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児童福祉司を辞めたい方へ|辞めても福祉の仕事まで辞めなくて良い!

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児童福祉司を辞めたい・・・。ボクは向いてない。

こうした思いの方へ。

児童福祉司の経験者として、伝えたいことをまとめました。私の結論は次のこと。

この記事の結論

  • 児童福祉司の仕事は、福祉の仕事のなかでも特殊
  • 児童福祉司に向いていない ≠ 福祉の仕事に向いていない
  • 児童福祉司を辞めても、福祉の仕事を辞める必要はない

私は某自治体で働く社会福祉士・精神保健福祉士。現場歴はおよそ13年です。最も長い職歴は児童相談所でのケースワーカーです。

私は「児童福祉司に向いていない」と感じる人に向けて、次の記事を書いたことがあります。

上記の記事は、「児童福祉司を続けていくためには、どうしたらいいか?」という視点で書いています。

でも、今回は「児相福祉司を辞めたい」と考えている人へ向けて書いています

児童福祉司についてネガティブ・悲観的な内容が多いので、児童福祉司の仕事に夢を抱いている方は閲覧注意です・・・。

それではまいりましょう。

児童福祉司を辞めたい方へ|辞めても福祉の仕事まで辞めなくて良い!

児童福祉司の仕事は、福祉の仕事でも『特殊』

私は社会福祉士・精神保健福祉士の資格をとってから、いくつかの現場で働いてきました。

作業所、相談支援事業所、精神科クリニック、児童相談所、入所施設など。

こうして働いて、10年以上がたちました。今も現役として働きながらブログを書いています。

色んな職場で働いてきたので、私は1つの分野に特化できた人間ではありません。でも、たくさんの現場を知っているほうです。

そうした私に言わせてみれば、児童相談所はもっとも特殊な現場です。

なかでも児童福祉司の仕事は、福祉の仕事のなかでも特殊です。

児童福祉司の仕事、とりわけ虐待対応をすることがいかに特殊か。傾向をざっと整理しますと

児童福祉司の仕事の特殊性

  • 強制介入からスタートしても、同意による支援をめざす
  • 『福祉警察』としての社会期待がある
  • とにかく嫌われる
  • 『何でもできること』を期待されるが、何から学ぶと良いかわからない
  • 法律知識はマストだが、国試合格レベルでは歯が立たない

こんな感じです。きっと、あなたも経験してきたのではないでしょうか?

強制介入からスタートしても、同意による支援をめざす福祉警察的な仕事

児童虐待の通告や児童福祉司指導措置などをきっかけとして、児童福祉司の関わりのスタートは、強制的なことが多い

例えば、(保護者からすると)いきなり電話して来たり、連絡に応じないと繰り返し連絡してきたり、いきなり家にきたり、いきなり子どもを一時保護したりする・・・

強権をふりかざす『嫌な奴ら』『関わりたくない』と感じられやすい相手。

「児童相談所がくると、家がかえってめちゃくちゃになる」と言われることもありますね。

それでも児童福祉司は、保護者からは望まれていない関わりを、子どもの安心・安全を守るためにしないといけない。

保護者が「支援なんて、いらない。」というスタンスでも、何とかして支援を届けようとする。

始まりは強引だったとしても、保護者や子ども、家庭環境が変わっていくには、まずは話せる関係をつくる必要があるわけで。

「保護者は虐待をしている悪い奴だ」というスタンスで関わっても、「二度と来るな」と言われて話し合いにならないか、表面的なやり取りで終わってしまったりする。

だから、「いきなり来てすみません~」と低姿勢に言ったり、世間話もしたり、努力を褒めたり・・・

やることは強制的だけど、言葉や雰囲気をやわらかくすることもある。

「体罰は児童虐待です!やめなさい!」

と、親が子どもを注意するように、あるいは、先生が生徒を注意するように言えば虐待は無くなるか?

もちろんそんなこと無いんですよね。保護者に注意すれば児童虐待がなくなるなら、児童福祉司はいらないでしょう。(でも、関係機関からはそうしたイメージがあるよう)

家庭は密室。その場では「はい、わかりました。」と言われても、見えない家のなかで児童虐待は起きやすい。

何の改善も支援もなければ、児童虐待の再発は防げないようなもの。

児童虐待は、いろんな要因が絡み合った結果だから。

なので、児童虐待を解消するには、児童虐待が起きる要因をつきとめ、解消するなりテコを入れるなりしないといけない。

保護者からホンネで話してもらえる関係をめざしたり、困り感を共有して、何らかのサービスにつなげたり、関わりを通して孤立感を解消したり、アドバイスをしたりもする。

私たち自身をつかって、「この人なら話せそうだ」と思ってもらえるような、人間力も必要だ。自己覚知が欠かせない。

児童福祉司は強制的に介入ばかりすれば良いわけじゃない。

始まりは強制的で「望まれない客」だったとしても、児童福祉司の当面の目標は、保護者の同意(容認)による支援となることが多い。

こうして児童福祉司は、保護者へ強制的に介入する『警察』的な役割がある一方で、従来通りに『福祉』的な支援もしないといけない

相反する役割を両方こなさないといけない。ここに児童福祉司の仕事の特殊性が凝縮されていると思う。

社会福祉の現場では、福祉サービスは『措置から契約へ』という制度の移り変わりによって、契約(同意)にもとづいて提供するのが常識となっている。

そうしたなか、児童福祉司には、同意など関係ない、強権的な職務が多い。その一方で、やっぱり同意による支援をめざそうともする。

とにかく一面的じゃないし、難しい。

私は「こんな特殊で難しい仕事、辞めたくなって当たり前じゃない?」と思うのです。

あなたが「児童福祉司を辞めたい」と言ったら、「そりゃそうですよね」と言う。

児童福祉司って、とにかく嫌われる!何でもできることを求められる!

私たちだって人間。できれば好かれていたいし、感謝されたい。でも、児童福祉司はとにかく嫌われますよね。

児童福祉司って、「こんなに大変な仕事なのに、報われないなぁ・・・」とつくづく思います。

児童相談所や児童福祉司は、できて当たり前。完璧にしないといけない期待や重圧がある。

その期待に応えられない時、児童福祉司は子ども・保護者・関係機関から嫌われやすい。

でも、すべての人の希望を、同時に叶えることはできない。

例えば、子どもと保護者の利害は一致しないことがよくある。一時保護をしている時、子どもは親と会いたくないと言っているけど、親は子どもを早く引き取りたいと言っている、など。

他にも例えば、関係機関からは「子どものため」と言って、一時保護を要求されることがある。

しかし、彼らの腹の底からは

・・・責任を負いたくない。何か起きた時の責任は児相に。

・・・厄介ごとは児相にすべてやってもらいたい。

・・・一時保護してもらえたら、後は児童相談所が何とかしてくれるのだろう。

というホンネの声が聞こえてくることもある。児相が一時保護すれば、関係機関は悩みからいったん解放されるようだ。

関係機関の悩みを解消するために、一時保護をするわけにはいかない。子どもの最善の利益を考えて、一時保護の要否を決めないといけない。

だから、嫌われても大丈夫と思えないと、児童福祉司はつとまらない

それゆえ私は、児童福祉司に向いている人とは、嫌われても大丈夫な力のある人と記事で書いたこともある。

子どものため、保護者のためと思って、高い志をもって児童福祉司になった人も多いと思う。そうして晴れて児童福祉司になれたのに

「あれ?すごく嫌われるじゃないか・・・!」

「批判ばかりされる・・・」

「関わってもうまくいかない・・・。どうしたら良いかわからない・・・。」

と、面食らった人は多いと思う。(あるいは予想通り?)

感謝などされない。子どもからも保護者からも、関係者からも嫌われやすい。

なかなか改善しない家庭の保護者からは、「児童相談所が来ても、私たちの家は何も変わらないじゃないですか」と、責められることもある。

「人のせいにしないで欲しい」と言いたくなるが、自分の能力不足も感じるし、無力感を抱くこともある。

関係機関からは、『最後の砦』と評され、神様のように子どもや保護者を改善することを期待される。(そんなの無理なんだけど)

「専門性の高い児童相談所」という児童相談所の運営指針にしばられて、

児童福祉司は新卒の1年目でも「専門性が高いんでしょ?」という設定(嫌味)を背負わされる。

こんなに嫌われるのに、何でもできることを求められるのに、思うようにいかないことは多く、報われない

確かに、児童福祉司の給料や年収は良い。やりがいもあるにはある。でも、ツラいことも多いわけで・・・。

「できるわけない」「もう辞めたい」と思う児相福祉司は、とても多いと思う。

私は「そりゃ、ムリないよ。よく頑張ったよ。」と声をかけたい。

何(誰)から学ぶと良いかわからない

児童虐待は目に見えづらい。

ケガが体の見えるところにあればわかりやすいけど、子どもの証言だけが証拠になることも多い。特に性的虐待は、客観的な証拠をつかみにくい。

針の穴に糸を通すような業務。しかも量が多い。

だけど、先輩、上司からアドバイスがもらえるとは限らない。

児童福祉司は、自己流でやっている人たちがまだまだ多い。ほぼ職人芸の世界。マネできる代物ではない。

かといって、何から学べば良いのかもわかりにくい。

ブログでは、新人の児童福祉司さんから支援の組み立て方について、ご質問をいただいたこともある。

私なりの答えは上記の記事にまとめてみた。

児童福祉司の救いであり、武器・防具となるのは、法律知識やガイドラインだ。こうした知識があってようやく児童福祉司は、そこそこ一人で立ち回れると思う。(でも、これで十分なんて全く思っていない。)

ただし、こうしたひとまずの一人前ラインに到達するには、社会福祉士や精神保健福祉士の国家試験合格レベルでは全く足りない。

つまり、現場で働きはじめてから、「専門性の高い児相さん」と嫌味をいわれつつ、本当に専門性が高くなるように慌てて勉強しないといけない。

激務のかたわら、時間外で。

・・・そんな無茶な。

くり返し言うけれど、「児童福祉司を辞めたい」と思うのは、あなたが劣っていたとか、無力感をいだくようなものではなくて、とても自然なことだと思っている。

児童福祉司は、メディアによる公開処刑が待っている恐怖と隣り合わせ

なんとかかんとか児童福祉司を続けていても、もし子どもを救えなければ、マスメディアによる公開処刑が待っている。

「児相は虐待を把握していたのに、どうして救えなかったのか」と。

私たちだって、子どもを救いたい。自分でも自分を責めて自己嫌悪に陥ったりする。

児童福祉司をしている限り、まるで、一寸先は闇。知事や長、所長が責任をかぶって頭を下げる姿が目に浮かぶ。

過酷な業務。誰から、何から学べば良いかもわからない。手探りで、自分なりの型をつくっていく。

子どもを救えても報道されないが、うまくいかなかった時は報道される。

この恐怖感は、児童相談所だけでなく、児童虐待に関係するほぼすべての人が実感しているはず。

人は恐怖感を前にすると、自己防衛的になる。子どもの安心よりも、自分の安心が欲しくなるのが人情だと思う。

「世間的な注目度が高く、批判のマトになりやすい福祉の仕事」と言えば、児童相談所・児童福祉司が筆頭じゃないだろうか?

たぶん、そのおかげで国は児童福祉法を改正したり、児童福祉司を増員させたりしているのだと思うけど、現場の人間としては震え上がる。

児童福祉司の仕事は、やっぱり特殊だと思う。

児童福祉司に向いていない ≠ 福祉の仕事に向いていない

ハッキリ言って、『児童福祉司に向いていない ≠ 福祉の仕事に向いていない』です。

だから私の意見は、もしあなたが児童福祉司を辞めるからといって、福祉の仕事まで辞めてしまう必要はないということです。

もしかしたら、あなたは「児童福祉司に向いていない」と思っているかもしれません。

さらには、

「福祉の仕事に向いていない・・・」
「せっかく公務員になれたのに・・・」
「社会福祉士、精神保健福祉士を取ってまで児童福祉司になったのに・・・」
「別の業界に行った方が良いのかな・・・」

とも感じているかもしれません。

ご自身の判断に確信があるなら、もしくは、特別にやりたい仕事があるならいざ知らず。

「児童福祉司を辞めたあとはどうしよう?」
「他にやりたいこともない。できる仕事もない・・・。」

と、思っているなら、私は「まずは児童福祉司以外の福祉の仕事をしてみましょうよ」と言いたい。

その理由は、児童福祉司の仕事が福祉の仕事のなかでも特殊だからです。

ムリをして続けていると、精神疾患などにかかって、なかなか復活できなくなってしまう。いちど心が折れてしまっては、復活するのに時間がかかります。

残念だけど、その責任は、誰もとってくれない。

組織は、「空いた児童福祉司の席は、また募集をかけて埋めたら良い」となる。

児童福祉司をたくさん募集して、「続けられた人は児童福祉司に向いていた」「続かなかった人は児童福祉司に向いていなかった」と、要因を個人の能力だけに帰せられることもある。

実際、児童福祉司は、全国的にまるでブラック企業のごとく募集が絶え間なく続いている。

(児童福祉司を増員させる国策のためでもあるけど)

あなたは何らかの資格をおもちだと思います。社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師、社会福祉主事任用資格など。

そうした資格を活かせる仕事は、幅広くあるはず。

だから、「児童福祉司に向いていない。資格をとったのはムダだった・・・」などと思わなくて良いのです。

『児童福祉司に向いていない ≠ 福祉の仕事に向いていない』です。

あなたの今後の仕事をどうするか?3つのプラン

児童福祉司の読者さんからご質問いただき、児童福祉司の転職やキャリアプランについてお答えしたことがあります。

私の考える選択肢は、3つあります。

  • 有給休暇や休職制度など、使えるものは使う
  • 児相以外への異動希望を出す
  • 仕事をしながら転職先を探す

とにかく「休む」の量を増やし、質を高めて、児童福祉司の仕事に耐え抜くという道があります。

他には、児童相談所以外の配属先を希望する道もあります。(児童福祉司として採用された人は、他の配属先がないかもしれません・・・)

また、転職する場合は、児童福祉司として働いた経験はアドバンテージになるはずです。

これは、地方公務員試験を突破でき、採用され、実務経験をもった実績だからです。

なので、公務員試験情報を調べて、他の自治体などの福祉職の試験を受けてみるというのは、考えてみても良いんじゃないかと思います。

公務員試験情報のまとめサイトとしては、公務員試験情報サイト KoumuWIN!などがあります。

他には、民間の福祉職場もふくめて探す方のために、おすすめの転職サイトなどを紹介しています。お持ちの資格に合わせてチェックしてみてください。

≫社会福祉士さん向け

≫精神保健福祉士さん向け

人生に転換期はつきものです。私は転職を2回しましたが、後悔は全くありません。

この記事が何かしらお役に立ったなら嬉しいです。

日々、ほんとうにお疲れ様です。

あなたの今後がより良いものとなっていくことを願っております!

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