社会福祉士として引きこもり支援をしたいが適性・就職先が不安な人へ

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ひきこもりの人を支援したい。社会福祉士になりたいけど、自分にできるのかな?どの職場で働いたらいいのかな?

こうした思いの方へ。

社会福祉士を志す読者さんから、ご質問いただきました。

次のような方にも役立つ内容ですので、シェアしますね。

この記事が役立つ方

  • 社会福祉士に自分が向いているのか不安
  • 社会福祉士に必要な素質は何か知りたい
  • ひきこもり支援に興味がある
  • どんなキャリアプランで就職先を選んだら良いかわからない

私は社会福祉士・精神保健福祉士で、現場での経験は10年以上になります。

それではまいりましょう。

社会福祉士として引きこもり支援をしたいが適性・就職先が不安な人へ

お問い合わせ内容

初めてメールをさせていただきます。いつもブログを拝見させていただいています(中略)

現在、無職でサポートステーションに通っています。社会福祉士の仕事に関心を持ち、仕事内容などを書籍やインターネットで調べています。また、資格取得のため専門学校への進学を考えています。

今回、メールさせていただいたのは、社会福祉士に必要な資質や将来像に関して、教えていただきたいと思ったからです。

私は大学在学中に、断続的に通学できなくなりました。

幸いにも家族の助けを借りて卒業できた後、「あのときの自分」を知りたいと思い調べた結果、ひきこもりに近い状態だったことを知りました。

その後、ひきこもり関連の書籍を読んだり、講演会に参加するうちに、ひきこもり支援の仕事や社会福祉士の資格を取りたいと思うようになりました。

しかし、現時点で大きな不安が2つあります。

1つは私自身のことです。上記のように、私は家族の助けが得られました。また、私は視野が狭いほうで、これだと思うことに飛びつく傾向があります。

様々な理由で困っている人を前にしたとき、「自分はその人に寄り添うことができるのか」という不安があります。

2つめは将来の働き方についてです。

ひきこもり支援に携わるNPO又は行政の支援員として活動したほうがいいのか、それとも様々な福祉の分野で経験を積んでからがいいのかわかりません。就労支援や教育の分野に関心があります。

長文失礼しました。お手数をおかけしますが、ご教示いただけますと幸いです。

『視野が狭くてこれだと思うことに飛びついてしまう』『寄り添えるか不安』について

先に結論をいいますと、ご自身の今の特徴や性格をもって、社会福祉士の素質がないなんて考えなくて良いですよ。その理由となるお話をしますね。

自分の特性に気づけているので、すでに自己覚知をスタートできている

支援は、ご自身について自覚をもつことから始まります。

その意味で、ご自身に「視野が狭くてこれだと思うことにとびつく傾向がある」と思われることは、なんら問題無い、むしろ、自己覚知を進めておられると言え、プラスなことです。

これからもその調子で自己分析し、対処を考え、実行していくと、よい支援者にステップアップしていけるはずです。自己覚知については、こちらの記事もご参考してみてくださいね。

自覚できれば、対処ができます。自覚することが始まりです。

支援者として気をつけると良いのは、探究心を持ち続けること

『視野が狭くてこれだと思うことに飛びついてしまう』というのは、行動力や決断力につながる強みとなるでしょう。

しかしお気づきのように、弱みでもあります。

全ての能力や素質は、強みと弱みの表裏一体です

例えば、同じようにひきこもりの状況にある人がいたとしても、質問者さんの背景とは少しずつ違うことがあります。

ひきこもりという状況になる背景には、家庭環境、虐待、精神疾患や発達障害、挫折や失敗体験、いじめ、価値観などが考えられますし、要因は1つではないことが多いです。

また、すでに感じておられるように、質問者さんのように家族の助けが得られる人もいれば、残念ながら助けを得られない人もいます。家族こそが要因という場合もあるでしょう。

わたしも気をつけていることですが、危険なのは、自分との共通点を感じた時に、自分と同じだと同一視してしまうこと、わかった気になってしまうことです。

それは、見立てを間違って、支援を間違うことになります。

相談している方にしてみても、「私という個人を見てもらえてない」と感じるかもしれません。

例えば、質問者さんも「ひきこもり」としてレッテルを貼られて、先入観をもたれたり、決めつけられたりすることは、違和感を感じられると思います。

共感をベースとした一般的な会話では、

「昨日こんなことがあって、めっちゃムカついたのよ〜!」
「わかる!私もこういうことがあって…」

という感じの会話はよくあると思います。

日常会話はこんな感じでも良いのですが、相談支援では安易に「あなたの苦しみはわかる」という言葉を使うのは避けたいですね。

深い悲しみにある人や、このような苦しみは人とは違うと感じている人にとって、「わかる」と言われることは、「何がわかるの?」「わかった気にならないで」と感じられてしまう可能性があります。

社会福祉士をめざす人は、自分の使う言葉や言い回しに敏感になっておくと、上達できます。言葉を使うプロみたいな仕事ですから、少しずつ鍛えていきましょうね。

だから、相手(物事)に対して、まだ知らないことがあるという前提を持ち続けること。相手への探究心を持ち続けることを心がけていただくと良いのではないでしょうか。

そうすると視野が広くなりやすいです。「まだわかっていないことがあるかもしれない」と気持ちにセーブがききやすくなります。

質問者さんにひきこもり体験があることは、まさにその状況にある人と相談支援関係をつくるための絶対的な強みです。

近しい波長によって、「この人になら相談できる」と思ってもらいやすいことも多いと思います。

ですから、これに加えて「私とは違う他者である」という点も冷静に意識し続けることができれば、質問者さんの体験を活かした、より視野の広い支援ができるはずです。

すでに講演会などにご参加されているようですし、ひきこもり課題の奥深さと、要因の多様さはご存知かもしれませんが、

今後も色んな書籍で知識を吸収されると、視野が広くなって、より良い支援者になれると思います。

寄り添うことについて

寄り添う支援は、難しいことですね。

相手に大きな課題や継続的な課題、苦しみがあるものの、支援者として具体的な解決策をすぐに提示できるわけでもない。

それでも見放さず、課題や苦しみを分かち、共に悩んだり考えたり前に進んでいこうとする支援。

そうしたことを、支援現場では「寄り添う支援」と表現するかなと思います。

私は、寄り添うという点で大切なのは「相手はいまどんな世界にいるのか」と想像して、その世界に入ってみることだと思っています。

「この人には世の中がどう見えているんだろう?」と、関わりながら知っていくことです。

そして、その世界に対して謙虚な姿勢で関わることだと思います。

「世の中、やらなきゃやられる」と言う人がいれば、「あなたはそう思うのね」と、まずは受け止め、理解につとめることが大切だと思います。

世界観は人それぞれ違います。世の中を危険と感じている人もいれば、安全と感じている人もいます。その捉え方に善も悪もありません。相手がそう感じている事実が大切なのでうす。

物事の捉え方、価値基準、こだわりなどは、人によって千差万別です。

「相手はどんな世界の中にいるのだろう?」と、関心をもって言葉をかけたり、謙虚に関わり続けること、

すると、相手は寄りそってもらえていると感じやすくなると思いますし、質問者さんもより良い支援ができるのではと思います。

この点についても大切なのは自己覚知です。「まだ相手について、私は知らないことがある」という前提を持ち続けていれば大丈夫です。

ご自身の今の特徴や性格をもって、社会福祉士の素質がないなんて考えなくて良いですよ。

将来の働き方について

引きこもり支援にご関心はおありのようですが、迷ってもおられるのでしょうか。

第一希望がひきこもり支援であれば、ストレートにめざすことをオススメします。その他、思うことをお話しますね。

なお、ひきこもりと精神疾患は関連しやすいので、精神保健福祉士資格もあると採用で有利な可能性があります。精神保健福祉士のとり方はこちらをご参考くださいね。

ひとまず社会福祉士を取れば、精神保健福祉士は追加でめざしやすいです。どちらを先に取るかで迷ったら、今のまま社会福祉士をめざしてくださいね。

やりたいと思わない分野でムリに働く必要は無い ストレートに目指すのがおすすめ

確かに様々な福祉現場の経験があることは、強みになります。

例えば精神疾患のある引きこもりの方を支援する時、精神科病院やクリニック、医療機関で働いた経験があれば、ノウハウを活かせます。

逆も然りです。

ただし、いくらメリットがあるとはいえ、やりたい分野があるなら、ムリに他分野を経由する必要はないと思います。私ならやりません。

ちなみに私が2回転職して経験を活かしながら働いている理由ですが、始めからそうしたプランをもっていたわけではありません。

恥ずかしい話ですが、その職場につくごとに「定年までここで働くぞ!」などと意気込んでいたものです。

私が比較的さまざまな分野を経験しているのは、結果的にそうなっただけなのです。こうした私の体験にご興味ありましたら、こちらもご参考くださいね。

社会福祉士や精神保健福祉士、ひきこもり支援などは、ノウハウを次の福祉仕事にももちこしやすい強みがあるでしょう。

でも、質問者さんに第一希望があるなら、第一希望の仕事をストレートにめざしてはいかがでしょうか

それがひきこもり支援に関する仕事なら、やってみることをおすすめします。

やりたい時にその仕事をやれるかはわかりません。人生どうなるかわかりませんし、やりたい時にその仕事の募集があるかもわかりません。

もし、第一希望がわからなくて悩んでおられるようでしたら、おすすめは、ボランティアや見学、体験、なんでも良いので実際に体感してみることです。

百聞は一見にしかず、本当にその通りなのです。

行政の採用試験を受けることについて

行政であれば、引きこもり支援として精神保健福祉センターがその業務を担っていたりしますね。市町村でもさまざまな窓口がひきこもり支援の窓口となっています。

行政でひきこもり支援をするチャンスはたくさんあります。

人それぞれの価値観によりますが、収入も求めたいお気持ちがあるなら、行政で働く、行政をめざすことは考えてみてくださいね。

私はブログで口酸っぱく書いているのですが、民間か行政かで待遇には大きな差があります。これは私が実際に体験してきていることでもあります。

長く働いたり、介護や結婚、出産など、ライフステージがかわるとき、お金がないと私たちの人生の選択肢を狭めてしまいがちです。

もちろん、お金のことだけでなく、行政には行政にしかできない仕事があります。苦労もやりがいもあるでしょうから、検討してみてくださいね。

ちなみに、就職は巡り合わせですから、第一希望と違う就職先になることもあると思います。私もそうでした。

ご年齢にもよりますが、社会福祉士や精神保健福祉士は現場経験さえあれば年齢制限が緩いです。

そうした意味で、例えば、ひきこもりに関連したNPO等で働いて、頃合いをみてひきこもり支援のできる行政試験を受ける(受け続ける)というのも、選択肢でしょう。ひきこもり支援の経験値があることで、試験においてアドバンテージになるはずです。

仕事に求めているものは何かを知る

質問者さんにとって、ひきこもり支援は、他の分野には注げない強烈な情熱がわく分野となるかもしれません。

ご興味があるとおっしゃる就労支援や教育も、ひきこもり支援に関連深いですね。ご関心があるようでしたら、その思いは何かと深く分析してみることは意義があります。

質問者さんが『仕事に求めているものは何か?』と考えてみることでもあります。

社会福祉士にはやりがいがありますが、しんどいことや辛いことも必ずあります。そうした時期が続くこともあるはずです。

仕事を続けるのが辛い時期、「社会福祉士に私は向いているのか?」と悩んだり、疑問に思ったり、転職を考えることもあるかもしれません。私にはありました。

乗り越え方は人それぞれですが、私の場合は「こういう人を心から支援したい」という思いや、仕事を通して得られるつながり等を糧に、やってこられたと思います。

支援したい人を支援できているからこそ、辛い時期を乗り越えられたと思います。

そうして、こうしたブログで日々書くくらいに、この仕事を好きになれました。

ですから、今、質問者さんが仕事にもとめているものを深く分析し、理解しておくことは、これからの質問者さんの職業人生を支えることになるはずです。

例えば児童福祉の分野では、「子どもが好き」と思って働いてみた(実習を受けてみた)けれど、実際に好きだったのは「好きなのは、素直でかわいい子どもだけだった」という方もいます。

それは悪いことではありません。支援者と言えど、誰しもそうしたものなのです。嫌いな人はいるし、自分勝手な動機があったりします。私もそうです。

こうした自分自身の気づきは、実際に体験したり働き続ける中で、ようやくわかることもあります。今の時点では、いくら考えてもわからないかもしれません。

ですからおすすめは、(繰り返しになりますが)ひきこもり支援に関連した職場に、ボランティアや見学、体験、なんでも良いので実際にやってみること、行ってみることです。

そうすれば、仕事のアンマッチを防げたり、質問者さんがもとめていることをより明確にできると思います。

辛いこともしんどいこともあるのが社会福祉士ですので、しっかりと吟味して決定することが、質問者さんの胆力ある職業人生につながるはずです。

今後を応援しております!

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