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児童福祉

児相の児童福祉司と児童心理司の違い:現場で感じたズレと連携のコツ5つ

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児童相談所で働いていると、児童福祉司(ケースワーカー)と児童心理司が組んで一つのケースに関わっていく場面があります。

ただ、やっていくうちに時々感じるのが、
「思っていたより、温度差や視点のズレがあるな……」
という現実です。

最初にひとつだけお断りしておくと、
この記事には、私(児童福祉司)の“現場での体験”に基づく独断と偏見が、正直かなり含まれています。

児童心理司の方が読んだ場合、不快に感じる部分があるかもしれません。
そのときは、どうかそっとページを閉じてください…。
無理に読んで嫌な思いをしてほしくはありません。

たぶん、刺さらない人にはまったく刺さらない内容だと思います。
でも、現場で似たようなモヤモヤや違和感を抱えている人には、きっと「わかる…!」と響くはずです。

私はこれまで児童相談所で多くの児童心理司と連携してきましたが、正直に言うと、価値観の違い・得意不得意・仕事のスパンの捉え方によって、うまく噛み合うこともあれば微妙にズレることもありました。

この記事では、

  • 児童福祉司と児童心理司の違い
  • ズレの正体
  • 連携のポイント

これらを、私自身の経験をもとに率直に書いていきます。

筆者:ぱーぱす(社会福祉士・精神保健福祉士)
自治体で働くソーシャルワーカー。児童相談所などで十数年の実務経験あり。
このブログでは、福祉を学ぶ人・働く人が明日から使える視点を持ち帰れるよう、現場の知見や考察をもとに発信しています。
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結論

先に結論を述べると、次の3つです。

  • 児童福祉司は「現実主義寄り」、児童心理司は「理想主義寄り」の傾向。
  • どちらが正しいではなく、視点が違う。
  • 違いを理解したうえで折り合いをつけることが、子どもの利益につながる。

特に現場は時間も資源も限られています。
だからこそ、「なぜ心理司はこう考えるのか?」「なぜ福祉司はこう動くのか?」を理解しておくことで、お互いの矛盾が減り、子どもの利益に集中しやすくなるはずです。

児童心理司の役割:判定・検査・面接が中心

児童相談所には、児童福祉司と児童心理司の配置基準があります。
児童相談所運営指針で決まっていて、福祉司2人に心理司1人以上の割合が基本です。

児童心理司(略)は、法第 12 条第7項及び令第1条の3に基づき、児童福祉司(略)2人につき1人以上配置することを標準とする。
出典:児童相談所運営指針

児童心理司の主な仕事は次の通りです。(私目線)

  • 療育手帳の判定(発達検査)
  • 一時保護中の子どもの心理検査・アセスメント
  • 特別な事情があるケースでの心理面接・見立て作成
  • 児童心理診断所見の作成

ここまでは比較的“定型業務”として明確です。

問題は「検査以外の、個別関わりで何ができるのか?」

実はここが一番曖昧で、児童心理司によって能力差が大きい部分です。

  • 子どもとの面接の組み立て
  • 内面に踏み込む力
  • 行為・非行の背景要因を掘り下げる力
  • 子どもの“気づき”を促す関わり
  • 心理司自身の性格・スタンス

このあたりは、本当に人による差が大きい。

だからケースワーカー側も、
「この心理士はここが得意」
「この人にはこの関わりは難しい」
といったことを、正直”察しながら”オーダーする必要があります。

役割分担や支援の方向性でズレが出やすい

例えば、非行・触法行為がある少年を”通所”で支援するケースで考えてみます。

【児童福祉司が担うこと:現実を動かすパート】

児童福祉司が担うのは、現実的な整理と折衝です。
これはケースによりますが、だいたい次のようなことをします。

  • 子どもの面接
  • 親の面接
  • 事実確認
  • 気づきを促すコミュニケーション
  • 生活や行動の助言
  • 法的な課題の整理・提示
  • 今後の生活で起きる制約の整理
  • 支援方針の大枠決定
  • 関係機関との連絡調整・折衝

要するに、生活・制度・安全・家庭・学校を“現場で動かす”役割です。

児童心理司に期待すること:内面の要因を見立てるパート

一方で、私が児童心理司に期待するのは、
行為の背景にある「要因の分析」です。

  • どんな機序でその行為に至ったのか
  • どんなきっかけがあったのか
  • 何を抱え、何につまずき、どう感じてきたのか
  • どこにどう介入・支援することで変化が起こりうるのか

さらに児童心理司は、
子どもが“自分で変わる”ための気づきを支える面接
をしてくれることが多い、と私は感じています。
(ケースワーカーがこれをすることもあります)

よく起こるズレ:支援スパンの違い

ただ、ここでよく起こるのが、支援スパン(時間感覚)のズレです。

  • 児童心理司:
    「半年〜1年以上かけて見立てる」という長期目線の人も多い
  • 児童福祉司:
    比較的、短期目線になりがち

この違いが、支援の方向性のズレにつながることがあります。

私の場合、人事異動があるのは年度末です。
正直に言えば、
「年度末までは自分が責任を持てるが、それ以降は関与できない」
という現実的な感覚があります。

理想がどうであれ、
自分のコントロールできない部分が確実に存在する
この“現実の感覚”が、児童心理司との時間感覚の違いとして表れやすいのだと思っています。

児童心理司は完璧主義、児童福祉司は現実主義に寄りやすい理由

あくまで私の経験ベースですが、児童心理司には完璧主義や理想主義の傾向があるように感じています。

  • 「もっとできるのでは?」
  • 「ここを深めてから終結すべきでは?」
  • 「まだやり残しがある」

こういう思いを持つ児童心理司は少なくない、と感じています。
子どもの内面をみるからこそ、そこに“底”がなく、
「もう十分だ」という感覚に至りにくい構造があるのだと思います。

一方で児童福祉司は、現実や制約を踏まえて動かざるを得ない立場です。

  • 時間
  • 制度
  • 保護者の状況
  • 他機関との連携
  • 学校との調整
  • 保護・入所・退所のスケジュール

こうした条件の中で支援を進めていく必要があり、
「完璧は目指せない。でも前に進める。」
というスタンスが実務的に求められます。

この違いが、時にぶつかったり、微妙にズレたりする。
おそらく、そういう構造なんだろうなと感じています。

児童福祉司は“完璧”を目指せない構造になっている

実際のところ、児童福祉司は膨大な業務量を抱えています。
次から次へと新しいケースが入り、ひとつ終える前に次のケースが動き始める。
しかも、児童相談所で扱うのは、市区町村の窓口では担いきれない、
要保護性が高いケースや、虐待の深刻度が高いケースが中心です。

だからこそ、現実的には 「完璧」なんて到底目指せません。
ひとつのケースを満足いくまで深めようとすれば、たちまち全体がパンクする。
どれだけ優秀なケースワーカーでも、これは避けられません。

ひとつに力を注げば、その余波は他のケースに響く。
これが、児相の現実です。
無いリソースはひねり出せない。
だからこそ、優先度や深刻度に応じて、割り切りや折り合いがどうしても必要になります。

必要な家庭は、必要な支援機関につなぐ。
「児相さん、まだ関わり必要でしょう」と言われても、できないものはできない。
人もスキルも無限に時間も無限にあるわけではない。
だから最終的には、ケースワーカーが決断を下さなければいけない時がある。

この“現実との折り合い”が、児童心理司との支援スパンのズレにもつながり、
ときに誤解や不満を生む要因にもなっていくのだと思います。

ケースワーカーは“営業”であり、児童心理司は“サービス”という構造

言い方はとっても悪いですが、私は次のように感じています。

  • 児童福祉司 = 外回り・折衝を担う営業
  • 児童心理司 = 児相の専門サービス

例えば、保護者との面接で困りごとが表明されたら、
「こういう支援ができますよ」
と提案するのはケースワーカーです。

その中の“サービス”のひとつが、児童心理司です。
(もちろん、提案する前には児童心理司との入念な打ち合わせをする)

だから児童心理司がケースワーカーの領域に踏み込みすぎると、
「これは自分の仕事だ」という感覚がぶつかり、
緊張関係が生まれやすい

逆に、ケースワーカーが心理面接の内容や方法に踏み込みすぎても同じです。

だから、お互いの専門領域への敬意、ある種の遠慮のようなものが連携には大切と感じます。

最終的には“理想と現実の折り合い”

これは、どちらが正しいとかではありません。
すごくざっくり言うと、

  • 現実を動かす児童福祉司
  • 内面を深める児童心理司

この違いがあるだけかな、と。

そして私は
「両方とも必要」
だと感じています。

ただし、違いを念頭に置かないまま関わると――

  • 噛み合わない
  • イライラする
  • 伝わらない
  • 相手を怒らせる
  • 結果的に子どもの利益が損なわれる

こういう悪循環に陥りやすいと思います。

だからこそ、
「相手がなぜそう考えるのか」を知っておくこと自体が、連携スキル
だと私は思っています。

児童心理司との連携のコツ5つ

ここからは、私が日頃意識している連携のコツです。

  1. 児童心理司(個人)の得意分野と不得意分野を見立てる
  2. 児童心理司がどれくらいのスパンで支援を考えているか把握する
  3. ケースワーカーの役割を“外回り・折衝”という軸で共有する
  4. 大きな方向性(目的地)を早い段階で共有する
  5. コミュニケーションをまめにとる努力を続ける

もちろん、万能策はありません。
どうしてもうまくいかないケースもあります。
というのも、児童福祉司の現場では

「何が子どもの利益の最善か」は、正直、神のみぞ知る領域

だからです。

誰もが納得できる答えにたどり着けない時は、必ずあります。
その時に求められるのは、ケースワーカーとしての“決断”だと私は思っています。

まとめ

  • 児童福祉司と児童心理司は、構造的にズレる。
  • どちらが悪いのではなく、役割と視点が違うだけ。
  • 違いを理解し、折り合いをつけることが、最終的に子どもの利益につながる。

ここまで、ほぼケースワーカー目線で好き放題かいてきました。

児童心理司の方が読めば、
「いや、それは違う」「わかってねぇなぁ」と感じる部分もきっとあると思います。
もし不快に感じてしまったら、本当に申し訳ないです。

でも、持ちつ持たれつの関係だからこそ、視点や専門性が違うほうが健全だし、
違いがあるからこそ、両者が児童相談所に存在する意味がある。
まったく同じ役割なら、そもそも2つの専門職がある必要がありません。

議論が生まれるのも、ズレが起きるのも、
役割が違うからこそ。必要だからこそ。
この現実をどう受け止め、どう折り合いをつけていくかは、現場で働く一人ひとりの専門性の一部でもある。
私はそう考えています。

あなた自身の現場の景色にも、少しでも重なる部分があればうれしいです。

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▶児童福祉司になりたい方へ
こちらでルートをまとめています。ご参考ください。

この記事を書いた人
ぱーぱす

自治体で働く社会福祉士・精神保健福祉士|現場経験15年、地域・医療・行政の3つの立場を経験。ブログ歴6年、記事約370本。福祉職のキャリアや生活に役立つ実践的な情報を発信しています。

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