PR

児童福祉司は何の時間が一番長い?児相経験者がリアルな時間配分を語る

zidouhukusisi-real-zikannhaibunn

児童福祉司って、どんな仕事をしているのか。
そう聞かれたとき、多くの人は「子どもや保護者と面接している時間が長いのでは」と思うかもしれません。

しかし、実際に働いてみると、意外なところに時間が吸い取られている
これは、私が児童相談所で働く中で感じてきたリアルです。

本記事では、児童福祉司の1日について、“どこに時間が消えていくのか”を、私自身の経験から率直に語ります。

  • 移動
  • 記録
  • 連絡調整
  • 会議
  • 面接
  • 電話対応

これらのバランスは、実にアンバランス。
専門職として心血を注ぐ時間が、いったいどれくらいあるのか。

児童福祉司を目指している方は「そうなんだ」と知り
現場で働く方には「そう、これなんだよ」と共感してもらえたら嬉しいです。

筆者:ぱーぱす(社会福祉士・精神保健福祉士)
自治体で働くソーシャルワーカー。児童相談所などで十数年の実務経験あり。
このブログでは、福祉を学ぶ人・働く人が明日から使える視点を持ち帰れるよう、現場の知見や考察をもとに発信しています。
スポンサーリンク

結論:最も長いのは「移動」と「記録」。クライエントと直接関わる時間は実は少ない

児童福祉司の仕事の中で、私が一番時間を使っていると感じるのは、移動と記録です。
その次に多いのが、連絡調整や電話対応
そして最後に、ようやく当事者への支援(面接・家庭訪問)が来る。

時間が多いランキング

  1. 移動と記録
  2. 連絡調整、電話対応
  3. 面接などの直接対応

この順番です。

もちろん担当件数や地域事情で変わります。
私の働く児童相談所の地域特性はあるでしょう。

とは言え、周囲の児童福祉司に聞くと、同じように感じている人は多い。
そのため、これは“児童福祉司の全国実態にも近い”と考えています。

移動時間の長さ:広域を担当すると顕著

児童相談所は、広いエリアを担当することが多い。
そうなると、移動だけで1日の大きな割合を占めることがあります。

  • 朝イチで家庭訪問
  • そのまま学校へ調整に向かう
  • 午後に再訪問
  • 夕方から会議へ移動

こんな1日だと、移動だけで2〜3時間なんて普通です。
自転車、車、電車、いずれにしても時間がかかりすぎる。

正直「どう工夫しても限界がある」というのがリアルです。

パソコンで記録を書く時間:ここも長い

児童福祉司は、相談記録を残すことから逃げられません
まだまだ自動化が進んでいない現場も多く、手入力が基本。

記録は、単なる“日記”ではなく、

  • 目的
  • 事実
  • 対応
  • 見立て
  • 今後の計画

などを書く必要があったりします。

私が医療機関で働いていた時の記録の書き方はSOAP形式が必須で、これも時間がかかりました。

優先順位を考えると記録は後回しになりやすい
でも、後回しにすると記憶が薄れる。

短く書けば良いかというと、子どもの人生がかかった情報なので、割り切れない。
このジレンマはずっとつきまといます。

電話対応・連絡調整:時間が読めず、意外に伸びやすい

電話対応や他機関との連絡も、予想以上に時間を奪います

面接でも連絡でも、
急いでいる時ほど“なぜか長引く”ことがある。

私の感覚では、理由はこう。

こちらの「急いでる空気」が相手に伝わる。
→ 相手が「ちゃんと伝わっていない」「もっと話さないと伝わらない」と感じる
→ 結果的に話が伸びる

逆に、集中してしっかり聞くと、
結果的に短く終わる。

これは”あるある話”じゃないでしょうか。

面接時間:一番心を使うが、一番長いわけではない

私が最も心血を注ぐ”ライブな時間”は、やはり当事者と直に関わっている時間です。
さまざまな連絡、会議などの調整も、この時に臨む下準備だったりします。

しかし、面接は“量”で言えば決して多くありません。

面接も長くすれば良いものではなく、
お互いの集中力や継続性を考えると、大人であれば1時間程度が目安です。

そして、次のような工夫をすることもあります。

  • 最初に「今日は◯時まで」と時間を明示
  • 相手が安心して話せる空気をつくる
  • 第三者同席は慎重に判断する(内容が変わるため)

「はしご訪問」は効率は良いが、難しさもある

訪問を連続で組む方法は、たしかに移動時間の効率化につながります。
しかし、これにも難点がある。

  Aさんの訪問が伸びる
→ Bさんの時間に食い込む
→ 強引に切り上げようとする
→ Aさん、Bさんからの信頼を損なう

だから私は、訪問の間に“余白時間”を多めに入れるようにしています。
ただしこの余白が長すぎると、今度は仕事が進まない。

この調整が本当に難しいです。

音声入力・自動文字起こしにも限界がある

最近は記録の仮入力を音声で行う方法も出てきていますが、
結局は要約と修正の手間が残るので、どこまで効率化できるかは課題がありそうです。

ただ、プライバシーさえ確保できれば、
私は「音声でざっくりメモを残す」のは有効だと思っています。

100%を目指すと時間がいくらあっても足りない

記録も資料作成も、「完璧」を目指すと終わりがありません。
仕事は締め切りいっぱいまで伸びてしまうパーキンソンの法則)。

児童福祉司は特に、

  • 緊急対応
  • 臨機応変な判断
  • 突発の訪問

これが日常茶飯事。
だからこそ、“100%にしない意識”が必要だと感じています。
全身全霊で走り続けると、すぐに燃え尽きてしまいます。

まとめ:児童福祉司の時間の大半は「見えにくい仕事」

児童福祉司の仕事は、面接など直に関わる時間だけでは成り立っていません。
移動、記録、連絡調整という“見えにくい時間”がとても多い。

しかし、この地味な積み重ねが、子どもや家庭への支援の土台。
これも専門職としての大切な職務です。

雑用的に見える業務も必ずあります。
児童福祉司をはじめ、社会福祉士や精神保健福祉士、ソーシャルワーカーは、
誰がやっても良い仕事を相当担うことがあります。

大事なのは、それらをどう支援の方向性に結びつけるか。
工夫次第で、移動・記録・連絡調整などの時間も、
支援の質を底上げする重要な時間になります。

関連記事

児童福祉司になるにはどうしたらいいのか?
すでに、あなたは児童福祉司になるためのステップを進めている可能性があります。
必要な資格や手続きについて、こちらの記事で確認できます。

児童福祉司の一日の流れを知りたい方へ。
各自治体が公式サイトで紹介していますが、正直なところ”お化粧しすぎでは”というのが私の感想です。
そこで、私がケースワーカーとして経験してきた虐待対応のリアルな一日をまとめた記事がこちらです。

「児童福祉司に向いていない?」と思う人へ。
悩む人はかなり多いと思いますし、私自身も長い間そうでした。
その経験から言えること、続けるか迷っている方へのメッセージをこちらの記事でまとめています。

コメント