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成年後見人は社会福祉士・精神保健福祉士の副業になる?【検証した】

成年後見人って稼げるの?どうやったらなれる?

  1. もう2万円、毎月稼げたら良いのに・・・
  2. このままでは将来が心配・・・生活をラクにしたい!
  3. 成年後見人って、稼げるんだろうか?どうやったらなれる?

こういった悩みのある方へ。まず結論をお伝えします。

この記事の結論

  • 成年後見人は副業の選択肢になる
  • 社会福祉士の平均報酬は約26万/年
  • 負担に報酬が見合わない可能性はある
  • 成年後見人の報酬額は、家庭裁判所が決める
  • 成年後見人になるには、ハードルが高め

私は某自治体で働く社会福祉士・精神保健福祉士です。現場経験はおよそ13年です。

「社会福祉士も精神保健福祉士も、国家資格だから安定して生活していける」

世間にはそうしたイメージがあるかもしれませんが、そんなことはないですよね?

社会福祉士も精神保健福祉士も、収入がイマイチ多くない資格職です。

例えば、家族と同居していたり、パートナーが高収入といった特別な条件でもないと

「お金にもうちょっと余裕が欲しい!」と思うのが自然なレベル。

経験年数や年齢を重ねても、給料がたいして上がらないので

「もう社会福祉士(精神保健福祉士)ではやっていけない・・・」

と、福祉業界から離れてしまう方がいるほどです。

もしかしたら、あなたも今、そうした気持ちになってきていませんか?

あるいは将来、稼ぎが少なくてやむなく他業界へ転職せざるを得なくなるかも・・・。

そうなっては、福祉業界として損失です。

あなたがもっている、継承されるはずだったノウハウが逃げてしまうからです。

それでは誰もハッピーにならないですよね。

そこで「何か手立てはないか?」と、わたし自身がやってきたお金モンダイの解決策は、こちらにまとめてあります。

でも、これで十分とは思いません。

そこで今回は、副業としての成年後見人の可能性を考えてみました。

成年後見人は、社会福祉士や精神保健福祉士の副業として見込みがあるのか?

公開されている情報をかきあつめて、まとめました。ご参考にしてくださいね!

成年後見人は社会福祉士・精神保健福祉士の副業になる?【検証した】

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まずは、成年後見人になるデメリット3点をチェックしましょう!

デメリット① 成年後見人になるハードルは高め

成年後見人になるには、手順が多く、ハードルが高めです。

社会福祉士が成年後見人になるには、次のステップがいります。

社会福祉士は成年後見人になるには?

  1. 社会福祉士の国家資格を取る
  2. 日本社会福祉士会に正会員登録
  3. 日本社会福祉士会主催の基礎研修をⅠ~Ⅲまで受ける(最低3年かかる
  4. 成年後見人養成研修」と「名簿登録研修」を受ける
  5. 日本社会福祉士会の権利擁護センター「ぱあとなあ」で成年後見人等候補者名簿に登録
  6. 家庭裁判所からの後見人指名を待つ・・・

どうしてこんなにステップがあるのでしょうか?

成年後見人はとても責任の重い立場ですよね。高い倫理観がいります。

それゆえ登録にはハードルがありますし、毎年研修を受ける必要もあります。

成年後見人にもっとなりやすくしたら良いんじゃないの?

成年後見人になるハードルが低いと

  1. ちゃんと支援してくれない
  2. お金を抜き取られる・・・
  3. 報酬だけもらって仕事をしてくれない!

など、成年後見人の質に問題が起きてしまうでしょう。(既にある課題なんですが)

だから、成年後見人になる敷居は高くして、成年後見人の質を保証するのは大切なんですね。

確かに、もし私が成年後見人にお願いするとしたら、知識よりも技術よりも何よりも、誠実さ・倫理観をもっている人にお願いしたいです。

とにもかくにも、成年後見人になるには、ステップを踏む心構えがいります

デメリット② 諸費用が毎年かかる

社会福祉士会の年会費

成年後見人になるには、日本社会福祉士会の正会員にならないといけません。

つまり、年会費がかかります。サブスクみたいなものです。

年会費は15,000円~22,000円

どうして年会費に幅があるの?一定じゃないの?

年会費に幅がある理由は、あなたが所属する都道府県によって年会費が違うからです。

日本社会福祉士HPでは、全国の、あなたのお住いの都道府県の年会費がわかります。
※初年度は入会金もかかる

都道府県の社会福祉士会にも入らないといけないの?

そう。都道府県の社会福祉士会に入れば、日本社会福祉士会に登録されるしくみなんだ。

日本社会福祉士会のしくみを詳しく知りたい方は、下記もごらんくださいね。

「ぱあとなあ」「クローバー」の名簿登録料・受任会費・保険加入費など

社会福祉士が成年後見人になるには、日本社会福祉士会の権利擁護センター「ぱあとなあ」に登録して、諸費用(会費など)を納めないといけません

納める費用は主にこの3つ。

諸費用

  1. 名簿登録料(定額)
  2. 受託費用(担当件数・内容に応じて納める変動額)
  3. 保険料

これらの費用額をネット上で公開している都道府県もあれば、公開していない都道府県もあります。

全国一覧があれば便利なんですけどね・・・。

公開されている都道府県をざっと調べたところ、下記の通りでした。

名簿登録料/年受任会費/1件/年
富山県10,000円2,000円
埼玉県10,000円?(報酬会費)
千葉県10,000円(例外あり)2,000円
東京都25,000円(定額負担金)3,000円~10,000円
(受任負担金)

 

ぱあとなあ会員は、社会福祉士賠償責任保険へ強制加入

これらの費用に加えて、団体補償制度・賠償責任保険に加入しないといけません

賠償責任保険は、社会福祉士賠償責任保険のCプランが指定されていますね。訴訟への備えがいるのでしょう。

上記のプランは「ぱあとなあ名簿」に登録している会員限定のプランです。

Cプランのパンフレットがこちら。

◆受任件数保険料(会員が負担する年間掛⾦)
900円✕受任件数+制度運営費300円(受任1件以上の方)
引用元:社会福祉士賠償責任保険 Cプラン(2024年度版)

受託ケース1件であれば 1,200円/年

2件であれば、2,100円ですね。それほど高くはないでしょう。

なお精神保健福祉士については、本精神保健福祉士協会の認定成年後見人ネットワーク、クローバーに登録することになります。

こちらは、登録費が5,000円/年である等、ぱあとなあとは違いがあります。
参考:公益社団法人日本精神保健福祉士協会 認定成年後見人ネットワーク「クローバー」規定等

デメリット③ 負担は未知数

対人支援なので、かかる労力はケース次第です。

「やってみるまでわからない」のは、対人支援の運命ですね。

成年後見人がやらないといけないことは、各ぱあとなあで規定されています。

例えば、次のようなことです。

 成年後見人の仕事

  • 活動報告
  • 継続研修等を受講し、研鑽する
  • ぱあとなあ保険に加入する
  • 会からの指導・助言をきいて、実現に努める
  • ぱあとなあ名簿登録内容を候補者情報を必要とする個人・団体へ提供することに承認する

活動報告を出す頻度について、例えば「ぱあとなあ東京」では次のタイミングで出さないといけません。

  • 新規
  • 定期(年2回)
  • 終了
  • 辞任
  • 引継完了

このあたりは各ぱあとなあで違いがありそうです。

活動報告書の書式例は、北海道社会福祉士会のHPでダウンロードできます。

A4で両面2~3枚は書くことになるようですね。

≫北海道社会福祉士会 ぱあとなあ活動報告様式(Word)

ちなみに、わたしが知っている成年後見人の方は、いわゆる困難ケースを担当されていました。

ある成年後見人は、「成年後見人の担当を外して欲しいと裁判所に言ったけど、認めてもらえなかった・・・」と心労を話していました。

成年後見人は家庭裁判所が認めなければ、自分の都合では辞められないんですね。

やはり覚悟がいります・・・。

下記はクローバーの資料ですが、受任中の課題の「あるある」がまとめられています。心の準備になるでしょう。

≫厚生労働省成年後見制度利用促進専門家会議 第6回地域連携ネットワークWG 認定成年後見人ネットワーク 「クローバー」の取組について

成年後見人の報酬はいくら?

実は、成年後見人の報酬額は、法律では決まっていせん

え?じゃあどうやって報酬額は決まるの?

家庭裁判所が決めるんだよ。

ならば誰が報酬額を決めのるかというと、家庭裁判所です。

成年後見人に報酬を与えるべきかどうか、与えるならいくらにするかは、

成年後見人からの申立てによって、家庭裁判所が「報酬付与の審判」で決めます。

どのようにして報酬額が定められるかといいますと,後見人等が行った後見等の事務(財産管理及び身上監護)の内容,後見人等が管理する被後見人等の財産の内容等を裁判官が総合的に考慮して定めます。
引用元:最高裁判所HP 成年後見人等の報酬額について

申立書の書式は、最高裁判所のホームページで公開されています。

記入例がこちら。

成年後見人の報酬の目安は、管理する資産額が1,000万円以下なら、1ケース月額2万円とされています。まとめると次のとおり。

管理資産額報酬額の目安/月額
~1,000万円2万円
1,000~5,000万円3~4万円
5,000万円~5~6万円

管理資産額が多いほど、報酬も多いんだね!

1ケース20,000円/月で成年後見人になると?

では、社会福祉士として1ケース20,000円/月で担当した場合で、試算してみましょう!

まず、費用負担としては年間で最低23,200円はかかるでしょう。

費用の概算
内容費用/年
年会費(社会福祉士会)15,000~22,000円
年会費(ぱあとなあ or クローバー5,000~25,000円
受任会費2,000円~
社会福祉士賠償責任保険 Cプラン1,200円
合計23,200円~50,200円程
報酬の概算

報酬ですが、20,000円/月であれば、240,000となります。

収支は?

収支を計算してみましょう。

月額2万円で成年後見人になると?(報酬)240,000円 - (諸費用)23,200円~ =(年収)~216,800円

諸費用を経費として引くと、年間~216,800です。(確定申告がいりそうですね)

給料1か月分ぐらい?

約21万ということは、ちょうど給料1か月分くらいの人が多いのではないでしょうか?

と、考えると多いような、少ないような・・・?あなたはどう思いますか?

労力に見合っているのかどうかは、フタを開けてみないとわからないですね。

2023年3月6日追記:最高裁が報酬額を初調査【社会福祉士の平均報酬=年約26万】

福祉新聞より。報酬額について調査が入りました。

要点は次のとおり。

報道の要点

  • 社会福祉士の平均報酬額(1ケース):年257,781円
  • 家裁による報酬の算定根拠が不明瞭。後見人らと制度利用者の双方に不満が起きている。

もっと詳しくは、こちらのPDFでわかります。成年後見人で副業を考える人には有益な資料です。

≫最高裁判所HP 第3回 成年後見制度の運用改善等に関するワーキング・グループ

≫最高裁判所HP 第4回 成年後見制度の運用改善等に関するワーキング・グループ

成年後見人は社会福祉士・精神保健福祉士の副業になり得る!

社会福祉士・精神保健福祉士にとって、成年後見人は副業として選択肢になるでしょう。

それなりの報酬はあります。社会福祉士の平均報酬は約26万/年でした。

ただし、「稼ぐ」という点で割が良いかはよくわかりません。労力に見合った報酬かはケース次第じゃないでしょうか?

とても大変かもしれないし、そうでもないかもしれません。

ネット上では、成年後見人は無償あるいは有償ボランティアとして取り組める方に向いているという意見があります。

確かに、それくらいの気持ちの人が向いているのかもしれません。

しかし、今後、成年後見制度のニーズは増えていくと思います

なぜなら、生涯独身の方やDINKsなど、多様な生き方が増えるなか、自らの老後を親族に頼れない、頼りたくない人が増えていくと思うからです。

お子さんがいたとしても「自分の子に負担をかけたくない」という人は多いはず。

そうした中で、「自分の判断能力が不十分になったら、支援してくれる人が欲しい」という人は増えていくと思うんですね。

わたしはブログで、積立NISAやiDeCoで資産形成していくのをオススメしていますが、これの前提は「自分の判断能力が十分」であることです。

長期投資・長期積立が良いとは言います。

でも、「長期」が意味するとおり、お金が増えた頃には私たちも年をとっていますよね。

お金を使いたい時には、私たちの判断能力は不十分かもしれない。

さらには、認知症に判断能力を奪われているかもしれません。

認知症の有病率は年齢とともに急峻に高まることが知られています。現在、65歳以上の約16%が認知症であると推計されていますが、80歳代の後半であれば男性の35%、女性の44%、95歳を過ぎると男性の51%、女性の84%が認知症であることが明らかにされています
引用元:地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターHP

人生100年時代。認知症はもはや自分事です。

成年後見制度は、介護保険制度と同時にスタートしています。そして厚生労働省は、成年後見制度の利用を促していく方針です。
≫厚生労働省 成年後見制度の現状 令和5年5月

社会福祉士や精神保健福祉士は、この成年後見制度の重要な担い手として、活躍の場をひろげていけるのではないでしょうか?

最後に やはり成年後見人はやめておこうと思った方へ

ん~、どうしようかな?副業じゃなくて、本業で年収UPさせられないかな?

ここまで読んで、「やっぱり本業の収入をUPさせたい」と思った方もいると思います。

年収600万円であれば、社会福祉士も精神保健福祉士もめざせるレベルです。方法はこちらでわかります。

年収の高い職場に転職するのも1つの方法でしょう。

何か参考になったなら嬉しいです。あなたの理想が実現していきますように!

 

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