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児童福祉

ヒットポイントを削りながら支援する|児童相談所ケースワーカーの傷つきと現実

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児童相談所で働いていると、
「強くあらねばやっていけない」と思う瞬間があります。

感情を揺らしていては、心がもたない。
動じてはいけない。
専門職として、冷静でなければならない。
「専門性の高い児童相談所」への期待や、ときに向けられる皮肉に応えるために、弱みも見せられない。

そう思えば思うほど、
傷つく自分をどこかで否定してしまう。直視できない。認められない。
そんなことがあるかもしれません。

あるいは、気づいていても言葉にできず、助け合うことも難しく、ひとりで抱え込みやすくなってしまうこともあるかもしれません。

この記事では、
児童相談所のケースワーカーが「傷つきながら支援している」という現実について、率直に書いてみたいと思います。

もし今、少し消耗している方がいるなら。
あるいは、自分は弱いのではないかと感じている方がいるなら。

それは、あなただけではないかもしれません。

筆者:ぱーぱす(社会福祉士・精神保健福祉士)
自治体で働くソーシャルワーカー。児童相談所などで十数年の実務経験あり。
このブログでは、福祉を学ぶ人・働く人が明日から使える視点を持ち帰れるよう、現場の知見や考察をもとに発信しています。
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現場で傷つかないケースワーカーはいるのか

児童相談所で児童福祉司として働いていると、傷つくことは、もしかしたら避けられないのかもしれません。

おそらくこの記事を読んでくださっている方は、何かしら「傷つく自分」について思うところがあるのではないでしょうか。

実際に傷ついた経験があったり、今まさに傷ついていたり、そうした状況を想定している方が多いのではないかと思います。

先に断っておきますが、端から見ていて
「本当に傷ついていないのだろうか?」
「あの人は狂人のようなメンタルを持っているのだろうか?」
と感じるケースワーカーがいるのも、率直な感覚としてあります。

正直、私のような豆腐メンタルの人間からすると、そのような人はとても羨ましく見えます。

一体どういう理解や認識の構造になっているのだろうか?
自分とは根底から違うのではないか?
そんなことを考えることもあります。

しかし、どうでしょうか。
多くのケースワーカーは、傷つきながら支援しているのではないでしょうか。

支援や介入の判断、決断を、傷つきながら行っているのではないでしょうか。

その傷つきは、怒りとなって現れることもあるでしょう。
泣きとなって現れることもあるでしょう。
言葉にされなくても、身体症状として現れるケースワーカーもいるのではないかと思います。

たとえば――

  • 激怒しやすくなった
  • 食べ過ぎた
  • 逆に痩せすぎた
  • 食欲がなくなった
  • 寝不足になった
  • 体に発疹が出た
  • 顔に症状が出た
  • 髪の毛が抜けた
  • 顎関節症になった
  • 歯ぎしりが止まらない

身体化症状の現れ方は、人によって異なります。
千差万別とまでは言わないにしても、実にさまざまです。

それを「ストレス」と呼ぶのか、「傷つき」と呼ぶのか。
言葉の選び方は人それぞれでしょう。
しかし、そこには確かに傷つきがあると、私は思います。

その傷つきは、自覚的な人もいれば、自覚的でない人もいます。
言語化できる人もいれば、うまく説明できない人もいます。
「傷ついていますね」と言われて、初めて自分が傷ついていたと気づくこともあるかもしれません。

かくいう私自身も、自分の傷つきにどれほど自覚的だったかと問われれば、あまりそうではなかったように思います。

「傷つき」という表現がしっくりこなかったのかもしれません。
ただただ不快であったり、怒りであったり、納得がいかなかったり、悲しかったり、辛かったり。
そういう表現の方が近かったように思います。

しかし、もう少しざっくり言えば、それはやはり傷つきだったのだと思います。

子どものために選んだはずの決断が、心を削るとき

長く関わってきたケース。
あれやこれやと丁寧に対応してきたケース。
目指していた方向性は、子どもの利益だった。
そのために様々な対応を重ねてきた。

それでも、当初の方向性とは違う決断をせざるを得ない状況になることがあります。
そして、その決断を自分がしなければならない。

そうしたケースがありました。

そのとき私は、怒り、悲しみ、失望、さまざまな感情を同時に抱えていました。
周囲から見ても明らかだったのかもしれません。
実際、それを見たある人が、私に言葉をかけてくれました。

「傷つきながら支援しているんですね」と。

ヒットポイントを削りながら働くという感覚

昔、私はゲームが好きでした。
スーパーファミコンのゲームで、必殺技を出すと自分のHP(ヒットポイント)が削られる、というものがあった記憶があります。

命を削りながらコマンドを入力する。
その分、威力は大きい。
しかし、必ず代償がある。

なんだか、児童相談所のケースワーカーという仕事は、それに似ているように感じることがあります。

自分のヒットポイントを削りながら、介入・支援・判断・決断をしている感覚。

もちろん、傷は時間とともに回復していく力を、人は持っています。
しかし、回復力には個人差があります。
心を鍛えることは簡単ではありません。
消えない傷もあります。

体の傷は癒えても、心の傷は残る――そんな言葉もありますが、それは時に深く刻まれ、自身の人生にまで影響することもあるのではないでしょうか。

私もこうして客観的に、理論的に整然と話している一方で、この仕事を続ける中で、自分が随分と消耗してきたことを否定はできません。

私自身も、ヒットポイントを削りながら働いている一人です。

それでも続けるために必要なこと

だからこそ、自分自身の広い意味でのメンタルケア、長く続けるための工夫は欠かせないと思っています。

この仕事は、誰かがやらなければならない仕事です。
全国で対応に当たっているケースワーカーの方々、児童福祉に携わる方々には、心から敬意を表したいと思います。

そして同時に、自分にも言いたい。

お疲れさまです。

せめて、自分だけでも。
せめて、あなた自身だけでも。

自分をねぎらいながら、続けていきましょう。

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この記事を書いた人
ぱーぱす

自治体で働く社会福祉士・精神保健福祉士|現場経験15年、地域・医療・行政の3つの立場を経験。ブログ歴6年、記事約400本。福祉職のキャリアや生活に役立つ実践的な情報を発信しています。

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