
児童福祉司になりたい。でも、志望理由をどう言えばいいのかな?
採用試験や面接を前にして、そんな悩みを抱えている方もいると思います。
この記事を書いている私は、児童相談所で児童福祉司として働いています。
ただ、最初に正直なことを言います。
私は「児童福祉司になりたい」と思って、児童福祉司になった人間ではありません。
福祉職の公務員として採用され、その異動先が児童相談所だった。
だから、子どもの頃から児童福祉司を目指していた人とは、少し立場が違います。
それでも、私の職歴の中で最も長い現場は児童相談所です。
そう言えるくらいには、児童福祉司として働いてきました。
だからこそ見えてきたことがあります。
この記事では、児童福祉司になりたい理由をどう考えればいいのか、私なりの考えを書いてみます。
児童福祉司になりたい理由に「正解」はありません
結論から言います。
答えは、あなたの中にしかありません。
ネットで検索すると、
- 子どもを救いたい
- 社会に貢献したい
- 福祉に興味がある
- 虐待をなくしたい
そんな例文はいくらでも見つかります。
でも、例文をそのまま借りても、あまり意味はない。
むしろ、やめたほうが良いと思っています。
理由は単純です。
あなた自身の言葉ではないからです。
外から持ってきた言葉には、どうしても温度がありません。
あなたの声に、熱量が乗らないのです。
教科書を読んでいるような言葉になります。
面接官は毎年たくさんの志望者を見ています。
だから、借り物の言葉かどうかは意外と伝わります。

まずは「汚くてもいいから本音」を出してみる
私は、まずこれをおすすめします。
まとまっていなくていいので、自分の本音を書き出してみること。
箇条書きでも十分です。
例えば、
- 子どもと関わる仕事がしたい
- 虐待のニュースを見て気になった
- 児童相談所なら大きな役割を担えると思った
- 安定した公務員として働きたい
- 一時保護などの仕事に興味がある
- 社会福祉士の資格を活かしたい
理由は何でも構いません。
きれいにまとめる必要もありません。
まとめるのは最後です。
最近なら生成AIを使って整理してもいいでしょう。
でも、その前に必要なのは、あなた自身の材料です。
材料がなければ、AIも料理はできません。
まずは、自分の心の中にあるものを全部出してみてください。
採用する側なら、どんな理由に納得するか
少し視点を変えてみます。
もし自分が採用担当だったら、どんな人を採りたいでしょうか。
私は、「完璧な理由」よりも、「その人らしい理由」を話せる人 に魅力を感じます。
もちろん、不正解に近いものはあります。
例えば、
児童福祉司は倍率が低そうだからです。
公務員なので安定していると思いました。
そういう理由だけ を正直に話されたら、やはり採用は難しいでしょう。
思っていてもいいんです。
でも、児童福祉司は一人で現場に出て判断する仕事です。
家庭訪問もあります。
学校との調整もあります。
警察や病院との連携もあります。
そんな仕事で、「思ったことを全部そのまま口にしてしまう人」という印象を持たれると、不安になります。
本音と建前を使い分けるというより、相手に伝える言葉を選べる人かどうか。
ここは見られていると思います。

「子どもが好きだから」は悪くない。でも、それだけでは少し心配です
ネット上でよく見る志望理由があります。

子どもが好きだからです。
もちろん、それ自体は悪いことではありません。
ただ、もし私が面接官なら、一つ質問したくなります。
児童福祉司は、子どもと関わる時間よりも、大人と関わる時間の方が多い仕事ですが、大丈夫ですか?
児童福祉司の仕事は、
- 保護者との面接
- 学校との調整
- 警察との連携
- 病院との協議
- 内部調整
- 会議や記録作成
こうした業務が非常に多くあります。
実際には、子どもと遊ぶ仕事ではありません。
子どもの最善の利益を実現するために、大人と調整する仕事。
そう言った方が近いかもしれません。
だから、「子どもが好きです。」だけでは少し弱い。
その一歩先まで考えていることを伝えられると、ぐっと説得力が増します。
理想どおりにいかない時、どう向き合いますか
もし私が面接官なら、もう一つ聞きたいことがあります。
それは、
子どもの最善を目指しても、その実現が難しいことがあります。
そんな時、あなたはどう向き合いますか?
という質問です。
児童福祉司は、努力すれば必ず良い結果になる仕事ではありません。
家庭復帰ができないこともあります。
虐待の再発を止められないこともあります。
保護者に理解してもらえないこともあります。
子どもに嫌われることもあります。
それでも、次の方法を考え、また支援を続けていく。
そういう仕事です。
だから私は、志望理由だけではなく、「苦しい場面でどう考える人なのか」も、とても大切だと思っています。
児童福祉司になりたくて入った人は、実はそこまで多くありません
これは私自身が現場で感じてきたことです。
正直に言うと、「絶対に児童福祉司になりたくて入りました。」という人は、それほど多くありません。
もちろんいます。
でも、多くはありません。
私のように、福祉職として採用され、異動で児童相談所に来た人もいます。
だから、
今、「児童福祉司になりたい理由」を検索しているあなたは、それだけで一つの強みを持っています。
最初から児童福祉司を目指している。
それは案外、珍しいことです。
だからこそ、児童福祉司になりたい思いは大事にしてほしいと思います。

家庭環境が志望理由になる人もいます
ネットでは、
- 虐待を受けて育った
- 児童相談所に助けられた
- 福祉に支えられた経験がある
そんな経験を書いている人もいます。
私は、それ自体は悪いことではないと思っています。
むしろ、児童福祉司として伸びる人には、何らかの傷や、生きづらさを経験してきた人が少なくない。
そんな印象があります。
これは統計ではありません。
私が現場で働いてきた中での、個人的な実感です。
私が尊敬してきた先輩方も、話を聞くと、
家庭環境が苦しかったり、生きづらさを抱えていたり、決して順風満帆ではありませんでした。
もちろん、自慢する話ではありません。だから普段は語りません。
でも、ふとした時に聞くと、「ああ、この人もそうだったんだ。」と思うことがあります。
何かしら、自分自身の傷を知っている人。
そういう人は、人の苦しさにも自然と目が向くことがあります。
だから、家庭環境が志望理由になること自体は、私は否定しません。
ただ、生い立ちを前面に出しすぎるのはおすすめしません
一方で、少し心配になるケースもあります。
それは、自分の過去だけが志望理由の中心になってしまうこと です。
もちろん、虐待を受けた経験や、不適切な養育の経験は、その人の人生に大きな影響を与えます。
それを否定するつもりは全くありません。
ですが、児童福祉司という仕事では、その経験だけでは続けていくことは難しいと思っています。
なぜなら、この仕事では日々、似たような家庭に出会うからです。
保護者の言葉に、自分の親を重ねてしまう。
子どもの姿に、昔の自分を重ねてしまう。
そうなると、冷静な判断が難しくなることがあります。
支援者として必要なのは、共感だけではありません。
一歩引いて状況を見る力も必要です。
だから私は、生い立ちを話すのであれば、
「その経験から何を学び、どう考えるようになったのか」
そこまで語れることが大切だと思います。
傷があることよりも、その傷とどう向き合ってきたか
私は、児童福祉司に必要なのは、苦労した経験そのものではないと思っています。
大切なのは、その経験を、自分なりに整理し、活かせているかどうかです。
苦しかった。
つらかった。
それだけで終わるのではなく、
「あの経験があったから、こう考えるようになった。」
「だから今はこういう支援をしたい。」
そこまで言葉にできる人は強いと思います。
逆に言えば、過去に振り回され続けている状態では、児童福祉司になると本当に苦しくなります。
児童福祉司は、毎日さまざまな家庭に出会います。
自分の感情をそのまま持ち込んでしまうと、判断を誤る危険があります。
だからこそ、自己理解や自己覚知は、この仕事ではとても大切です。
自己覚知は採用後も、一生続く課題だと思っています。

私が伝えたいのは「立派な理由」を作ることではありません
ここまで色々書いてきました。
でも、私が一番伝えたいことは、とてもシンプルです。
立派な物語を作ろうとしなくていい。
誰かの志望動機を真似しなくていい。
ネットで見つけた「正解」を探さなくていい。
まずは、
「私は、なぜ児童福祉司になりたいんだろう。」
ここを、自分自身に問いかけてみてください。
答えは、一つではありません。
途中で変わってもいい。
最初はまとまっていなくてもいい。
その本音を整理していく中で、あなただけの志望理由になっていくはずです。
その志望理由には、あなたの体温・熱量が乗ります。
そして、その言葉こそが”人に伝わる志望理由”だと思います。
まとめ
児童福祉司になりたい理由に、模範解答はありません。
だからこそ、私は外から答えを探し過ぎないでほしいと思っています。
もちろん、この記事も一つの考え方に過ぎません。
私自身、「児童福祉司になりたい」と思ってこの仕事に就いた人間ではありませんでした。
だから今、児童福祉司になりたいと真剣に考えているあなたは、それだけでも一つの強みを持っています。
きれいな文章である必要はありません。不格好でもいい。
あなた自身の言葉で語られた志望理由の方が、人の心をずっと動かすはずです。
児童福祉司を目指す理由は、採用されるためだけのものではありません。
苦しい時に、自分が立ち返る場所にもなります。
だからこそ、誰かの答えではなく、自分の答えを探してほしい。
この記事が、志望動機を書く前に、自分自身と向き合うきっかけになればうれしく思います。
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他にも、このサイトでは児童福祉司のリアルがわかる記事をたくさん書いています。
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