食べていけるのか」という間で心を揺さぶられるのは、当然なのです。
社会福祉士らしい悩みを抱えておられるとも言えます。
私も「やりたい仕事をしたい」という思いと「稼ぎたい(稼がないといけない)」という思いの間で、心が揺れることはありました。
やりたい仕事をしている時期は、「もっと稼ぎたい」「せめて5千円だけでも!」「給料があと3万円多かったらなぁ・・・」とよく思いました。
そして、少し稼げたと思うと「もっとやりがいのある仕事をしたい」「お金を稼げても仕事が面白くないのは辛い・・・」とよく思いました。
こんな風に書いてみると、ずいぶん欲深い人間ですよね。恥ずかしくなります。
「足るを知る」と言った老子からすれば、私はなかなか足るを知ろうとしない愚かな人間です。
しかし、足りないと感じるからこそ、満たそうとして色んな行動を起こせてきたのも事実です。
質問者さんに「ほどほどで妥協しましょうや」「やりたい仕事かお金のどちらかを選びましょう」と言うつもりはありません。
最後に
私は欲深くて良いと思いますし、質問者さんには悔いなく生きていただきたいと思います。
「わが生涯に一片の悔いなし」は、「北斗の拳」でラオウが最期に言った言葉です。
これはフィクションですし、リアルではありません。現実には、悔いが全くないという生き方は、難しいと思います。ラオウさんには「1つくらい、後悔あるんじゃないっすか?」ときいてみたい。
繰り返しになりますが、生き方、ライフスタイルは私たちで選ぶことができます。
例えば、「稼げる安定した仕事をもちつつ、副業としてNPO活動に参加する」という選択肢もあります。
≫参考リンク:NPONEWS 「NPOで副業ひろがる―社会人の新しい働き方へ」
「自ら事業をおこす」という人もいるでしょう。
まずはやりたい仕事をやってみて、「やっぱり食べていけない!」と思ったら、培ったノウハウを活かして転職するのもありだと思います。
社会福祉士の就職や転職のノウハウは、このブログで解説しています。
社会福祉士がお金を稼ぐ方法は、こちらの記事でもまとめました。
やりたい仕事と収入を両立するということ。私が答えを示せるわけではありませんが、質問者さんに合った色んなやり方があるはずです。
ぜひ、そんなことも考えつつ探しつつ、来年からの一般養成施設で頑張っていただきたいと思います。
今後を応援しております!ご質問ありがとうございました!
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