社会福祉士・精神保健福祉士の仕事をしていると、支援記録を書く場面はかなり多いです。
- 面接記録
- 電話記録
- 訪問記録
- 関係機関とのやりとり
- ケース会議の記録
たぶん、相談支援の仕事をしている人なら、かなりの時間を記録に使っていると思います。
【支援記録の書き方|結論の早見表】
| ポイント | 書き方の目安 | 理由 |
| 5W1Hを書く | いつ・どこで・誰が・誰に・何を・どうしたかを書く | あとから読んだ人が経過を正しく追えるようにするため |
| 見立てと事実を分ける | 支援者の考えは、事実とは別に分かるように書く | 思い込みや誤解で支援が進むのを防ぐため |
| 大事な言葉はそのまま残す | 本人や家族の重要な発言は、できるだけ逐語で残す | 言葉のニュアンスが、今後の支援に関わることがあるため |
| 略語を避ける | 初回は正式名称で書き、必要なら「以下〇〇」とする | 分野や読む人によって意味が変わることがあるため |
| 早めに書く | できれば当日、遅くても数日以内に記録する | 記憶の鮮度が落ちると、記録の質も落ちるため |
| 長く書きすぎない | 全部ではなく、支援に必要なやりとりを中心に残す | 長すぎる記録は、あとから読みにくくなるため |
ただ、最初に言っておきたいのは、支援記録の書き方に100%の正解はないということです。
職場によって、かなり違います。
SOAP形式で書くように言われる職場もあります。
そこまで細かく決まっていない職場もあります。
記録の書き方に厳しい職場もあれば、正直あまりとやかく言われない職場もあると思います。
なので、この記事で書くことが、すべての職場にそのまま当てはまるとは思っていません。
ただ、それでも大事なところはあります。
記録の形式が違っても、分野が違っても、そこはあまり変わらないと思っています。
それは、何が事実で、何が事実ではないのかを分けて書くということです。
支援記録で一番大事なのは「事実」を残すこと
相談支援の仕事は、情報をもとに組み立てていく仕事です。
その情報があいまいだと、支援の方向もあいまいになります。
とくに大事なのは、一次情報です。
- 誰かから聞いた話なのか
- 本人から直接聞いた話なのか
- 自分が実際に見たことなのか
ここを分けることです。
たとえば、誰かから聞いた情報を、まるで事実のように記録してしまう。
これは、かなり危ないです。
その情報が本当かどうかは、まだ分からないからです。
でも記録に残ると、次に読む人はそれを「事実」として読んでしまうことがあります。
そして、そのまま支援が進んでしまう。
そうやって、誤った支援につながることがあります。
だから、記録を書くときは、まず以下を分ける必要があります。
記録で分けたいこと
- 自分が直接見たこと
- 本人が話したこと
- 家族が話したこと
- 関係機関から聞いたこと
- 支援者としての見立てや考え
- まだ確認できていない情報
全部を同じ温度や文章で書かない。
これが大切です。
5W1Hがない記録は、あとから読むと分かりにくい
記録を書くときは、基本的に5W1Hを入れたほうがいいです。
つまり、
- いつ
- どこで
- 誰が
- 誰に
- 何を
- どのように
ということです。
日本語は、主語がなくても文章として成り立ってしまいます。
だから、書いている本人は分かっているつもりでも、あとから読む人には分からない記録になりやすいです。
「話した」と書いてある。
でも、誰が誰に話したのか分からない。
「確認した」と書いてある。
でも、誰に何を確認したのか分からない。
「了承した」と書いてある。
でも、誰が何に了承したのか分からない。
こうした記録は、現場では結構あります。
書いた本人は分かる。
でも、他の人が読むと分からない。
そして時間が経つと、書いた本人も分からなくなる。
これが怖いところです。
記録は、自分だけのメモではありません。
あとから他の人が読むものです。
場合によっては、担当者が変わったあとも読まれます。
情報公開請求の対象になることもあります。
だから、少しくどいくらいでも、5W1Hは入れたほうがいいと思っています。
考察や見立ては書いてもいいが、事実とは分ける
支援記録に考察を書くべきかどうか。
これは、職場によると思います。
考察を書くことで、その人がどう考えて支援しているのかは分かりやすくなります。
支援の方向性も共有しやすくなる。
なので、考察を書いたほうがいいという考えも分かります。
ただ、私は少し慎重です。
なぜかというと、見立ては外れることがあるからです。
支援者の見立ては、あくまでその時点での見立てです。
あとから新しい情報が出てくると、意味が変わることがあります。
そのときの判断が、あとから考えると違っていたと分かることもあります。
だから、見立てや考察を書くなら、それが事実なのか、支援者の考えなのかが分かるようにしておく必要があります。
たとえば、
「本人は反省していない」
と書くよりも、
「本人は『別に悪いことをしたとは思っていない』と話した」
と書いたほうが、事実に近い記録になります。
もちろん、その発言をもとに「反省の言葉は聞かれなかった」と整理することはあります。
でも、まず残したいのは、実際に何があったのかです。
私は、人の記録を読むときに、その人の見立てばかりが書いてある記録は、正直あまり好きではありません。
見立てよりも、何が起きたのかを知りたいです。
その事実をもとに、自分でも考えたい。
少し言い方はきついですが、支援者の主観ばかりの記録は、あとから読む人にとって使いにくいです。
略語は便利だが、伝わらない記録になることがある
記録を書くときに、略語を使うことがあります。
これは、ある程度仕方ないところもあります。
現場では時間がありません。
毎回正式名称を書くのは、たしかに大変です。
ただ、略語には注意が必要です。
その職場では通じるけれど、外部の人には伝わらない言葉があります。
同じ略語でも、分野によって意味が違うこともあります。
たとえば「生保」と書いたとき。
生活保護をイメージする人もいます。
生命保険をイメージする人もいます。
「特養」と書いたとき。
高齢分野では、特別養護老人ホームをイメージする人が多いと思います。
でも児童福祉の文脈では、特別養子縁組をイメージする人もいます。
こういうことが起きます。
だから、記録では基本的に、略語は避けたほうがいいです。
少なくとも、初めて出す言葉は正式名称で書く。
そのあとに、「以下、〇〇とする」という形を書けば、読みやすさと正確さのバランスは取れます。
略語を使うときの工夫
- 初回は正式名称で書く
- 必要なら「以下、〇〇」と書く
- 分野によって意味が変わる略語は避ける
- 外部の人が読んでも分かるかを意識する
記録は、伝わらないと意味がありません。
ちょっと手間は増えます。
でも、その手間で誤解が減るなら、やる価値はあると思います。
よく使う言葉はユーザー辞書に登録すると楽になる
正式名称を書くのが面倒な場合は、パソコンのユーザー辞書を使うのがおすすめです。
たとえば、「せいほ」と入力して変換すれば「生活保護」と出るようにしておく。
よく使う機関名や、人の名前を登録しておく。
これだけで、かなり楽になります。
支援記録は、量が多いです。
だから、少しでも入力の手間を減らす工夫はしていいと思います。
Windowsのパソコンであれば、画面右下の文字入力のところから、ユーザー辞書に単語登録できます。
職場のパソコン環境によって違いはありますが、使えるならかなり便利です。
大事な言葉は、できるだけそのまま残す
私は、重要なやりとりをしたときは、相手が使った言葉をなるべくそのまま記録に残すようにしています。
いわゆる逐語に近い書き方です。
もちろん、全部を一言一句残すわけではありません。
でも、今後の支援に関わる言葉。
本人の希望に関わる言葉。
重大な決定や方向性に関わる言葉。
そういう言葉は、できるだけそのまま残します。
なぜなら、人は自分が使った言葉を覚えていることがあるからです。
こちらが少し違う言葉に言い換えただけで、

いや、そうじゃないです
となることがあります。
たとえば、感情の言葉でもそうです。
「悲しい」と「つらい」は違います。
「しんどい」と「腹が立つ」も違います。
支援者から見ると似ているように思えても、本人にとっては違うことがあります。
だから、相手が使った言葉には、できるだけ敏感でいたほうがいいと思っています。
それが正しい言葉かどうかではありません。
その人が、その時、その言葉を選んで話した。
そこに意味があると思うからです。
次の面接で、「あの時、こういう言葉で話していましたよね」と触れることがあります。
そのときに、本人が納得することもあります。
逆に、こちらが勝手に言い換えてしまうと、
「そんなこと言いましたっけ」
「わかってくれてない」
となることもあります。
だから、大事なフレーズは、できるだけ正確に残す。
その前後のやりとりも含めて残す。
これは、私がかなり意識しているところです。
記録は長ければいいわけではない
支援記録は、たくさん書けばいいわけではありません。
ここは難しいところですが、
短すぎると、ニュアンスが伝わらない。
でも長すぎると、あとから読む人が何を見ればいいのか分からなくなる。
記録を書く時間も、無限にあるわけではありません。
本来、私たちの仕事の本番は、目の前の人と関わることです。
- 面接をする
- 家庭訪問をする
- 電話で話す
- 関係機関と調整する
そういうライブの場面が、相談支援の本番だと思います。
記録は、その本番をあとから共有できる形に残す作業です。
もちろん大事です。
でも、記録そのものが仕事の中心になりすぎるのも違うと思っています。
100点の記録を目指しすぎると、時間がいくらあっても足りません。
だから、ある程度の割り切りは必要です。
70点でも、80点でもいい。
ただし、外してはいけないところはあります。
最低限、外したくないこと
- 5W1Hがあること
- 事実と見立てが分かれていること
- 大事な発言が残っていること
- 他の人が読んでも経過が分かること
私は、事実となるやりとりがしっかり残っている記録が好きです。
そういう記録は、あとから読む人が助かります。
反対に、支援者の解釈や見立てばかりで、実際のやりとりが分からない記録は使いにくいです。
- 何があったのか
- 誰が何を言ったのか
- どんな反応があったのか
そこが残っている記録は、あとから支援を組み立てやすいです。
「主訴」は便利な言葉だけど、少し注意がいる
相談支援では、「主訴」という言葉を使うことがあります。
ただ、私はこの言葉があまり好きではありません。
もちろん大切な言葉です。
相談者が何に困っているのかを整理する意味では、必要な場面もあります。
ただ、主訴は支援者側が整理したものになりやすいです。
相談者本人が、

私の主訴は〇〇です
と明確に言うことは、ありません。
相談というのは、そもそも整理されていない状態で始まることが多いです。
何に困っているのか分からない。
何を相談したいのかも分からない。
でも、とにかく困っている。
どうしたらいいか分からない。
そういう状態で来ることが多いです。
だから、支援者側が整理する必要があります。
ただし、その整理は支援者の主観でもあります。
つまり、「主訴」と記載された記録は、間違っている可能性もあります。
なので私は、無理に「主訴」として一つにまとめないこともあります。
相談者が話していることを、いくつか並べて残す。
対応を重ねる中で、だんだん整理されてくる。
そうやって、本人も自分の「主訴」に気づいていく。私たちとの共有事項になっていく。
そのほうが自然な場合もあります。
記録は早めに書いたほうがいい
記録の書き方以前に、そもそも記録を書かない人もいます。
いや、正確に言うと、書こうとは思っている。
でも後回しになる。
メモはある。でもデータ化していない。
そうした方は、現場ではけっこういます。
私はこれまでいろいろな人から仕事を引き継いできましたが、1年、2年分の記録がたまっている人もいました。
もっと長い人もいました。
「一体いつ書くんだろう?」と思うこともあります。
ただ、その人にはその人の理由があるのだと思います。
書かないといけないのは分かっている。
でも、今すぐでなくてもいいと思ってしまう。
しんどい面接を思い出すのがつらい。
記録を書くこと自体が、その場面をもう一度思い出す作業になる。
そういう人もいるのだと思います。
私は、比較的すぐに記録を書くタイプです。
以前、「どうしてそんなにすぐ記録を書けるんですか?」と聞かれたことがあります。
書きたくない記録のときはどうしているのか、と。
そのときは、少し答えに困りました。
たぶん、私にとっては優先順位の問題なのだと思います。
記録を書くのは面倒です。
しんどい記録を書くのは、もっと面倒です。
でも、記録を書かないほうが、あとでもっと嫌なことになる。
そう思っているところがあります。
記録がないと、自分も周りも困る
自分が出張や休みで、その場にいないことがあります。
そのときにケースで何か起きることがあります。
記録が残っていれば、他の人がそれを見て対応できます。
でも記録がなければ、何が起きているのか分かりません。
結局、自分に連絡が来る。
自分で対応しないといけなくなる。
これは正直、嫌です。
ちゃんと機関として受けた話は、機関の記録として残す必要があります。
相手からすれば、

〇〇さんに伝えたはずなのに、なぜ共有されていないのですか
となることもあります。
だから、記録は自分を守るためでもあります。
同時に、組織として対応するためでもあります。
記録には鮮度がある
記録は、早く書いたほうがいいです。
理由は単純で、忘れるからです。
面接直後は覚えているつもりでも、日が経つと細かい言葉や順番は抜けます。
自分の中で、記憶が少しずつ加工されることもあります。
私は基本的には、その日か、遅くても数日以内には書きたいと思っています。
以前、1週間くらい空いたことがあります。
そのときは、やっぱりうまく書けませんでした。
「あれ、どういうやりとりだったかな…?」となりました。
記録の質は、時間が経つほど落ちます。
これはもう、仕方ないと思います。
だからこそ、鮮度が高いうちに書くようにしています。
しんどい記録ほど、早く書いて早く手放す
しんどい面接の記録を書くのは、やはりしんどいです。
思い出したくないこともあります。
でも私は、そういう記録ほど早く書きたいと思っています。
理由は、早く忘れたいからです。
もちろん、完全には忘れられません。
でも、記録に書いてしまうことで、少しだけ自分の頭から離れる感じがあります。
「外在化」といいますが、アウトプットすれば、いったん置けるのです。
私にとっては、そのほうが少し楽です。
つまり、メンタルヘルス対策でもあります。
これは人によって違うとは思います。
ただ、しんどい記録を後回しにすると、頭の中に残り続けます。
反芻思考となって、繰り返し思いめぐらせて辛くなるかもしれません。
だから、早く書く。
記録を早く書くのは、支援の質のためでもありますが、自分のメンタルを守るためでもあります。
情報公開請求を意識して記録を書く
支援記録は、あとから情報公開請求の対象になることがあります。
すべてが公開されるとは限りません。
黒塗りになる部分もあります。
職場や制度によって扱いは違います。
ただ、自分が書いた記録が、あとから見られる可能性がある。
これは意識しておいたほうがいいです。
公的な仕事であれば、なおさらです。
記録は、支援のためだけでなく、説明責任のためにも残すものです。
あとから読まれたときに、
「何を根拠にそう判断したのか」
「どんなやりとりがあったのか」
「本人や家族にどう説明したのか」
そういうことが分かる必要があります。
だから、記録は雑に扱わないほうがいい。
これはきれいごとではなく、現場で自分を守る意味でも大事です。
まずは職場で分かりやすい人の記録を真似る
支援記録の書き方で一番現実的なのは、職場の中で分かりやすい記録を書いている人を探すことです。
「あの人の記録は読みやすい」
「あとから経過が追いやすい」
「事実と見立てが分かれている」
そういう人の記録を見つけて、まずは真似てみる。
これが一番早いと思います。
なぜなら、良い記録の基準は職場によって違うからです。
医療機関なら、医学的な情報や数値が重要になると思います。
介護分野なら、身体機能や生活動作が重要になるかもしれません。
児童福祉なら、家庭状況、養育状況、子どもの発言、保護者の反応、関係機関とのやりとりが重要になることがあります。
精神保健福祉なら、症状、生活状況、服薬、支援機関とのつながりなどが大事になると思います。
分野によって、見るポイントは違います。
だから、まずはその職場で求められている記録を知る。
そのうえで、自分の書き方を作っていけばいいと思います。
最初から自分の色を出しすぎなくていい
1年目、2年目のうちから、記録で自分の色を出しすぎる必要はないと思います。
まずは、職場の型を知る。
その職場で何が大事にされているのかを知る。
読みやすい記録を真似る。
それでいいと思います。
自分の色を出すのは、それからでいいです。
3年目、4年目くらいになって、後輩もできてくる。
職場の中で、自分の立ち位置も少し変わってくる。
そのくらいから、自分なりの工夫を出していけばいいと思います。
少し地味ですが、組織で働くならそういう立ち回りも大切です。
支援記録の書き方で大事なこと
ここまでいろいろ書きました。
支援記録の書き方には、いろいろな考え方があります。
職場によっても違います。
分野によっても違います。
でも、時代が変わっても大きく変わらないものはあると思っています。
それは、次の3つです。
支援記録で大事にしたい3つのこと
- 5W1Hを残す
- 事実と見立てを分ける
- できるだけ早く書く
結局、ここだと思います。
- 事実を残す
- 誰が読んでも分かるように書く
- 記憶が新しいうちに書く
- 大事な言葉はできるだけそのまま残す。
そのうえで、
- 略語はなるべく避ける
- 主観ばかりにならないようにする
このあたりを意識するだけでも、記録の質はかなり変わると思います。
記録は、面倒です。時間も取られます。
しんどい面接のあとに記録を書くのは、正直しんどいです。
でも、記録は支援の土台です。
クライアントのためでもあり、組織のためでもあり、自分を守るためでもあります。
だから、完璧を目指さなくていいです。
でも、雑にはしない。
そのくらいの距離感で、支援記録と付き合っていけたらいいのかなと思います。
記録の書き方は、現場でずっとついて回ります。
私が特に大切にしているのは、文章をきれいに書くことよりも、何が起きたのかを、隠さず残すことです。
それは、クライエントの方々に誠実に向き合うことにもつながると思っています。





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